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【物語】欅坂46orけやき坂46の小説 ★5【エロも可】

1 :名無しって、書けない?:2018/08/05(日) 11:27:24.13 ID:m3whxP64d.net
素人レベルからでも投稿できる小説スレです 
ただし投稿作品に対するすべての中傷は禁止です
投稿者は多大な時間と労力をかけて 
作品を投稿していますのでご協力をよろしくお願いします 

この度小説スレと原案ありスレを統合しました 
以下は原案ありの簡単な説明です 
インスパイア、オマージュ、パロディ、パクリ、何でも結構です。 
その原案も小説、戯曲、映画、テレビドラマ、マンガ以外にも、ルポルタージュやテレビのドキュメンタリーとかでもかまいません。 
テーマだけでもOK、冒頭だけでもOKです。 
少しでもかすったから原案ありだと書いた当人が主張するのなら、そう見なしてあげましょう。
「『パクった』と言ってるけどさ、全然パクってなく、それはお前のオリジナルじゃん」という非難はやめましょう。 
あとは作家さん各々の良心に従い思うままに書いてください 
最後に、このスレの投稿される作品はすべてフィクションであり 
実在する人物や団体や建物等との関係は一切ありません 
VIPQ2_EXTDAT: checked:vvvv:1000:512:----: EXT was configured VIPQ2_EXTDAT: default:vvvvvv:1000:512:----: EXT was configured

前スレ 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1526544567/
【過去スレ】 
【物語】欅坂46orけやき坂46の小説1【エロも可】 
https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1518781547/ 
【物語】欅坂46orけやき坂46の小説 ★2【エロも可】 
http://itest.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1518781547/ 
【物語】欅坂46orけやき坂46の小説 ★3【エロも可】
http://itest.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1520727452/
☆原案ありスレ☆ 
【原案ありの】欅坂46orけやき坂46の物語【パクリ】 ★3 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1509750393/ 
【原案ありの】欅坂46orけやき坂46の物語★2【パクリ】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1509198143/ 
【原案ありの】欅坂46orけやき坂46の物語【パクリ】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1502756305/ 
☆一般的小説スレ☆ 
【物語】欅坂46の小説 ★7【エロも可】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1507808924/ 
【物語】欅坂46の小説 ★6【エロも可】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1499810853/ 
【物語】欅坂46の小説 ★5【エロも可】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1498988596/ 
【物語】欅坂46の小説 ★4【エロも可】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1496452705/ 
【物語】欅坂46の小説★3【エロも可】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1493391840/ 
【物語】欅坂46の小説★2【エロも可】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1489546278/ 
【物語】欅坂46の小説【エロも可】 
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1487327352/
【このスレにかかっている2つの呪い(笑)について】 
◆文字数制限◆ 
スレの性質上、長文レスが多くなることが災いして、スレの途中から1レスあたりの文字数制限が発動します。 
この制限はスレが進むにつれ更にどんどん厳しくなり、最終的には1レスあたり3〜5文字までになる予定(笑) 
この呪いに対抗する術はありませんので、発動後は、長い作品の場合は適宜分割レスを活用してください。 
また、この制限がある程度進んだところで次スレが立つかも。 
◆埋め立てですか?◆ 
ある程度の長文のレスがいくつか続くと(目安としては4〜5レス程度)、このようなメッセージが出て次に長文レスが書き込めなくなる事態が出現します。 
この場合は1回短いレスを挟むと、また書き込み可能になります。 
自分自身で書き込んでもOKです。

2 :名無しって、書けない?:2018/08/05(日) 16:12:41.37 ID:riaQd59P0.net
とうとう5個目に。

3 :南小谷の思い出:2018/08/05(日) 21:59:09.99 ID:QiZhwL7y0.net
「お兄ちゃんとはどこで知り合ったんですか?」
ワゴンカーは古い住宅地と山間の
雪景色を駆け抜ける。
バックミラーを覗きながら妹は
興味津々と言った眼差しである。
「うーん、もともとは同じ大学で...サークルも同じだったから」
「そうだったんですねーで好きな所は」
「えっ、」
いま彼女が頬を赤に染めているのは
冬のせいだろう。
「優しい...ところかな」
首を傾げてシートの上で僕らは手を重ねた。彼女の手は酷く冷たかった。
「優しいねぇ」
「よそ見するなよ」
「大丈夫だって」
此方を見てきた妹にそう云うと
あの頃より慣れたハンドルさばきを
見せた。
「そういえば名前聞いてなかった」
無視しても構わないくらい
人通りの少ない交差点で妹は
彼女を見る。

4 :名無しって、書けない?:2018/08/06(月) 09:13:26.07 ID:uEh3ZOsu0.net
誰か

5 :名無しって、書けない?:2018/08/06(月) 20:27:42.16 ID:yujkN6g5a.net
>>4
とにかく毎日大量に投稿して投稿の敷居を下げるんだ
そうすればそのうち釣られて投稿してくれる作家さんたちも集まってくるさ

そしていつか小説スレの中興の祖になってくれ!





後を託す風な保守w

6 ::2018/08/06(月) 22:01:02.10 ID:uEh3ZOsu0.net
自転車の荷台に由依を乗せて家までの道を駆ける。僕らの街は港の近くにある。
大抵の家が漁業に関係する仕事に従事
しているが僕と由依の二人の家だけは唯一それに関係のない仕事に就いていた。
僕の父は街から十分程歩いた所の
スーパーに務め母は薬剤師で薬局務め。
由依の父は役所に務め、母は専業主婦。
僕らは家族ぐるみの付き合いをしていた。
亡くなった祖父の自転車は潮風に
錆び付いて車輪を動かす度ギシギシと不快な音をたてる。だけど新しいものに買い換えようとは一度たりとも思ったことがなかった。
「ねー、自転車新しいのにしようよー」
横向きに座り僕の背に持たれながら
由依は言った。
「んー、だってまだ使えんじゃん」
「時々すごい音するからさー」
潮風に負けないように由依は細い声を
目いっぱい、叩きつけるように言う。
「ところで由依こそいつ自転車買うんだよ」
「んー。」
何か考える風でもなく誤魔化すように
由依はトントンと僕の背中を頭で叩いた。
雨上がりのトンネルを抜け、山道を
ひたすら走ると峠に辿りつき、
そこを下ると港だ。
峠をゆっくりと僕はペダルを漕ぐ。
「ねぇ、遅いー」
パシパシと由依に背中を叩かれる。
「後ろに誰かがいるせいでペダルが重くて重くて」
「もう!」
今度はバシッと強く叩かれた。
僕は白い光に揺れる木々の葉から
零れる蝉の声に耳を澄ました。
蝉の声は幾重にも響き、その声と
真上の入道雲がこの街の短い夏を彩っている。

7 :名無しって、書けない?:2018/08/06(月) 23:11:35.12 ID:sJy4Tvg20.net
 
「おい」
「はい?」
「あんた舐めてんの?」
「は?」
「なにうちに黙って新作出してんだよ それも葵の」
「あ、ああ 出したけど
 別に茜にお知らせする約束なんてしてないと思うけど」
「じゃかあしいわ」
「あ、はい」
「トロいこと言ってると仙髄に五寸釘ぶちこんで一生勃起できなくさせるよ?」
「ひ、それは」
「射精もおしっこもいっしょになりたい?」
「嫌だ」
「じゃ言い訳してみなよ」
「で、でも何から」
「あんたさあモチーフがないと書けないって言ってたよね?」
「言った。。。」
「じゃあ聞くけど、あの作品はなんだよ」
「。。。」
「どっから出てきたって?」
「。。。」
「言えないなら言ってやろうか あれはあんたの実体験」
「なんでそれを」
「ふざけんなよ」
「す、すみません」
「あんたあれ書き上げてずいぶん嬉しかったんでしょ」
「そ、それは、確かに」
「阿呆面さらして『俺の念願だったんだよ〜』とか抜かしたんだって?」
「うああああ」
「ひよりちゃんゲラゲラ笑いながら教えてくれたよ」
「。。。」
「あんた若い子にはつくづく緩いね」
「ごもっともでござる」
「ないって言っておいてモチーフあったとかさ」
「いや、あの時は思い出してなかったから 時間すげーたってるし」
「思い出したら葵かよ」
「。。。」
「まあ念願なら勝手にしたらいいけどさ」
「。。。」

8 :名無しって、書けない?:2018/08/06(月) 23:13:05.46 ID:sJy4Tvg20.net
 
「それより」
「うん」
「あんた実はもう一個あっためてんでしょモチーフ」
「あ、いや、えー」
「わかってんだよ」
「。。。」
「うちで書きな」
「それは無理」
「なんでだよ!!!!! 人差し指逆に曲げて折るよ?」
「あの、あれはアンハッピーエンドなんで」
「はあ?」
「悲しい終わり方になるんで」
「適当なこと言ってんじゃねえぞ」
「本当 本当だから」
「ふー その顔色は嘘じゃなさそうだな」
「嘘じゃないっす」
「じゃあ誰でなら書く気なんだよ」
「。。。メミチャンデス」
「あ?聞こえねえよ」
「めみちゃんです」
「めみちゃん? ああわかった てかあんた若い子専門?」
「いやおぜでもむーでも書いたし」
「じゃなんでうちでは書かないわけ?」
「それはさあやっぱり自分の引き出しには華やかな女の子はいないから
 地味子ちゃんタイプでしか書ける気がしないし」
「フフフ そうなんだ そりゃそうね じゃ仕方ないな」
「なので今後も書かれることはないと そう思っていただきたく」
「わかったわかった いいのよそれで ンフフ〜」

「助かった もう登場しないでほしい」
(保全にもモチーフがあればいいんですよ ばいころまる〜)
「ん? なんだいまの 気のせいかな」

やぶれかぶれな保守

9 :名無しって、書けない?:2018/08/07(火) 20:54:32.39 ID:CAzfauKEd.net
>>8
保守ありがとうございますー
なんか好きな会話です。

10 :陰る:2018/08/07(火) 20:54:54.20 ID:CAzfauKEd.net
「Denny’sに置いてくなよ。うちらを」
茜は細い指先で僕の机を叩きながら言う。
その顔と口調は作家でも詩人でもない僕には表せないくらい怖い。
「あっ、ごめん」
「ごめんじゃないし。結局茜とふーちゃんではらったんだからね」
あんたらのぶんも と語を強くして茜は
僕に詰め寄る。
「Denny’sで8700円もしたんだからね」
いつのまにか茜の隣にいる
腰巾着のじゃないほうの齋藤は言う。
齋藤飛鳥なら腹の立たないこの言葉も
なぜかこいつなら腸が煮えくり返る。
齋藤と茜は忍者の巻物みたいに長いレシートを僕に突きつけて 「払え」
と詰め寄った。

「無理だね」
「はっ?」
僕はカツアゲ防止のため財布は持ち歩かないようにしている。
「嘘でしょ」
「嘘じゃないよ」
ほら。といいながらポケットの裏地を
見せる。
「なんでだよ。」
いや、お前らにカツアゲされるのが
嫌だからだよ と言おうと思ったが
止めた。

「どうしたの?」
その折タイミング悪く友香が現れた。
「あっ、友香に払ってもらえばいいじゃん」
茜は白い頬をニヤニヤとしながら
言うた。
「ねぇ、これ払って昨日の」
齋藤が持っていたレシートを奪って
茜は友香の鼻先に突きつけた。
「えっ、何これ」
後ずさりをしてレシートを見る。
どうやら視力が悪いらしい。
「昨日...?」
「ほらDenny’sに行ったでしょ、途中で出てって」
齋藤が前のめりに付け加える。
「ん?そうだっけ、そぉーかなぁー?」
友香は僕の瞳に合図をする。
「行ったっけ?」
僕と友香は声を合わせてすっとぼける。
「はぁ?」
茜と齋藤は交互に僕らを見たそのタイミングで鐘が鳴り響く。
「じゃ、授業の準備しなくちゃ、ね」
友香は僕にだけ笑いかけて
素早く自分の机に逃げる。
「じゃ、僕も。」
僕はロッカーにある教科書を取りに逃げる。
「おい」
ふたりの声が僕の背中を刺す。
しかしそれを無視して水を吸った分厚いノートを掴んだ。

11 :陰る:2018/08/07(火) 20:55:33.87 ID:CAzfauKEd.net
「良かったね」
放課後、僕らは学校の最寄り駅から
2駅のところにあるカフェで笑い合う。
「うん」
アイスコーヒーを挟んで座った僕らは
水滴がグラスを覆うまでひたすら
くだらないことを話していた。
「ところであのひとたちはなんで僕たちにしつこく関わってくるんだろうね」
「んー、なんでだろうーはどう思う?」
「ゆっかーに嫉妬?」
「そんなまさか」
ぜんぜん。と言うように友香は首をふる。
「でも私とーを嫌いなわけじゃないとは思うけど」
「どうして?」
「嫌いならわざわざ休んだ日の授業ノートを机へ入れておかないんじゃない」
「あれってゆっかーじゃないの?」
「違うよ 私あんな字綺麗じゃない」
「でもあの二人っていうのは?」
「実はね」
笑いをこらえるように友香は語りだした。

ーが休んだ日の放課後かな。
父に渡されたプリントを先生に渡すの
忘れちゃって渡しに戻った帰りに
教室寄ったの。そしたらあかねんが
ーの机の前に立って周りキョロキョロしてたの。私、なにするんだろう?って
気になってこっそり見てたら
カバンの中からノートのコピー?
を取り出して、わかんないけど
それで入れてたの机の中。

「そんなことあったの」
「うん」
「だからあの日やけにしつこく話しかけてきたのか」
僕は一人納得していた。
確か、あの日はいつもより
茜がなにかを確かめるように
何回も話しかけてきた。

「だから嫌いじゃないと思うなー」
ストローをカラカラと回して
友香は言うた。
「ふーん。」

この4人の関係を引っ掻き回す人物が
現れたのはその4日後のことである。

12 :名無しって、書けない?:2018/08/07(火) 20:56:06.73 ID:CAzfauKEd.net
一時的に閲覧できなくなってませんでした?

13 :名無しって、書けない?:2018/08/07(火) 21:14:47.11 ID:DzltV74XK.net
>>12
スマホから5chをブラウザで見るときに使うitest.5ch.netが朝からしばらくアクセスできなくなってたんですよ
PCからとガラケーからは読み書きできてました

14 :名無しって、書けない?:2018/08/07(火) 23:29:19.47 ID:Til/YVjO0.net
前スレが落ちました

15 :名無しって、書けない?:2018/08/08(水) 00:05:57.11 ID:Wg0gNsAnK.net
>>14
最終書き込みから2日ちょっとだからやはり若干早くなってますね
ご用心ご用心

あまりひどいときはいったん落ちたらほとぼりさめるまで待つのも一法かもですが

16 :名無しって、書けない?:2018/08/08(水) 01:35:40.41 ID:vXmGStGAd.net
>>13
ありがとうございます
やっぱりそうでしたか
>>15
落ちる速度が上がっていたことに
驚きです。たしかに、気をつけなければと。

17 :名無しって、書けない?:2018/08/08(水) 13:16:17.80 ID:Wg0gNsAnK0808.net
>>16
ずーみんの卒業を受けてスレが乱立することで板内のスレ数増加に拍車がかかり
これがいわゆる圧縮によるスレdat落ちのスピードを速めているものと思われます

PCサイト表示でスレ一覧を開いて『過去ログ倉庫はこちら』をクリックし
完走せずにdat落ちしたスレの最終書き込み時刻をチェックすれば
だいたいどれくらいでdat落ちするかの目安がわかります
参考までに
(ただし過去ログ倉庫自体の更新が遅れている場合もあります)

18 :名無しって、書けない?:2018/08/08(水) 13:36:16.34 ID:uEItw2jy00808.net
>>17
ありがとうございます。

19 :名無しって、書けない?:2018/08/08(水) 22:46:18.59 ID:uEItw2jy0.net
台風が酷いなー

20 :名無しって、書けない?:2018/08/09(木) 15:54:07.04 ID:jX8PVKVMa.net
通りすがりの挙げ

21 :Farewell:2018/08/10(金) 02:33:15.90 ID:bxy01fYr0.net
あれはたしか大学の入試を目前に控えた
高校三年生の冬だった。
僕らはまたいつものファミレスに居た。
いつもと同じメンバーにもう一人加えた
四人で。
ひたすら水とドリンクバーを挟んで黙り込んでいた。
「・・・だからねわたし高校辞めるの」
黒く艶のある髪を肩まで切った彼女は
頼りないような口調で僕らにそう沈黙を切り裂くようにして繰り返した。
「そう、なんだ」
由依は二の句が告げず黙り込む。
僕はそれを見てアイスコーヒーの
最後の一口を喉に送り込んだ。
「でも大丈夫なの?」
いくちゃんは心配そうに彼女の顔を
のぞき込む。
彼女は微かに首を縦にした。
「もう二人で歌えなくなる」
茶色の髪を頬に垂らして由依は呟く。
「ごめん...」
いつも無邪気に笑っている彼女からは
想像もつかないほどの深刻な顔つきを
しているのを見て目の前に迫る
事実の鮮明さに気づく。
「でも高校卒業してからじゃだめなの?」
僕は氷の溶けてかさの増した水を
一口飲んでから彼女に訊いた。
「今じゃなきゃ...だめなの」
「そっ...か」
硬いシートに居心地の悪さを覚える。
「でもあれだけテスト前とか必死にやってたのに高校卒業しないままで...」
由依の顔は髪に隠れて見えない。
口から漏れ出るようにそっと言った。
「うん...」
また沈黙の時が流れた。
そしてそんなときに後輩が現れたのは
ありがたいと言うか迷惑というか
複雑な気分だった。

22 :名無しって、書けない?:2018/08/10(金) 10:01:43.94 ID:bxy01fYr0.net
まだ続きがあります。
こちらも外伝です

23 :名無しって、書けない?:2018/08/10(金) 11:42:34.39 ID:bxy01fYr0.net
この歴代のスレもずいぶん色々な人が往来したのだと振り返って思った

24 :Farewell:2018/08/10(金) 15:00:32.65 ID:I86cq7/c0.net
「あ、先輩ここでなにしてるんですか?」
ファミレス中に響き渡るような声で僕の名前を呼んだ。
「あ、しかも生田さんもゆいちゃんずさんもいるじゃないですか先輩両手に華ですねー」
おそらくこの後輩は僕らがどんなことを
話していたか知らないのだろう。
それか知っていて態と。どちらかは分からない。
「なんでここに?」
「いやー、愛萌ちゃんと待ち合わせで」
「そうなんだ」
この騒がしい後輩は現在僕の後任で図書委員長をやっている。
「あ、私もここいいですか。」
空いている僕の左どなりに返事を待たずに
座った。「で、何を話してたんですか?」
後輩は満座を見渡して言った。
「実はわたし高校辞めるの」
彼女がからっとした口調で後輩に告げた。
「えっ、どうしてですか?」
伝票が入った透明の筒が倒れる。後輩は身を乗り出すようにして彼女に尋ねる。
「オーディション受けるの レーベルの」
「トレーニングするやつですか?」
「それはバーベル」
由依が至って冷静に言う。
「あっ、ヘルメットを付けないことか」
「それはノーヘル」
また由依が反応する。
「んー、じゃあダイナマイト開発し」
「それはノーベル」
今度は食い気味に由依が言う。
「レーベルっていうのはアーティストがCD出したりそういう活動するところでそのオーディションを受けるの。」
今度は彼女は少し笑みを戻しながら言う。
「なんだそう言ってくれればいいのにもーう」
おばさんっぽく僕の背中をバシッと叩く。
「僕は関係ないでしょ」
その場に潮騒のような笑い声が起こった。

「まぁでも やらなくて後悔するよりはいいと思います。それにやって仮に失敗したとしてもそれは失敗じゃないし。そうじゃなくて、やろうとして臆病になってやらなかったことが失敗だと思うんですよね。」
一座はまた沈黙に包まれた。
「そう・・・」
彼女は何かを逡巡したような顔で溶けたかけた小さな氷をかき回した。
コーラに沈んだそれは渦巻いて飲み込まれてゆく。
「まぁ応援してるよ」
僕は彼女の円な瞳を見つめて言った。
頑張って、とかそんな言葉は野暮だと思ってやめた。
「うん。」
やや空気を挟んでから彼女は笑んだ。
「あ、愛萌ちゃんもう待ってるんだ!」
iPhoneから顔を上げてそう呟き、いや叫び
「じゃ、お邪魔しました」
とドタバタと後輩は店を出た。
「騒がしいなほんとに」
僕がそう呟くといくちゃんが
掌を抑えて吹き出した。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
いくちゃんはなおも笑みを漏らす。それが伝播したのか彼女も由依も笑いだす。
僕がなにか呟くたびこんなふうに
笑いが起こるのはどうしてだろう?
そんなことを考えつつ、黄昏を過ぎ濃紺がなだれ込んだ師走の空を見つめた。


25 :山麓(1):2018/08/11(土) 02:32:50.27 ID:D1uMJolk0.net
安曇野の―峠を越えた山奥の一寒村に程近い林の中で密かな愛を交わし合う男女が居る。
「まだ姉の赦しが出ないんだ」
青い半袖のシャツにジーンズを履いた男はチャックを上げながらため息をする。
それを嗤うように鴉が鳴き立て薄暗い葉ざかりは蔭に揺れる。
「結婚するつもりは無いの?」
白地に紅が交じる袷の女性。
襟を直したあと汗ばんだ首筋をハンカチで拭う。半月型の眼は男を真っ直ぐ捉える。
「いや・・・そういうつもりじゃ」
男は口ごもった。
その時、枯れ枝が音を立てて二人の間に落下した。
男は慌てて女の手を取り腰迄ある植え込みへ逃げ込む。
「なに?」
女は泪目になって男に抱きつく。


同じ頃、都内の古い雑居ビルで煙草を吸いながら雑誌をめくる坊主頭の男がいる。
「全く資料がねぇや」
灰皿を取り寄せ灰をその中へ落とす。
本棚に囲まれた一室は中央出版東京という中流出版社の資料室で男と本棚を挟んで
二つの沈んだ銀のデスクが並びそこでは
草臥れ眼鏡の中年男と猫目の女がパソコンのキーを叩く。
「澤部さんまた頭抱えてる。」
猫目の女は静かにそう口にした。
「毎度のことじゃないか。」
中年男は画面から目を離さずそう告げた。
「学習しないですよね先生は。」
積まれた本の傍らにある黒緑の箱から
煙草を取り出し火を付ける女。
「やめたんじゃないのか。」
「止められなくて。」
微笑みながらライターを片手で持ち
咥え煙草に火を付ける。
「しかし志田くんといい澤部先生といい煙っくて仕方ない。」
椅子が泣き出したのは中年男が立ち上がったからである。
中年男は埃だらけの窓を乱暴に開けた。
秋口の風が入り込み。中年男の机に置かれた紙束は寂しそうに端だけ揺れる。
「ちょっと寒いんだけど」
志田くん、と中年男から呼ばれた女は
値札のシールが中途半端に剥がされた銀の灰皿へ煙草を置きながら中年男を睨む。
「吸わない身にもなってくれ」
中年男は女に背を向けながら咳をした。

26 :名無しって、書けない?:2018/08/11(土) 15:30:00.81 ID:fXyfe5ybd.net
世界には愛しかないから2年?!

27 :名無しって、書けない?:2018/08/12(日) 00:04:18.79 ID:3MzgNiukK.net
更新乙です

>>26
ということはすずもんの病み期から2年ですか…

サイマジョ期→ねるの扱いでゴタゴタ
セカアイ期→すずもん病む
セゾン期→平手withバックダンサーズ体制の確立
不協和音期→ずみこ離脱
風吹か期→失神と怪我
ガラ割れ期→大量離脱
アンビバ期→ずみこ脱退

こんな感じに記憶してしまっているorz

28 :名無しって、書けない?:2018/08/13(月) 02:03:49.11 ID:iQMuDkKpa.net
>>26
2年前だと俺がゆいぽんスレでスカートの中の詩人として活動してた頃か・・・

29 :もう切ないとは言わせない 第1話:2018/08/13(月) 04:58:51.55 ID:OHsFqorp0.net
子供を自転車の載せて走る春の昼下がり。
雲はいつも長閑に茫洋と浮かび青は薄いものの、確かな存在感で誰も知らぬ彼方へ広がっている。 緑道から坂道を下ってスーパーの裏口に続くいつものルートは子供にとっても僕にとっても良い気晴らしになる。
「ねえ、今日のご飯パスタが良い〜」
籠を揺すって子供はそう強請る。
「じゃあママにあとでお願いしてみようか」
ベルを鳴らしながら僕はそう答える。
僕の安っぽいグルメ好きが遺伝したのか子供はなぜか小洒落た食べ物が好きだ。
春風が髪を揺らし子供も声を上げて
はしゃいでいる。それを聴きながら
「はしゃぎすぎると疲れるぞ」
と言いながらスーパーの裏口を通る。
スーパーの裏口はシャッターの閉じられた搬入口で。朝に幾つかトラックが出入りしている以外は誰も何もない。
だから遠目で誰かいるのを見つけた時
若干驚いた。自転車のペダルが重く誰かにどんどん近づいてゆく。
「あれ―くん?」
裏口で立っていた誰かが声をかけてきてその重たいペダルを離しブレーキハンドルを握る。
「あれみいちゃん」
茶色に内巻きのショートカットに白い肌は陽の光に照らされ引きたつように輝く。
僕の心はそれを捉えた刹那に凝固した。
「―の子?」
小さく指をさしながら訊く。イントネーションは相変わらず柔らかな関西弁だった。
「うん」
そう言って子供の方を向く。
子供は恥ずかしそうに俯く。

30 :もう切ないとは言わせない 第2話:2018/08/13(月) 04:59:39.85 ID:OHsFqorp0.net
「へえ今、喫茶店やってるんだ」
自転車に乗ったままの僕とみいちゃんは世間話を始める。
「まあね。」
「なぁ、今から行ってもいい?」
笑を零しながら尋ねるみいちゃんを拒む術など持ち合わせていなかった。
「いいよ、是非。会いたがってるんじゃないかな理佐も」
名前を口にした瞬間、甘酸っぱいあの日の味が溶けだしてきた。
「ねえ理佐って誰」
その会話を聞いていた子供が訊く。
「んーママの名前」
少し間を置いたのは恥ずかしさを冷ます為だった。
二俣川駅から徒歩十分。住宅地のなかに店はある。店名は檸檬と言う。
これは僕と妻が散々話して決めた。
しかし散々話した挙句ありきたりな名前になったのは二人ともネーミングセンスに欠けるからだ。
カラカラとドアベルが鳴る。妻の元へ行く子供は覚束無い足取りでそれが不安になる。僕は子供が妻の元へ辿り着いたのを見届けてからゆっくりと板張りの店内へと歩を進める。そしてその後ろにはみいちゃんがいる。
「おかえり」
恥ずかしさを隠したぎこちない顔で笑う妻に今日もまた密やかな幸せを噛み締めている。その幸せはガムと違って何度噛み締めても味は消えない。 妻は子供を抱き合げ頭を撫でた。そして一呼吸してからみいちゃんの姿を見つけて声を上げた。
「久しぶり」
柔らかな声と裏返る声。二つの音が重なり合う。

31 :もう切ないとは言わせない 第3話:2018/08/13(月) 05:00:25.06 ID:OHsFqorp0.net
「何年ぶりかな。」
カウンターの席で僕の右隣に座る妻はみいちゃんに尋ねる。
「んー5年ぶりくらい?」
右隣に座るみいちゃんは指先をひらひらと動かしながら答える。
ふたりに挟まれながら僕の顔は緩んでいるようで、「ニヤニヤしてんじゃねーよ」
と妻に言われた。
「アハハ」僕はなすすべなく笑って誤魔化す。しかしそれを見抜いたように
「笑ってごまかそうとしてんじゃねーよ」
と言われた。
「かわらないね」
ふふっと笑ってみいちゃんは言う。
それを見た妻は僕の顔をじっと見る。
別に意味はないというように。
「そういえばあいつ元気かな」
みいちゃんはふと思い出したように呟く。
「さあどうだろう?」
僕は頬杖をつきながら頭の中の引き出しを開けてみる。
「でも―と理佐が結婚したのは驚いたな」
「そう」
茶色の髪を耳にかけながら妻は僕と同じ姿勢で訊ねた。
「ほらあいつ大好きだったじゃん理佐」
妻の顔を覗き込んでみいちゃんは言う。
「そうだね」
表情が曇りだした妻はみいちゃんに
「思い出させてんじゃねーよ」
と小さく言った。
それが聞こえていなかったのかみいちゃんは「でもあいつと付き合ってなかった?」
とさらに訊ねる。
「まあね一時期。」
「別れちゃったけど」
僕は心に浮かんだ霏を払う様に言う。
「で、その頃―はまだ由依と付き合ってたんだよね」
理佐は鮮やかに浮かび上がった思い出の曲線を撫でるように答え合わせをする。
「うん。」
白い歯を零しながら笑う彼女の顔を僕は思い出して瞳を閉じる。瞳の中の彼女はあの日のまま。その姿は今でも夢の残像として
現れている。僕はその夢を見る度泣いている。理由もなく。妻はその様を見る度、黙って僕の手を握ってくれた。
追憶はいつもどこかで苦い味を残す。
それはいくつもの果てなき後悔のなかで
産まれた物で消えることはない。
「12年か。」
妻はぽつりと呟いて僕の顔を見た。
僕は12年前のあの日の妻の姿を重ねてそっと肩に身を預けた。

32 :名無しって、書けない?:2018/08/13(月) 05:03:32.99 ID:DFX3f3zod.net
原作はゲスの極み乙女のもう切ないとは言わせないのMV。ストーリーは市川拓司さんのいくつかの本から。イメージはbank bandの新曲、MESSAGE。続きはまだ考えてない・・・思い浮かんだままを書いたので。

33 :名無しって、書けない?:2018/08/13(月) 05:05:39.45 ID:OHsFqorp0.net
市川拓司さんの描く世界観に毎回すごく惹き込まれる。市川拓司さんは憧れ。

