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【物語】欅坂46の小説★3【エロも可】

350 :名無しって、書けない?:2017/05/24(水) 23:05:13.25 ID:mP5RNrSb0.net
『家政婦のリサ』 6話

人には名前がある。
「理佐」という名前は、あらゆる面からしてバランスのとれた二文字だ。
異国情緒あふれる響きで、海外でも発音してもらいやすい。
また、これは偶然かもしれないが、平安時代の書家に藤原佐理という人がいる。
読み方は異なるものの、1000年以上も前に同じ漢字の組み合わせがあったこと
は非常に感慨深い。

「理佐」
その美しい響きに酔おうとして、つい名前を呼んでしまった。
「御用ですか」
「あ、ごめん、ひとり言」
「今、呼び捨てにしましたか?」
「だからひとり言。すまない」
「別に怒ってないです。ただ、『理佐』って呼ばれるの久しぶりで…」
理佐はアイロンがけしていた手を止めた。
過去を顧みるように遠くを見つめている。
こんな顔を見るのは初めてだ。
「もう一回呼んでもらってもいいですか?」
「やだよ」
「ちょっと、嬉しかったのに…」

再びアイロンに触れたときには、いつもの顔に戻っていた。
アイロン台に垂れる後ろ髪を邪魔そうに振り払い、下を向いたまま
黙々とシャツのシワを伸ばし続けている。
「髪、切ったら?似合うと思うよ」
「業務命令ですか?」
「とんでもない。ただそう思っただけ」

純粋な黒髪を物憂げに見つめるその目には、茶目っ気の遊び心と
真白な未来が垣間見えた。

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