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【欅坂小説】欅坂の道化師【2冊目】

1 :名無しって、書けない?:2018/02/07(水) 21:39:51.64 ID:lF44R90tM.net
欅坂46のメンバーを登場人物とした小説を書いています。メンバー以外の人物はもちろん架空の人物です。前スレはまだ書き込めますが、長文が書けなくなった為に新しくスレを立ち上げました。

前スレ
http://itest.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1509967598/

保管倉庫
https://ameblo.jp/nyankozaka/

722 :ニャンコ坂46:2018/09/12(水) 20:17:15.65 ID:vhbROAQwM.net
「でも……もっと綺麗になれる力をもらえるなら、その石コロ欲しいかも」

「魔動核でも、それは無理だろう。本物の化け物になるだけだ」

「鳴ちん!化け物ってなによ!」

鳴滝の言葉に激昂したアイシャドウの男の一瞬の隙をつき、芽依は拘束を解いて再び銃口を鳴滝の額へと向けていた。
だが、鳴滝もその左手の人差し指と中指を芽依の喉元へと押し付けていた。
その硬直した状況の中で、芽依はひとつの明確な答えに気付き息を呑んだ。

「クロウ……それって……」

「それ以上語るな。俺は君を失いたくない」

その謎の会話がもたらした僅かな沈黙の後、芽依は手にしていたライフルの引き金から指を外した。

723 :ニャンコ坂46:2018/09/12(水) 20:27:13.96 ID:vhbROAQwM.net
「あいつが……来る……」

その小さな顔のこめかみを両手で抑えた飛鳥が、震える声で鳴滝へと訴えた。その尋常ではない彼女の怯え方に、鳴滝はあいつが誰かを悟って表情を強張らせた。

「あいつって、まさか」

「ああ……その『まさか』さ」

ライフルを構えたまま目を見開いた芽依へとそれだけ言って、鳴滝はその何者かの気配を探るように目を閉じた。
その彼の様子に、銃を手にした者達は鳴滝と飛鳥を中心にして四方へと銃口を向けながら『あいつ』の襲来に備える陣形を取っていた。

「何処にいる……」

その鳴滝の呟きと重なるように、この海岸へと続く小道の方から、落ち葉を踏みしめるような人の足音が近づいて来るのが聞こえて来た。

724 :ニャンコ坂46:2018/09/12(水) 22:25:41.74 ID:pWq8uZMJM.net
芽依と史帆、そしてアイシャドウと大男の銃口が一斉にそちらへと向けられる。

「これはこれは。皆さんお揃いで」

黒く長い髪を後ろでひとつに束ね、丸眼鏡の奥で細い目に冷たい気迫を宿した男が皆の前に小道から姿を現したのはほぼ同時だった。

「飛鳥……こちらへ来なさい。君をその苦しみから解放出来るのは、その男じゃない」

向けられた四つの銃口さえ気に留める素振りも見せず、その男は飛鳥へと向けて足を踏み出していた。

「マグス!それ以上、動くな!」

瞳を金色に変えた芽依が叫ぶ。だが、マグスはその歩みを止めるどころか、芽依の構えたライフルの銃口の前に自らの胸を差し出した。

「ほぅ。君も能力者ですか。しかし、君の力では今の私は撃ち抜けませんよ。試してみなさい」

臆する事もなく言い放たれたマグスの言葉に、芽依は迷わずにその引き金を引いていた。
乾いた破裂音が響く。だが、その弾丸は虚しく宙を切って小道を覆う林の枝のひとつを落としたのみだった。

「虫ケラがいくら寄り集まったところで、所詮は虫ケラです。諦めなさい」

そう言い放ったマグスの視線は目の前で絶望する芽依にではなく、既に鳴滝の背後に立つ飛鳥へと向けられていた。

725 :ニャンコ坂46:2018/09/12(水) 22:27:50.58 ID:pWq8uZMJM.net
「諦めるのはお前の方さ。しつこい男は嫌われるぜ」

それまで目を閉じていた鳴滝が、そこでやっとその目をマグスへと向けた。

「鳴ちん。あーたみたいに、あっさりし過ぎるのもどうかと思うわよ」

銃撃が無効だと悟ったのだろうか。アイシャドウの男は銃を降ろして呆れ顔で鳴滝へとそう苦言を呈した。

「いや、俺の場合は、ほら、一途って事さ」

「一途って言葉が一番似合わないのは、鳴ちん、あーたでしょ?」

目の前に現れた脅威さえ関係ないように淡々と繰り広げられるこの男達の会話に、芽依だけではなく史帆さえも驚愕に言葉を失っていた。

「さぁ、私の元に来なさい。新しい世界を共に築こうではないか」

マグスは右手を飛鳥へと差し向けていた。

「どうする?飛鳥」

「嫌だ……」

鳴滝の問いかけに、飛鳥は尚も怯えた表情でそれだけ答える。

「だったら……立ち向かえ。お前の方が強い。それは俺が保証する」

「鳴滝君。君の言う強さとは何ですか?」

飛鳥の返答を遮るように、マグスが言葉を挟んだ。

726 :ニャンコ坂46:2018/09/12(水) 22:29:42.93 ID:pWq8uZMJM.net
「うるせぇ。てめぇで考えろ」

鳴滝の荒い語気に同調し、彼の背後で薄紫の閃光が周囲を包み込んだ。

「来ないで……」

怯えから憎しみへと変わった飛鳥の瞳の色が、その右手からマグスへと撃ち放たれた。
紫の光の筋が彼の胸を貫く。一瞬後ろへと仰け反ったマグスだったが、苦悶の表情は直ぐに歓喜へと変わっていた。

「良いですね、その目。その憎しみに満ちた目こそが私のしもべに相応しい」

「しもべ?それが本音か」

悦に浸るマグスの言葉尻を掴んだ鳴滝がそう言い捨てる。

727 :ニャンコ坂46:2018/09/12(水) 22:30:28.37 ID:pWq8uZMJM.net
「優れた猟犬は優れた狩人の元に育つ。違いますか?」

「飛鳥を犬扱い……やはり、てめぇはクズだな」

上目遣いにマグスを睨んだ鳴滝が左手を構えた時、その袖口から白い紙片が足元の小石の上へと舞い降りた。

「式神?……川口玲子か!」

眉間に皺を寄せたマグスがそう叫ぶと同時に、背後の林の小道から鳴滝達の元へと疾走する二つの足音が聞こえて来た。

728 :ニャンコ坂46:2018/09/12(水) 22:31:52.20 ID:pWq8uZMJM.net
連投規制と文字数制限でブログと前後してごめんなさい。

729 :ニャンコ坂46:2018/09/12(水) 22:36:04.98 ID:pWq8uZMJM.net
あと、庭さんは気がついたかもしれませんが、サイコパスなストーカーが現れたので、このスレもここで終わるかもしれません。
役一年間、いろいろお世話になりました。
心からありがとうです(^_^)

730 :名無しって、書けない?:2018/09/12(水) 23:41:39.06 ID:tRcZ0MTHa.net
俺の方こそありがとうございますm(__)m

ニャンコ先生の影響でブログに保管しようと思いつき
幾つか未完になってる妄想を見つけることが出来ました

731 :名無しって、書けない?:2018/09/13(木) 05:12:02.90 ID:WFK705Q7K.net
了解です
自分も先生のおかげで絵の楽しさを再発見できました
ありがとうございました

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