34 :山麓(2):2018/08/13(月) 05:07:36.66 ID:OHsFqorp0.net
砂利が横に置かれ、土煙が立ち上る峠は薄暗いせいもあり時刻が判然としない。扨。その峠を黒塗りのタクシーが結構な速度で駆け抜ける。
その様はガタガタと頼りない。
「あとどれくらいですか?」
ふわふわとした白いワンピースを着込んだ狸顔の可愛らしい顔立ちの女は運転手に身を乗り出して訊く。
「あーと30分ぐらいじゃないですか」
白髪頭の老いた運転手はバックミラー越しに女を盗み見て答える。
窓から見える風景は遠く山間に濁った雲が薄い太陽の日に境界線を有耶無耶にしている。フロントには木々の蔭が半分掛かり
エンジンは嫌そうに唸り立てる。
「しかし変わった人だね。あの村にはなんもないよ。」
「知り合いに逢いに行くんです。」
前のめりにそう答えた狸顔の女にはやや不自然な感じがあった。
しかし運転手は鈍感なのか気付かぬ振りをしているのか小さな声で
「知り合い・・・」
と呟いてハンドルを切った。
「しかしなぁこんな山奥・・・」
運転手は緑しかない光景にうんざりしたような口調でアクセルを踏む。
目的地はすぐそこである。

新宿区の大都会で突然胸を抑えて倒れ込む女がいる。それはありきたりな光景を切り裂く異物となって街ゆく人々を襲う。
「ねぇ、死んでるんじゃない」
「馬鹿言え」
「救急車を呼ばなきゃ」
素通りする者、ただ黙って写真を撮るもの。その中でそんな声が生まれたのは奇跡に近い。女は口元から赤い糸のように血を流し掌からは御守りのような小さな袋を零れた。ポニーテールの茶色い髪はコンクリートに虚しい。
信号と往来の音。その中からサイレンの音が聞こえたのは女が倒れてから五分後のことでこれはこの国においては驚くほど迅速である。
これらの偶然が重り軈て必然となり。新たな違和感を孕んだ事件を巻き起こす。これは現代社会にとってはごく当たり前のことなのかも知れない。

35 :山麓(3):2018/08/13(月) 05:09:48.27 ID:OHsFqorp0.net
舞台は再び小汚い雑居ビルに戻る。澤部は相変わらず忙しく雑誌を捲り、デスクの女は咥え煙草に緩慢な速度でキーを叩く。それは傍から見れば暇を持て余しているようにも思える。
「原稿が上がらないとなんにも出来ない。」
隣の中年男は赤色のペットボトルを手にキャップを開ける。
「またそんなの飲んでる。美味しいの?」
「飲むか。」
「うん。」
女は素直にそのペットボトルを手にとり、黒々とした液体を喉に流し込む。が、やがて顔を歪める。
「まずっ、これ」
「そうか?」
「よくこんなの飲めますね」
その会話を耳に同じく顔を歪めた澤部か怒鳴る。
「うるせえな、おい」
中年男と女は顔を見合わせる。
「先生、原稿は?」
女はしれっと澤部に尋ねる。
「集中できないよ、全く。」
坊主頭を抱えて雑誌をたたき付ける。
その時中年男の机に置かれた固定電話が鳴る。
「もしもし・・・はい、」
受話器を肩に中年男は澤部に告げる。
「平手さんからお電話です、2番。」
澤部は途端に締りのない顔になり
卓上の子機を探し出して鈕を押す。
「もしもし、澤部ですけど」
その口調は先程のものと打って変わって明るい。女はそれを聞いて煙草を灰皿に押し付ける。
「喫茶店に行ってくる。」
椅子に掛けたジャケットを手に澤部は磨りガラスのドアを開けて出ていく。
「また始まったよ」
中年男はため息をつく。
「わたし帰っていいですか?」
女は立ち上がって中年男を見る。
「ああ。」
中年男も立ち上がって言う。
雑居ビルから徒歩七分の処に小洒落た海外資本の喫茶店がある。そこの窓際の席に澤部は居た。相対するは黒髪に大人びた雰囲気の女性。
「どうも平手さん」
「澤部さんタバコくさい」
平手は低い声でそういった後に鼻を摘む。
「あっ、そうですか」
澤部は慌ただしくジャケットの襟元を臭って頭を下げる。
平手はそれを見ていまにも笑い出しそうな顔をした。
「どうかしましたか」
すっとぼけたように澤部は平手に訊く。
「いや、さわ・・・」
平手の笑い声が喫茶店に響く。
しかしジャズと喧騒にかき消される。
「ところで平手さん今度安曇野にある神社の本を書いて見ませんか」
澤部は手を膝に平手の顔を伺うようにして言った。
「神社?」
平手は驚いた獺のような顔で澤部を見る。
その姿は恐ろしく綺麗なものであった。
「ええ。安曇野の山奥に井之原神社というのがあるんですがそれがまあずいぶん歴史のある神社で、それに近年話題のパワースポットだと言うんです。」
澤部は話を切ってアイスコーヒーを啜った。そして咳をしてから
「で、その神社について本を出すことになりましてそれをねやって頂きたいんです。」
平手は顎に手を置いて俯き黙り込んだ。
そして顔を上げ澤部を見つめ言った。
「安曇野ってどこですか?」
不思議そうに平手は聞いた。
「そこからですか」
澤部は喫茶店に響き渡るような声で言った。平手は恥ずかしそうにストローを噛みながら氷の浮き上がったアイスティーを
一口飲んだ。

36 :名無しって、書けない?:2018/08/13(月) 21:10:06.32 ID:4YFFqzp6d.net
ちなみに小説スレがいちばん賑やかだったころは何時ですか

37 :名無しって、書けない?:2018/08/13(月) 21:12:43.87 ID:4YFFqzp6d.net
頭痛がおさまらずなかなか続きが更新できない(><)

38 :名無しって、書けない?:2018/08/13(月) 22:25:36.34 ID:+Fdfn4VoM.net
>>36
去年の春から夏にかけてが一番いろんな人がいたと思う

39 :名無しって、書けない?:2018/08/15(水) 00:37:15.22 ID:wRRbJcOYK.net
>>38
スレをさかのぼってみたら確かにそうですね
さかのぼったついでに自分が書いたド下ネタもひさびさに楽しめました(笑)

思うに
初期の頃に字数制限が1レス2〜3文字になるまで書き込んでいた理由は、そうしないとスレ容量を512KBにして完走・dat落ちさせられなかったからです。
つまりそれだけ欅坂板全体が今よりもまったりしていた。

しかしその後、板内の乱立し始めたアンチスレを排除すると標榜して糞スレを乱立させる輩が現れ、そのあたりから板内が逆に荒れ始めて今に至ります。
数日放置すれば簡単にdat落ちになるようになったのはまさにこの影響で、
次スレへの移行は簡単になったものの、板内の雰囲気の悪化と共に小説スレも過疎化した感じがします

40 :名無しって、書けない?:2018/08/15(水) 12:50:39.56 ID:0GFPVuc1a.net
>>39
俺も自分の過去作読む楽しみに目覚めてしまいましたw

初期の頃から読み返して俺は天才なんじゃねえか!なんて自画自賛していますw

41 :名無しって、書けない?:2018/08/15(水) 19:43:16.30 ID:wRRbJcOYK.net
>>40
いやまさに天才ですって(笑)
そして多分小説講座とかでいろいろ指導されちゃうと才能が発揮できなくなるタイプ(あまり講師の批評を聞き入れるタイプにも思えないですがw)

自分も過去の自作下ネタ読んで天才じゃないかって思いましたもん(笑)
下ネタスレでは時に才能の無駄遣いとか言われましたけど
自分に言わせると多分それは逆で
下ネタの才能を応用して一般のネタや小説を書いてる気がします(笑)

42 :ピアノ:2018/08/15(水) 22:50:46.70 ID:3zleKzPX0.net
古びたピアノの上に月光が射し込む。
わたしはその弱々しい光をぼんやりと見つめながら白鍵に指を置いた。
もう何年も調律をしていないから掠れ音も外れピアノは落命寸前の様だ。
遠い昔。習ったボロネーズを弾く。
埃が一斉に踊り立ち光がそれを照らし出し。
髪を切ったばかりの黒髪にも埃が落ちる。
「寝ていなくて良いのか」
木の床が軋んで彼が部屋に入ってくる。
「なんか眠れなくて・・・」
「体に毒だ」
彼はいつの間にか震え出した、私の指
を見つめていた。
「また思い出したのか」
「うん・・・」
月の弦がいつの間にか降り出した雨に濡れる。
「忘れろと言ったって無理なんだろうが・・・」
彼の声はわたしの耳に優しく溶け込む。
その声を聞いた瞬間、わたしは衝動的に白鍵を撫ぜた。
「手探りして進んでみても 何かに躓きそうになる」
彼は古い丸椅子を手繰り寄せ目を閉じている。わたしはそれを横目に鍵盤を敲く。
「いつの間にかみんな行ってしまった」
その記憶は暗い深海を漂い続ける、
「また日は昇ってくれますか?」
黒鍵の埃が積もる中へ涙の雫が零れる。
「相変わらず良い歌声だ」
いつの間にか雨は闇のなかに消えている。わたしは黙り込んだ木々のなかに聞こえる冬の声に耳を澄ました。
「もうすぐ雪がふる・・・」
彼はピアノの上に積もった白い埃を指で掬って呟いた。
「うん。」
わたしはその言葉に頷いてピアノの前を離れた。

43 :音楽室に片想い:2018/08/15(水) 23:14:45.45 ID:3zleKzPX0.net
夕日が射し込む音楽室で小池美波は
ピアノを弾いていた。僕はその姿に見惚れていた。
白い手指は俊敏に鍵盤を動く。
何を引いているのかは分からないが
夢の中に迷い込んだような曲だった。
「どう・・・だった?」
演奏が終わった美波は僕の方を
振り向いて訊いた。
「すごい綺麗だった」
少し考えてからそう答える。
「えっ、ほんまに」
美波は顔を赤くした。そして。
僕は「帰ろうか。」と美波に言った。
「うん。」美波は立ち上がって
僕の掌を見た。
「どうしたの?」
僕は美波に聞いた。
「ううん、なんでもない。帰ろ」
先立って美波は音楽室を出てゆく。
僕にはまだその勇気が出ない。

44 :音楽室に片想い(2):2018/08/15(水) 23:43:59.48 ID:3zleKzPX0.net
「好きなひとおると?」
駅のホームで長濱ねるに訊かれたとき
僕は咄嗟に美波の顔を思い浮かべた。
しかし、居ない。とそう答えた。
「ふーん」
ねるは目を細めて僕に近づいた。
「うそついてるでしょ」
白い肌とツヤがかった髪からはいい香り
がする。
「そう?」
「だって変な間があったし」
その時。タイミングよく列車がホームに
到着した。
「電車、来たよ」
僕は足早に乗り込む。
「ちょっと、」
ねるの、背後で扉は閉まる。
「セーフ」
ドアの横にもたれる僕とねるは
そう言い合って笑った。
「で、好きなひとなんだけど」
列車が田園風景を駆け抜ける頃に
ねるはそう切り出した、
「なに?」
額に汗が浮かぶのは暑いせいだけでは
あるまい。
「好きな人、由依ちゃん?」
ねるは首を傾げて僕を見た。
その瞬間、列車が揺れ、扉が開いた。
ねるは時折頓珍漢な事を言う。
由依は同じクラスだ。
業務連絡以外も時折話すし
可愛らしいとは思うけど
好きな人かと言われたら違う。
「だけど由依ちゃんと話してる時なんか嬉しそう」ねるは追い打ちをかけるように
そういった。
「そう?」
「うん。」
「でも違うなあ」
「違うってことは好きな人・・・居ると?」
「えっ?」
ねるはニヤニヤしながら僕を見る。
「好きな人・・・誰だろ」
ねるは腕を組んで考え始める。
「うーん、じゃりっちゃん?」
駅を二つ三つ通過してから
またねるは僕に訊いた。
「違うよ、彼氏いるじゃん」
「うーん、違うか」
どうやらねるには思いつかないらしい。
僕はかわいた額を手で触って窓の外を見た。
「じゃ・・・みいちゃん?」
ねるはふと思いついたように呟いた。
「えっ?」
「みいちゃんだ」
ねるは吃った僕を見て目を見開いた。
列車は鉄橋を通過する。
駅まではまだ遠い。

45 :名無しって、書けない?:2018/08/16(木) 01:16:24.38 ID:rUcmkskWa.net
>>41
敬愛しているチワンさんに天才なんて言われとその気になっちゃうから勘弁してくださいw

下ネタベースであれだけ多彩な作品を書いてるチワンさんこそ天才ですよ

俺なんて理佐ちゃん在りきでしか妄想浮かばないし
勝手に浮かびあがってくる妄想を書き写す簡単な作業をこなしてるだけだし・・・

46 :名無しって、書けない?:2018/08/16(木) 01:17:21.68 ID:rUcmkskWa.net
>>42
誰が主役が全然分からないw

47 :名無しって、書けない?:2018/08/16(木) 01:44:27.91 ID:2CWLxMWS0.net
>>46
すいません・・・今泉さんです。主役は。
歌っているのは今回のシングルに収録されているソロ曲、日が昇るまで で。イメージは黄泉がえりの柴咲コウさんがピアノを奏でるシーンから。

48 :名無しって、書けない?:2018/08/16(木) 21:37:51.42 ID:9PPjcszXa.net
>>47
ずーみんだったのねw

49 :名無しって、書けない?:2018/08/17(金) 15:14:48.99 ID:r2MFYOf40.net
「すいません 聞き取れませんでした」
「東京都 西東京市 関前二丁目 行き方」
「そんなことおっしゃらないでください」
「なんなんだよ」
Siriと相性が悪いのは分かっていたが。
まさかここまで悪いとは思わなかった。
「わかんなかったらSiriで聞いてね」
と言った彼女の声が虚しく響く。
はじめてきた都会はごちゃごちゃしていて
息苦しかった。
ちょっと道を確認するために立ち止まる。
それだけで人とぶつかり且つ舌打ちを
される。中央線の高尾行に乗り込む迄
の間で僕はこころが折れていた。
しかし武蔵境駅を下りて聞き書きのメモ
通りに進んだ道は長閑だった。
そういうふうにこころが安らいだのも
つかの間。彼女のメモ通りに
進んだ先にあったのは
なんと東小金井駅だった。
僕は慌ててメモを確認した。
どうやらどこかで間違えたらしい。
ここでSiriにルートを聞いたのだが
僕の滑舌が悪いのか、Siriが悪いのか。
なかなかルートを教えてくれない。
五日市街道 と書かれた看板がある。
そしてライトバンとバスが
僕を冷たい目で追い抜かして行く。
「もしかして―?」
そんなとき1台のワゴンRが僕の近くで
止まった。僕は無視していたけど
そのワゴンRの運転手が僕に話し掛けて
きた。
「あ、齊藤京子。」
僕と彼女は顔を見合わす。
「どこに行こうとしてたの」
齊藤の低音に僕はシートにもたれた。
「ん?理佐に会いに」
僕は窓の外を流れる見たこともない
建物に目をやる。
「あー、たしかここら辺に住んでたっけ」
ハンドルさばきが熟れているのは
僕より彼女の方が年が上だからという
理由だけではあるまい。
「それで道に迷ったんだ」
僕はぶつぶつ何かを呟く齊藤の後ろ姿を見る。
「でも方向真逆でしょ」
「そうなの」
「知らなかったの?」
「うん」
ほんと、変わらないよね。
そんなことを言いながら交差点を左折する。ようやく目的地に到着した。
齊藤に礼を言って車を降りる。
そして見上げた先に彼女
の住むアパート。
向日葵の鉢植えが目印だから。
彼女は咳をしながら僕にそう教えてくれた。
僕は階段を上がって彼女の部屋の前に
立ち、チャイムを押した。

50 :名無しって、書けない?:2018/08/18(土) 03:14:30.05 ID:toKbmYqZa.net
>>49
青空ですね

51 :カルマ:2018/08/18(土) 04:46:51.77 ID:1fKzeIqy0.net
「かならず僕らは出会うだろう、同じ鼓動を目印にして」
タイルを叩きながら流れる音は
一音たりとも逃すことなく
頭の中で鳴る。
彼女と別れた日に交換した皹の入ったガラス玉は、いま手汗で湿ってる。
牛タンの匂いがどこまでも漂う
地下のホームではスーツケースを手にした
いくつもの人生が三色で混ざり合い
新しい色が作られている。
触れるとまた色が変わる。
そして時計の針の進み方も違う。
僕はそんな当たり前のことにも
いちいち驚いた。
東京駅はやはり何回来てもなれない。

多言語に対応したアナウンスは
この駅では喧騒に飲まれて意味をなさない。新幹線のホームを探しながら僕は考える。彼女の本当に来るのだろうか。
到着した新幹線が液晶に次々と更新されてゆく。

「13:55 のぞみ 58号 東京駅 到着済み」

吐き出される人並みに茶色のポニーテールを探す。しかし視力も勘も鈍い僕は
分からない。
だから後ろから肩を叩かれた時
飛び上がった。
「なに驚いてんの?」
茶色のポニーテールは新幹線の
置き土産に揺れ僕はその香りを
吸い込んだ。
可笑しそうに覗かせた歯は
変わらず綺麗なままだった。
「いや、突然だったから」
「なんども手を振ったのに」
「気づかなかった」
緑のノースリーブの彼女と並んで歩く。
「ねぇ」
雑踏でふと声が重なる。
彼女が僕に合図する。
僕と彼女は掌を開ける。
そこには同じ色。同じところに
ヒビが入ったガラス玉があった。
僕は彼女のガラス玉を見て言う。
「おかえり、由依」
「ただいま」
彼女はまた白い歯を零した。

「かならず僕らは出会うだろう、同じ鼓動を目印にして」
彼が耳元で口ずさんだ気がした。 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b)


52 :Supernova:2018/08/18(土) 04:55:25.07 ID:1fKzeIqy0.net
茜色した雲が薄いブルーがかった夜明けの空にかかる。
空気は弓を張ったようで鼻に吸い込む度
肌が震えた。
徹夜をして仕上げた原稿をメールで
送ると僕は仕事場を離れ、
リビングに行き真ん中にあるソファーに
倒れ込む。
心地よい疲労と柔らかな革の感触が
瞼を撫でる。
「おつかれさま。」
現実と夢の境界線が曖昧になるなかで
やわらかな声がした。
僕は空に手を伸ばす。
ぼんやりと違う肌の感触に触れた。
たぬき顔の彼女が頬に僕の手をつけて見下ろしている。
「・・・おつかれ・・・おやすみ」
「・・・ねる・・・」
僕は目を閉じた。

53 :名無しって、書けない?:2018/08/18(土) 20:56:33.32 ID:uA+efXQd0.net
>>50
庭さんは青空好きでしたよね
もうMVが作れないのかと思うと悲しいですな

>>51
関係ないですけど、車内でいい日旅立ちを聞くと無性にテンションが上がります

54 :名無しって、書けない?:2018/08/18(土) 21:04:40.31 ID:uA+efXQd0.net
>>40
初期の庭先生のキレは凄かったですよ
突飛押しもない一話完結を書いていた時の方が僕は好きだったりします

>>41
確かにチワンさんは才能の使い方間違えてる感ありますねw

と言うわけでお二人の才能を存分に発揮できそうなスレの宣伝でした

http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1534588230/

55 :ものすごく勝手なシンドバッド:2018/08/18(土) 21:38:39.98 ID:Lw8E5tZkd.net
ゆいぽん「いま何時?」
おだなな「♪そうね大体ね〜」
ゆいぽん「いま何時?」
おだなな「♪また早い〜」
ゆいぽん「いま何時?」
おだなな「10時8分」
ゆいぽん「ねぇ毎回やんなきゃ駄目?」
おだなな「駄目」
ゆいぽん「めんどくさいんだけど」
おだなな「♪なーななーななー」
ゆいぽん「それはフライングゲットだろ」

56 :名無しって、書けない?:2018/08/18(土) 23:56:29.75 ID:2L3ukJ3ua.net
>>53
青空は理佐ちゃんが楽しそうにしてるんでかなりお気に入りです
上京理佐ちゃんは青空を元に妄想したのが始まりだったんですよね

>>54
初期の頃は理佐ちゃんの個スレで書き逃げしてた名残りで1話完結だったんでしょうね
連投して叩かれるの怖かったからw

57 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 00:36:51.47 ID:5lJ5ZoROK.net
>>54
今日は他板で1人アナグラム大会してまして(笑)

『上なら無理』
『床が薄い』
『柚子と炭も』
『他と牛』
『兄かぶり』
『巨頭最高』
『縄借りたべ』

こんな感じの(笑)

58 :風の背中:2018/08/19(日) 01:35:56.26 ID:I3+PpdyUd.net
「氷って細かい方が飲み物、溶けにくいような気がする。」
僕はアイスコーヒーのストローをかき回しカラカラと音を立てながら奈々未さんに言った。
「でも表面積的に大きい方が溶けにくいやろ」
肩までのブラウンヘアーが眩しい。
細かい水滴のついたグラスは足の部分に
水たまりを作る。
奈々未さんは芳醇な胸に盆を押し抱きながら僕の方を見て
「気の所為じゃん?」
と言った。
「そうかな」
奈々未さんはうなづいた。
「うちの氷が細かいのは飲み物が単に淹れやすいし飲みやすいから」
カウンターの奥にある白を基調とした
キッチンからもう一人の奈々未さん
が言う。低く通る声だ。
「えっそうなんですか?」
肩を震わして背後を振り向く。
「あんた知らなかったの?」
もう一人の奈々未さんは冷たい。
「で、あんたもいい加減閉店だから 二人で帰って」
奈々未さんは手で犬を払うような
仕草をすると台所でまた洗い物を始めた。
「帰ろうか。」
盆を手にしたままの奈々未さんに言う。
「そう・・・だね」
背後をまた振り向いて奈々未さんは
カウンターのラックに盆を置いた。

「でも橋本先輩ってなんでああ冷たいんだろうね」
川べりの道を太陽に向かって進む。
真後ろにある店はもうジオラマのように
小さくなっていた。
「わたしも一応君の先輩なんやけど」
横に並んで歩く奈々未さんは
軽く僕を睨んで言う。
しかし、迫力はない。
「でも・・・まあ橋本先輩と奈々未さんだとなんか先輩感がね・・・まぁ」
「失礼な」
奈々未さんは頬を膨らまして怒る。
どうもこのくせはここ最近もう一人の
奈々未さんから伝染したようで
たまにキッチンで二人して
頬を膨らましている。
「まあでも関西弁の方の奈々未さんが僕は好きだけどね」
悪戯な風のなかで僕は呟く。
「なんか言った?」
風に乱れた前髪を奈々未さんは
直しながら僕に聞き返す。
「ん、なんでもない」
鉄橋に敷かれたレールを叩く音が
響く。
そして遠くでは夕焼け小焼けが
古めいたスピーカーから流れる。
キラキラと夕刻のオレンジに
光る川面はゆっくりと。しかし
確かに濃紺に染まる
背中越しの夜に向け姿を変えていた。

59 :風の背中:2018/08/19(日) 02:16:48.05 ID:I3+PpdyUd.net
「あんな弱っちいあんたが結婚ねえ」
高校生らしき男女が店を出たあと
橋本さんは水道の蛇口を閉めた。
「あの2人は?」
「ん、同じクラスの子達。たぶんお互いのことを好きだと思う。」
「そうなんですか」
「もう見ててもどかしくてさ昔のあんたみたいにこう」
キッチンタオルをもみくちゃにして
僕を見る。
「ああ・・・早く告白しろよみたいな?」
「そうそう」
指をひらひらと揺らして橋本さんは
声高になる。
「ほんと昔の二人を見てるみたい」
カウンターで残り半分にまで減って
しまったアイスコーヒーをストローで
ゆっくりとすする。
その合間に橋本さんは僕の隣に座って
僕の顔をのぞき込む。
「よく結婚できたね」
橋本さんはニヤニヤしながら僕の
目を見る。
「いや橋本さんのおかげで」
僕が頭をかきながらそう言うと
橋本さんは高笑いをした。
「ま、梨加ちゃんと幸せにね」
背中をぽんぽんと2回叩いて
橋本さんはキッチンへ戻る。
因みに梨加とはここで待ち合わせを
している。

「ほら・・・頑張って」
5年前のあの日も橋本さんは
僕の背中を二回叩いた。優しく。
僕は何も言えず感触だけを
背中にこのカフェを出た。
梨加とはカフェから五分の所にある
公園で待ち合わせをした。
歩く道すがら僕は親しくなる度
無口になる梨加の横顔を思った。
いつも、横顔だけで正面を見たことは
たぶんはじめてあった時以来ない。
これは僕の人見知りと小さな心臓のせいだろう。

60 :風の背中:2018/08/19(日) 02:18:44.00 ID:I3+PpdyUd.net
梨加は予想通り時間には来なかった。
僕は木のベンチに座って待った。
梨加が来たのはさらに三十分のちの事だった。
「ごめん・・・お待たせ」
小走りで水色のコートが揺れた。
僕は立ち上がって乱れた梨加の髪を見た。
茶色の髪はハーフアップでまとめられている。
水色のコートの下には灰色が見え
長い脚はジーンズに包まれていた。
この服装は鮮明に覚えている。
「寒いね・・・」
梨加が手をこすって辺りを見渡す。そして
なんとなく僕と梨加はベンチに座った。
「服、かわいいね・・・」
「ほんと?ありがと」
語尾は消えて無くなり冬の風は頬に厳しく当たる。
「明日雪だってね」
「そうだね」
「冬休みは何しようか」
「うーん・・・なんだろう」
本題を躱し蛇行した日常会話はまったく続かない。
「それで話したいことってなに・・・」
梨加の瞳が真っ直ぐ僕を見た。
「話したいこと・・・」
僕は灰色に濁った空を仰いだ。
冬は僕に似合わない。
「話したいこと・・・うん」
色を無くしてゆく僕の掌。
梨加はじっと僕の詞を待つ。
「ずっと・・・うん 」
鼓動が喉に響き、梨加の姿が二重に遠く見える。風が口の中に入って空回り。
巻きあがる砂埃。 砂利が目にしみる。
そして梨加のやわらかなコートが
僕の頬に触れた。
甘い。良い香りがする。そして暖かい。


「・・・あれ寝ちゃってる?」
「梨加ちゃん待たせすぎじゃない?」
「すいません」
「いやうちは全然いいけど」
暖かい照明が頭上に舞い落ちる。
僕はどうやらカウンターで眠っていたようだ。
「あれ・・・来た。」
僕はぼんやりとした目で梨加を捉える。
なぜか梨加は笑いだした。
「跡ついてる。」
梨加はくすくす笑いながら僕の
頬を指でなぞった。
「ああ・・・」
僕が頬を叩くとまた橋本さんの
高笑いが聞こえてきた。
「ほんとにいつも」
エプロンを叩きながら橋本さんは大爆笑している。
「ほら、席に座って。」
いつの間にか整えられたテーブルが
目に映る。
梨加は目を輝かして白い布を見る。
「今日は貸切だから。」
橋本さんはそう言って僕らを見た。

61 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 02:21:17.59 ID:I3+PpdyUd.net
http://itest.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1520727452/

303にある物語の続編みたいなもの

62 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 02:21:58.41 ID:I3+PpdyUd.net
ふと自分の昔の作品を見返して続きを
かきたくなった、

63 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 02:25:38.12 ID:I3+PpdyUd.net
でもどうやら細かい設定を忘れてたせいで破綻してるかも

64 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 02:32:15.56 ID:I3+PpdyUd.net
夏に冬の物語を書き冬に夏のものがたりを書いてる。なんて天邪鬼なんだろう

65 :欅夢十夜:2018/08/19(日) 03:59:32.29 ID:iYfrSh6Sd.net
こんな夢を見た。
狭いベットで同じTシャツを着た2人が
抱き合って眠る。部屋は狭く、床は
空き缶と雑誌など雑多なもので埋もれ
棚は本とCDとがところ狭しと並ぶ。
その棚の真ん中、囲むように小さな
テレビが眠る。そして部屋の隅には楕円形のテーブルが置かれている。
上には封の空いたポテトチップスの
袋が置かれ、あと一口だけ残った
コーラが横倒しになる。
ベットは窓際に置かれ白いレースのカーテンが月明かりに浮かび上がる。男の方は黒と茶の混じった髪でブルーの短パンを履いており。
そこから伸びた足を女の足に絡ませている。Tシャツには訳の分からない英字が刻まれている。さらに男は小さく唸ると女の胸に顔を埋める。
女の方は茶色の髪が頸まで伸びている。
目鼻立ちははっきりしていて
唇は月夜に赤く鮮やかに。やがて女の眼があく。さて。しばらくはふたりを黙って真上から見つめていよう。
女の白く細い脚は男の脚に絡ませながらも
男の頭を白く細い手指で叩き
「胸に顔を埋めるんじゃねーよ」と
低い声で呟いた。しかしながら男の頭を
細く白い腕で包み込み胸に抱いた。
さて。真夜中の月は女の頬を照らした。
頬が赤くなっていたからである。
レースのカーテンから雀の声が聞こえる。
男は日差しを睨んで起き上がる。しかし女はまだ眠っている。男はそっとベットから出ると
狭いリビングを出て、ガラス戸の向こうにあるキッチンに向かう。足音も静かに。
デジタル時計は午前9時を指す。
男は欠伸をしながら、銀の煤けたシンクでコップに突っ込まれたブルーの歯ブラシで
歯を磨く。チューブはコップの隣。
おろしたてなのか。膨らんでいる。
吐き出された泡と唾液を
水道の細い糸が連れ去ってゆく。
男はそれを見ながら指で
歯ブラシを洗うとさっと水を切って
コップに置く。
男が戻ると女は仰向きに寝姿を変え、
腕を目元に起き微かに唸り声を上げる。
男はそれを横目に本棚の端にある
充電器に繋がれたふたつ並んだiPhoneの
ひとつを取るとロックを解除し
猫背に指を動かす。すると女は
辺りを見渡しながらゆっくりと起き上がり
「おはよ・・・」と目をこすりながら
起き上がった。
男はiPhoneを床に置くと
女の方を向き薄ら笑みを浮かべると
「りっちゃんおはよう」と
言った。
りっちゃんと呼ばれた女は
うつむきがちに
「その呼び方なんか恥ずかしいから、やめて」と言った。
「ごめん。」
男が頭をかきながら言う。
私はここで目が覚めた。
目覚めた此処は茶色い鉄柵に
囲まれたベットで室内はコンクリートに
囲まれ鉄格子で扉は封鎖されている。
そうか。あの夢は昔の私だったのだ。
皺と血に黒ずんだ手のひらで
私はまた頭を掻きむしった。
そんな夢を見た。

