【明日方舟】アークナイツ Part2077

名無しですよ、名無し！

無碍の勇者をも修羅へと追い立てる、我々が最も恐れるべきものが何か分かりますか？ケルシー先生。
ああ、それは過去への審判なのです。
既に取り返しのつかない過去と向き合うことは、未来のために戦うミノスの勇士たちですら困難を伴うことです。
あの龍の戦士が休暇から帰還した際の報告書をお読みになったならば、聡明な貴方には瞭然たることでしょう。
かのドッソレス市の老将軍は、なんと悲しきことか、過去に囚われておりました。
ドッソレス市は嗜好品と刹那の楽しみへの焦がれを交渉材料として、内戦から一時解き放たれ、影で糸を引く大国らとの交渉の卓に着くことができました。
酒と演劇、そしてフォーミュラ戦車レースを愛するミノス人の私にはよく共感できるものです。
罪なき人々の血を流すことなく平和を実現できる、素晴らしい方策と言えましょう。
ですが、それは祖国のために惨い争いを耐え忍んできた旧い戦士たちにとっては、「人生の全てを注ぎ込んできた争いは無駄であった」と突き付けられているに他なりません。
愛する息子や友の忘れ形見を守る使命を持った父親でさえ、子供たちよりも優先してしまうほど強力な呪詛なのです。
私たちミノスの勇士は、輝かしい未来への栄光のための戦いであれば、微塵も恐れることはありません。
ですが、自らの価値観やこれまでの人生のすべてが無駄であったと冷静に受け入れることは、祭司や聖人であっても耐え難き苦痛となるのです。
分かりますか？賢明なるロドスの医師よ。
私もまた、鉱石病を患いミノスを離れざるを得なかった過去を受け止め、前を向くために運命に抗っています。
そのためにも、そしてせっかく買ってきた過去を無駄にしないためにも、私から取り上げたドッソレス産のラム酒を速やかに返却してくれることを切に願います。ケルシー先生。
ああ…。