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【欅坂小説】欅坂の道化師【2冊目】

278 :ニャンコ坂46:2018/04/02(月) 19:53:41.19 ID:t4yaAUuHM.net
「格好悪くなんかないよ。あの人を追い込めるんだから」

今度は平手友梨奈が尾関梨香を励ます側に廻っていた。

「私には手加減してるからね」

尾関の笑顔は、いつしか苦笑いへと変わっていた。

「僕はそうは思わないな」

真剣な顔付きで平手友梨奈が言った。その表情に、尾関も自然と真顔になっていた。

「どう言うこと?」

「あの人……ただの格闘技の経験者ってだけじゃないよね?」

平手友梨奈の問い掛けに、尾関梨香は声を詰まらせた。目の前に立つ彼女の瞳を見つめたまま沈黙するしかなかった。
答えようにも知らないのだ。鳴滝の過去を。

「自慢する訳じゃないけれど、僕だってそれなりに訓練はして来た。それでも、あの人には敵わなかった」

「それは、ほら、同じ探偵でも鳴さんの場合は厄介な案件ばかりに首を突っ込む人だから」

苦し紛れに何とかそう答えたものの、尾関自身もよく分からない答えだと感じて、その戸惑いから視線を平手友梨奈から庭の花壇へと向けていた。

「そうだよね。型にはまった動きじゃないから、実戦で鍛えて来たんだと思う。だからこそ……」

何かを言いかけて沈黙した平手友梨奈に、尾関梨香は無意識に彼女へと視線を戻していた。

「尾関さんの打撃を防げないのが見ていて不思議だった。何故だろう?って……」

尾関梨香の視線に応えるように、平手友梨奈が語り出した。

「きっと尾関さんの打撃は、あの人でも予測出来ないんじゃないかな?」

「いやいや、ただ本気を出す程の相手じゃないからだよ。弱い者イジメはしない人だから」

平手友梨奈の推測に、照れ隠しではなく本気で尾関は困り果てていた。そこまで深く考た事など無く、本能の赴くままにローキックを繰り出していたのだから。

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