66 :欅夢十夜:2018/08/19(日) 04:21:32.34 ID:iYfrSh6Sd.net
明くる日はこんな夢を見た。障子に囲まれた果てもなく広い和室で中央には布団が1組並んでいる。男は濃紺の浴衣で女は花びらと金魚が
散らばった浴衣を来ている。
襖を開けその和室に入った男女は顔を合わせる。
枕元には和紙に囲まれた灯りが揺れている。
男は布団に近づく。女は襖に寄り掛かりてある。
「どうしたの・・・」
男は茶と黒の混じった髪を震わして
女に言う。
「なんか怖い・・・」
女の後ろ手により閉じられた襖はまた白い隙間を作る。
「どうして・・・」
男は尋ねる。すると女は黙って男の背中を指さした。男は振り向く。はたして男の背中には長い髪を乱した白い浴衣の女がおぶられていた。しかし男はそれにきづかないようで
しきりに後ろの水墨画を睨んでいた。
その絵は老人と啄木鳥が描かれ、
枕元の薄燈籠にぼんやり照らされる。
「これが怖いの? 」
男はそういって掛け軸をゆびさした。
「違うの!」
女は声を裏返させながら言う。
その瞬間灯篭の火は消え辺りは一切の闇と化した。
「なに?」
闇の中で畳をすっ、すっ、とこする音がして、女はどうやらその音に怯え
蹲っている。事実は女に男が近づいている。ただそれだけだ。
しかし音を立てて布団の真横にある
庭に続くガラス戸が割れてしまった
せいで沙汰止みになった闇夜の恐怖は
また復活したようだ。
男は黙って女をだきしめる。
女は男の浴衣の腕を掴んでいる。
「りっちゃん、腕痛い。」
女は聞こえていないのか。もっと強く握る。
その瞬間また灯りが付く。
ただ広い和室がまた目に映る。
女は男の胸から、離れゆっくり
辺りを見て途端に絶叫した。
男はそれに慌てて女の眼差しを追う。
女の眼差しはひと組の布団を捉えていた。
布団は先程のものだ。
しかし。布団は真っ赤に染まり、濃紺の浴衣と花びらと金魚の浴衣の男女が抱き合って赤い血溜まりに倒れ込んでいた。
男は絶叫した。女はすでに畳の上で意識を失っていた。
割れたガラスから吹き込む風が慄然とする男と女の全身を刺すように通り抜けた。
私はここで目が覚めた。
辺りはまた鉄格子とコンクリートで
紺の古い絣ははだけ汗ばんでいた。
私は鉄格子にはめられた窓から
差し込む月夜に叫んでやがて舌を強く噛んだ。
次第に金属の味が広がりはじめた。
そんな夢を見た。

67 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 04:23:31.26 ID:iYfrSh6Sd.net
夏目漱石の夢十夜をベースに泉鏡花の作品を混ぜこみ横溝正史のような夢野久作のような要素もあったり。

68 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 04:26:16.84 ID:iYfrSh6Sd.net
これをかいたせいでまた眠れなくなった()

69 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 07:35:01.75 ID:2a5DHkxY0.net
>>56
何と言いますか、その何者をも恐れぬ果敢な姿勢に拍手したいと思いますw

>>57
『他と牛』だけ分かんないです…
案外短い方が難しかったりしますね

>>67
漱石好きとしては「夢十夜」を取り上げて頂いて嬉しい限りです
100年以上も前の人間が、なぜ現代人にも分かりやすい文章を書けたのでしょうね
本当に感心します
逆に鏡花のような美文は、もうこれから先に書く人は現れんでしょうな

70 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 07:58:44.73 ID:5lJ5ZoROK.net
>>69
ほかとうし→かとうしほ

m(_ _)m

71 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 11:30:37.04 ID:5lJ5ZoROK.net
>>54
せっかくご紹介いただいたので一編やっつけで
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1534588230/39

72 :欅夢十夜:2018/08/19(日) 13:29:27.67 ID:QMuMcCV3d.net
こんな夢を見た。
「最近、変な夢ばかり見る。」
男はポニーテールをして淋しそうな眼をしている女に跨って言った。
「・・・変な夢」
女は苦しそうに吐息を漏らし枕元の
灯りを消した。
「消すの?」
「だってなんか恥ずかしい」
女の声は段々小さくなった。
闇に包まれた部屋の中でシーツが
擦れる音と男女の吐息と
液体が絡む音だけが反響している。
やがて一切無音になり灯りがまた
室内に広がってゆく。
男は額の汗を腕で拭って
膨らんだシーツを捲った。
途端男は絶叫した。
捲ったシーツには青白い頬に
紫色の模様を首に巻き付けた女が
絶命していたからだ。
女の瞳は閉じられ、男は慌てて
衣服を着る。
「思い出されましたか?」
部屋を出ようとした瞬間、ベットで
絶息している女が起き上がり
野太い声で男に訊ねた。
「何が」
男は声が掠れている。
「いまあなたが見ている夢はすべてあなた自身の記憶の中に隠されていた映像を実体化したものだ」
女は裸体のまま男に近づき、男の
首に触ると、いつのまにか紺のボロい絣に衣服が変わっている。
「いまこの夢も自白させるためにわたしが見させているのです。」
女はそう言ってまたベットの灯りを消した。
そこで目が覚めた。
男の口にはガーゼがいくつも詰め込まれており、手はベットの鉄柵に手錠で
繋がれている。
服は紺の絣から白い真新しい絣に
変わっている。
「Kさんお目覚めですか」
牢屋の鉄格子から声がして男は顔を
上げる。
あの声の男である。
「お話する気になりましたか」
男はモーニングを着て白髭をたくわえている。
寝台の男は荒い息をしながら首を振った。
その瞬間月明かりがモーニングの男の
頬を照らした。
「ではまた夢を見て思い出して頂きましょう」
靴音がコンクリートの床に反響して
消えない。
そんな夢を見た。

73 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:27:21.52 ID:2a5DHkxY0.net
>>70
結構簡単だったw

>>71
大絶賛ですな
とても20分で書いたとは思えない出来です

>>72
「K」といえば『こころ』ですね

74 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:28:18.01 ID:2a5DHkxY0.net
ちょっと長いです

『Break the Glass!』@

理佐ちゃんが浮気をしている。そんな噂を聞きつけたのは、夏も終わりの頃だった。
密告者は長沢菜々香。大学時代のゼミ友達で、嘘を言うような人物ではない。
口数が少ない方ではあったけれど、発言の内容はいつも核心を突いていたし、真実味を持っていた。
だから今回の密告も本当だと考えるほうが自然だった。

「別れたほうがいいよ」
久しぶりに会話したというのに、一言目がこれだ。
基本的に社交辞令というものを知らない女である。
そもそも僕を呼び出す手段もおかしかった。わざわざ家の固定電話に連絡をしてきたのだ。

夜中の11時半、受話器を取ったのは理佐ちゃんだった。
その後僕が長い間話し込んでいたものだから、一晩中追求を受けた。
「誰なの?」「何の用だったの?」
いつものことだ。電話の後は必ずといっていいほど質問が飛んでくる。
でも理佐ちゃんにはその資格があった。なんと言っても特別な女の子だから。
「私は特別な女よ。クルマごと海に突っ込んでも助かったんだから」
そう、とにかく滅茶苦茶な女の子だけど、やっぱり特別だ。
なんて言ったって、数ある選択肢から僕を選んでくれたのだから。

だから相手が誰であれ、理佐ちゃんが納得するまで追求には答え続けなければならない。
ただ今回の場合は自分でも怪しいと思える電話で、追求されるのも無理はなかった。

75 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:28:44.34 ID:2a5DHkxY0.net
『Break the Glass!』A

長沢菜々香が待ち合わせ場所に指定したのは、海岸だった。
9月に入ったばかりで、まだ海水浴できそうな気温ではあったが、海水温が下がるとクラゲが出る。
そのおかげで人は少なかったし、時刻も午前5時だった。

オンボロなカローラのエンジンを切り、ドアを開けた。ちょうど船の汽笛が聞こえた。
海風が少し肌寒く、上着が必要なほどだった。助手席に体を伸ばし、ジャケットを手にとった。
砂浜を端から端まで見渡し、彼女を見つけた。肌が白いからすぐに見つかった。菜々香は海を眺めていた。

「久しぶり」
僕の姿を見てもいないのに、菜々香はそう言った。
ノースリーブのワンピースを着ていて、そこから白い腕が真っ直ぐ下に伸びている。
夏の熱さなど微塵も感じられないような、涼やかな身体だった。性格と同様に全く血の気がない。

「電話で浮気って言ってたけど……あれどういう意味だ?」
「そのまま。あの人が浮気してたよって意味」
「いや、でも毎晩一緒に寝てるし、そんなはずないと思うんだけどな」
「じゃあ最近いつした?」
「何でそんなこと答えなきゃいけないんだ」

76 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:29:38.80 ID:2a5DHkxY0.net
『Break the Glass!』B

僕は束縛を嫌う人間だった。束縛されるのはもちろん、束縛するのもいい気がしない。
大学時代に菜々香と別れた原因の一つだ。四六時中、付き纏われていた
それでも彼女は別れ話を快く引き受けてくれたし、ストーカー気質なところもなかった。
これほどまでに恋愛と友情の区別が上手い女性を、僕は他に知らない。

「私ね、あれから色々と考えたんだ」菜々香が言った。まだ海を見ている。
「上手く言えないけどね、私、大学の時はあなたに付いていくばかりだったじゃん?あんまり目もあわせられなかったし」
そう言われればたくましくなった気もする。
海から目線が外れず、堂々と話をしている今の図は新鮮だった。なまりも完全に抜けきっている。
大学時代は、僕が話しかける度に怯えるような顔をしていた。多分笑ったところなど一度も見たことがなかった。

「久しぶりに乗っけてよ、クルマで来たんでしょ?」
菜々香が言った。

77 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:30:19.60 ID:2a5DHkxY0.net
『Break the Glass!』C

大学時代、菜々香の昼寝だけを目的としたドライブが、定番のデートだった。
どこへ行くでもなく、なるべく真っ直ぐな道を走らされた。
もちろん運転するのは僕で、菜々香はその間眠っている。起きている時はお菓子を食べていた。
今も乗っているカローラは、その時からずっとオンボロだ。
しかし流石はトヨタ車、柔らかい足回りが心地よい睡眠に適していた。

「まだこのクルマ乗ってるんだ」菜々香は助手席に座るなり、そう言った。
「親父の形見だからね。捨てられないんだ」
「亡くなったの?」
「ああ、去年死んだ。理佐ちゃんを紹介する直前に死んだ。だからこうして今も結婚できないでいる」

僕はギアをローに入れた。今では希少なマニュアル車だ。親父は、マニュアル車以外はクルマだと認めない人間だった。
ギアチェンジの時は気を遣う。異常に運転が上手くなったのは、横で菜々香が寝ていたおかげだ。
同乗者を起こさない運転は意外と難しいものだ。

「今日は寝ないの?」僕は言う。
クルマが動いても、菜々香は寝ようとしなかった。
「うん。大学の時はわざと寝てただけだから」

3速に入れた僕の手を、菜々香は握った。
動転して二つの手がニュートラルにまで戻った。
エンジンが吹け上がった。

78 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:30:54.32 ID:2a5DHkxY0.net
『Break the Glass!』D

理佐ちゃんから着信があったのは、信号待ちをしている時だ。まだ5時半を少し過ぎた頃だった。
「ちょっとドライブしてるだけだよ。洗濯とゴミ出しと水やりはやっといたから」
生きた心地がしなかった。すぐ後ろにでも理佐ちゃんがいるような気がした。
でも嘘は言っていない。寝起きの理佐ちゃんはそれで納得した。

「別れなよ」
電話が切れると、助手席で声がした。まだ起きている。
「そうだ、その話だったね。何でそんな事言うんだ?」
「わかんないなら、別にいいよ」
「何だよそれ」
菜々香は黙った。少し笑ってから、こう言った。
「横ばかり向いてないで、ちゃんと前見た方がいいよ」
僕は過去を顧みた。まあ確かに前向きな生き方はして来なかったかもしれない。

後ろからクラクションを鳴らされた。
青信号だった。

79 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:31:58.73 ID:2a5DHkxY0.net
『Break the Glass!』E

確かにプラトニックだったかもしれないが、それはお互いに遠慮していただけかもしれない。
「付き合ってたのに、キスもしたことなかったでしょ」
菜々香がそう言ったので、いかに大学時代の恋愛が異常なものであったかを思い出した。
理佐ちゃんとは、キスをしてから付き合った。正確には、一夜を過ごしたから付き合うことになった。
一方的に言い寄られて、流れのままに事は進んだ。その時点では、菜々香と別れていなかった。
知らない間にと言ったら語弊があるかもしれないが、気づいたときには菜々香と別れていた。

後から聞いた噂では色々な情報が飛び交っていた。
山形に里帰りしたとか、ノイローゼになって激太りしたとか、或いはもう日本には居ないとか、どれも確信のある情報ではなかった。
もちろん今までいったいどこで何をしていたのか、気になるところだ。
しかし自分が菜々香の人生を狂わせたかもしれないと思うと、そう簡単に問いただすことはできなかった。
菜々香も特に話したがる様子なく助手席に座っている。
糸口を探っている間に、クルマは同じところを3度も通り、いつもなら朝ごはんを食べている時刻になっていた。

80 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:32:39.97 ID:2a5DHkxY0.net
『Break the Glass!』F

暴力的な曲は変に人を勇気づかせる。荒いギターサウンドが響いていた。
僕はとうとう耐えきれなくなった。多少なりとも僕が悪かったわけで、絶対に菜々香は悪くない。
罪悪感で勝手に口が動いた。
「ごめん、悪かったよ…」
「何が?」
「あぁ…何か苦しんでたって聞いて」
「わたしが?そんなことないよ。まあでも一瞬だけ苦しかったけどね。それに悪いのはあなたじゃないから」
菜々香は微笑みをやめた。
運転していてもそれくらいはわかる。

直線道路に差し掛かると、僕は横を見た。
菜々香は泣いている。
やはりマズイことを聞いただろうか?

「知ってる?」
クルマを止めると、菜々香が喋った。


「わたしってもう死んでるんだよ」

81 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:33:10.47 ID:2a5DHkxY0.net
『Break the Glass!』G

身体が硬直した。ハンドルが固く握られ、離れない。
菜々香は眼を凄まじく見開いて笑っていた。視線はフロントガラスの先にある。

死んでいる?自分は誰と喋っているのだ?
意外なことに頭の中では、冷静な言語が聞こえていた。

クルマがゆっくりと動き始めた。
確かに僕はアクセルを踏んでいる。しかし自分の意思ではない。
スピードを上げ、あっという間に法定速度を超えた。
ハンドルが言うことを聞かない。

後部座席から悲鳴が聞こえた。僕は振り返る。理佐ちゃんが乗っていた。
少し視線を戻すと、居たはずの菜々香はもう居ない。

「ちょっと何してるの?真っすぐ走ってよ!」
「何で、理佐ちゃんが…」
「早く前見て!」

僕が再び気を取り戻した時には、クルマが海の中だった。

82 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:35:26.49 ID:2a5DHkxY0.net
『Break the Glass!』H

金縛りにも似た感覚がずっと続いていた。
シートベルトを外していたおかげで、自由に身動きできる状況にはあった。
それでも身体が動かない。動かす気力も残っていなかった。

フラッシュバックが脳裏に焼き付く。そこには、直前までカーステレオで流れていた曲が繰り返されていた。
既の所で命が助かったのはこの曲のおかげだった。あまり評価していないけど、この曲以外で脱出はあり得なかった。

ヘッドレストを取り外し、窓の隙間に差し込んだ。思い切り息を吸う。テコの原理でガラスが割れた。
車外に出ると、冷たい水が身を包んだ。

「こうやってね、こうやってね、わたしは理佐ちゃんに殺されたんだよ」
どんよりした水圧の中を声がうねっていた。

理佐ちゃん、そう言えばこんなこと言ってたよね。
「私は幸運な女よ。クルマごと海に突っ込んでも助かったんだから」

水面から顔を出した。涙は意外と生ぬるい。




83 :名無しって、書けない?:2018/08/19(日) 22:42:52.94 ID:kiEgKj1hd.net
>>82
物語が終息に近づくに従って背筋が寒くなりました。怖い、

84 :名無しって、書けない?:2018/08/20(月) 00:22:57.17 ID:ncn8Q4HzK.net
>>82
呑気にガソリンスタンドのダジャレ言わせてる場合じゃなかった(笑)

大阪府先生としては多少異色作かも知れませんが、伏線の貼り方も見事で、そういう意味でもゾクッとさせられました。
ここまで来て最後の最後にまたCMネタのオチでも来るんじゃないかとちょっと思ってしまったのは秘密(笑)

それにしても読み終わるまでタイトルからあの曲が全く浮かばなくて
デビッドボウイの曲しか脳内再生されないというのは欅離れが予想以上に深刻だと思いました(笑)

85 :新しい夜に歌う猫:2018/08/20(月) 01:31:56.02 ID:zseablLVd.net
卒業の少し前の話。
放課後の夕日が差し込む渡り廊下でいくちゃんが振り向いて口を開く。
「お腹空いた。」
「またあそこよってく」
「うん」
オレンジがリノリウムの床に零れる。僕はスキップをして先を行くいくちゃんを慌てて追いかけた。
「んー、おいひい」
口元に茶色のソースが零れる。
「ここ、ついてる」
僕は唇のすぐ横を指さしていくちゃんに言った。
「とって」
いくちゃんはハンバーグを挟んだテーブルに身を乗り出す。ハンバーグの香りとミントのよう
いくちゃんの香水が混ざり合い僕は顔が熱い。紙ナプキンで拭ったらいくちゃんは満足そうにまたフォークを動かした。
「美味しかった」
制服の皺を直していくちゃんは握った手をふらふらと揺らす。僕はいくちゃんの感触を刻み込むように強く握った。
「どうしたの?」
いくちゃんは僕の方を見た。気がつけばもう信号は青になっていた。
「ん?なんでもない」
僕はいくちゃんの顔をまっすぐ見れずに
繋いだ手をはなさないまま急いで道をわたった。冬の空は大急ぎで澄んだ黒空を運んでくる。僕は見上げながら名前も知らない
小さな星を数えていた。
「ねえ、大丈夫?」
いくちゃんは不意に立ち止まった。
「大丈夫って」
「なんか無理してる」
「無理してないよ」
「無理してるよ。」
いくちゃんの眼差しが刺さる。僕はいくちゃんを見ることはできない。
「なんか目が潤んでるけど」
いくちゃんは少しトーンを落として言った。
「そうかな。冬の寒さが目にしみるだけ」
「でもそんなことで目をうるませたことないでしょ?」
僕はいくちゃんの顔を見る。いくちゃんは不思議に穏やかな顔をしていた。横断歩道を渡ってすぐのところで僕はいくちゃんに体を預ける。いくちゃんは僕の背中を優しく何度も撫でる。
熱いものが流れてアスファルトを濡らしてゆく。不覚だった。どれくらいたっただろう。
僕は顔を上げて凪いだ顔のいくちゃんと唇に触れた。
「もうすこし寄り道しようか」
いくちゃんはそういって徒に笑った。昔からよく行ったあの公園。夜に行くとまるでまったく違う場所の
よう。いくちゃんが滑り台のよこにあるベンチを見つけて「ここ、ここ」と指さして座る。僕は少し遅れて雑草が夜に歌うのを
見ながらいくちゃんの隣に座った。
車のバックライトと走行音。そして遠くの電車の音。耳を済ますとそんなありきたりな生活音がいつもとは違う。なにか
静謐なものに感じる。
僕は不意に白のスカートを穿いた
いくちゃんの太ももに横たわる。
いくちゃんは少し驚いて僕を見た。
しかしその後で優しく頭を撫でた。
柔軟剤の香りとごわごわした布地の
感触とニットの膨らみが孤独な
蛍光灯に当たって揺らめく。
「こら、どこみてるの」
いくちゃんはそう言って僕を小突く。
しかしいくちゃんはすぐにちょっと
だけ息をすると体で僕を包み込んだ。
膨らんだ柔らかい感触が額にあたる。
「もう2度とこんなことしないんだからね」
くぐもったいくちゃんの声が聞こえる。
「うん」
頬に刺さるニットの繊維に心地よい
不快感を抱きながら車の走行音に耳をすませた。夜が歌っていた。

86 :名無しって、書けない?:2018/08/20(月) 09:01:32.38 ID:zXBwvB9S0.net
>>83
自分でも怖いです

>>84
書いているうちになーこちゃんが暴走し始めましたw
直前までスティーヴン・キング読んでたから、ホラー要素強めになったのかもしれません
それに加えてガソスタスレのダジャレの詰め込み方が美しいかったもんで、こっちも無理に伏線をねじ込んだ次第です

ボウイは『Breaking Glass』ですかね?
邦題はglassが鏡と訳されてますけど、英語だともっと意味が多くて何とでも解釈でき、割と哲学的な詞ですね
ボウイさんはただのカリスマおじさんだと思っとたんですが、やっぱ偉大な人なんですかね?

>>85
こんな風に淡いエロさを描きたいんですけど、なかなか難しいです

87 :名無しって、書けない?:2018/08/20(月) 23:24:32.87 ID:ncn8Q4HzK.net
>>85
読みながら、一生に一度でいいからこんな夢を見てみたいなあなんて思った

>>86
その曲です
ボウイ氏が偉大だとすれば、それは自分の興味の赴くままに節操なく(←褒めてます)そのスタイルを変え続けた点だと自分は思います
その曲のころは理屈っぽい変態音楽家たちとつるんでいたのでそんな感じですね(笑)
ファンや大衆が求めるものばかりに縛られて自分が本来やりたいものや音楽から離れていってしまう人も多い気がするので
そういうのは何か残念です

さて、あちらのスレにもう一丁投下しました
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1534588230/54
ちなみに答え合わせがこちら
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1534588230/59

いい加減打ち止めですね(笑)

88 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 00:14:44.54 ID:U5oe7Vvnd.net
みなさん普段どのように作品書いてますか?
僕は完全に見切り発車なんですけれど

89 :Chelsea Girl:2018/08/21(火) 01:19:40.42 ID:oJU761i0d.net
「15分だけ文豪気分を味わってみない」
黒いロングコートの水滴を切って志田愛佳は僕に言った。
「15分、どうして?」
「15分位が丁度良いの。多すぎると疲れてしまう。」
低く呻くように白い頬を歪める。
「これは飲めば15分だけ驚くほどの発想が湧くの。」
志田は頬杖をついた。
「さすが今をときめくアイドルは言うことが面白いな」
「要らないんだ」
不気味な無言が辺りを包んだ。
「どうすればいいの?」
夕方5時の喫茶ルノアール。薄暗い照明が生々しく灯る。グラスの水たまりを指でなぞって僕は志田を見る。
「これ。」
コートを脱いで顕になった白いシャツの胸ポケットからグッピーラムネのような粒が
入った小袋を取り出した。
ソファの横に畳んだコートと白いシャツから透ける黒いインナーに小さな心臓は
悪戯に拍動した。
「だれもいない所で飲んで」
「くれるの?」
「ただし」
小袋を手に取ろうとする僕を遮って重ねた志田が僕に言う。
「うちと寝て」
「寝る?一応既婚者なんだけど 」
志田は顎で怪しく光る青いネオンを指さした。組み替えた足と太ももが白く眩い。
ブルーのスカートは皺が入りうねりを見せる。願ったり叶ったりな展開に僕はアイスコーヒーのグラスを持ち上げ最後のひと口を飲み干した。

90 :Chelsea Girl:2018/08/21(火) 01:20:52.87 ID:oJU761i0d.net
間接照明の淡色が志田の冷たい眼差しに不思議な色気を付け足す。先にテーブルへコートと鍵とバックを置くと白いシャツと青いスカートのまま僕を振り返った。
僕は魔法がかかった案山子みたいに立ち尽くしている。
「早くして」
志田が僕の腕を強く引っ張る。
途端僕はバランスを崩し志田に覆いかぶさる。僕は薄い胸元と黒を見る。
志田はゆっくりと僕の背中に手を回し、
目を瞑った。生ぬるいそしてとろっとした感触が舌を包み込む。有線から流れる
ノーマン・メイラーの中で水を掻き混ぜ
る音が鳴った。
志田は体を少し捻って僕の目を見る。
僕はTシャツとジーンズを脱いで
白いシャツの釦に手をかける。
汗をかいた白い谷間からは香水と汗が
漂った。僕はそれを吸い込みながらさらに釦を外してゆく。
顕になったのは黒いインナーと白い肌だった。マーキングをするように唇で撫でてゆくと志田は唇の端で笑って僕を見た。
暫時。
スカートを下ろしたのは志田だった。
銀のファスナーに手をかけた瞬間志田が
冷たい声で「自分でやる」と、言ったからだった。
艶やかなそして程よい肉付きで驚くほど白い太ももと水色の密室。
僕がそれに手をかけると志田は途端に
横向きになって「おやすみ」と言い出した。
「なんで?」
僕が尋ねると志田は仰向きになって
「寝てとは言ったけどやりたいなんてひと言も言ってない」
反論の余地も与えず志田はベットからはみ出したシーツを肩まで掛けて寝息を立て始めた。そして僕は途方に暮れる。
仕方ない。僕は志田の横顔を眺めることにした。白い頬にはうっすら桃色のチークが入っており薄く小さい唇には赤いルージュが丁寧に引かれている。そして形の整った目鼻が横顔を飾っている。
目元にブラウンの髪がかかっている。
漏れるようなため息をしながら
頭をふって髪を払う。
そんなことを一時間したのち志田が
ゆっくりと起き上がった。
「おはよ。」
なんでもないように志田は僕に笑いかける。
「ああ」
僕が背中を向けて着替えようとすると
「待って」そう言って肩を掴んで
振り向かせると僕のパンツに手をかけた。
「え?」
「いいから」
志田は髪を耳に掛けてニヤリと笑った。

志田がティッシュを手繰り寄せて
口元を拭う。
「口紅落ちちゃった」
そう言って僕の方へ唇を近づけた。
中央の部分がニュートラルになっていて
僕は思わず目をそらした。
痺れるような心地をそのままに
パンツを履き着替えるといつのまにかさっさと着替えを済ませた、志田から先程の
小袋を受け取った。
「はい、これ」
「ありがとう」
「じゃ、小説がんばってね」
志田はあっさりと部屋をあとにした。
僕は残り香を吸い込みながらジーンズ
のポケットに小袋を閉まった。

これは僕が新人賞を取る半年前の話である。

91 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 06:42:00.33 ID:SPmXfEOva.net
>>88
これは興味深いテーマですね

俺は妄想が自然と浮かんでくるんでほぼ妄想任せの即興で書いてます

ストーリー考えたりアイデア考えてたら面倒くさいから書けない
考える作業は楽しくないんで無理っすw

仕事してたり遊んでる時になんとなく妄想が浮かぶんでそれを覚えていて時間ある時に文字に起こすんですけど

基本理佐ちゃんと俺がイチャイチャする妄想なので楽しいんですよね

それで書いてると楽しくなって次から次に浮かんでくるのでそれを書き写す簡単な作業ですw


しかし規制がきつすぎて丸一日書き込み出来ないなんて酷いw

92 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 11:44:17.82 ID:qHhzmfLYK.net
>>88
最近は普段作品を書かないのでアレですが(笑)
自分は見切り発車的に書いてたのはほぼ初期のみで(シマリスがアイドルになる話と、栗太郎の鬼退治の話あたり)
あとはほぼ最後まで作ってから投稿することが多かったですかね

これはやはり基本的にオチを最初に決めて、設定を後から考えるという、ある意味漫才的な作り方が多いからだと思います

ただ例外的に、残酷な観客たちがあまりにもつまらないというスレが立ったときに
こういう配役でテロリストもののドラマが観たいという書き込みを元に
漢字欅全員出演のやつをそちらのスレで見切り発車形式で書いてたことがありまして
結構いろいろと評判は得てたんですが、途中で終わってしまいまして
未だにちょっと心残りではあります

>>90
ややアダルトでちょっと退廃的な世界がタイトルとも見事にマッチしてますね
言われてみれば志田=Nicoというのも確かに絶妙です

ところで
ウィリアムバロウズがREMの曲で朗読してるやつはCD持ってるんですが
ノーマンメイラーが有線から聞こえて来るのってどんな感じなんでしょうか

93 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 12:26:24.42 ID:cT3VEqs9a.net
>>92
テロリストのやつ読んでました

漫才からシリアスな物までハイクオリティに書くチワンさんの技量に羨望の眼差しな俺です

俺は1年半ぐらい書いてるわりに何故か文章が上手くならないんですよね・・・

94 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 14:08:41.71 ID:pHlkYMFKd.net
>>92
>>90 の作品はたまたま見ていた植草甚一のエッセイにLSDという未知なる薬が登場し調べたらアンディーウォーホルに辿り着いたのでそれをイメージにしたものです。
15分のくだりはアンディーウォーホルの
「15分で誰でも有名人になれる」というところから。書きながらこんな展開になるとはとこっちが驚いております。生々しさが想定の倍以上になってしまったのでこれはただのフィクションでありほかの人物、団体と一切関係がないですと重ねて書いておきます。

95 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 14:09:49.95 ID:pHlkYMFKd.net
またノーマン・メイラーは植草甚一のエッセイに出てきたものでどうやらジャズの方のようです。

96 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 16:33:26.12 ID:qHhzmfLYK.net
>>95
いや、ノーマンメイラーといえば超有名な作家さんだと思いまして(笑)

そういえば関係ないけどノーマンメイラーとマイルスデイビスって日本語発音すると抑揚同じだなとふと思った(笑)

97 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 16:44:49.56 ID:ssIRqOJ8d.net
>>96
あれ?おかしいなと思って調べたら作家でしたね(すっとぼけ)
ジャズの黒人と白人たちに出てたんでジャズのひとだと思ったんですが作家でした。すいません。単にミスです。

98 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 16:46:50.60 ID:ssIRqOJ8d.net
ノーマン・メイラーのところはジョン・コルトレーンにしておいてください(苦)

