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【明日方舟】アークナイツ Part2257

878 :名無しですよ、名無し!(ジパング) (ブーイモ MMc9-nT/B [210.148.125.65]):2022/06/28(火) 19:03:00 ID:k/ryOO87M.net
サリアは目の前にある古いボクシンググローブを見る。元々はライン生命の警備課主任の執務室の戸棚に鍵をかけて置いていたものだ。彼女はかなり急いで去ったために私物をほとんど持っていなかった。ライン生命はもっと前に彼女の執務室を一掃しておくべきだった。なぜ残しておいたのか? しかも、なぜこの時期にロドスに送ったのか?
数日前、マイレンダー財団の介入により、数十カ所の違法実験場の建設が打ち切られた。 誰かが、市の企画課の職員を買収して、必要な審査を回避し、偽の計画で再び倫理審査委員会をだましたのだ。 ライン生命の常套手段である。サリアは、違法取引の証拠をつかむために、何カ月も奔走した。 アンソニー・サイモンが入社したことで、彼女の情報源が増えたのはよかった。最終的に閉鎖された実験場の半数以上の背後に居たのはライン生命に他ならない。恐らくそれがグローブがここにある理由だろう。ある種の警告やら仄めかしやらなのだろう。
これは、サリアが持っていた初めてのボクシンググローブではない。 父親からもらったその初めてのグローブは、子供には不向きで、使う度に手が血まみれになってしまっていた。 しかし、彼女は父親の言うとおりに辛抱強く、何度も何度もサンドバッグを叩いて、体から惰弱さなどの実用的でない感情を追い出した。他者の感情は常に綻びに満ちており、彼女はその最も綻んだ瞬間を見つけるだけで、相手の防御を一挙に粉砕することができるのである。サリアは、多くのボクサーのように格闘に夢中になることはなかったが、その技術があったからこそ、これまでやってこれたのだろう。
無意識のうちに、サリアの指は手袋の裏の盛り上がった文字列に触れていた。 「トレモント工科大学」彼女はこの手袋を使って、大学対抗のトーナメントに出場していた。当時、彼女はいつも遅くまでボクシングジムに残っていて、しばしばある人が付き添っていた。 この人は、スポーツが好きではなく、競技に欠片も興味がなかったのだが、「いろいろな環境に身を置くことで、脳がいろいろな視点から考えられるようになる」という理由だけで、ジムに通い続けていたようである。これは冗談ではなく、彼女の動きを観察した結果、手の外骨格OSのアイディアを思いついたのは、それから間もなくのことだった。 このシステムは、現在もライン生命の統括の執務室で使われている。
長年使われていないにもかかわらず、手袋はまだ快適そうであった。サリアはグローブの中に手を入れようとしたが、肩甲骨の裏側から微かな痛みが走り、それを止めた。どうやら鎮痛剤の強さをもう一度見直す必要がありそうである。何しろ、前回の調査では、傭兵のチームがまるまる1つ余分に来ていたのだ
それは、彼女が少しずつ真実に近づいていることを示していた。 数分後、サリアは一旦グローブを下ろし、書き物机の一番下の引き出しに入れ、イフリータの最新の医療報告書を再びテーブルに置いた。

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