【STU48】沖舞スレ4456

175 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2024/02/06(火) 11:24:59.70 .net

「私の1位が大人たちに無視されてしまった」
そんな現実が大きく迫ってくる。
そのとき、井出にはひとつの考えが生まれていた。
──“帰ろう”と。

母親との電話を切った井出は、思い詰めた顔で立ち尽くしていた。そんな彼女にスタッフが気づいた。

「大丈夫か、井出？」
そう声をかけたスタッフに、井出が言う。
「静岡に帰ります」
「え？」

次の瞬間。スタッフは何が起きたかわからなかった。
後ろを振り向いた井出が、急に廊下を全速力で走り出したのだ。

「え？おい！井出！？」
慌てたスタッフが数人で追いかける。やっとのことで追いついた井出の手をつかんだ。
「どうした井出！？ちょっと待ってくれ！落ち着け！」
必死に説得するスタッフ。だが、井出の心は限界だった。

井出「……なんか、もう心がぐちゃぐちゃでした。スタッフさんに取り押さえられた後は、『頭を冷やせ！』って言われてずっと座らされてました。今思うと……1位から落ちちゃったけど、東京出張公演のメンバーには入ってたわけだし、『そんな簡単じゃないんだよ！贅沢だ』って思うんですけどね。そのときは心が完全にダークになっちゃってたんです。それから、さっちー(曽川)とは一切しゃべれなくなってしまって。ほかのメンバーがさっちーと話していても、なんか……わだかまりがありましたね」

──加入1年。
それまで、それぞれの思いはあったにせよ、大きなもめ事もなく共に歩んできた14人の少女たち。

“地獄”の『STU48の1億人にバズれんの？』で「メンバー同士が戦うこと」を経験し、さらに一部メンバーへの大人の依怙贔屓という“衝撃”に3期生メンバー全員の心は、大きく揺れた。このタイミングで、STU48は大きく変わろうとしていたのだ。


──民明書房『STU48物語』より
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