99 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 16:48:49.10 ID:ssIRqOJ8d.net
作家の朗読が流れる不思議な有線があるっていう設定もいいかも。あとはスティーブン・キングが流れる部屋とかね。Tハリスが流れたりした怖いだろうな()

100 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 17:37:32.56 ID:+ZJWTN7Ka.net
ノーマン・メイラーの方が語呂的に作品にあってるからアリじゃないでしょうかw

ノーマン・メイラーもゲイリー・ギルモアを描いた死刑執行人の歌という作品があるから有線で流れたらなかなかダークかもw

101 :名無しって、書けない?:2018/08/21(火) 18:18:00.36 ID:omUU8xIqd.net
>>100
ありがとうございます〜

102 :さよなら甜麺醤 第1話 :2018/08/21(火) 18:22:03.09 ID:omUU8xIqd.net
「こんどまた新しいバイトが来るから」
チャイナドレスを来た織田奈那はテーブルに生春巻きの皿を置きながら言った。
「また?」
「ひと足らないから」
織田は乱暴に生春巻きへ食らいついて答える。
「どういう人なんです?」
「んーとね、あそこ」
織田は隅の黒いソファに座る女性を指さした。紅殻飯店で僕がバイトを初めて1年目の秋のことである。

「小林由依です 宜しくお願いします」
彼女のお願いしますの声は古いエアコンと室外機の音に吸い込まれ小さく消えていった。
「知り合い・・・ですか?」
僕は織田と彼女を交互に見る。
「元高校の同じ部活」
勝ち誇ったように織田は僕を見た。
「同じ部活?」
僕は彼女を見た。彼女の茶色い前髪は微かに揺れた。
「なんだよ」
織田は僕を一睨みしたあとかわいた笑い声を挙げた。
「いやオダナナが先輩ってらしくないなと」
「はははっ」
彼女は口を抑えて笑った。
「なにゆいぽんまで」
「いやほんとにそうだなーって」
とうとう彼女はドツボにハマったようにケラケラ笑いだした。
「ま、とりあえず今日は昼で終わりだからさそんな感じで」
いつの間にか生春巻きを平らげた織田は
皿をもって厨房へ向かう。
僕と向かい合う彼女が沈黙の中で取り残された。
「あの」
僕らはほぼ同時に声を上げた。
「あっ、どうぞ」
僕は彼女に譲った。彼女はぺこりとして唐突にこう言った。
「わたし貴方の恋人になりたいんです」

103 :股旅:2018/08/22(水) 00:31:35.43 ID:2dutXy6wd.net
藁で編んだ笠は縁の方から解れて来ているようだ。土埃の沸き立つ路影の笠から一本藁の束が覗いている。
「信濃路の親方の家まではあとどれくらいですかぁ」
先頭を行く同じ背格好の者に訊ねる。
「しなっ・・・信濃路の親方の家までは後 二里ほどだ」
「相変わらず口の達者なことで」
背後の者が何かを食みながら言う。
「また蜜柑を食うておる 取っておけと言うたに」
「いやこんな歩きどおしで腹もへるら」
最後のひと房を黄色い指で口に入れる。
「他のものに分けたら良いに強欲な」
「あんたかて陸前の宿を出た時にもらい受けた握り飯をくれなかったら 」
「二人とも無駄なくゆ・・・くっ喧嘩はよせ」
「流石、普段から馬を操る者は言うことが違うわい」
指先を払って背後の者は笠を深く被った。
この三人の道行の始まりは梅花が咲き乱れる頃に始まる。
「えっ、信濃へ」
囲炉裏に差し込んで居た木の枝を引き抜いてゆかの助は聞き返した。
「父が信濃にいる渡邉の家まで今度の大火の時の御礼をして参れと」
茜は胡座をかいた造作でゆかの助に説明をする。
「御礼とは何」
蜜柑の皮を板間に小山のように積み上げているななは茜の顔を伺う。
「今度の大火に焼かれた時 米や野菜を渡邉殿が贈ってくれただろう。その礼だ」
茜は小山を睨みながら言う。
「蜜柑が好きなのは仕方ないだろう」
ななは鋭敏な眼差しで茜をみる。
「してなぜこの三人が」
ゆかの助は二人を見つめて呟く。
「しかも女子二人で」
茜はゆかの助を見つめて呟く。
「わたしを忘れてないかや」
ななは己を指さし声を張る。
「あんたも女子だったっけ」
茜は涼しい顔で言う。
「もっぺんいってみろ」
ななは立ち上がる。小山が雪崩る。
「地金がでたわ 」
茜は胡座のまま怒鳴るように言う。
「二人ともやめて」
ゆかの助は困惑の顔を浮かべる。
「黙ってろ」
茜とななは声を揃えてゆかの助に言う。
こうして三人の股旅は始まったのである。
(続く?)

104 :名無しって、書けない?:2018/08/22(水) 00:33:25.84 ID:2dutXy6wd.net
市川崑監督の股旅から。意外と時代劇は難しい。

105 :名無しって、書けない?:2018/08/22(水) 03:20:45.68 ID:Yaze0L8pd.net
どんな時に作品のアイデアを閃きますか?

106 :名無しって、書けない?:2018/08/22(水) 10:07:57.81 ID:RKfa3zOXK.net
>>105
ダジャレと下ネタに関しては基本的に24時間365日考えてるので、特にいつということはありません(笑)←
例えば街角で『タイ古式マッサージ』の看板を見たとか
このスレで『ベッドイン』という単語を見たとか
そういう全ての瞬間がきっかけです

作品については、このスレを見てるときに発想を得る場合が意外に多いですね
欅ちゃんで童話を書いてみようとか
洋楽をネタにして書いてみようとか
茜ちゃんシリーズみたいなのが書けないかなとか
SFチックなのも確かに面白いとか
全てこのスレの先生方の作品を見たのがきっかけですから

自分は基本的に小説の本を読まない人なので
それらから発想や刺激を得ることはほぼありません
たまに興味ある本があっても、ネタバレサイトとかでさらっとおさらいして満足するタイプ(←邪道中の邪道)なので
例えばこの前話題に上がったノーマンメイラーだって、1ページも読んだことないです(笑)

こんな自分なのに思わず読んでしまうんですから
千葉県先生・庭先生・大阪府先生・ぽん民先生をはじめとするこのスレの諸先生方の筆力には日頃から感服しております
m(_ _)m

107 :名無しって、書けない?:2018/08/22(水) 12:56:02.92 ID:xkXfOX3Qa.net
俺も妄想過多なもんでチワンさんと一緒でのべつまくなし妄想しとります

108 :名無しって、書けない?:2018/08/22(水) 13:43:17.34 ID:Fz7qsXmmd.net
ちなみに当の本人は映画だったり本だったりたまたま聞いた音楽にヒントを得たりしています。

109 :名無しって、書けない?:2018/08/22(水) 16:50:54.36 ID:8vMx9KDQa.net
>>108
千葉県さんもこのスレに1年も居れば

我々妄想変態三兄弟のように常住坐臥見るもの聞くもの全てを推しメンとの妄想に結びつける妄想変態の仲間入りですなw

そして溢れ出す妄想を投稿したくても仕事や飲み会に邪魔されて苦悩する日々に供に悩みませうw

110 :名無しって、書けない?:2018/08/23(木) 01:52:30.32 ID:eFNqFNb6d.net
>>109
兄弟が増えるかもですね

111 :海の見える明日(1):2018/08/23(木) 01:53:58.40 ID:eFNqFNb6d.net
熱風が吹き込む渡り廊下で彼女のスカートは不確かにふらふらと揺れる。
「次の授業はじまるから急いで」
振り向いた彼女は首元のショートカット
を揺らす。
「わかった わかった」
「また遅刻は嫌だからね」
猫のようにすばしっこい彼女はすぐに向こうへ行ってしまう。僕は急いで彼女を追う。いつもそうだ。
「セーフ」
エアコンの効いた家庭科室の2つだけの空席につく。
「セーフじゃねーよ」
広いシンクでトレーを置きながらこれまた
ショートカットの女性が言う。
「あ、理佐居たんだ」
彼女がバタバタと白い襟元を仰ぎながら
冷たくニヤけた口調で言う。日焼け止めと香水の香りに透けた胸元に隣り合わせた体が熱い。
「先生を呼び捨てにするんじゃねーよ」
「いいじゃん家族みたいなもんなんだし」
「一応ここでは先生と生徒だからね」
理佐はそう言って僕を見た。
「釣られて遅刻するなよ」
「わかったわかった」
この学校は青森県―市の中腹にある。
生徒数は100人程度で来年での閉校が決まっている。そんな狭い世界だからクラスメイトも教師もほとんどが知り合いみたいなものだ。家庭科を担当している彼女は渡邉理佐といい僕の年の離れた姉にあたる。
そして隣に座る彼女は志田愛佳といい
こちらも幼なじみである。
茜色の横たわった空にいわし雲がかかり鈴虫の音が秋の訪れを報せる。
僕か細かな砂利をローファーで蹴り飛ばすとその砂利は音を立てて闇の中に吸い込まれて消えた。先程までは聞こえていたボールを打つかわいた音も歓声は消え黄昏のなかに静寂が広がる。
「ねえ理佐遅いね」
黒い門扉に寄りかかって愛佳が呟く。
ギギッと門が軋る。
「まあいつものことだからね」
僕は午後の紅茶を1口飲む。
温い。
「それちょうだい」
愛佳はそういってボトルを奪う。
僕は黙って愛佳の白い喉に消えてゆく午後の紅茶を思った。
白いライトが2人の体を貫く。

112 :海の見える明日(2):2018/08/23(木) 01:56:03.56 ID:eFNqFNb6d.net
それから10分のことだ。窓から顔を覗かせて姉が「お待たせー」と笑って言う。
「遅い」姉に愛佳は口を尖らしてから
僕の手を引いて「行こ」と言った。
「病院の帰りにサイゼよってこ」
愛佳は身を乗り出して運転席の姉に言う。
後ろの座席に僕らは隣り合わせだ。
「はーい」
生返事をして前を薮睨みしハンドルを白い建物の方へ切ってゆく。しばらくしてワンボックスカー炭を流したように暗い駐車場の隅に
止まった。スライドドアを乱暴に
愛佳は開いて僕の手を引いて飛び出す。
「どれくらいで終わりそう?」
「この前みたいにはかからないでしょ」
「そう?」
制服のスカートをひらひらと舞わせて病院のロビーを歩く愛佳を僕は後ろで見つめた。
緑のソファーは液晶テレビに向かうように
いくつも連なって置かれている。
僕らはその真ん中に座りながら比較的
混雑している院内を見渡した。
「混んでる」
僕は右隣の姉を見る。
「ちかくに病院ここしかないからね」
「いつものことじゃん」
左隣の愛佳は僕を見る。群青の空が闇に飲まれて黒くなるころ漸く僕の名前が呼ばれた。
「じゃ」
立ち上がって僕と姉は診察室のある廊下を見る。
「いってらっしゃい」
愛佳はそう言って真っ直ぐ僕を見た。
「この前の検査は異常ないみたいねぇ」
北村総一朗によく似た老医師は僕にそう告げた。
「ほんとですか」
「うん 血液検査の結果も良いし」
「じゃあ肺の痛みも」
姉は隣で心配そうに医師へ訊ねる。
「まぁそれは一生付き合ってかなきゃ行けない持病だからね いまは安定してるけど」
医師の言葉は診察室に暗い影を落とした。
「でも死亡率は低い病気だからね」
手を上下させて医師は言う。
「ほんとに?」
姉は医師を睨む。
「私が嘘ついてどうするのさ」
医師は狼狽えたようにメガネの弦をあげた。
「いつもの薬、出しとくからねぇ」
医師はニヤニヤしながら僕と姉を見た。
「ありがとうございます」
僕は椅子を引いてドアノブへ手をかけた。
「あ、そうだところで言い忘れたけど」
「なんですか」
不審そうな顔で姉は医師を見る。
「いやいやこの前みたいに食事に誘おうってんじゃないんだよ、検査したでしょ、彼。そのときに一緒についでに受けた彼女居たね?」
「もなちゃんのこと?」
姉は仕舞った椅子にまた座って言う。
「そうそう、その子ね」
「どうかしたんですか」
僕の鼓動はまた不安定になる。
「まぁレントゲンのミスだと思うけど・・・膵臓に小指大の白い影が映ってたのよ。だからこんどまたここに来るように言っといてよ」
僕を見て医師は言った。
「いま受付に居ますけど」
「そうなの」医師は驚く。
「じゃあさ君は良いからその彼女を呼んでくれないかな」カルテの入ったファイルを閉じながら医師は僕にそう言った。

113 :海の見える明日(3):2018/08/23(木) 01:57:46.67 ID:eFNqFNb6d.net
「わたしも居た方が」
姉は医師に訊ねる
「居た方が良いかもね」
医師は締りのない顔で言った。
「なんかこわーい」
姉は途端にそう言って僕に抱きついた。
「あのねぇ・・・」
医師はため息をついた。

「この前の検査のことだけど」
姉の居た椅子には愛佳が座る。
結局僕が一緒にいることになった。
「うん?」
髪を耳にかけ医師に訊ねる愛佳の顔は少なからず不安の色が見て取れた。
「これみてほしいんだけどね」
デスクトップパソコンに彼女の小ぶりな
肝臓が映し出された。
「これ君の肝臓ね」
医師が愛佳に目をやる。
愛佳は黙ってうなづいた。
「で、ここみてほしい」
ごわごわとした茶色い指先で小さな白い影を指さした。
肝臓の左端に小指の先位の白い影がぽつりと浮かんでいる。
「レントゲンのミスじゃなければこれがん細胞だね。もっとも良性か悪性かはわからないけど」
医師は咳払いをして言った。
「いまからレントゲンを取り直そうか」
作ったような笑顔で愛佳を見た。
愛佳はこくりとうなづいてから僕を見た。
医師の背後にある窓がカタカタと音をたて
やや黄色がかった蛍光灯が三人をじっとりと照らしている。唸るようなエアコンは消毒液の香りを混ぜ返すだけであまり効果はない。僕は一旦診察室を出た。

「そうなんだ」
ブルーのスカートに手を置いて姉はため息をつく。
「一応、もなちゃんの家には連絡しといたけど」
「そうなんだ」
「相変わらず連絡つかない」
「連絡がつかない?」
「LINEだけはしておいた」
「ふーん」
姉はふうとため息をつくと診察室の方を見た。

「レントゲンの結果ねぇ・・・」
再び診察室に呼ばれた僕ら。
しかし姉は医師に恐れて来ない。
「どうやらあるらしいのねぇ・・」
画面に2つのレントゲンを出した。
僕は咄嗟に愛佳の手を握った。
震えていたからだ。
愛佳は僕の顔を冷たく睨んだ。
慌てて離そうとする。
しかし愛佳が強く僕の手を握った。
僕は忽ち喉の乾きを覚えた。
「こりゃあ・・・精密検査だねぇ」
北村医師はそう言って愛佳を見た。
愛佳の表情はいつもと変わらず何をかんがえているのか伺えないようだった。

114 :名無しって、書けない?:2018/08/23(木) 01:58:23.67 ID:eFNqFNb6d.net
妄想のまま突っ走ったのでどうなるかは分からない・・・

115 :名無しって、書けない?:2018/08/23(木) 11:28:51.09 ID:WpzhQTOsa.net
>>114
理佐ちゃん出てるから物語が破綻しないで完結にたどり着くように祈りますw

116 :海の見える明日(4):2018/08/23(木) 19:21:58.10 ID:uIkJrKUHd.net
「精密検査か」
帰りの車中。ハンドルを握りながら姉が呟く。言葉が見つからず黙り込む車中にウィンカーの音が無機質に聞こえる。やがて車がぐっ、と振動すると、
蛍光灯と店のネオンがシートに差し込んだ。愛佳は疲れてしまったのか僕の肩に寄りかかって眠っている。
「そういえばご飯どうする」
「んー」
僕は愛佳を見る。なんと愛佳はご飯の話になった途端目を覚ました。
「夕飯サイゼね。」
愛佳はそう言った。

「ところで理佐、彼氏とはどうなってるの?」
唇の横にステーキソースを付けながら愛佳は姉に訊ねる。
「んー、順調・・・かな」
首を傾げて姉は言う。
「そーなんだ」
思案顔で愛佳は呟く。
「でもさ本当にあの人でいいの?」
「どうして」
僕が横槍を入れる。
「だってなんかぶっきらぼうで乱暴そうなんだもんアウトローというかさ」
「わたしの好きな人の悪口言うんじゃねーよ」
姉はそう言ってグラスをもち立ち上がる。
「ほら意外とお似合いなんじゃないの」
僕は愛佳にそう告げる。
「そうかな」
愛佳はなおも不安そうにする。
「ひとの色恋沙汰に首を突っ込むのは野暮だよ」
僕はドリンクバーのコーナーに行った姉の背中を見て愛佳に笑う。
「彼女居ないくせに」
愛佳はそういってゲラゲラわらった。
僕は堪らず手元のメロンソーダを飲み干した。

117 :名無しって、書けない?:2018/08/24(金) 10:00:45.86 ID:NGn7owkgK.net
>>116
おお!俺君喜びの舞(笑)

大阪府先生は台風大丈夫だったのか気になりながら保守

118 :名無しって、書けない?:2018/08/24(金) 20:23:06.45 ID:G5fzpV980.net
>>117
やっぱり登場した方が面白いかなと

119 :名無しって、書けない?:2018/08/24(金) 21:06:04.34 ID:rd7PHCQHa.net
本当に俺君だったんだw

120 :名無しって、書けない?:2018/08/24(金) 22:05:39.60 ID:G5fzpV980.net
だれか衛藤美彩さんと守屋茜さんの姉妹が出てくる物語を書いてほしい

121 :海の見える明日(5):2018/08/24(金) 22:11:43.38 ID:G5fzpV980.net
「うち―に告られた」
帰り道、愛佳は突然そんなことをいった。
「そう・・・なんだ」
「どう思う?」
「どう思うって?」
「いや・・・あんたが」
「僕が」
「そう」
「いいんじゃない別に」
「まじで」
「そんな驚くなよ」
「いや意外だなーと思って」
コンクリートを踏みつける音がやけに大きい。
「意外って?」
「なんか反対するかなーって」
「なんで反対するの?」
「言わせるなよ・・・」
愛佳は小さく呟いて林間の木漏れ日を見つめた。
「返事待ってもらってるんだよね」
荷台のからなトラックやワンボックスカーが多いのはこの田舎町の特徴である。
それらの車が家路へ急ぐように通り過ぎるのを信号の赤がともる中で見つめていた。
「明日返事するって」
愛佳はそう言って僕を見つめた。
その目は円かでいつもより真剣だった。
「良いんじゃない」
「本当に良いの?」
「いいよ」
「なんで僕に聞くの?」
「いや・・・」
「良いんじゃない?」
「じゃあOKしちゃうからね バイバイ」
愛佳はそう言い終わるやいなや信号の変わったばかりの横断歩道を突然走って行った。彼女の目の端には夕焼けの赤い陽が浮かんでいた。点滅する信号に急いだ僕の中ではその光景が何度も去来した。

「そんなことがあったんだ」
クリーム色のTシャツにブルーの短パンから見える脚は蛍光灯の光が照って綺麗だ。
椅子の下から覗き見る。その途端姉は脚を組み替える。
やがて姉はテーブルの上で指をタラタラと叩くと「いい加減もなちゃんの気持ちに気づいたら?」と少し頬を赤くして言った。
「向井秀徳?」
僕は態と首を傾げる。
「ちげーよ。本当に鈍感だよね」
姉は尖ったあと呆れたようにため息をした。切れ掛けの蛍光灯が僕に向かってウィンクをした。
「でももう付き合ってるしね 」
「もなちゃん彼氏いないでしょ」
「いやいないよ」
「じゃあ・・・まだ間に合うよ 」
「僕が」
己を指さす。その瞬間姉は驚いたように僕を見た。
「嘘。」
姉の声が裏返った。
僕は先週の日曜日を思い出した。

122 :海の見える明日(6):2018/08/24(金) 22:17:37.22 ID:G5fzpV980.net
「志田ちゃんのことあんまり思わせぶりな態度とるのは本人にも可愛そうだし」あまり意識してはいないがどうやら彼女からすれば僕はどうやら悩ましい態度をとっているらしい。
「でも愛佳が僕をどう思ってるかなんて分からないし第一あいつは好きな人居るでしょ」
「この前のバスケ部のガタイのいい子? 」
「うん」
「でーもあっしは本当に好きなのは君だと思うなぁー」
「そうかなただの幼なじみだと思うけど」
「ところでさ、わたしたちが付き合ってるのは志田ちゃんに言ったわけ?」
「いや・・・それはまだ」
「じゃあ誰にも言ってないってこと」
「聞かれてないからね」
「でも聞かれてないから言わないのはどうかと思うよ」
「そういう一実さんは誰かに言ったの」
「いや・・・まだ誰にもなんか恥ずかしいじゃん。それにまぁ」
「おなじことだよ」
「そっか、うーん」
一実さんはどこか腑に落ちない表情で白い雲を睨んだ。日曜日の昼過ぎのしがない小さな喫茶店はの掃除が行き届いてない窓からはあまり空が綺麗に見えない。
「ところで明日仕事は休み」
「休みだよ」
「じゃあどこかいかない?」
「うーんあっしはまたのんびりしてたいなぁあの本屋さんで」
何回聞いてもあたしがあっしに聞こえる。
「そっか」
「でもどっか行きたいところあるの?」
一実さんは書店のカバーがかかった文庫本を煤けたクリーム色のテーブルに置いた。
「いや、ほら付き合ってから半年だし、ちょうど」一実さんは目を丸くして僕の顔をのぞき込む。
「あれもうそんな経つ?」
「うん」
背伸びをしてから薄まったアイスコーヒーを飲む。僕はその唇の色の鮮やかさに驚いている。
「でも案外付き合ってるって誰にもきづかれないもんなんだね」
「そうだね」悪戯な顔で僕を見た。

「大丈夫。ですか・・・」
黒い艶やかな髪の綺麗な人が僕の顔を窺っているのをみて聊か驚いた。「すいません」
ひとの少ない図書館で借りようと思った本の数冊を手にした瞬間また例の発作が起きて僕はその場に蹲ったのだった。
「これ、のんで」
膨らんだポケットからペットボトルの水を取り出す。僕は礼をいって口を離して水を流し込む。「あっ、全然口つけていいから気にしないし」僕はそう言われた時彼女が付ける作業用らしき草木色のエプロンの名札を見た。
”ー市中央図書館 高山”そうかいてあった。
本棚の海を掻き分けて三人がけのベンチに座る。僕は溺れることなく無事に砂浜へたどり着いたようだ。
「実は生まれつき病気があって」
「そうなんだ」
僕と彼女の間にはペットボトルと取り落とした本が置いてある。それは彼女が置いたものだ。
「その病気は肺の病気で・・・治ることは無いんです」
「そっか」
なぜこの人はこんなに心配そうに哀れんだ目で僕を見るのだろうか。
「だからときどきあんなふうに」溺れた地点に目をやる。しかしタイルが果てなく続くだけで何も無い。そして僕はどうして彼女にこうもべらべらしゃべり続けるのだろう。

「へぇーこれ好きなんだ」
彼女はいちばん上の本の表紙を撫でて言った。
”Chelsea girl”
十数年前に亡くなったかつての人気作家のデビュー作だった。
「この人の文章好きだなぁ」
膝丈のスカートに隠された足をさすって何度も言った。
「ただこの人の小説のHidamariというのがどこにも手に入らなくて」
僕は本の表紙に目をやる。
「あっ、それ持ってる」
彼女は途端に大声で叫ぶように言ったが、失態に驚いたのか自分で口を塞いだ。
塞いだその手は白く長く、まるでロダンの彫刻かなにかを見ているようだった。僕と彼女はここから会って話すようになった。

123 :名無しって、書けない?:2018/08/24(金) 22:18:29.56 ID:G5fzpV980.net
ふと思いついて過去の作品と繋げてみた。

124 :名無しって、書けない?:2018/08/24(金) 23:40:33.28 ID:rd7PHCQHa.net
>>122
いきなり広げ過ぎて破綻しないかドキドキですw

125 :夏の日の約束:2018/08/25(土) 21:05:40.72 ID:Z2U9TA1jd.net
「秘密基地を作ろうよ」
由依ちゃんとひーちゃんは僕に言いました。
「秘密基地」僕は二人にききました。
「あそこの古い家があるでしょ?」
低く流麗な声でひーちゃん(本当は平手友梨奈という名前だけどひーちゃんとよんでほしいと言われた)は駐車場の奥の方の家を指さします。
「あぁー」僕はその家を見つめました。
家とは言いましたが家と本当に名乗ることをほかの家たちから許されるのかというくらいぼろいものです。蜘蛛の巣が張った窓は端っこが割れて、屋根も壁も板のようなもので組みわあされて出来ています。
「でも怒られない?」由依ちゃんは泣いているような目でひーちゃんを見ました。
「うーん、大丈夫じゃない?」ひーちゃんはそう言ってベンチから離れブランコに飛び乗りました。
「夏休みもあとすこしで終わっちゃうからさ」ひーちゃんはブランコを立ち漕ぎして僕と由依ちゃんに叫ぶように言いました。
その時僕らの真上に浮かぶ入道雲は大急ぎでどこかへ逃げてゆきました。そのことに僕と由依ちゃんは気付きませんでした。
「あの小屋かぁ」
ピアノの鍵盤を叩きながらお姉ちゃんはなにか思い出して居ました。お姉ちゃんはピアノを習って居るのです。僕が生まれた時から。
「お爺様の昔使ってたものらしいけど」
お姉ちゃんは楽譜を畳みながら答えました。
「そうなんだ。」僕は明日の朝、ひーちゃんと由依ちゃんにそのことを言おうと考えていました。
「でもそれがどうしたの?」お姉ちゃんは僕をみてたずねました。
「あそこで遊べないかななんて」僕は基地のことは黙っていました。ひーちゃんに言わないでと睨まれたからです。
「そうか、でも怪我しないでね」お姉ちゃんはそう言ってピアノの蓋を閉じました。
僕はお姉ちゃんとピアノの練習をしていたのです。

126 :名無しって、書けない?:2018/08/25(土) 21:06:56.38 ID:Z2U9TA1jd.net
いままであまり書いたことのない文体。どうでしょう?

127 :名無しって、書けない?:2018/08/25(土) 21:07:57.60 ID:Z2U9TA1jd.net
>>124
さっそくなんどか破綻しそうになって慌てて修正しました。

128 :名無しって、書けない?:2018/08/25(土) 21:09:03.57 ID:Z2U9TA1jd.net
>>119
俺君のカメオ出演ですw

129 :名無しって、書けない?:2018/08/26(日) 16:55:15.15 ID:Xj47UxB0a.net
>>128
僕なんかを出演させていただき光栄ですw

130 :お揃いアクセの理佐ちゃん 第1話:2018/08/27(月) 16:35:16.76 ID:rfZvLMfHa.net
「ねぇ、これどうしたの?」

同じクラスの理佐ちゃんが俺のカバンについてるアクセサリーを指差す

俺の妄想に慣れてる人は既にお分かりだと思うが・・・

理佐ちゃんは学校一の美人・・・

と言うより世界一の美人と言っても言い過ぎどころか足りないぐらいの美人だ

そんな理佐ちゃんに話しかけられ心臓がドキドキな俺




「うん?親戚のおっさんがハワイ土産にくれたんだ」
ドキドキに気づかれないようにさりげなさを装う俺

俺ごとき路傍の石にも劣る存在が世界一の美人理佐ちゃんに虚しくも恋してるなんて知られたくないからね・・・

今のまま、たまに理佐ちゃんに話しかけて貰えるだけで・・・
同じクラスに俺のような者が存在してると認識して貰えるだけで満足なのだよ・・・


そんな負け犬な幸せを享受する俺の気持ちを知ってか知らずか?

「俺君これ?」
なんて嬉しそうに自分のカバンについてるアクセサリーを見せる理佐ちゃん

「あっ!?お揃いだね」
わざとらしく驚く俺

それもそうだろう・・・

親戚のおっさんのハワイ土産なんてのは真っ赤なウソで

大好きな理佐ちゃんと同じ物が欲しくて一生懸命に自分で探した健気な俺


「でもこれ男の子のカバンには似合わないね」
なんてアクセサリーにダメ出しする飾らない性格が魅力の理佐ちゃん

「そんなんだよね、女物のアクセなんて恥ずかしいから外したいんだけどさ、つけてないと親戚のおっさんが怒るんだよね、マジで迷惑だよ」
肩を竦めて大ウソ吐くホラ吹きな俺に

「面白い叔父さんだね」って笑う理佐ちゃん

おおっ!?

憧れの理佐ちゃんが俺の話に楽しそうに笑ってくれてるって感動する俺


「ねぇ、恥ずかしがってるの面白いから外すの禁止ね」
なんてドSな笑いを浮かべる理佐ちゃんだから好き

131 :お揃いアクセの理佐ちゃん 第2話:2018/08/27(月) 16:35:51.82 ID:rfZvLMfHa.net
「ちゃんとつけてるね」

俺が恥ずかしがるのを見て楽しみたいドS理佐ちゃんにアクセサリーを外すの禁止なんて言われた翌日

朝イチで俺のカバンをチェックして嬉しそうに笑う小悪魔理佐ちゃん

「やっぱり恥ずかしいよ・・・」

もともと理佐ちゃんと同じ物をつけていたかった俺には痛くも痒くもないけど憧れの理佐ちゃんが嬉しそうだから恥ずかしがる振りをする健気な俺

「うるさい!黙ってつけてれば良いの」
お揃いのアクセサリーがなんとなく心理的な距離を縮めたのか女王様気質をかいま見せる理佐ちゃん・・・堪らなく可愛い


そして放課後

なんだかんだと縮まる理佐ちゃんとの距離に幸せを噛み締めながら帰り支度な俺


「あれ〜お揃いのアクセなんて隅におけないな〜」

離れた席で帰り支度してる俺と理佐ちゃんのカバンのアクセサリーに気づき滑舌悪く囃し立てる三四郎の小宮

その声にざわつくクラス

恥ずかしそうに足早に教室を出ていく理佐ちゃん

親しい友達の前ではドSでノリが良いくせに皆の前では恥ずかしがりで大人しいのがストロングポイントな理佐ちゃん


そして翌朝

「ちきしょう、小宮のせいで最悪だよ、滑舌悪いくせにはしゃぎやがって」
なんて小宮の悪口言いながら駅から学校までの道程を歩く俺

「せっかくお揃いアクセのお陰で理佐ちゃんと仲良くなれたのになぁ、あの感じじゃ距離取られちゃいそうだな・・・」
恥ずかしそうに教室を出ていった理佐ちゃんを思いため息な俺に

「朝からため息ついてんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん

「お、おはよう・・・」
初めて聴く理佐ちゃんのドス声に戸惑う俺

「おはようじゃないでしょ、なんでアクセ外してんのよ」
なんて不機嫌な理佐ちゃん

「からかわれたら理佐ちゃんに迷惑かかるかと思ってさ」っていじらしい俺に

「私だってからかわれるの嫌だったら外してくるよ」
言いながらカバンのアクセ見せる理佐ちゃん

からかわれるの気にしないでお揃いのアクセサリーつけたままの理佐ちゃんだから好き

132 :お揃いアクセの理佐ちゃん 第3話:2018/08/27(月) 16:53:11.51 ID:rfZvLMfHa.net
「理佐ちゃん・・・」

からかわれるの気にしない理佐ちゃんの強さに感動する俺

「それに外したら叔父さんに怒られるんじゃないの?」
口を尖らせて俺を詰める理佐ちゃん

「いやぁ、叔父さんのハワイ土産ってウソなんだ・・・」
怒る理佐ちゃんのプレッシャーに負けて白状しちゃう俺

133 :お揃いアクセの理佐ちゃん 第3話 中編:2018/08/27(月) 16:54:44.80 ID:rfZvLMfHa.net
「私と同じ物持ってたかったんだ・・・」
俺の話に戸惑う理佐ちゃん

おっ、ちょっと脈ありか?
戸惑う理佐ちゃんに甘い夢見がちな俺に

「ちょっと・・・マジでキモいんだけど」
なんて身も蓋もない理佐ちゃん

飾らない性格が魅力とは言ったが・・・

失恋の予感半端ない俺

134 :お揃いアクセの理佐ちゃん 第3話 後編:2018/08/27(月) 16:55:36.44 ID:rfZvLMfHa.net
「キモいことした罰にアクセつけてよ」
なんて傷心な俺を辱しめるドSな理佐ちゃん


「今日もお揃いじゃねえかよ〜」
教室に入ってきた俺と理佐ちゃんを早速からかう滑舌の悪い小宮

もう理佐ちゃんには振られたんだやめてくれ〜
なんて泣いちゃいそうな俺

そんな俺をかさにかかってからかう小宮

「好き同士なんだからお揃いのアクセなんて普通でしょ」
なんて滑舌の悪い小宮を黙らせてくれそうな理佐ちゃんだから好き





135 :名無しって、書けない?:2018/08/27(月) 16:59:28.26 ID:rfZvLMfHa.net
理佐ちゃんだから好きスレの文字数制限から逃れてこちらに来たのに第3話だけNGワードに引っかかり結局細切れ投稿w

136 :名無しって、書けない?:2018/08/27(月) 23:00:38.34 ID:MZjUUUay0.net
>>134
小宮は、都合よく動かしたくなるような役にはもってこいですね
理佐ちゃんのトドメの一言もかっこいいです

>>125
何故かは分かりませんが、市原悦子さんの昔話の声で再生されてしまいましたw

137 :名無しって、書けない?:2018/08/27(月) 23:29:01.04 ID:MZjUUUay0.net
さくらももこさん、お亡くなりになりましたね

無理に関連付けるのも何ですが、チワンさんの漫才を読んでると、まる子ちゃんのような無邪気さを感じる時があります
ボケる方法が似ているというか、サザエさんには無いようなシュールな雰囲気があるんですよ
同じ日曜の夕方で、テーマも似ているのに、なぜこんなにも雰囲気が違うものとか感心します
そしてそのボケに対するキートン山田さんのツッコミも、チワンさんに似てる気がします
決して特別なことを描いているわけでもないのに、惹き込まれる魅力があるんですよね

と、小学生の時、まる子ちゃんのお姉ちゃんに本気で恋をしそうになった大阪府でした(笑)
でも、そのお姉ちゃんの声優である水谷さんも乳がんで亡くなってるんですよね…

138 :名無しって、書けない?:2018/08/28(火) 00:55:58.38 ID:orK4uVnpa.net
>>136
澤部か小宮で迷ったんですがここは小宮の出番かなとw

ちょうど今日ブログの方に大阪府さんに理佐ちゃんの写真集のフェイクニュースで騙された話を投稿したので事後承諾ということでm(__)m

139 :名無しって、書けない?:2018/08/28(火) 16:42:34.46 ID:IgsHGDwvK.net
>>137
国民的漫画と比較されるという身に余る言葉をいただいたみたいで恐縮ですm(_ _)m

でも実を言うと漫画もアニメもあまり真面目に見たことはないんですが
登場するキャラクターが強烈揃いなことはもちろん知ってまして(笑)
その中でもまるこのお姉ちゃんはかなりまともそうですし、惹かれるのも何だかわかる気がします

http://o.8ch.net/1935a.png
難しすぎてめまいしてきた(笑)

140 :まる子、お姉ちゃんの友だちに驚くの巻:2018/08/28(火) 20:50:10.26 ID:20a3Ahnr0.net
「まる子起きなさい」
この家の朝はこんな大声からはじまる。
「もうちょっと寝かせてくれてもいいじゃん、だって夏休みだよ」
布団は捲り上がりとんでもない寝癖の女の子がそんな不満を口にする。
「だってあんたもう夏休みも終わりよ。いい加減生活習慣戻さないとそれに宿題はやったの」
「もうーうるさいなわかったよ」
「わかってないからいってるんでしょ」
パンチパーマというかアフロというか
そんな髪型の中年女性は女の子の母親である。
女の子は布団を畳んでお茶の間へ行く。
「まる子やおはよう」
襖を開けてすぐに女の子へ
話しかけたのはゆで卵のような顔をした老人である。
「おじいちゃんおはよう」
まるこ、と呼ばれた女の子は途端
に笑顔になる。どうやらこの老人
いや、おじいちゃんが好きらしい。
「そうそうあんた今日お姉ちゃんのお友達くるからね」
母親はそういって手に持っていた茶碗を置く。
「聞いてないよお母さん」
「昨日話したでしょ」
「それにお姉ちゃんに友だちいたの?」
おじいちゃんとお母さんは途端に顔が引きつった。眉あたりから青い縦線が走っている。
「あんたねぇ・・・」
「あっ、そう言えばお姉ちゃんはどこにいったの?」
「お友だちを迎えに言ったわよ」
「なんでも東京に住んでるみたいじゃよ」
おじいちゃんは新聞から目を離してまる子に教える。
「なんでおじいちゃん知ってるのさ」
「昨日、お姉ちゃんが話してたのを聞いたんじゃよ」
「それは盗み聞きしたってこと?」
人聞きの悪い孫である。
お姉ちゃんが友だちを迎えに行ってから1時間。
まる子は東京から来ると聞いてソワソワしている。田舎町に住む子供とって東京は手を伸ばしても届かない、憧れの場所なのである。
「ただいまー 」
姉の声がしてお茶の間を飛び出る。
玄関先に居たのはお姉ちゃんと緑のワンピースを来た綺麗な女の人だった。
姉はまる子と目を合わすと嫌そうな顔をして
「あんた居たんだ」と言った。
「何よ、なんで居ちゃわるいのさ」
まる子は手をバタバタさせて抗議する。
「ほらそんなとこで喧嘩するんじゃないの。お姉ちゃんも。」
お母さんは台所から出てきて言う。
姉とまる子はバツが悪そうに顔を見合わせ、女の人は少し笑っていた。
お茶の間にはお母さん、おじいちゃん、まる子、姉、女の人、そしていつの間にか帰ってきた父の6人。

一家ほぼ勢揃いである。
なんでみんなが集まるのか。
まる子にはまだ分からなかったが、
東京から来る姉の友だちという
ことが理由だろうとキョロキョロ部屋を見回す女の人を見つめ呑気に考えている。
そして姉の友だちぐらいで大袈裟なとも考えている。
「えー、こちら友だちの小池美波ちゃん」
友だちと口にした瞬間姉が少し後を躊躇ったのは恐らく恥ずかしさのためだろう。
紹介された女の人はぺこりと頭を下げた。
「小池美波です」
小池美波はそう言って姉と目を合した。

後半へ続く

141 :名無しって、書けない?:2018/08/28(火) 20:51:34.08 ID:20a3Ahnr0.net
久しぶりに見返したちびまる子ちゃんから。
さくらももこさんが欅を好きだと言う話しから。後半は難しくてまだ作っておりません。

142 :名無しって、書けない?:2018/08/28(火) 20:53:02.07 ID:20a3Ahnr0.net
児童書でもなく活字のあるちゃんとした
大人向けの文庫本ではじめて読んだのが
さくらももこさんのさるのこしかけでした。
それから読書に没頭するように・・・

143 :名無しって、書けない?:2018/08/28(火) 23:22:42.13 ID:IgsHGDwvK.net
>>142
もん「あれ?どうしたの?小腹でもすいた?」
てち「いや、映画で小説家の役やらせてもらったけどさ、実際にも小説がバンバン書けるようになりないなと思って。そのためにはもっと沢山本を読まないと」
もん「それはわかったけどそのバナナは何だっての」
てち「そう、それで、これを食べると読者に没頭するようになるって聞いたからさ、動物園の飼育員さんに頼みこんで食べかけをもらってきたの」
もん「『サル残しかけ』じゃねーよ」

さくら先生の本が千葉県先生の人生を変えたとも言えるんですね
改めて合掌

144 :名無しって、書けない?:2018/08/28(火) 23:53:07.39 ID:qmDWaAVJa.net
>>139
上手すぎワロタw


>>142
さるのこしかけは俺も読みました

メルヘンじいさんとかゆうのでリアル友蔵が性悪だって読んだ時の衝撃たるやw

145 :名無しって、書けない?:2018/08/29(水) 00:21:55.89 ID:Swo+QnALa.net
ブログへの移植作業してて気づいたんですけど

1年半で1200話ぐらい書いてて自分では多作なつもりでいたんですけど
1年半を600日で計算すると1日2話ぐらいしか書いてないんですよね

ちょっと理佐ちゃんに申し訳ないと思ってしまいました

146 :名無しって、書けない?:2018/08/29(水) 00:41:06.31 ID:lQ9y/MZB0.net
>>143
ありがとうございます。
たしかに人生を変えましたね。

147 :名無しって、書けない?:2018/08/29(水) 00:41:58.50 ID:lQ9y/MZB0.net
>>144
リアル友蔵のエピソードはいろいろと衝撃的でした。

148 :もしもてちよねが千鳥っぽく漫才をしたらもし:2018/08/29(水) 01:09:55.59 ID:lQ9y/MZB0.net
てち「そういえば最近横溝正史読んでるんやけどな」
よね「えっ、横漏・・・れs・・・?」
てち「それ以上言うなぁ、ど下ネタじゃあ!」
よね「急にどうしたぁ?」
てち「どうしたもこうしたもねぇ!どんな耳しとるんじゃ」
よね「だっていまてちがよこ・・・」
てち「またそれを言うなぁ!わしがいったんは横溝正史じゃあ!」
よね「横溝正史なんか」
てち「で、その中で悪魔が来りて笛を吹くとか獄門島が好きで読んどるんよ」
よね「あっ、熊が来たりて笛を吹く?」
てち「クマじゃねぇ、悪魔じゃあ。それにクマがきたときに鳴らすんわスズじゃあ!」
よね「そうだった笑」
てち「あとは獄門島とかな」
よね「・・・ニヤッ」
てち「ニヤッとすなあ!下ネタとちゃう!獄門島じゃ」
よね「ニヤッとしただけやろ」
てち「いまエロ親父みたいな顔しとったからなぁ」
よね「きちがいじゃが仕方がない」
てち「知っとるんか、知っとるんならなぜ下の方に走るう?」
よね「あとは横溝正史だと犬が三毛の一族とかな」
てち「佐清は犬やったんかぁ!ちゃうやろ」
よね「昔のパソコンで変換するとそうなってたんや」
てち「親戚の結婚式並にどうでもええわ!」
よね「あとは・・・奴は嘉村とかな」
てち「奴はだれじゃあ!それ言うなら八つ墓村やろ」
よね「湖に白い足出してな」
てち「それは犬神家の一族じゃあ」
よね「違うんか」
てち「大間違いじゃあ」
よね「あとは人間椅子とかな 」
てち「それは江戸川乱歩じゃあしっかりせえよ 」
よね「♪幽霊列車がもうすぐ〜」
てち「突然どおしたぁ?バンドの人間椅子を誰がしっとんよ」
よね「♪突然の雨にうたれて〜夢中で何かを探したねぇ〜♪」
てち「だれがFIELD OF VIEWを歌えと言うた もうええわ」
よねてち「どうもありがとうございました」

149 :名無しって、書けない?:2018/08/29(水) 23:13:35.60 ID:KEe+LzYk0NIKU.net
>>139
めっちゃ上手く描けてるじゃないですか
こうして見てると、尾関ちゃんと理佐ちゃんみたいですね

>>148
てっちゃんのツッコミはボケ要素がありますねw

前から楽しみにしてたNGTの新曲が、Viva la Vidaに似ててビックリなんですけど、アレンジはすごくいいですね
金管楽器が全面に出てくる曲がどストライクで、二番サビ前にその騒がしさが止まるのも好みな演出です

150 :FOUR(104):2018/08/29(水) 23:35:47.38 ID:lQ9y/MZB0NIKU.net
彼女とは違う誰かと手を繋ぎ街を歩く。
その事に違和感を感じていた。
「どうしたと?」
五月晴れの下を信号機が明減する。
「なんでもない」
「ふーん、そっか」
背の小さな祐希は不思議な顔で
僕を見る。
新しい彼女が隣に居るようになって
一ヶ月経つ。
新たな温度を肌に感じつつも
まだどこか違和感がやまない。
「あ。そういえばね、美味しい焼き芋やがあるの行こ」
信号が変わって祐希に腕を取られる。
「待って、って」
そういいながら小さな背中を追う。

151 :名無しって、書けない?:2018/08/29(水) 23:39:58.73 ID:KEe+LzYk0NIKU.net
>>138
ブログ見てきました
そう言えばそんなこともありましたね(人にしたことはすぐ忘れるタイプ)

あの時は写真集秒読み段階まで来ていると踏んでたんですが案外まだでしたね
出来ることなら、10代最期の理佐ちゃんをフィルムに収めて欲しかったです
数字の上では一つでも、19歳と20歳ではやっぱ響きが違う感じがしますもんね

152 :名無しって、書けない?:2018/08/30(木) 00:12:23.53 ID:+crz3a9ka.net
>>151
確かに10代の理佐ちゃんを写真集という形に残さなかったのは痛恨の極みですよね

ブログは保管用のつもりだったんですけど意外と熱心に投稿してますw

153 :名無しって、書けない?:2018/08/31(金) 08:09:55.80 ID:yHKtD4KjK.net
過疎みたいなので

ちびまる子ちゃんのほのぼのとした空気感は欅板とは180度違うものですが(笑)
大阪府先生の>>149をヒントに欅板によるちびまる子ちゃんの配役をイメージしてみた

まる子:尾関
お姉ちゃん:理佐ちゃん
として

仲良しのたまちゃんがゆいぽんで
その写真を撮りまくるお父さんがオダナナ←

実際の長沢くんは野口さんポジで
ちょっとひねた永沢君は志田に任せて
くっついてる藤木くんはすずもん

仕切りたがりで多少うざい丸尾くんはズバリふーちゃんで
花輪くんはやはり菅井ちゃぷてん
花輪家のヒデじいは実在の菅井家の爺やでもいいんだけどダメなら土生ちゃんあたりで

いつも笑ってる山田がずみこ

めったに登場しない百恵ちゃんがてちこ

…そろそろ限界だ(笑)

154 :名無しって、書けない?:2018/08/31(金) 22:58:32.55 ID:VhYttmFsa.net
>>153
保守乙でありますw

古来より過疎った時ほど天才が現れると言いますから期待して待ちましょう

155 :てんぷくトリオ?:2018/08/31(金) 23:42:16.38 ID:TeaK2lEe0.net
おだ「もういいだろ どうもありがとうございました」
美波「まだなんもはじまってねーだろ なにいきなりおわらそうとしてんねん」
おだ「(踊りながら)町流し〜 なんてな」
美波「だれがおわら 風の盆をやれというた」
おだ「ほら周りシーンとしちゃったじゃん」
美波「おもにお前のせいだ」
(ふたりの背後から突然)
てち「ところで突然なんだけど私声優になりたくてー」
おだ・美波「ほんとに突然だな!」
てち「えへへっ」
おだ「♪何から伝えればい〜いのか」
美波「おだ違いだよ」
おだ「ところで声優さんで憧れの人っているの?」
てち「あ〜こぉぅ〜がぁれってぇゆうぅかぁ〜お〜いふぅ〜ぐたくぅ〜ん」
美波「なんで憧れの人いちばん濃いヤツにしたんだよ しかもなんでアナゴさんだよ」
てち「いやなんか、なんとなーく」
おだ「というか文章じゃこの上なくわかりづらいでしょ」
てち「ほんと、それな」
おだ「お前に言ってんだよ」
美波「まぁまぁ」
てち「でね!アフレコとかしてみたいの」
おだ「あぁ〜こぉのぉはなしはとぉっぷシークレットでぇ〜」
てち「そりゃオフレコだよ」
美波「つーかなんでおだななまで若本規夫が伝染ってんねん」
てち「吉田戦車?」
おだ「うつるって何ー(大爆笑)」
美波「お前が笑うな」
おだ「ところでちょっと聞いていい?」
美波・てち「なに?」
おだ「若本規夫って誰?」
てち「知らないでモノマネしてたのかよ」
美波「それでなかなかのクオリティって奇跡だな」
おだ「いや文章だからわからないっての」
てち・美波「だからお前が言うなよ」
美波「で、そのダイエーのオフレコがどうしたの?」
てち「もう何もかも違うよ」
おだ「まずこのトリオで漫才やったのが間違いだよ」
てち「そこから間違えてたのかよ」
美波「2人とも本気で言ってるの?」
おだ・てち「本気で言ってたらここにいねーよ」
おだ・てち・美波「えへへへへ」
(三分経過)
おだ「いつまで笑ってんねん」
美波「なんか止まらなくなっちゃって」
おだ「しかもなに人様のネタを拝借してまんねーん」
美波「はぁ? (怒る)」
てち、ワイングラスを回しながら
てち「まぁまぁ二人とも」
美波「石原裕次郎かお前は」
おだ「ねーそろそろ終わりにしなーい」
てち「飽きてんじゃねーよ」
(おわり)

156 :名無しって、書けない?:2018/09/01(土) 11:01:29.57 ID:TPOPoCVE0.net
>>153
てちこさんへの皮肉を感じますね…w

>>155
乙です

>>154
今は閑散期ですね
読書の秋にもなれば誰か来るでしょう

157 :女は囁いた:2018/09/02(日) 00:30:43.56 ID:9T+zbfED0.net
東京から船で南下すること3時間。
東京都下に位置する七刀島に
一人の女が降り立ったのは198x年
晩夏の正午すぎである。
女の格好は白いレースのロングワンピース
とサンダル。白い腕と太腿が形のない
小弱な太陽に照らされて眩いばかりに
目に明く。船から降り港に立つと
大きく伸びをして辺りをキョロキョロ
見回した。
港からは古い木造が丁字路に沿って
立ち並んでおりその奥を右手に
進むと雑貨屋に郵便局を兼ねた
「鈴屋」があり、さらに真っ直ぐ
進めば辺りは只管古びた木造の


平屋である。また左手に進むと
書店と文房具屋を兼ねた「織田商店」があり、隣合うように
定食屋の「小林食堂」がある。
その丁字路を2キロほど直進すると
合の字型の瓦屋根に白壁、それにコの字を組み合わせたような建物がある。
それが通称「本屋」と言い、
付近の住人からはもとやと
呼称がある。また道を港に戻って
右に1キロ弱進むと、くすんだ
赤殻壁に古木戸、ロの字型に組んだ
此方はプラスティックのような形状の
屋根で覆われたお屋敷がある。
それを「和合屋」と言い、
わけやと渾名がある。
女はその和合屋に向かって
歩いているのだった。
扨、この女は島の古色蒼然とした土地柄には合わない品のある格好で
筋骨隆々としたタンクトップ
の土気色の漁師たちは必ず
一度は振り向くという程だった。この女は格好から察せられるように
この島の出身ではない。しかし、何も関わりもないと言う訳でもない
取り敢えず育ちは東京は世田谷、
閑静な住宅街のなかにある
おそらくはその和合屋とは
比類もならない程絢爛豪華な家
で育った言わばお嬢様なのである。
尤も当人はその事を必死に隠そうとしているが会話の時の仕草
箸の上げ下ろしからはその
気品めいたものを隠すことは
最早出来ない。

大体の場合ものの数分で
女の育ちが露見して了う。

158 :名無しって、書けない?:2018/09/02(日) 00:32:41.08 ID:9T+zbfED0.net
ココ最近只管横溝正史を読んでいるのでその影響で伝奇小説チックな探偵ものを。
金田一耕助とは真逆な女探偵ゆっかーを、

159 :名無しって、書けない?:2018/09/02(日) 00:33:37.66 ID:9T+zbfED0.net
ちなみに語りのイメージは映画、獄門島のナレーションをした小林昭二さん。

160 :女は囁いた 第2話:2018/09/02(日) 00:50:35.56 ID:9T+zbfED0.net
「ふう・・・」
黒い肩までの髪は潮風に揺らめき
手にもつ黒のトランクは女には
驚くほど不釣り合いだった。
膨らました頬には未だ少女のような
可愛らしさを滲ませ、
顎元の汗は谷間に深く迄滑り込み
女は顔を赤らめた。
細長い鶏の足の如く細い指で
チャイムを押し女は唇を噛み締めて
木戸が開くのを待っていた。
どれくらい待っただろうか。
黒のレールが軋み。
暗い影に包まれた女の姿は
眩い日差しの元に照らされた。
果たして扉を開けたのは
黒く束ねた髪に
水色のTシャツに短パンというラフな
格好をした女だった。
「あっ、よねー」
木戸の前に立ち尽くしていた女は
途端に破顔してさし向かった女に
手を振る。
「久しぶりやなゆっかー」
ラフな格好の女は手を振った女
にそう言って少しだけ面持ちを崩した。
この木戸に相対したふたり。
お嬢様めいた女を菅井友香。
ラフな格好の女を米谷奈々未という。
時代劇でお馴染みのあの松の
廊下を思わせる廊下を米谷は先導し、
やがて、木組みに白襖の戸を開け、
日が斜めにさした広々とした和室に
菅井を通した。
「ここでしばらく泊まってって」
菅井は聞いているのかいないのか
判然としない表情で辺りを見回した。
どうやらこのお嬢様の癖らしい。
およそ30畳はあろうか。
和室には水墨画の掛け軸と
黒くくすんだ花瓶に百日草と
向日葵が生けてある。
そして真ん中には津軽塗に
龍の彫ってある机。
押し入れも隅にあった。
「いま冷たいのもってくるから。」
辺りを興味津々と見回す菅井に
そう言いおいて米谷は部屋を出た。
その時、米谷の唇が何かを含んだように
笑んだのは読者以外誰も知るまい。

161 :名無しって、書けない?:2018/09/02(日) 21:56:42.05 ID:58AfnNelK.net
>>160
まさかの米さん活躍の予感に続きが気になるう(笑)

>>154
>>156
先生方の予言通りに鬼才が現れて怒涛の書き込みが始まってますね
別スレで(笑)

162 :名無しって、書けない?:2018/09/02(日) 22:14:56.30 ID:yf+Re8sGd.net
>>161
別スレ?

163 :名無しって、書けない?:2018/09/02(日) 22:15:23.74 ID:yf+Re8sGd.net
ここ以外になんか別スレでもあるんですか?

164 :名無しって、書けない?:2018/09/02(日) 22:30:31.04 ID:58AfnNelK.net
>>163
個人スレを立てられてます
長編または一気に更新するならこのパターンのほうが適してますかね

【小説】欅坂守屋「バトルロワイアル?」
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1535728023/

165 :名無しって、書けない?:2018/09/03(月) 09:00:48.62 ID:i4u1D+7ja.net
>>164
一気読みしてきました

めっちゃ先の気になる展開で面白かったです

ああゆうの読むと構成とかちゃんと考えてきちんとした長編を書きたくなりますね

書き貯めるのが面倒くさいけどw

166 :名無しって、書けない?:2018/09/03(月) 09:19:55.77 ID:8Cgw/wgYK.net
>>165
庭先生がコメントしたの一発でわかりました(笑)

昔地下板でもサーモンさんという文豪がAKBメンでバトルロワイアルものを書いて未だに伝説になってますからね(確かアメブロかどこかに保管もされてるはず)
こういう題材は需要あるんですね

167 :名無しって、書けない?:2018/09/03(月) 21:20:32.06 ID:htRDp1oV0.net
おだななが珍しく新聞を読んでいる。
するとそこにこんな見出しが。
「国・自治体の制度DB化」
おだななは驚く。そして。
おだ「おい、てーへんだぁ、国と自治体がドラゴンボールになるらしいぞぉ」

てちに新聞を見せる。

てち「え、なに?あ、ほんとだぁ」

そこにねるが登場。ジト目でひと言。

ねる「二人ともこれはデータベース化のことばい」
おだ「なんだぁ紛らわしい」
てち「明日も新聞読んでくれよな」

カットがかかる。

ねる「っていうCMどうですか?」
土田「著作権的にアウトだわ」

168 :名無しって、書けない?:2018/09/03(月) 21:32:03.48 ID:htRDp1oV0.net
何も映ってないテレビに向かって
てち「池江行けぇー」
ねる「(心配そうに)てっちゃん疲れてる?」
てち「(笑いながら)疲れてねーわ」
おだ「ねる、一人でどうしたの?」
ねる「え、てちと一緒やん」
おだ「いや、ソファーにはねるしかいないじゃん」
ねる「(慌ててソファーの隣を見る)いや、てちここにいるやん」
てち「(おだにむかって手を振る)」
おだ「いや、さっきからずっと一人で喋ってるじゃん。ねる疲れてる?」
ねる「てち見えてないっておだななこそ疲れてる?」
てち「そんなときにはこれ(某ビタミンドリンクを取り出す)」
ねるとおだがビタミンドリンクを飲む。
おだ「(辺りを見回して)あれ?ねるが居ない?」
ねる「(辺りを見回して)おだななが居ない?」
てち「みんなもこのビタミンドリンク飲んでみてね〜(手をひらひら)」

カットがかかる

てち「ってCMどうですか?」
澤部「いや、怖えーよ」
土田「誰も買わなくなるだろ」

169 :名無しって、書けない?:2018/09/03(月) 21:33:59.30 ID:htRDp1oV0.net
>>168
土田「っていうかドリンク渡した時点で平手見えてるだろ」
澤部「そこはいいんですよ別に」
ねる、頭の上に手を置く

170 :名無しって、書けない?:2018/09/04(火) 00:06:46.58 ID:5GyZeC30a.net
>>166
分かってしまいましたかw

お恥ずかしい・・・

171 :名無しって、書けない?:2018/09/04(火) 19:38:26.72 ID:/3cL0CXa0.net
>>164
すごい構成力ですね

>>166
文才ある人はみんな保管用ブログがありますねw

>>167
新聞のCMと言えば、聖●新聞のCMは毎回見ちゃいます
作品としては相当高いレベルにあるような気がしますね
ただ、最後の企業名で何か騙されたような気分になりますw

172 :名無しって、書けない?:2018/09/04(火) 22:35:41.75 ID:9uKafFvz0.net
欅坂の幕張ライブ初参戦で理佐ちゃんが最後まで丁寧に頭を下げてたのが印象的でしたし、ほんとに可愛かったという保守。
ちなみに京葉線が運転見合わせでどえらい混雑でした

173 :名無しって、書けない?:2018/09/05(水) 18:37:06.72 ID:+Kav+w0D0.net
校舎の窓から見える空は彼方がオレンジを絞ったような色になり、手前はそのオレンジを追いかけるように
白いスケッチブックへ水彩の絵の具をぬりあげたような薄いブルーになっている。
パタパタと下の方がインクの染みで汚れたカーテンが揺れ、僕は思わず手を止めてそれを見ていた。
「どうしたの・・・」
そう訊ねる彼女の茶色い髪は代わりゆく季節の風に僅かながら乱れている。
それを細い指で掻き分けていた。
「いや、もうすぐ秋だなって」
「どうしたの?」
彼女の目は可笑しそうに細めいた。
「なんかあっという間だったなーってさ」
「でもまだ文化祭も卒業式もまだだよ?」
美術室から持ってきた荒い木の椅子に座り込んで彼女はアコースティックギターを誰かの落書きで汚れた樟んだクリームの壁へ立てかけた。
僅かな椅子の隙間に手を置き足をバタバタとさせた。
「文化祭〜まだかな〜」
彼女は少なからず文化祭を楽しみにしているようで、僕はその横顔を見つめる度に、(横顔しか正視できない)華麗なリズムで跳ね上がる心臓が苦しい。
「そういえば、ぽんはもう進路決まったの?」
何度も逡巡した挙句可也歪曲した質問をする。本当に聞きたいことは永遠に聞けないままだ。
「ねぇ、ぽんじゃなくて名前で呼んで。」
キーボードの白鍵を見つめていた僕は驚いて彼女の方を見た。
抗議の眼差しに僕は縮み上がった。
「小林・・・?」
ぼそっと呟く。
「小林嫌いなの」
彼女の口調は益々棘が強くなる。
「・・・由依ちゃん?」
僕は顔を上げる。
彼女は満足気な表情をしたあとでこう付け足した。
「ちゃんは要らないから」
グラウンドの声も咲きかけた金木犀の香りも全て消えてなくなって二人だけになったみたいだ。
「由依・・・でいいから」
彼女は俯いてからしばらく無言になり
やがて座り直した。
「由依・・・」
僕はなんの躊躇いもなくそう言った。
いつもより大きな声で。
「なに?」
彼女は顔を上げる。
少し嬉しそうに白い歯を零した。
「呼んでみただけ」
僕はそう言って白鍵を叩いた。
「何それ 」
彼女はそう言って髪を解いた。
床に零れた夕刻の茜空にに2人の姿が映った。

174 :名無しって、書けない?:2018/09/05(水) 18:51:28.36 ID:+Kav+w0D0.net
笑いあう二人を音楽室の窓から見かけて
私は此処に来たことを激しく後悔した。
いつも三人で帰ることにしているから
今日も同じように。だけど今日は
いつもより早めに音楽室へ来た。
ただ、それだけだった。
キーボードを弾く彼と髪を解いてアコースティックギターをかき鳴らして歌う
由依ちゃんの姿は絵になるくらい
綺麗でそれを見て殊更後悔の波が
寄せて返す。
あの一言だけがいえず。
ついに私は先を越されてしまったみたいだ。あんな笑顔みたことない。
私の前では。だけど仕方ない。
二人はお似合いだ。お世辞ではなくて
心から。深呼吸をして扉に手をかける。
「そろそろ帰ろー」
二人がわたしを見て砕けた笑みを浮かべる。
「帰ろっか。」
由依ちゃんはそう言って黒いケースを
端から引き出した。
彼はキーボードのプラグを抜いて、
カバンを手に取る。
「お待たせ。」
ケースを背負った由依ちゃんの
隣をさり気なく確保して
彼を見る。どうやらまだ気づいていない。
「菅井さんも由依もまたあそこに寄っていく?」
「うん」
由依ちゃんは嬉しそうに頷く。
昨日よりもずっと。そして彼は
いつの間にか呼び方が変っている。
私は思わず立ち止まった。
音楽室を出た真っ直ぐの廊下で。
「どうしたの?」
由依ちゃんが振り返って私を見る。
「ううん、なんでもない、行こ」
鴉が夕方の空を何かを探すように
飛び回る。
だけどまだ私は由依ちゃんの隣に居たい。
二人が付き合うまでは。

175 :名無しって、書けない?:2018/09/05(水) 23:10:18.11 ID:j5BVtMqDa.net
>>174
切ないぜチャプテン・・・

176 :名無しって、書けない?:2018/09/06(木) 20:04:31.20 ID:dOOpbqxEa.net
せっかく大好きな欅ちゃんを主役に小説書けるんただ狂人の如く書きまくれ!

177 :名無しって、書けない?:2018/09/06(木) 21:13:47.00 ID:WySJXeKJa.net
以前に千葉県さんがあらすじ書いてくれた「千葉県さんのあらすじの理佐ちゃん」をブログに移植させてもらいまさしたm(__)m

例によって事後承諾でよろしくですw

178 :名無しって、書けない?:2018/09/06(木) 23:19:55.01 ID:v3sIy5dBd.net
>>177
了解です

179 :174の続き:2018/09/07(金) 00:17:50.72 ID:/AJmEMYO0.net
彼が鈍感なのか。私が分かりにくいのか。
答えはどっちだろう。
似たような制服を着て全く異なる顔をした
生徒たちが屯するスターバックスを見渡した。香水やボディーシートの香りが混ざりあい濁った空気が宙に滞留している。
「二人はどう?文化祭のやつ」
今月発売されたばかりのフラペチーノに
ストローを指しながら隣に座っているゆっかーが訊ねる。
「順調じゃない?」
彼は向かい側で私の顔を伺ってから答える。
まるで重苦しいあの日の進路相談だ。
しかしなぜゆっかーは毎回私の隣に座るのだろう。もしかしたら・・・
そんなわけないか。私は彼の泳いだというよりは溺れたような眼差しを認める。
「しかし結局彼氏も出来ないままかー」
フラペチーノが溶けた氷で薄まる頃。
ゆっかーはそう言い伸びをした。
「あれ?告白されなかったっけ?ゴールデンウィーク明け」
「あれは断っちゃったから」
「バスケ部の補欠の人?だっけ、たしか澤野・・・」
彼はポリポリと頬をかきながら言う。
蚊に刺されたのか赤くなっている。
「澤部・・・」
ゆっかーはぼそっと答えて後、バツの悪そうな顔をして黙り込んだ。
その折、たまたまThankyou!とプラスティックの容器に書かれた黒色のメッセージと目が合った。そう言えば、これはどうして滲むことがないのだろう?と試しに考えてみる。答えがすぐに出るくらい頭が良かったらと考えてそれっきり辞めた。
「それより由依はどうなの?」
「どうなのって?」
ゆっかーに訊かれた私は驚いて顔を上げる。まさかゆっかーがそんなことを聞くとは思わなかった。
「うーん、なんもなかったかな。ってまだ半年あるけどさ」
半年という歳月に校庭に咲く花のない桜を想う。しかし咲き誇る時を思う度ただ虚しい。
「僕もなにも・・・」
おずおずと聞かれてもないのに彼は
そう答えた。
「でもこの前告白されてたでしょ?」
「そうなの?」
自分の声がよく響く。
彼とゆっかーはじっ、と私を見つめる。
「いや、なんかごめん」
私はそう呟くように言って水だけになった
残りを飲み干した。

「で、どうしたの?結局。」
わたしは彼の顔の蚊に刺されたところを見つめる。
「いや・・・」
口篭る彼は私と目を合わせてくれない。
「まさか返事してない・・・とか?」
ゆっかーは手探りで呟いた。
「断っちゃった」
彼は申し訳なさそうに私とゆっかーを見た。
「勿体ない。だって理佐ちゃんだよ?」
ゆっかーは仰天したように目を丸くする。
「まあね・・・」
わたしは二の句を告げない彼のもどかしさに苛立つ。
「なんで断ったの?」
ゆっかーはデパートの迷子係よろしく穏やかに訊ねる。
「うーん、ほかに好きな人いるからね」
彼はそう言って手持無沙汰になったのか
とっくに空になったアイスコーヒーの
容器を持ち上げてゴミ箱を探す。

180 :漫才「警察官なーこ」:2018/09/07(金) 00:32:25.56 ID:Nbh3akjZd.net
なーこ「私警察になりたいんだよね」
おだ「一日署長とか?」
なーこ「いや、そんなんじゃなくて本格的な」
おだ「試験受かるの?」
なーこ「多分いけると想う」
おだ「まじかよ」
なーこ「受かったらさ。こう拳銃とかの打ちっぱなし行きたいよね」
おだ「そんな休日にお父さんがゴルフに行くみたいな感覚で言われてもね」
なーこ「ほら婦警さんとかがヘッドホンして人型にむかって打つヤツ」
おだ「あれ言っとくけどまじめな訓練だからね」
なーこ「えっ、そうなの?」
おだ「別にストレス解消のためにあるんじゃないからね なんのためにあると思ったよ」
なーこ「なーんだ」
おだ「がっかりしてんじゃねーよ」
なーこ「あとはカツ丼食べたり」
おだ「捕まる方だろそれは」
なーこ「いや犯人には出さずに取り調べしながら食べるの。」
おだ「ただの嫌がらせじゃねーか」
なーこ「案外自白するかもよ?」
おだ「絶対自白しねーな うちだったら」
なーこ「あと報道陣の前でジャンパー被ったり」
おだ「だから捕まる方だろそれは」
なーこ「あとは白バイ乗り回したり」
おだ「拳銃撃ってカツ丼食ってジャンパー被るってただのやべーやつだよ そのうち捕まえるほうじゃなくて捕まる方になるよ」

181 :漫才「警察官なーこ」2:2018/09/07(金) 00:46:38.65 ID:/AJmEMYO0.net
なーこ「ほらーいい加減吐けよ」
おだ「なんだ突然」
なーこ「私が始めたら普通おだななは犯人やってよ」
おだ「突然すぎるわFIELD OF VIEWか」
なーこ「ほらーいい加減吐けよ」
おだ「棒読みリピートするなよ しかもお願いしますくらい言えよ」
なーこ「はいはい、お願いします お願いします、なんだお前は」
おだ「なんだお前は、はこっちのセリフだ」
なーこ「ほらーお前がやったんだろー」
おだ「なにしたって言うんだよ」
なーこ「白昼堂々 ゆいぽんの膝に倒れ込んだろー」
おだ「それ実話じゃねーか」
なーこ「ゆいぽん泣いちゃっただろー」
おだ「どんだけ昔の話をしてんだあのあとごめんって謝ったよ」
なーこ「ごめんで、すんだら警察はいらないよ」
おだ「だからなんなんだお前は何がしたいんだ一体」
なーこ「まあとりあえず死刑だな」
おだ「取り敢えず生ビールみたいな感覚で判決だしてんじゃねーよつーか警察官は裁かねーよ」
なーこ「ケツなんが出てないよクレヨンしんちゃんか私は」
おだ「半ケツじゃねー判決だどんな聞き間違いしてんだ」
なーこ「あれーそうだっけ」
おだ「そうだよ」
なーこ「というかなんで私たちこんなことやってんの」
おだ「元はと言えばお前が始めたんだろ」
なーこ「やっぱ警察官よりアイドルがいいや」
おだ「ならこんなコントやらなくて良かっただろ」
なーこ「やっぱり拳銃振り回してカツ丼食いまくるアイドルになるわ」
おだ「法に抵触するアイドルやるんじゃねーよ」
なーこ「だって君は君らしく生きてゆく自由があるんだって歌ってるんだし?」
おだ「自由に生きすぎなんだよこち亀の両さんかお前は」
なーこ「借金ないし」
おだ「そっちの話じゃねーよ もういいよ」
おだ、なーこ「どうもありがとうございました」

182 :名無しって、書けない?:2018/09/07(金) 19:02:20.17 ID:/K+2nxrbd.net
バトルロワイヤルスレが盛り上がるなかここはいつも通り平和

183 :名無しって、書けない?:2018/09/07(金) 19:02:44.69 ID:/K+2nxrbd.net
誰か見てる人はいるの?

184 :名無しに吹かれても:2018/09/07(金) 19:26:20.75 ID:ThIHnlUC0.net
欅バトロワおもろ

185 :人形館の悲劇(1):2018/09/08(土) 01:20:23.44 ID:isQmPWLQ0.net
発端

何処で何をしても視界へ入る位置に七五三の恰好をした布地の女人形が置いて有った。 渡辺梨加はホテルの部屋でそれを見つけた時、文字とおり凍りついたように体が固まった。
わたしは、この部屋に三日も泊まらなくてはならない。女人形の碁石のような双眼と目が合って、その事実に慄然とした。
「ねぇ、なーこちゃん」
カードキーを手に取り慌てて隣の部屋にいる長沢菜々香の元へ行く。
「梨加ちゃん、どうかしたの?」
あの人形を想うと気が気でない梨加は菜々香の凪のような語調が耳に触れた刹那思わず安堵した。
「いや、ともかくわたしの部屋に来て」
分厚い雑誌をベットで読んでいた菜々香の手を引っ張り自分の部屋へと連れて行った。
「どうかしたの?」
菜々香は尋常ならざる梨加の雰囲気に思わず語尾が震えて了った。
「ほら、あれ、」
言葉少なに梨加はガラスに被われた人形を指さした。
「ああただの日本人形じゃん。」
菜々香は安心したようにつかつかと人形の前へ近寄った。
「怖くないの?」
梨加は女人形よりもケロッとした表情でそれに近寄る菜々香の方が恐ろしくなった。
「別におばあちゃん家に有ったし」
「これが怖くて」
「大丈夫だよ」
「なんかこわーい」
「じゃあ私夜ここにこよっか?」
「えぇ、なーこちゃん良いの?」
「良いよ別に」
「やったー」
事態は一件落着したかに思えた。

菜々香と梨加の真下に位置する部屋に
スーツケースを乱暴に投げおいたのは副キャプテンの守屋茜である。
「あー疲れた。」
ブルペン入りの野球選手よろしく肩をぐりんぐりん回す茜は3時間も同じ姿勢でバスに乗り続けたことへの疲れがピークに達していた。
それから茜は部屋を見渡した。
シングルベッドが1つ。その横には電気スタンドとメモ帳にボールペン、電話機が置いてある。そしてベットの足元には鏡と机、コンセントの近くにはドライヤーがあり、
机の右隣には冷蔵庫と左隣にはテレビがあった。
そして、そのテレビにはリモコンと説明書が置いてある黒い棚があるのだがー
その黒い棚の上にある物体を見て思わず茜は頬に手を当て叫んだ。
「なにこれ」
そこにはーゴスロリの恰好をしたフランス人形があったのである。
楽しいはずの3泊4日が途端に悪夢へと転じた。
茜は矢も盾もたまらず向かいのキャプテンの部屋へ飛び込んだ。

186 :名無しって、書けない?:2018/09/08(土) 13:06:40.13 ID:j+IL/abba.net
最近スマホの規制が長時間で2ちゃんへのモチが下がりそう

187 :名無しって、書けない?:2018/09/09(日) 05:10:06.81 ID:FJJl+imNa.net
挙げとくよ〜

188 :名無しって、書けない?:2018/09/09(日) 08:08:23.54 ID:RGKnH1T5d.net
>>187
ありがとうございますー

189 :名無しって、書けない?:2018/09/09(日) 08:36:05.47 ID:RGKnH1T5d.net
列車の車窓はスピードを上げてゆきやがてフェンスの網目が無くなってゆく。
誰かの座ったあとが樟んだ赤のシートに
残り。埃っぽいような古い列車独特の香りが車内を包む。
網棚の隅にE231-32という列車番号の表示がある。
6人がけのシートの端にはブレザー姿の高校生のカップルが居り。
手は握られ硬いシートに置かれている。駅をいくつか通過し窓からは所狭しと敷き積まれた家々が見える。
両端と扉前の窪みだけ人が居てその他は空席。自動アナウンスは英語と日本語を繰り返しまもなく幕張駅に着く頃。

LED表示は次は幕張という表示を繰り返す。
空調の加減は若干涼しいと思わせるくらいである。
「電車乗るの久しぶりだな」
連結部分の3人がけに座る女性が隣の男性へ話しかける。2人の間にある数センチの空白がいまの関係を歴然と物語る。
「ふだんは車か歩きだもんね」
男性は女性の頬の辺りを見て喋る。
二人の齢は10代の後半から20代の前半くらいか。男性はいかにも虚弱な出で立ちで肌は白く、目元口元の線が細い。総合的に凡庸な風情である。ボーダーのTシャツにブルーのパンツ。スニーカーはダークブルーの紐が細い。
踵は履き潰されて皺が幾重にも刻まれている。女性の方は白地に多面体が重なった図柄のTシャツに足首丈のロングスカート。
スニーカーはどうやら男性と同じもののようである。
そして男性とは違いこの女性は真昼すぎの住宅街を疾走する総武緩行線内にはあまり無い整った顔立ちであるが、何故だろう。
この女性の華は他の老人達や眠りこけるサラリーマンといったモニュメントと紛れてしまう。
「でも休みの日なのにこんなんでいいの?」
男性は恐る恐る女性に訊ねる。

語調は波打ち、女性はうん?と聞き返した上でこう告げる。
「いいの。」僅かに唇が振動しブラウンのハーフアップにした髪が揺れ、シャンプーの香りが舞った。
「そう、なんだ」
「人混みがあまり好きじゃないの」
不思議な人だ。とでも言わんばかりに男性は女性の首元を見る。肌もそうだが、首元も偉く白い。
列車は二人を乗せそろそろ幕張駅のホームへと滑り込む頃である。


190 :あしたのゆいぽん 第1話:2018/09/09(日) 22:54:21.51 ID:u5I255VBa.net
「どっかに才能溢れた若い衆はいねえもんかな・・・」

愚痴をこぼしながら泪橋を渡りドヤ街にやってきた段平な俺

キャバクラで振られてヤケ酒かっくらってそのまま公園で寝ちゃう俺

そんな俺をうっかり踏んづけちゃうゆいぽん

「やい貴様!俺様を踏んづけて挨拶無しか?こっち来てセクハラさせやがれ」
ここぞとばかりにちょっと好みなゆいぽんに絡む俺


「いてててて〜」
見かけによらずケンカっ早いゆいぽんに一方的に叩きのめされる俺

「オッサン、次からは相手見て絡みなよ」
なんて俺のことを踏んづけたのは棚にあげるゆいぽん

「ちょっと待てや!お前いいパンチ持ってるじゃねえか、俺と世界を目指さねえか?」
すかさずゆいぽんをボクサーにしようと口説く俺

そんな俺を胡散臭そうに振り返るゆいぽん

「オッサンさっき橋のとこで若い衆探してましたよね、私は女の子ですよ」
泪橋での俺の愚痴を聞いてたゆいぽん

「そんなの気にすんな、お前が一緒に世界目指してくれるなら女だけのボクシング世界チャンピオンを目指す設定にすっからよ」
なんて小説の世界だからって原作の設定を変える俺

「そんな適当なこと言われても・・・」って歩き去るゆいぽん

「泪橋の下にある小屋でボクシングジムやってるから気が向いたら顔出してくれ」

遠ざかるゆいぽんの背中に叫ぶ俺



明日はどっちだ?

191 :あしたのゆいぽん 第2話:2018/09/09(日) 23:20:52.68 ID:u5I255VBa.net
「ただいま〜」

ゆいぽんのスカウトに失敗して仕方なく帰宅な段平な俺

「遅いよ!何時だと思ってんの!」
気の強い一人娘が文句言いながら俺を出迎えてくれる

原作の段平と違ってボクシングは1週間で音をあげて普通の人生を歩んだお陰で家族が居る俺

もっとも娘は思春期の難しさか俺のことはお父さんと呼ばずねぇとしか呼んでくれないが・・・

「お店放ったらかしにしてまた遊びに行っちゃったってお母さん怒ってたよ」
なんて口は厳しいがてきぱきと俺のためにお味噌汁温めてくれる娘の理佐ちゃん

「マジか・・・」
妻が怒ってると聞き頭を抱える俺

「頭抱えてないで早くお風呂入ってきなよ」

なんて娘の理佐ちゃんに急かされてお風呂入る俺



「ねぇ、お母さんが泪橋の小屋売りに出すって言ってたよ」
お風呂から上がりご飯食べてる俺に話しかける娘の理佐ちゃん

「なに!?あのジムが無くなったら俺は生きる目的を喪うぞ」って穏やかじゃない俺

「でも練習生が一人も居ないジムなんてお母さんから見たら無駄にしか見えないんじゃない」

「練習生なら今日見つけたよ、相当な素質の持ち主をね」
理佐ちゃんの言葉にゆいぽんを脳裏に浮かべる俺

「ふ〜ん、じゃあお母さんにもうちょっと様子見てあげなよって言っといてあげるからお店の仕事も頑張ってね」
なんて優しい理佐ちゃん

もともと俺の親がやっていた倒産瀬戸際な乾物屋

そんな乾物屋を嫁いで来て瞬く間に立て直し今や店舗数を10店舗に増やした俺の嫁

ちなみに原作の乾物屋の紀ちゃんが理佐ちゃんなのは言うまでもない

「わが丹下拳闘倶楽部のためにもゆいぽんにはボクサーになってもらわねば」
なんて決意も新たにおやすみなさいの俺


明日はどっちだ?

192 :あしたのゆいぽん 第3話:2018/09/09(日) 23:39:54.33 ID:u5I255VBa.net
「てな訳でさ、うちのジムを救うと思ってボクシングやってくれよ」

翌日、さっそくゆいぽんのバイトしてるコンビニを訪れた俺

「嫌です」
一言の元に断るゆいぽん

「でもさ、ゆいぽんのパンチは神様からのギフトだぜ、活かさないとバチが当たるってもんだよ」

「嫌です、それに放課後は吹奏楽部の練習あるし無理です」
なんてジョーと違って天涯孤独でもないし音楽を愛するゆいぽん



「仕方ないな」
なんて策を練る俺

ゆいぽんのバイト仲間を金で買収してレジのお金消失事件をでっち上げてゆいぽんを犯人に仕立てあげる俺


計算通りに犯人扱いされて警察にしょっぴかれるゆいぽん

しめしめ、これで学校クビになって親にも見放されたゆいぽんがヤケ起こして不良になるだろ
そしたら少年マンガのパターンに乗って世界チャンピオン目指すのも時間の問題だわな
なんてほくそ笑む策士な俺

ニコニコして連行されるゆいぽんを群集に紛れて見送ってたら暴れだすゆいぽん

俺が見抜いた素質を発揮してお巡りさんをボコボコにして逃走しちゃったゆいぽん


「埼玉の狂犬の名は伊達じゃねえ・・・」
なんて人混みに紛れて見えなくなるゆいぽんに呆然とする俺


明日はどっちだ?

193 :名無しって、書けない?:2018/09/09(日) 23:42:02.40 ID:u5I255VBa.net
主役が理佐ちゃんじゃないのでこちらに投稿させていただきましたm(__)m

しかし、原作ありとはいえストーリーを考えて書くのは疲れますね

194 :あしたのゆいぽん 第4話:2018/09/10(月) 19:03:44.85 ID:CFQJYWmXa.net
「今ならまだ罪は軽い、速やかに出てきなさい」

空き家に立て籠るゆいぽんに拡声器で投稿を促す警察のオッサン

「ひぃ〜なんでこんな大事になってんだ」
なんて己が小細工弄するからやろがいってツッコミ入れられそうな俺

と、そこに

「お店放ったらかしにしてフラフラしてんじゃねーよ」
なんてドスを効かせながら嫁の理佐ちゃん登場

いわゆる娘と嫁の一人二役ってやつだ

こうして嫁も理佐ちゃん娘も理佐ちゃんという究極の男の夢を実現した俺

そんな俺が最後の夢と思い描くのがこの手で世界チャンピオンを育てるってことなのだ

「ねぇ、何ぶつぶつ言ってんの?」って不機嫌な理佐ちゃん

「実はさ・・・かくかく・・・しかじか」
なんてゆいぽんと俺の因縁を説明する俺

「じゃあ、あの娘が理佐(娘)が言ってた素質半端ない金の玉子なんだ」
立て籠るゆいぽんを見つめる嫁理佐ちゃん

「うん、なんとか助け出してボクサーへと導けないもんかな」
嫁理佐ちゃんに知恵を借りようと相談する俺

「え〜、私その手のこと考えるの苦手なんだけど・・・」
なんて頼りにならない嫁理佐ちゃん

てなことやってたらゆいぽんの手下のガキたちが警察に向かって投石開始だ

さすが埼玉の狂犬

警察相手にも徹底抗戦するゆいぽんの闘魂にますます一緒に世界を目指したいと思う俺

「理佐ちゃん、お小遣い少なくなってもいいから、ゆいぽんと世界を目指させてくれ」
そう言ってゆいぽんの立て籠る空き家に向かって歩き出す俺

「もう、言い出したら聞かないんだから」
なんてむくれるけどいつも俺を許してくれる優しい嫁理佐ちゃん



明日はどっちだ?

195 :あしたのゆいぽん 第5話 前編:2018/09/10(月) 19:41:15.56 ID:CFQJYWmXa.net
「おい、今ならまだ間に合うから出てこい」

警察のを無視してゆいぽんの立て籠る空き家に入ってく俺

「来ないで!」って俺を制止するゆいぽん

「こっからさきはガキのイタズラじゃすまないぜ」
言いながらゆいぽんに近づく俺

「お金なんて私は盗んでないのに誰も信じてくれないじゃん!」
なんて俺に殴りかかってくる埼玉の狂犬

ゆいぽんの回転気味の左ストレートに合わせて炸裂する俺のクロスカウンター

「うそ・・・」
俺を弱いと思っていたゆいぽんが愕然として膝をつく

「俺はお前が金を盗んでないって信じてるよ、だからお前も俺を信じろ」
信じるも何もゆいぽんに濡れ衣着せた張本人が俺なんだからどうしようもねえ



「俺君の夢のためだから最高の弁護士つけてあげないとね」
ゆいぽんを乗せたパトカーを見送る俺を励ますように言ってくれる嫁理佐ちゃん

理佐ちゃんの言葉にゆいぽんを陥れたことは墓まで持っていこうと決意する俺

196 :あしたのゆいぽ 第5話 後編:2018/09/10(月) 19:41:40.10 ID:CFQJYWmXa.net
翌日

「寝れたか?」

なんて嫁理佐ちゃんが手配してくれた弁護士を連れてゆいぽんの面会に訪れた俺

「なんで私なんかに良くしてくれるんですか?」
今まで天涯孤独に生きてきたぼっちぽん

人の優しさに戸惑い気味だ

「言ったろ、お前は俺の夢だってよ」って笑う俺

「ありがとう・・・」って肩を震わすゆいぽん

「そんなことよりよ、お前左出す時にぐるぐるさせちゃう癖があるからよ、まずはその癖から直そうや」
照れ隠しに技術指導始めちゃう俺

「俺さん、時間が有りませんからボクシングはまた今度と言うことで」
なんて俺を止める弁護士

「とにかくハガキにパンチの打ち方書いて出すからよ毎日練習しろな」
なんてゆいぽんを元気づける俺



明日はどっちだ?

197 :名無しって、書けない?:2018/09/10(月) 19:42:32.50 ID:CFQJYWmXa.net
なんでNG ワードに引っかかるんだw

198 :名無しって、書けない?:2018/09/10(月) 23:58:14.89 ID:hg7rzZba0.net
なーこ「好きな漫画ってある?」
てち「うーん漫画か・・・あんまり」
なーこ「わたしはりぼんとかちゃおとか少女漫画系の雑誌読んでるんだけどね、てちは?」
てち「スピリッツとモーニングかな」
なーこ「おじさんかお前は」
てち「ちなみに好きな漫画は島耕作と三丁目の夕日かな」
なーこ「だからおじさんか」
てち「なーこは?」
なーこ「わたしは少女漫画で、好きなシーンは転校した学校が男の子だらけでそこ女の子1人だけみたいな」
てち「学校に女の子一人だけ?」
なーこ「漂流教室かよちがうよ 女の子が転校してきたところが男の子ばかりの学校だったってこと」
てち「でも男子校に女子はいれなくない?」
なーこ「ディテールの細さはいいんだよ別に」
てち「あとは?」
なーこ「ロールキャベツ男子かな」
てち「食べ物が喋るわけねーだろ」
なーこ「リアルなロールキャベツじゃないよ 外見は草食系で2人だけだと肉食系みたいな」
てち「あーそういうことか」
なーこ「ところでてちの好きなタイプは?」
てち「うーんツンデレな人?」
なーこ「ロシアの秘境か」
てち「それはツンドラだろ」
なーこ「危険な箱を開けたりして」
てち「それはパンドラだろうが」
なーこ「ツンデレってなに?鞭をビシって」
てち「ちげーよ 団鬼六か つーかどんな漫画読んでんだ普段」
なーこ「団鬼六?」
てち「そこはいいんだよべつに」

199 :名無しって、書けない?:2018/09/10(月) 23:58:51.18 ID:hg7rzZba0.net
欅ちゃんで漫才をするスレでも立てようかな

200 :名無しって、書けない?:2018/09/11(火) 01:13:00.74 ID:rX068zPka.net
>>199
チワンさんがめっちゃ書きに来そうw

201 :名無しって、書けない?:2018/09/11(火) 01:32:42.48 ID:hv7qTfbT0.net
>>200
立ててみましたw

http://itest.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1536597073/

202 :名無しって、書けない?:2018/09/11(火) 12:38:42.48 ID:za68Fhd0a.net
>>201
本当に立ってるw

203 :あしたのゆいぽん 第6話:2018/09/11(火) 22:25:36.09 ID:JnA084Qea.net
「ゆいぽん俺のハガキ読んで練習してるかな?」

娘の理佐ちゃんに手伝ってもらいジムの掃除する俺

あれから色々あり鑑別所に入ってしまったゆいぽんに思いを馳せる俺

「しかし、降りかかる火の粉とはいえ同じ房の連中を全員ボコッちゃうなんてゆいぽんの短気にも参るよなぁ」
なんて愚痴る俺

「ねぇ、私にばっか掃除させてないで動いてよ」
相変わらずお父さんとは呼んでくれない理佐ちゃん

「わりいわりい」って慌てて掃除始める俺

こんな風に俺に対していつも怒ってはいるが嫁の理佐ちゃんに俺をボクシングに専念させてあげてくれって頼んでくれた娘理佐ちゃん

俺は幸せだな〜


「ねぇ、そんなに心配だったらさ私のクラスの菅井さんに頼んであげようか」
なんて相変わらず言葉たらずで何が言いたいのか伝わらない娘の理佐ちゃん

「うん・・・?」って何を伝えたいのか推理する俺

「もう鈍いな!菅井財閥がボランティアで少年院のお手伝いしてるからお父さんもねじ込んでもらえるように頼んであげるって言ってんの!」
自分の言葉足らずを棚にあげてキレる娘の理佐ちゃん

「お前今・・・お父さんって・・・」
怒りに我を忘れて思わずお父さんって言ってくれた娘理佐ちゃんにゆいぽんどこじゃない俺

「えっ・・・」
俺に言われてお父さんって言った自分に気づく娘理佐ちゃん

「お父さんのバカ!?」
なんて顔を真っ赤にしてジムを飛び出て行く娘理佐ちゃん

「掃除まだ途中・・・」
遠ざかる娘理佐ちゃんの背中に呟き涙流す俺

ゆいぽんのお陰で何年ぶりかに娘理佐ちゃんにお父さんって呼ばれた俺

絶対にゆいぽんを世界チャンピオンに育てると思いを新たにする俺


明日はどっちだ?

204 :なんか漫才スレが過疎ってるのでここに漫才を投下:2018/09/11(火) 22:52:48.44 ID:e7KpR/HD0.net
なーこ「好きな漫画ってある?」
てち「うーん漫画か・・・あんまり」
なーこ「わたしはりぼんとかちゃおとか少女漫画系の雑誌読んでるんだけどね、てちは?」
てち「スピリッツとモーニングかな」
なーこ「おじさんかお前は」
てち「ちなみに好きな漫画は島耕作と三丁目の夕日かな」
なーこ「だからおじさんか」
てち「なーこは?」
なーこ「わたしは少女漫画で、好きなシーンは転校した学校が男の子だらけでそこ女の子1人だけみたいな」
てち「学校に女の子一人だけ?」
なーこ「漂流教室かよちがうよ 女の子が転校してきたところが男の子ばかりの学校だったってこと」
てち「でも男子校に女子はいれなくない?」
なーこ「ディテールの細さはいいんだよ別に」
てち「あとは?」
なーこ「ロールキャベツ男子かな」
てち「食べ物が喋るわけねーだろ」
なーこ「リアルなロールキャベツじゃないよ 外見は草食系で2人だけだと肉食系みたいな」
てち「あーそういうことか」
なーこ「ところでてちの好きなタイプは?」
てち「うーんツンデレな人?」
なーこ「ロシアの秘境か」
てち「それはツンドラだろ」
なーこ「危険な箱を開けたりして」
てち「それはパンドラだろうが」
なーこ「ツンデレってなに?鞭をビシって」
てち「ちげーよ 団鬼六か つーかどんな漫画読んでんだ普段」
なーこ「団鬼六?」
てち「そこはいいんだよべつに」

205 :名無しって、書けない?:2018/09/11(火) 22:55:32.82 ID:e7KpR/HD0.net
>>204
しまったもう投稿してるやん

206 :179の続き:2018/09/11(火) 22:59:04.94 ID:e7KpR/HD0.net
「やっぱりそうなんだ・・・」
長い廊下で理佐は物憂げに呟いた。
「ごめん」
僕は理佐の隣にいるのが心苦しくなった。
「絶対後悔するからね」
「うん」
「ところでさ 好きな人って誰?」
「好きな人?」
「だってほかに好きな人がいるから断ったんでしょ?」
「まぁ、そうだけど」
僕はなんといっていいか分からず黙って
歩き続けた。靴音だけが聞こえてくる。
「当てようか?」
理佐はニヤニヤして言った。
「ゆいぽんでしょ」僕は黙り込んだ。
「ほら当たった」
理佐は勝ち誇ったように僕をのぞき込んだ。完封負けだ。
「ゆいぽんなら仕方ないか」
目の端に浮かぶ光るものを僕は見て見ぬふりをした。
「頑張ってね」
理佐は階段を降りてから下駄箱まで
走っていってしまった。
僕は結局、じゃあね すら言えない。
まさか彼女が好きだと見抜かれた。とは言わなかった。話を切ると面接官みたいな二人は
それぞれなにかを考えるような仕草をした。
「そっか・・・で、好きな人はだれなの?」
チャプテンがニューヨークチーズケーキにフォークを入れながら訊いた。
気づいたらチャプテンだけまた何か注文していたのだ。
「まぁ・・・」
本題から逸らすように経緯をはなしたのだが、チャプテンは轡を逃さない。
またしつこく訊いてくる。
「それ当ててあげよーか。」
4人がけのソファー席に男の声が響いた。
僕はその、声の方を見る。
そこには、部活帰りの毬栗頭がいた。
「あ、サワビ」
彼女は可笑しそうに指を指す。
「指をさすな、指を」
毬栗頭は嬉しそうに締まりなくツッコミを入れる。
「お前が好きなのはゆっかーだ!」
毬栗頭は得意げに言った。
途端にチャプテンはフォークを置き、彼女は毬栗頭を睨んだ。
「えっ、何?」
たじろいだように毬栗は口を閉ざした。
「最低。」
彼女は氷のような声で言った。
チャプテンはなにも言わずフォークを弄ぶ。
「冗談だったんだけどなぁ」
毬栗は頭をかきながらヘラヘラ笑った。
「デリカシーのない発言してんじゃねーよ」
毬栗の真後ろでまた声がした。
「あっ、理佐」
彼女は驚いたようにそう言った。
「ほら行くよ。」
理佐は毬栗の耳を引っ張って言う。
「痛いって理佐ちゃん」
「ちゃん付けしてんじゃねーよ」
とんだ珍客である。

207 :名無しって、書けない?:2018/09/11(火) 23:00:51.30 ID:e7KpR/HD0.net
欅ちゃんでライアーゲームをやったらどうなるんだろう。意外とゆいぽんが勝ちそう

208 :名無しって、書けない?:2018/09/11(火) 23:11:08.41 ID:JnA084Qea.net
>>204
漫才スレを育てなさいw

209 :今日までの間に:2018/09/12(水) 20:57:37.84 ID:Tqt8Si5kd.net
墨をぶちまけたような色の空が広がる。
開け放したリビングの窓へ吹き込む風は
短い秋の訪れを感じさせた。鳥肌のたった腕を撫でながらもわたしは窓を閉める気になれず真夜中になると決まって針の狂う置時計を睨んで徐々床に潜ろうと思い巡った。来客はその時、チャイムを鳴らした。
「今夜、泊めて。」
彼女はそう言いながらダークレザーのショートブーツを脱いで部屋へ上がり込んだ。
「ここはお前のための宿場じゃないぜ」
「いいでしょ、去年の春まで付き合ってたんだから」
首までの黒髪を揺らし柑橘の香りを漂わテーブルに座った。低く刺すような声のせいで機嫌の善し悪しまでは伺いしれない。
「いつ日本に帰ってきたんだ」
「昨日」
「荷物は?」
「全部向こうに置いてきた。っていうか捨ててきた。嵩張るし。」
「ってことはいま持ってるそのハンドバッグにあるのが荷物の全てか」
「そう言うこと」
「洋服類とかどうしたんだよ」
「べつに新しく買えばいいかなって」
彼女はそこまで言うと鈍い音を立ててテーブルへ額をつけた。
「そんなことで寝るなよ」
返答はなかった。
仕方ない。わたしは毛布を彼女へ掛けると灯りを消して自分の部屋で眠った。
眠ったといってもわたしは寝つきが悪く、本格的な眠の中へゆくには一時間ほどを必要とする。薄いブルーのシーツを体へ巻き付けながら幾らか寝返りを打ち漸くうとうとした頃に彼女が部屋へはいってきた。
「寝かせて」
短くそういうと彼女はわたしのシングルベッドへ潜り込んだ。狭い。コートはリビングへ置いてきたのか白いシャツとジーンズだけになっていた。
わたしはなんとか隙間を作るべく壁とキスをせんばかりに近づく。すると彼女はそのわたしが作った隙間をすぐに埋める。
結果、彼女の平坦な胸とわたしの背中とが密着するような格好になった。
「くっつきすぎでしょ」
わたしは夜更けの掠れ声でそう言うと彼女は黙ってわたしの腹部へ手を回した。

目覚めたのはお昼を回った頃だった。
背中の温もりはもうなくベットの跡だけが残っている。
「あれ?平手?」
誰も居ないリビングでわたしは頭の中へ霧がかかるのを感じた。
「おはよう。」
彼女は狭い書庫代わりのクローゼットに居た。入った途端、彼女の声が飛んできた。一応はウォーキングクローゼットになっているが、所狭しと本が詰められているためウォーキングの意味はもはや無い。
彼女はそんななかで膝を付けてぴたんと座りながら古い文庫本を開いていた。
「昨日は眠れた?」
わたしがそう聞くと黙ってこくりとうなづきやがてこう言った。
「いまいいとこだから邪魔しないで」
わたしは黙って書庫を退散した。

「しばらくここに居るから」
既成事実のように彼女はそう言った。
「いつまで?」
「さぁ、分からない」
彼女は書庫から数冊の文庫本を持ち出していた。これは当分居座るつもりだ。
わたしはその文庫本を睨んだ。

210 :あしたのゆいぽん 第7話 前編:2018/09/12(水) 23:20:53.55 ID:tRcZ0MTHa.net
「よろしくお願いします」

娘の理佐ちゃんが学校帰りにジムに連れてきた菅井財閥のお嬢様ゆっかーに土下座で挨拶する庶民な俺

「ちょっと、いきなり土下座なんてしないでよ」って慌てる娘理佐ちゃん

「でもよ、菅井財閥のお嬢様だぜ」

「だからって土下座までしなくてもいいじゃん」ってむくれる理佐ちゃん

「確かに嫁の理佐ちゃんが頑張ってくれたお陰で我が家もかなり裕福だけど菅井財閥に比べたら路傍の石にも劣る存在なんだから仕方ねえじゃねえか」
可愛い我が子の娘理佐ちゃんに金持ちにはぺこぺこへっらう処世訓を伝授する俺に

「卑屈になってんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん

「理佐、お父さんにそんな口きいちゃダメだよ」
なんて理佐ちゃんを諭してくれる優しいゆっかー

211 :あしたのゆいぽん 第7話 後編:2018/09/12(水) 23:22:42.05 ID:tRcZ0MTHa.net
「まあ!?ジムの練習生が・・・」
俺の訴えに憐れみの瞳を向けるゆっかー

「へえ、我が子同然に思っているもんで、心配で夜も眠れんのです」

なんてうちひしがれた振りする俺を冷めた目で見つめる娘の理佐ちゃん

さすがにわざとらしかったか

なんて後悔してたら

「練習生を思うお父さんの気持ちに感動しました、今週の日曜日にご一緒しましょう」
俺の手を取ってボランティア参加を快諾してくれるお嬢様ゆっかー

さすが育ちが良い、まったく擦れてないゆっかーに感動な俺

それに比べてうちの理佐ちゃんときたら・・・
なんて冷たい目で理佐ちゃんを見る俺

「なによ?その目」って機嫌が悪くなりそうな娘理佐ちゃん

「理佐ちゃんのお陰だよ〜ありがとうね、理佐ちゃんは世界一の娘だよ」
なんて娘にまで気を使うやはり卑屈な俺





明日はどっちだ?

212 :名無しって、書けない?:2018/09/12(水) 23:23:58.81 ID:tRcZ0MTHa.net
最近NGワードが厳しい・・・

213 :名無しって、書けない?:2018/09/14(金) 00:21:09.59 ID:w/fZvyEPa.net
「お嬢様あちらに繋いでよろしいでしょうか?」

冤罪で捕まったゆいぽんに会うためにやってきた鑑別所

娘の理佐ちゃんが同級生の菅井友香に頼んでくれて菅井財閥ボランティア隊に潜り込んだ俺

「はい、お父さんありがとうございます、ヴォルフラムが寂しがるので一緒に居てあげてくださいね」
俺の手を借りて馬から降り鑑別所の所長に挨拶しに行くゆっかー


「鑑別所来んのに馬で来るなんて金持ちの考えることは分からんね・・・」
ボランティアの一員かと思いきやゆっかーの愛馬ヴォルフラムの馬丁として雇われた俺



「まさか馬の世話をさせられるなんてな・・・早くゆいぽんに会いたいのによ・・・」
どうしたもんかと困っていたら見たことあるジジイが

「あんたスーパーボランティアのジジイじゃねえかよ、テレビ見てファンになったんだサインしてくれよ」
尊敬するスーパーボランティア尾畠さんにサインねだる俺

214 :名無しって、書けない?:2018/09/14(金) 00:22:24.33 ID:w/fZvyEPa.net
>>213
あしたのゆいぽん 第8話 前編

タイトル入れ忘れてしまいましたm(__)m

215 :あしたのゆいぽん 第8話 後編:2018/09/14(金) 00:22:55.16 ID:w/fZvyEPa.net
「ゆいぽ〜ん♪何処に居るのやら♪」って五木ひろしばりにゆいぽん探す俺

菅井財閥ボランティア隊のエースボランティア尾畠さんにヴォルフラムの世話を頼みゆいぽんを探してるってわけだ

すると

「ゆいぽん止めなって、脱走なんて出来るわけないよ」

なんてゆいぽんを必死に止める声が

「もう耐えられないよ、私は何にも悪いことしてないのに」
声の主に応えるゆいぽん

ゆいぽんが脱走を企ててるだと!?

慌てて声の方に駆け出す俺のの目に飛び込んだのは

豚の大群に乗って鑑別所の門に向かってかけってくゆいぽん

マジか!?って立ち尽くす俺



明日はどっちだ?

216 :名無しって、書けない?:2018/09/14(金) 00:24:11.26 ID:w/fZvyEPa.net
例によってNGワードに阻まれて分離投稿すいませんm(__)m

217 :名無しって、書けない?:2018/09/14(金) 02:41:06.66 ID:3XzbJTIS0.net
漫才ばかりで小説から離れてゆく・・・

218 :名無しって、書けない?:2018/09/14(金) 09:52:04.38 ID:AZ8+hR28a.net
>>217
漫才スレに漫才書いたけど難しかった・・・

219 :あしたのゆいぽん 第9話 前編:2018/09/15(土) 00:44:53.36 ID:/HmITIrKa.net
「ひぇ〜〜何やってんだゆいぽん!?」

ゆいぽんに会いにはるばる鑑別所までやって来た俺

そんな俺の目に飛び込んできたのは豚の大群を操り脱走を謀る埼玉の狂犬全開のゆいぽん

「おじさんゆいぽんを止めて!」
なんて叫びゆいぽんを追いかけ駆け出す女囚

「お前は誰なんだよ?」
ゆいぽんと豚の大群をを追いかけながら女囚に訊ねる女

「私はここに来る前にゆいぽんにヤキ入れて仕返しにボコられたオダナナ」

「じゃあお前がゆいぽんがここに入る原因になった牢名主か!?」
そんな女がなんだってゆいぽんのために必死になるのか不思議な俺

「詳しいことは後で話すよ!それよりおじさんはゆいぽんの何なの?」

「俺はゆいぽんが世界で唯一尊敬してる心の師だよ!」

なんてオダナナに口からでまかせ言って角を曲がる俺

220 :あしたのゆいぽん 第9話 後編:2018/09/15(土) 00:45:11.54 ID:/HmITIrKa.net
「どけどけどけ〜」
豚の上に乗り左手ぐるぐる回しながら逃げ惑う女囚たちを追い散らし門に迫る脱走待ったなしのゆいぽんと豚の大群

その前に突然立ち塞がる一人の女囚



明日はどっちだ?

221 :名無しって、書けない?:2018/09/15(土) 00:46:25.90 ID:/HmITIrKa.net
例によってNGワードにより分割投稿許されよm(__)m

222 :もしもあの二人が姉妹だったら。:2018/09/15(土) 01:03:47.96 ID:tOzLL1Ht0.net
日盛りに輝く葉緑を翳した掌の隙間から覗き見た。午後3時を回ったこの街はコンクリートに蒸し上げられ歩く人々は皆一様にハンカチで額の汗を拭っている。
目指す建物はもう眼前に聳えていた。
「東京科学大学 小金井キャンパス」
黒い筆書きの看板には斯様に記してある。
それを一瞥すると開け放たれた門をくぐって左端にある煉瓦造りの建物に入った。
長廊下の樟んだ色彩と静寂は大林宣彦の映画へ迷い込んだようだ。
しかし時代はまもなく平成が終わろうとする頃合いである。つまり十何年も前である。

白衣の女はわたしへ白磁器にそそがれた黒々とした珈琲を寄越しながら訊いた。
「お父さんの葬式どうだった?」
「あんま人おらんかったわ」
彼女は年季が入った革張りのソファーに身を預けながら腕を組む。何かを考えてるようで無言である。わたしはそんな彼女を対面で見て不思議な生き物だと感じる。
「でもいくら嫌いやからって葬式にも出んとは思わんかったわ、姉ちゃん」
姉の方へ目をやる。
姉は二三度咳をしてからふっと口を開いた。
「あんなのに時間割いてる暇ないから」
こんな仕事に身を投じていなければ今頃、幸せな日々を過ごしていただろうに。
わたしは整った顔立ちの姉を見る度思う。
「七瀬、実家はどうするの?」
わたしは唐突に訊ねられ体が少し震えた。
「片付けるもん片付けたら売ろうと思う」
なにも考え無しにわたしは言う。
「あんなとこ売れるの」
「一応、船場やで」
「でもボロいじゃん」

223 :もしもあの二人が姉妹だったら。:2018/09/15(土) 01:04:37.41 ID:tOzLL1Ht0.net
「准教授 守屋茜」と書かれたネームプレートがななめに差し込む日を浴びて輝く。
「ところで教授にはいつなれんの姉ちゃん」
「まだ新人の長濱教授が来たばかりだから当分無理だと思う」
埃を被ったビーカーを遠い眼差しで見つめて姉は言った。
「長沢・・・誰?」
「一昨年まで居た教授の米さんがアメリカへ行ったからその代わりとして来たの。」
カールの掛かったブラウンヘアーはこのけったいな部屋には似合わない。
「ふーん」
聞いてみたもののあまり興味が湧かなかった。
「お姉ちゃんまだ仕事?」
「この通り」
わたしは姉の机を見る。
デスクトップパソコンには紙束と本が堆く積もっている。
姉はお手上げのような仕草をした。
画面は暗くなっていて分からないがこの部屋に来た時頬杖をついてデタラメにキーを叩いていたところを見ると論文の進捗状況が芳しくないらしい。
「全く進んでない?」
髪を耳に掛けて訊く。
「全然。」
「そうか」
「ところで七瀬仕事は?」
「さっき家でMOEのイラスト渡したところや」
「順調なんだ」
姉は白衣を脱いでソファーの隅に置いた黒いコートを取り寄せた。
「もう今日は帰ろうかな」
姉は少しだけ微笑んだ。
「そっか。」
わたしも立ち上がって腰を伸ばした。
また腰が痛み出したようだ。

「姉ちゃん留学の話はどうなったん?」
「硫化?」
「留学」
強く言い直す。
「ああ、あれね。なーこちゃんに取られちゃった」
「取られた?」
「枠がひとつしかないの。それで審査漏れ」
「そういうことか」
「ほんと運ないのうち」
「そんなことないと思うけどな」
中央線沿線の吉祥寺駅近くにあるイタリア料理店でグラスワインをはさんで座った。
「あーあ。歴代最年少で准教授になったあの頃が懐かしいわ。」
姉のグラスは溜息に曇る。
「去年愛萌ちゃんに歴代最年少抜かされたんだっけ」
姉はわたしを軽く睨んでべつの方を見た。
「院にいた頃からあの子優秀だったの」
「ふーん」
「でも七瀬の高校の後輩だったとは知らなかった」
「あの子やっぱり高校の頃も頭良かったで」
「来年は教授になりたい・・・」
姉は密かな野望をぽつりと零してフォークを手にした。

224 :名無しって、書けない?:2018/09/15(土) 12:39:02.62 ID:ZbSGiehbK.net
皆さん更新乙です

昨夜バトルロワイアル小説が無事に完結したようです
やはり題材や筆力次第ではまだまだ小説にも需要があると示してくれた意味でも良スレですね

その一方で先ほどニャンコ先生の道化師スレはdat落ちしたようです
最終書き込みから2日ちょっとでした

225 :名無しって、書けない?:2018/09/15(土) 13:41:21.88 ID:Uj5pHoHha.net
>>224
ついに完結しましたか

欅ちゃんが殺し合う展開についていけなくて途中で挫折しちゃったんですよねw

ニャンコ先生のスレが無くなっちゃったのは淋しいです、、、涙

226 :名無しって、書けない?:2018/09/15(土) 14:59:35.84 ID:ZbSGiehbK.net
>>225
私もスレ保守にはちょっと協力したものの実はほぼ読んでないんですが(笑)
作者は以前欅ちゃんたちの乗ったバスを舞台にした謎解き風の一編を書かれた方みたいですね

ああいうバトルロワイアル物については私も実は一言あるんですがそれを書こうとしたらすごくダークになりそうだったので(笑)
そのうちそれを取り入れて小説風に書けるといいなあ

227 :名無しって、書けない?:2018/09/15(土) 19:35:57.98 ID:Uj5pHoHha.net
>>226
遅ればせながら呼んできましたw

チワンさんのバトルロワイアル楽しみにしとります

228 :名無しって、書けない?:2018/09/15(土) 23:01:15.83 ID:AiiARbWUa.net
漫才書いててあしたのゆいぽん書いてる時間が無くなってしまいましたm(__)m

本日は千葉県さんにお任せしますw

しかし、チワンさんや千葉県さんがさらりと書いてたから気楽に漫才スレに参加したけど漫才が手強い・・・

それにつけても大阪府さんはどうしたんだろうか?

229 :名無しって、書けない?:2018/09/15(土) 23:58:16.58 ID:+c2UIBqFa.net
初めましてこんばんはー
このようなスレがあったんですね同志です!
こちらのBRは所詮二番煎じですが、これからもがんばってください〜

230 :名無しって、書けない?:2018/09/16(日) 15:32:35.70 ID:YBQJwLAza.net
>>229
ありがとうございますm(__)m

231 :あしたのゆいぽん 第10話 前編:2018/09/17(月) 01:42:21.48 ID:8/iLTZtMa.net
「どけどけ〜当たると痛えぞ!」

豚の背に乗り行く手を遮る女囚を怒鳴るゆいぽん

「やべえな、完全に埼玉の狂犬の血が覚醒しちまってる」
今にも立ちはだかる女囚を豚の大群で轢いちゃいそうなゆいぽんにどうすることも出来ずに見守る俺


「ずーみんさん、危えですよ〜」
なんて悲鳴をあげる女囚たち


うお〜豚に轢かれちまう

なんて女囚たちの心配をよそに軽々としたフットワークで豚の大群をかわし的確にパンチを繰り出すずーみんと呼ばれた女囚




瞬く間にずーみんにぶちのめされてしまった豚の大群

「何これ・・・」
その情景に呆然と呟くオダナナ

「ありゃ紛れもねえ、ボクサーの動きだ・・・それも一流のな・・・まさかこんな所でゆいぽんに匹敵する才能に出会えるなんて」

ゆいぽんとずーみん

眩い光を放つダイヤの原石に立ち尽くす俺

232 :あしたのゆいぽん 第10話 後編:2018/09/17(月) 01:42:47.08 ID:8/iLTZtMa.net
「オッサン、ぼうっとしてないで止めないと」

オダナナの叫びに我に返る俺


「てめえ、邪魔しやがって!」
豚の背から飛び降りずーみんに戦いを挑むゆいぽん

「やめろゆいぽん、今のお前じゃそいつには勝てねえ!」

なんて俺の叫びも空しく左手くるくるパンチをずーみんに叩き込むゆいぽん

しかしあっさりかわされずーみんの左ボディから左アッパーを顎に喰らい意識を失うゆいぽん

「ゆいぽ〜ん」
なんて悲鳴をあげるオダナナ

「だから言わんこっちゃねえ」
慌ててゆいぽんを介抱する俺

何事もなかったように立ち去るずーみん




明日はどっちだ?

233 :白い数式:2018/09/17(月) 21:52:16.57 ID:FSqwml450.net
「ここに二乗して終わり」
米谷奈々未はそう言ってチョークを黒板の溝に置いた。放課後、教室の床は秋の日の柔らかな夕日が差し込む。
「どう、これで分かった?」
奈々未はそう言って教卓へ手をついた。
「その公式を使ってさらに二乗してってこと?」
黒板は白い数式だらけである。
その中でも目立つように赤く書かれた公式を指さす。
「そう、そういうことや。」
奈々未はうなづいて答えた。
僕は教卓の近く、最前列の席でスカートの裾に付いた白い粉を払う奈々未を目で追う。僕は口の中で言い籠って辞めた。
「そろそろ帰ろうか」
結果、至極在り来りな言葉になる。
「そうだね」
奈々未は腕時計を見てから廊下側の2列目にある机へ置きっぱなしにされたカバンを掴んだ。
僕もまた机の上のものを片付けカバンにしまいながらふと黒板に残った数式の痕を眺めた。
「あのさ・・・」
僕は軽く咳をして振り向きざまの奈々未に話しかけた。

234 :名無しって、書けない?:2018/09/17(月) 21:53:06.78 ID:FSqwml450.net
ちなみにこの話はこのシーンで終わりです

235 :名無しって、書けない?:2018/09/17(月) 23:03:59.33 ID:txLoCWupa.net
>>233
いつにも増して投げっぱなしが清々しいw

236 :あしたのゆいぽん 第11話 前編:2018/09/17(月) 23:17:48.54 ID:txLoCWupa.net
「うお〜」

雄叫びあげて医務室のベッドから跳ね起きるゆいぽん

「ゆいぽん、落ち着いてよ」
なんて闇雲にパンチ出すゆいぽんにしがみつくオダナナ

どうやらまだずーみんと闘ってるつもりらしい意識ガチャガチャなゆいぽん

しがみつくオダナナを振りほどこうと暴れ続けるゆいぽん

「目を覚ませ」
ヤカンの冷水をゆいぽんの頭に浴びせる俺

「何しやがん・・・!?」
冷水でようやく我を取り戻したゆいぽん

「ここは・・・?」
自分にしがみつくオダナナに問いかけるゆいぽん

「医務室、あんたずーみんに殴りかかってあっさり秒殺されちゃったから・・・」
言いにくそうに答えるオダナナ

「負けた・・・?私が・・・」
呆然と呟くゆいぽん

恐らく負けたことが無いのだろう

現実を受け入れられずに煩悶するゆいぽん

「ああ、情けねえ負けっぷりだったぜ、いくら相手が一流のボクサーだとしても情けねえ」
ゆいぽんを笑う俺

「うるせえ!黙れオッサン」
俺を睨みつけるゆいぽん

まだ目は死んでないゆいぽん

それを確かめて満足する俺

「なに笑ってんのキモいな・・・」
俺に毒づく口の悪いゆいぽん

237 :あしたのゆいぽん 第11話 後編:2018/09/17(月) 23:18:13.51 ID:txLoCWupa.net
「おじさん、私はそこまでキモいって思わないよ」
俺を慰めてくれる優しいオダナナ

「でもよ、心配してこんなとこまで様子見に来てんのによ、キモいは酷えじゃねえかよ」
娘の理佐ちゃんと同じ年のゆいぽんにキモいって言われて落ち込み半端ない俺

「こんたとこまで追いかけてくるのもキモい」
なんてさらなる追い討ちをかけてくるゆいぽん


ずーみんに秒殺された悔しさを晴らすために八つ当たりする負けず嫌いなゆいぽん



明日はどっちだ?

238 :名無しって、書けない?:2018/09/17(月) 23:19:10.71 ID:txLoCWupa.net
そして今日もNG ワードに引っかかり分割投稿な俺w

239 :名無しって、書けない?:2018/09/18(火) 00:27:06.51 ID:0dh3x7v40.net
>>235
描き始めると長くなるので強制終了しました

240 :名無しって、書けない?:2018/09/18(火) 00:35:17.10 ID:0dh3x7v40.net
結末を決めずに書くせいかどんどん話が伸びて終いには突然放り出したくなる

241 :はるまついぶき:2018/09/18(火) 01:10:13.88 ID:0dh3x7v40.net
目を閉じて眺める景色はいつも光がさしこむ。彼女はいつもその中にいる。
彼女は口をつぐみ、僕がなにかを話しているのを微かな笑みのなか黙って聞いている。それを見ているとなぜか僕はたまらなく寂しい。でもその寂しさが愛しているということなのだろうと言い聞かせている。
「もうすぐ桜が咲くって」
僕がそう彼女に話しかけると彼女はまた微かに笑って言う。
「もうきっとその頃にはここに居ないよ」
黒くつやめいたあの長い髪は首までに短くなっている。背中が驚くほど小さく、頼りなげにみえる。
「どこに行くかは教えてくれないの?」
僕はもう何度聞いたか分からない質問をした。
「いつか君が探してよ。」
雪解けの水が川の流れをせきたてる。
せせらぎが再び訪れた静寂のなかに心地いい。
「僕は・・・また君の歌が聞きたい。」
もう1人、同じ名前を持つ彼女と凡そ体躯には合わない赤琥珀のFenderを爪弾きながら流れるような歌声や笑みはいまもうない。
思い出は後ろに遠く過ぎ去れば、過ぎ去るほど寂しく愛おしい。
彼女にそう告げた刹那、足元の叢から蒲公英の綿毛が風に肖って飛んで行った。
「向かい風も翼にして・・・たんぽぽが羨ましい。」
誰に言うでもなくぽつりと彼女は言ってから大きなため息をついて僕の方を振り向いた。
「なんかいつか絶対また会える気がする。」
彼女から溢れるこの根拠のない自信と無邪気さが羨ましい。
「また会った時・・・相変わらず根拠の無い自信でおかしな事言ってたりな」
「もう、なにそれ。そっちだって去年の冬みたいに財布盗られたり道に迷ったりしてるかも」
「でも君は幸せな生活を送ってると思う。誰かと。」
「誰かって誰?」
「好きな人・・・とか?」
「居ないよ。そんな人。」
「この前居るって言わなかった?」
「あれ冗談だから」
「そうは思えなかったけどな」
「でもさ、笑えてるといいよね。一緒に」
まだ残る冬の寒さが身に染みるのか僕を見つめる彼女の、目の端からは光る雫が浮かんでいた。
春の温かな空に差し込んだ弱々しい光がやがて強い光に変わって彼女の光雫も山間の溶けかけの雪も轍も燦然と輝いている。僕はその中でいつまでも遠い未来の話をしていたいと思った。

242 :名無しって、書けない?:2018/09/18(火) 02:06:03.99 ID:A7kbe1oca.net
>>240
たぶん見切り発車するよりテーマと構成決めてから書いた方が良いタイプかも・・・
その方が焦点が絞れるので物語が破綻しないような気がします

ただ幸い過疎スレなんで誰も読んでないつもりで書き捨て上等も有りだと思いますよ
浮かぶだけ書いて面倒くさくなったら止めて違う話を書けばいいんす
結末が無いから感想書きづらいけど俺は千葉県さんの投げっぱなしスタイル好きっす

俺も似たようなもんだしねw

243 :名無しって、書けない?:2018/09/18(火) 02:19:51.36 ID:0dh3x7v40.net
>>242
ありがとうございます。
なんかの曲とかをベースに書くとわりと上手くいくのは構成などのことがあったからですね

244 :名無しって、書けない?:2018/09/18(火) 03:06:14.09 ID:A7kbe1oca.net
>>243
それはあるかもしれないですね
曲や小説でもプロの作品は読む側を引き込むためにテーマに焦点が絞られてますからね

あと大事なのは自分が書いてて楽しいやり方を見つけることだと思うんですよね
俺の心のマスターであるチワン師がよく言ってるように自己満が基本ですからw

ちなみに漫才スレで漫才書くのはまだ楽しいやり方が掴めてないので難儀してますw

245 :【BR・1】:2018/09/18(火) 15:11:07.45 ID:sUi6Esj0K.net
>>227
一応書いてみたけどなかなかダークになったのでご注意ください

――――――――
人間って
すごく残酷な生き物ですよね。

これは、私が身を持ってそう実感したお話です。

その日、徐々に日も傾きはじめていた頃、私は恐る恐るあたりをうかがいながら歩いていました。
うっそうとした森を出て、河原に向かおうとしていたその時…

「見〜つけた(笑)」

「!?」

声に驚いて振り返ると、クラスメートのよねみんが立っていました。

「ずっと探してたんやで。どこに居たんや?この2日間」
「どこって…島の中をうろうろと…」
「それは誰でも同じやろ(笑)。まあええわ。で、今まで誰かに会った?」
「ううん…誰も…」
「そうか、じゃあまだ誰も殺してないんやな」
「…」

その日の2日前、私たちのクラス全員はこの無人島に連れて来られました。
そこでBR法の適用対象になったと担任に告げられ、それぞれ武器を与えられ、クラス21人で殺し合いをするように言われたのです。
あまりに突然の出来事でした。

殺し合いなんてできない…
そう思った私は、クラスメートに見つからないように初めからずっと森に身を潜めていました。
幸い離島育ちなので、こういうサバイバル系には慣れていたのですが、川に水を汲みに行くところで見つかってしまったのです。

「どうするの?私を…殺すの?」

私は思い切ってよねに尋ねました。

「何か間抜けな質問やなあ(笑)…あのな、バトルロワイアルやから殺し合いやんか。ねるだって私を殺すんやろ」
「それは…私は殺し合いには反対で…」
「反対も何も、法律で決まってしまったんやからブツブツ言ってるヒマは無いで。もうすぐ日がくれたらゲームオーバーや。
それまでに1人も殺せなかったらこの首に巻いてあるケッタイなもんが作動して…それで…」
「それは聞いたけど…でも…よねはどう思ってるの?これを」
「それ聞いてどうすんねん。それに私が何を言ったって何も変わらんし」
「でも…聞きたいの」

食い下がる私に、よねはニヤッとしながら語り始めました。

246 :【BR・2】:2018/09/18(火) 15:13:16.77 ID:sUi6Esj0K.net
「正直、アホくさいなあって思っとるよ。
何でも命さえ懸ければみんな真剣になるとか、退屈な日常から抜け出て生きてる実感がどうたらとか、極限まで追い詰められたらどうたらこうたらとか、何か安直すぎ(笑)
結局みんな女子高生の脳みそや内臓が飛び出るとことか死体がみたいだけなんやろってね(笑)
無理やりストーリーつけたAVと一緒や(笑)」
「AVって…」
「あ、言葉が過ぎたかな(笑)でもまあ最後やし堪忍してや(笑)」
ここまで言うと、よねは急に真剣な顔になりました。

「それにな、こういう事態になったらみんながみんな生き残るために殺し合いするっていう考えそのものが間違いや。
クラスにはいろんな子がいるんやから、『やった!これでやっと死ねる!』ってガッツポーズする子だって当然おるやろ
イジメに悩む子、家族関係に悩む子、生きる意味を見いだせない子、とにかく消えたくてしょうがない子…
そういう子にとっては自殺みたいに後ろ指さされることなく堂々と死ねる大チャンスやないか」
「そんなこと…」

するとよねは自分を指差してこう言ったのです。

「だから、ねるをずっと探してたんやで」

247 :【BR・3】:2018/09/18(火) 15:15:11.65 ID:sUi6Esj0K.net
「人間社会ってドロドロして汚れきってて生きてくのホンマに疲れるやんか。それに生きること自体の目標やってよくわからんし
どうせなら生まれ変わって微生物みたいに純粋に生きたいなあってずっと思ってたんや
まあ、生まれ変わりってのがホンマにあるかどうかわからんけどな(笑)」

笑いながらも、よねの目は真剣でした。
それに、潔癖症の彼女から出る言葉として、妙に説得力がありました。

「それって…つまり…どういうこと…?」
「にぶい女やな(笑)ここまで言うてもわからんのかいな。ていうか、わからんふりをしてるんかな(笑)」

そして私を真っ直ぐに見つめて言いました。

「ねるに殺してもらいたいってことやがな」

私は言葉を失いました。
どうして?どうして私に?
そう混乱している私の頭の中を見透かすように、よねは続けました。

「なんと言っても私とねるには因縁があるからな。相手にはピッタリやろ」

因縁というのは、私がこの学校に編入したばかりの頃の話です。
よねは私のところにつかつかと歩み寄り、こう言い放ったのです。
「悪いけど、あんたとは仲良くなれないわ」
いきなりだったので私は本当にショックでした。

「私らは本当に大変な試験をいくつもくぐり抜けてやっとこの学校に入ることができたのに、あんたは何かよくわからん経緯で入ってきた。
後からみんなにも、悪いのはそれを許可した学校のスタッフのほうで、ねるは悪くないやんかって諭されたけど、
でも最終的にそれを拒否せず受け入れてのこのこ編入してきたのはねる自身や。
それがどうしても許せなかったんや」
「…ごめんなさい…」
「でもな、まあ言い方がキツすぎたかなと反省しとるんや。いくら本心からだったとしても」
「ほ、本心…?」
「当たり前やろ。あんなことふざけて言うほうがよっぽど酷いやろ(笑)
でもそうして反省したからこそ、あの謝罪の手紙も書いたんや」
「あれは本当に嬉しかった…」
「まああの頃も半ば嫌々書いたんやけどな(笑)周りがうるさく言うから」
「…」
「でも反省してなかったらそれさえ拒否してたところや(笑)
まあ、そういう因縁を区切りつけるチャンスが来たってことや」

248 :【BR・4】:2018/09/18(火) 15:17:48.13 ID:sUi6Esj0K.net
「もうすぐ日が暮れる。そしたらゲームオーバーの放送が流れる。それをただ待ってこの世からおさらばすることも考えたけど、なんかもったいない気がしてな。
つまりは、命の使い道ってことや」
「それで…私に?」
「ねるは、あの頃に受けた仕打ちの仕返しができて、さらに生き残れる。私は、悔いなくこの世からおさらばできる。
これこそwin-winってやつやろ」
「でも、人を殺すなんて…」
「あのなぁ…ええか、ここは普通の平時の場所とは違う。BR法が支配する場所なんやで。
相手を殺すことが、法律を守ることなんやで。税金納めるとか、交通規則を守るのとかと一緒や。殺人が正義なんや」
「そんな…」
「まあ、ねるも一緒におさらばしたいって言うんならしょうがないけどな。でも、死にたくないなら、もう時間がないで。
私を殺すか、自分も死ぬか、どっちかや」

私は何とか冷静に考えようと努力しました。
しかし、頭に血が登り、動悸は激しくなり、体を汗が伝うのを感じました。

人を殺すなんて…
でも…
まだ死にたくない…
頭の中はぐるぐると回っていました。

その後のことは、実は記憶が断片的なんです。
思い出せるのは

半ば呆然とした状態で、自分が斧を握りしめたこと。

目の前に両手を組んで頭を垂れて祈るような格好で座り込むよねの姿。

そのよねに対して斧を振り下ろす自分。

不思議なんですが、この振り下ろしてる間のことは超スローモーションな鮮明な記憶になっています。

そしてものすごく鈍く、重い手応え。

そして…



ふと我にかえった私の耳に聞こえてきたのは、ゲームオーバーの島内放送でした。
血まみれの斧を投げ捨てた私には、何も起こりませんでした。

1m先には、よねが横たわっていました。

まもなく係員が現れ、遺体を回収し、私には最初の集合場所に戻るよう伝えていきました。

私は生き残ったんです。
人を殺して。

249 :【BR・5(終)】:2018/09/18(火) 15:24:12.75 ID:sUi6Esj0K.net
集合場所に戻った私は、自分の目を疑いました。
そこには、自分を入れて20人がいたからです。

「(どうして?みんな誰も殺さなかったってこと?そしたら首のこれが爆発するはずじゃあ…?)」

謎はまもなく解けました。
途中でルールが変更になり、ゲームオーバーでの首輪爆発は無しになったのです。
私は、よねの言葉を思い出していました。
「私が言っても何も変わらんやろ」
その通りでした。
でも…
てちが先生に抗議したら、ルールが変わったんだそうです…。

それではみんな何もせずにゲームオーバーを待つようになってバトルロワイアルにならなくなるのは自明なのに
てちの意見は絶対みたいです…。

結局、みんなから離れて放送も聞こえない森にいた私だけがそれを知らなかったんです。
もちろん私が罪に問われることはありませんでしたが
その日以来、私は『クラスメートを殺した女』『人殺し』『邪魔者を消す女』などと呼ばれるようになりました。
日本全国にもワイドショーなどで知れ渡りました。
この烙印は一生消えないはずです。

そして
実はよねも、このルール改正を知っていたのです。
その上で、私との会話から、私がそれを知らないことを確認して、ああいう行動に出たんです。

あの日、私が斧を振り下ろしてる間に、よねが素早く顔を上げて私に言った最後の言葉。
それが今でもあのスローモーションな記憶の中で何度も蘇ってきます。

『これであんたは一生、人殺しや(笑)バイバイ(笑)』

―了―


最後、そんな短時間で言えるセリフじゃないというツッコミは勘弁してくださいm(_ _)m

250 :薔薇と水晶(1):2018/09/18(火) 21:34:40.39 ID:gcnguBLDd.net
本作はすべてフィクションであり、実在の全ての人物と団体、地名とは一切関係ありません。




1、供述調書(1)


調書001

201x-2-1x AM10:45-AM11:03
(証言者の体調不良により中止)
福来中央署 第三取調室
第302号重要指定事件
取調室担当官 井口眞緒 印
調書制作者 宮田 愛萌 印
証言者 長濱ねる
関係 被害者と同じグループに所属。
現場写真は省略
備考
読みやすいように筆者の責任で一部の表記を改めた。また資料中の年齢は当時のもので、敬称は略した。
下記は速記録で、のちに筆者が取調室時の音声を聞き一部の誤記を改めた。
尚、取調室担当官の質問は省き、あくまでも証言のみで纏めた。

(取り調べ速記録)

控え室から叫び声が聞こえたのは、確か午後3時くらいでした。
その日は丁度新しいシングルのジャケット撮影の2日目でした。
撮影はお昼からだいたい夕方までの予定で、撮影スケジュールは前日とその日と翌日の3日間です。
控え室は、3つありました。
1つ目はスタッフさんの、2つ目はメンバーのもので、3つ目は平手の専用です。
その当時は映画のことや新曲の振り入れや演出などによる極度のストレスで秋元さんから直々に平手だけ控え室を別にするようスタッフが指示されていたらしいです。
平手がそれをどう思ったかは知りません。ここ最近はなんとなく平手に話しかけづらくて。他のメンバーもそうだと思います。
なんというか、いつになく雰囲気が暗いというか。いつも暗いですが、その日はもっと暗かった・・・。
わたしは平手以外のメンバーの第2控え室
に居ました。その頃は、誰と・・・。
ぺーちゃん、いや渡辺梨加と菅井友香と守屋茜の3人がいたとおもいます。
わたしたちはスケジュールの都合でお昼からの撮影でした。
はい、わたしはドラマの撮影で。
13:00くらいでした。ついたのは。その頃にはもう既に全員が居ました。

251 :薔薇と水晶(2) :2018/09/18(火) 21:37:45.82 ID:gcnguBLDd.net
あっ、でも米谷は見なかったな・・
その日撮影によばれたメンバーはほぼ全員でしたが、午後3時の頃はほとんどのメンバーが撮影を終えて別の仕事に向かっていて、現場にいたのはわたしとさっきの3人の他に平手と大学の授業中で遅れて現場入りした米谷奈々未でした。
悲鳴が聞こえたのは平手の控え室からでした。いつも騒ぐタイプじゃないのでその場にいた3人とマネージャーさんは驚きました。はい。悲鳴はその場の全員が聞いていました。 前後の物音それは分かりません。悲鳴に気を取られていましたから。
わたしがすぐに平手の控え室を見に行こうとするとマネージャーに止められました。
マネージャーさんが自分が様子を見にいくから
控え室は隣り合わせで狭い廊下がまっすぐに続いています。
隣の部屋の扉が開く音がして、わたしたちはつい机から離れて自分たちの控え室の扉の前で耳を澄ましていました。
見に行く度胸はなかったんです。
するとこんどはマネージャーさんの男性ですが、叫び声が聞こえました。
一体何があったんだろう?
わたしを先頭に菅井と守谷と渡辺で見に行きました。
部屋の扉は内側に開かれていて、扉の構造は下の部分に通気口代わりの隙間に銀のドアノブ、長方形のすりガラスというかんじでした。
部屋の大きさはわたしたちの部屋と同じで15畳くらい。広くもなく狭くもなく。白を基調としたインテリア・・・で、中央に長机が2つ向かい合わせであってその上には
お菓子と紙コップ。そして食べかけの仕出し弁当がありました。
箸が少し離れたところに投げ出されてありました。
部屋の左手には出来ないメイクをするための鏡と机があって、机には化粧道具が白いラックにありました。
そして右手には雑誌やポットが置かれた長方形の縦置きの棚がありました。
その上には、はい、確か、花瓶が。
花は造花ででも水は入ってるみたいでした。
部屋にはいるとマネージャーがへたへたと座り込んで机の近くを指さしていました。
顔は青白く指はふるえていました。
わたしがその指す方を見ようとした途端、
後ろにいた、守屋が叫んで。
わたしはその声を背に、指先を目で追いました。
そこには黒い制服姿で首元から大量の血を流して倒れている平手友梨奈が・・・
米谷奈々未に抱きかかえられていました。
米谷は平手の胸元に頬を付けて
頚を震わしていました。
「・・・救急車」
米谷が顔を上げてそう叫びました。
わたしと渡辺梨加は慌てて、部屋から逃げ出しました。怖かったんです。救急車は菅井がよんだそうです。
守屋は米谷に付き添っていました。
渡辺梨加とわたしは元いた控室で黙って座ってました。
いや、決して見捨てたわけじゃ・・・
嫌いだった?絶対ありません。
すいません、もうこの辺でいいですか。
(速記録終了)

252 :名無しって、書けない?:2018/09/18(火) 21:42:09.02 ID:gcnguBLDd.net
今回はある程度構成、結末まで考えて書いています。

253 :名無しって、書けない?:2018/09/18(火) 21:42:57.43 ID:gcnguBLDd.net
ただ、更新する速度がすごい落ちそうです。
あとあくまで全てフィクションです。

254 :名無しって、書けない?:2018/09/19(水) 04:35:30.22 ID:HB0ARaSea.net
>>249
予告通りにダークですね〜w

守屋BRスレの米さんがチワンさんの小説では微妙に設定をズラしつつねんさんの立場になるのかと思いきや・・・
しかし、最後の悪意を凝縮した米さんの言葉が怖いです
守屋BRスレはラストに光を持たせたけどチワンさんのBRは闇で締めましたね

それにつけても小説書くのが上手すぎます
じつに羨ましいm(__)m

255 :名無しって、書けない?:2018/09/19(水) 04:41:07.18 ID:HB0ARaSea.net
>>252
もともと文章力には定評のある千葉県さんに構成と結末が加わったら本格的な長編行けますね

>>253
マイペースで大丈夫っすw

256 :名無しって、書けない?:2018/09/19(水) 07:44:39.71 ID:9woK9fe4K.net
>>254
いや、それでもねるは生きていくっていう光で締めてます。
なんてな(笑)

ちなみに前に言っていた私のBRものに対する一言っていうのはBR・2でのよねさんのセリフ群に凝縮してあります

>>253
私もそれでもOKだと思いますが

やはりざっくりした形であっても結末まで一応考えて書き始めると
たとえ大長編であっても放り出さずに書き続けられる気がします
例えばなかなか天竺に辿り着かない某長編のように(笑)

257 :名無しって、書けない?:2018/09/19(水) 22:24:27.56 ID:0PiYjFqKa.net
>>256
三蔵な理佐ちゃんは俺も終わる気がしないですw

俺の理佐ちゃんシリーズは理佐ちゃんと俺がイチャイチャするという結末だけ決まってますからねw

『1リットルの涙』が原案の『1リットルの理佐ちゃん』ですらハッピーエンドに向かって書いてますから

それより最近『男はつらいよの理佐ちゃん』っという妄想が浮かんできて書きたい誘惑にかられてます・・・

258 :名無しって、書けない?:2018/09/19(水) 22:33:25.77 ID:9woK9fe4K.net
>>257
規制をかいくぐって乙です

男はつらいよは読んでみたいですね〜(笑)
理佐ちゃんがどの役なのかが気になる子ちゃんですが(笑)

ちなみにあの映画でいちばんお気に入りのセリフは(前半は正確ではないかもしれませんが)寅さんの
『そんなにモタモタ食ってたら、口の中でウ●コになっちまうぞ』
です(笑)
このセンスにはかなう気が全くしません(笑)

259 :名無しって、書けない?:2018/09/19(水) 22:49:44.61 ID:0PiYjFqKa.net
>>258
あるお方のタブレットで密かに投稿しとるんですが俺が2ちゃんに妄想書いてるのは秘密なのでさすがに長文は書けないっす、、、泣

確かに『口の中でウン●』は印象に残るw

ブログへの移植も一段落したので昔みたいに何個か同時連載とかしてみようかな
なんてチワンさんに乗せられそうな俺w

260 :名無しって、書けない?:2018/09/20(木) 16:26:10.51
テス

261 :あしたのゆいぽん 第12話 前編:2018/09/20(木) 18:12:13.01 ID:yghhhGEaa.net
「今泉佑唯・・・ジュニア時代からの実績と菅井財閥のバックアップを背景にデビューから連戦連勝を飾り将来を嘱望されたエリートボクサーだよ」

脱走を計ったゆいぽんがずーみんに秒殺されてから1週間後

再び菅井財閥のボランティア隊に紛れ込んでずーみんこと今泉佑唯について分かったことをゆいぽんとオダナナに報告する俺


「そんな奴がなんだって鑑別所なんかに居るんだよ?」

俺の話に構わずジャブからストレートのワンツーをひたすら繰り返すゆいぽんの方を気にしながら聞いてくるオダナナ

「13連続KOを決めて引き揚げる時にヤジを飛ばした観客をぶん殴って逮捕されたらしいな」

「ひぇっ、観客を殴るなんて狂犬みたいな奴だね」
思わず声をあげるオダナナ

「埼玉の狂犬と神奈川の悪魔の対決か」
呟き笑う俺

「あいつがここにぶちこまれた理由なんて関係ないよ!絶対リベンジしてやる」
なんてイキるけど左ジャブと右ストレートのワンツーしか武器のないゆいぽん

262 :あしたのゆいぽん 第12話 後編:2018/09/20(木) 18:12:41.51 ID:yghhhGEaa.net
ずーみんの才能を高く評価する菅井財閥の総帥ゆっかーのお爺様がぶち上げた『鑑別所初代チャンピオンを決めようじゃないかボクシング大会』

その大会で優勝候補にあげられるずーみんと対抗馬ゆいぽん

「ゆっかーが所長さんから許可もらってくれたからよ、今日から大会までの1週間でお前を格好だけでもボクサーにするから覚悟しとけよ」
なんてゆいぽんに声かける俺

「オッサン・・・マジかよ?」
シャドウを止めて俺を振り返るゆいぽん

「言ったろ俺はお前を世界チャンピオンに育てあげるってよ」
なんて笑いかける俺に

「私はずーみんさえぶちのめせばそれでいいから」
なんて連れないゆいぽん



明日はどっちだ?

263 :名無しって、書けない?:2018/09/20(木) 18:14:03.26 ID:yghhhGEaa.net
今日も安定のNGワードに引っ掛かり分割投稿お許しくださいm(__)m

264 :名無しって、書けない?:2018/09/20(木) 19:57:53.16 ID:XNZR9vDJ0.net
テス

265 :雨を喜ぶ日(1):2018/09/21(金) 01:18:23.63 ID:EtZq13jp0.net
もう随分昔のことだ。
ブルーのシャツをきた男の人が僕と彼女に真っ白な画用紙を渡し絵筆を握らす。
その部屋はごくありふれたリビングで薄型のテレビと雑誌のラック、ソファー、キッチンと向かい合わせになっている。しかしただひとつ他の家と違うのはラックの横にイーゼルと絵筆が沢山立てられたペンたてがあった。
僕と彼女がそれを不思議そうに見ていると不意に男の人が声をかけた。
「絵を描いてみる?」と。
そうして男の人は僕らに筆を握らせたのだ。隣同士でテーブルに座って、僕は彼女を見る。画用紙の先には果物がのった籠がある。男の人は水の入ったバケツと絵の具をたらしたパレットを置いた。
「なにをするの?」
甘い声の彼女はその男の人に訊いた。
彼女と僕は黙って男の人を見た。
「この果物を真似してかいてごらん」
僕と彼女は目を合してうなづくと絵筆を動かした。
完成した絵の出来がどうだったかもう覚えていない。だが、男の人に褒められたことだけは憶えている。そしてこの出来事がきっかけで僕と彼女は絵を書くようになる。

266 :薔薇と水晶(3) :2018/09/21(金) 01:20:06.73 ID:EtZq13jp0.net
調書002

201x-2-1x AM9:21-AM10:05
御船署 第1取調室
第302号重要指定事件
取調室担当官 佐々木久美 印
調書制作者 東村芽依 印
証言者 菅井友香
備考 被害者と同じグループに所属。

来年の頭に発売されるシングルのジャケット撮影の三日あるうちの二日目でした。
シングルの発売は結局、中止になっちゃいましたけど・・・
わたしは雑誌のインタビューが終わってから12:00くらいに来ました。
あとの、メンバー、そのときは守屋と渡辺梨加とねると米谷とわたしの5人でしたが、わたしがきたとき米谷奈々未と長濱ねるだけいませんでした。あとはいました。
撮影は17:00までで、typeBの撮影でした。
はい、わたしたちはtype Bの撮影です。
だけど平手はtype Aだったような・・・。
たぶん撮り直しですかね。
type Aは平手だけなので・・・はい。
けっこう毎回、ジャケットこだわってたから・・・。
悲鳴が聞こえたときはさっき言ったメンバーの米谷を除いて・・・いました。
米谷は遅れてきたばかりだったので1回14:00ごろに控え室に顔を出して、私服で。
メイクと着替えをすると出ていきました。
いや、たしかメイクさんもいたので聞いていただければ。
平手とはあまり話していません。
話しかけても、うん、とか、まぁ、とかそんな感じでそっとしておいた方がいいかなって。

267 :雨を喜ぶ日(2):2018/09/21(金) 01:40:56.19 ID:EtZq13jp0.net
「うち美術部に入ろうと思うねん」
夕日の差し込む日に焼けたグリーンの廊下にある曇った銀の水場で僕らは手を洗う。
階段の下から吹く風が冷たい。
僕は荒々しく飛沫をあげる蛇口を見ながら
彼女の言葉に答える。
「やっぱりそうなんだ中学もそうだしね」
「うん。君は?」
「僕は文芸部かな」
彼女は驚いたふうにショートカットの髪を揺らした。シャンプーの匂いが漂う気がした。
「文芸部?美術部じゃなくて?」
「うん。文芸部。」
「美術部に入るって言っとったのに」
「気分が変わったの」
「ふーん。」
彼女は蛇口を閉めて掌についた雫を切った。そして僕の方を向いた。
「ちょっとポケットからハンカチだして」
僕は彼女が指さした紺のブレザーの左ポケットへ恐る恐る手を入れた。
「擽ったい」
彼女は頬を朱にさせて、そう言った。
僕の指先は柔らかな布に触れた。
「はい。」
僕は彼女の方をみずにその布をわたした。
「ありがと。」
彼女はそう言った。
「じゃ帰ろ。」
僕はそう言ってさっさと廊下を歩いた。
「待って」
彼女の甘い声が追いかけた。

268 :名無しって、書けない?:2018/09/21(金) 01:44:22.29 ID:EtZq13jp0.net
いつか見た夢をメモったのが出てきた。

「ねぇ、日本史何点だった?」
窓際に面したいちばん後ろの席で小林由依は頬をニヤつかせながら僕へ訊く。
「75点・・・」
僕は机に畳まれた紙片を小林へ見せた。
「やった、勝った〜」
尚もニヤつきながら今度は小林が紙片を見せてきた。
小さくまるまったような文字が並ぶ。僕はそれをざっと見てから左上の数字を見た。
「・・・89点」
僕は自分の呟く声が思ったよりも低いことに驚いた。
「約束通り今日の放課後奢りだからね」
小林のポニーテールが嬉しそうに左右へ揺れた。微かにシャンプーの香りがした。

269 :誓い:2018/09/21(金) 02:01:56.07 ID:EtZq13jp0.net
同じ色の指輪をした時も、密かに運命だと認めざるを得ない恋をした日も、共に生きることを誓った日も。証人は居ない。
いままでは運命とかそういうものは信じていなかった。だから昔の自分が今の自分と出会ったら驚くだろう。

足をばたつかせ、彼女が読む雑誌は凶器になりかねない分厚さを誇る結婚雑誌である。さらに彼女は怒らせたらそれを凶器にしかねない。
そして彼女は形から入るタイプらしく、ここの所この手の雑誌を山と買い込んでいる。もちろん、その雑誌代は僕の懐から出ている。
僕はソファーに座り遅々として進まない原稿を睨みながらその様子を見ている。
「ねぇ、これ可愛くない?」
頬杖をつきぼんやりする僕へ不意に
彼女が雑誌のとある1ページを見せつける。
そこには白いレースの小林幸子かテレサ・テンの歌衣装みたいなドレスが載っていた。
「かわいい...ね。」
語尾が引きつったのはそのドレスの値段を見たからである。
ゼロがひとつも2つも違う。
「茜、これ着たーい。」
彼女はめいっぱい笑って言う。
「あっ、ああ。」
僕は何も言えずただ真っ白な画面を見つめるしかなかった。

270 :名無しって、書けない?:2018/09/21(金) 02:02:45.19 ID:EtZq13jp0.net
原作は宇多田ヒカルの「誓い」。

271 :名無しって、書けない?:2018/09/21(金) 02:03:19.03 ID:EtZq13jp0.net
曲をモチーフに書くのが面白い。面白い。

272 :名無しって、書けない?:2018/09/21(金) 02:50:18.45 ID:uusg9s0Pa.net
>>271
面白いのが一番ですな

俺は逆にモチーフ無しで自由に書いてる方が面白いです
それで原案ありで書き始めたのに全然違う方向に行ってしまうんですけどねw

ただ、今書いてる『あしたのゆいぽん』は理佐ちゃんが主役じゃないせいか
勝手に妄想が浮かんでこないので原案の『あしたのジョー』にかなり忠実に書いてます

推しメンの理佐ちゃんが主役じゃないと妄想が勝手に湧いてくれないのが俺の限界ですかねw

誰が主役でも勝手に妄想がわく才能が欲しい・・・

273 :名無しって、書けない?:2018/09/21(金) 03:46:31.98 ID:EtZq13jp0.net
>>272
たしかに誰が主役でも妄想が勝手に湧く才能は欲しい・・・ 僕の場合は大体、ゆいぽん、理佐ちゃん、米さん、ちゃぷてん、軍曹、いくちゃんで回っていますから、ひらがなは全く未知の世界で妄想が湧きません
書こうとはおもうんですが

274 :名無しって、書けない?:2018/09/21(金) 19:43:20.82 ID:EGAdX0Bza.net
>>273
誰を主役にしても書けるようになろうと思ったら以前大阪府さんが言っていたように努力や苦労も必要なんでしょうね

大阪府さんは話が浮かばなくても毎日書く努力するって言ってましたから

俺は努力してまで書くほど小説に情熱無いから今みたいに浮かぶことだけ気楽に書くスタイルですw

「そもそも俺は小説が書きたいんじゃない!理佐ちゃんとイチャイチャする妄想したいだけなんだ!」
という小説スレとしては邪道スタイルですw

275 :名無しって、書けない?:2018/09/21(金) 21:49:44.87 ID:MGkTIKrIK.net
ところで昨日からの2つの騒ぎが加わったためか再びスレ落ちスピードが上がってきたみたいで
例のバトルロワイアルスレが最初書き込みから1日半ちょっとで落ちたみたいです

スレ落ちしたくない場合はご用心ください

276 :名無しって、書けない?:2018/09/22(土) 00:50:11.15 ID:7mvRNqjpa.net
>>275
ご用心ご用心ですな

それにつけてもなぁちゃん卒業は俺は心に穴を空けてしまった・・・

277 :いらっしゃい (1):2018/09/22(土) 04:06:15.74 ID:mx9nAc1F0.net
古びたステンドグラスの嵌め込まれた扉を開くと甲高い女主人の「いらっしゃーい」という招き声がする。
わたしは軽く頭を下げてから扉を後ろ手で閉めカウンターの席に座った。
時刻は丁度10時を回った頃である。
真夏の通り雨がすぎ、空は綺麗な黒色である。半袖のシャツをまくってわたしは欠伸をし、雨上がりのアスファルトが蛍光灯の光を浴びて妖しく輝いていたのをふと思い起こした。
「久しぶりね」
そういって女主人はわたしの手元へお絞りを置く。着物には水辺を飛び立つ鶴が描かれている。
室内は縦長20畳で席はカウンターのみ。そして店には常に女主人とアルバイトの愛萌という名の女がいる。
「仕事が最近忙しくてね」
お絞りで手を拭うとだれが聞くでもない愚痴が零れる。
「なんか顔、つかれてるんじゃない?」
琥珀色のグラスを置きながら女主人はわたしの顔をのぞき込む。
「ねぇ、」
その女主人は隣で手持ち無沙汰にしている薄紅色の花が散らばった柄の着物を纏った愛萌に相槌を求めるように目線を送った。
「また眠れないんですか?」
愛萌は声を落としてわたしに訊いてきた。
「うん。隣で呑気に寝てる家内が羨ましいよまったく」
「そういえば奥さんってどんな方なんですか?」
フライパンを動かしなにかを作っている女主人をよそに愛萌が訊ねる。
「職場近くの喫茶店で知り合ったんだ。5年前に。僕はそこの常連で彼女はそこのオーナーだった。」
「そうなんですか?」
愛萌は目を丸くして袖を捲る。
「オーナーなんだけど普段はカウンターでずっと本ばかり読んでたな。」
「なんていう名前なんですか」
「んー。七瀬」
「へぇー。ところでそのカフェは?」
「いまもやってるよ」
「え、今度いってもいいですか」
「いいよ、ぜひ」
「えっ、それどこにあるんですか?」
菜箸を持ったまま女主人が会話へ割り込む。
「ママ、火、付けっぱなしですよ」
愛萌はフライパンの下で僅かに瞬く青い炎を見逃さずに言った。
「まぁ、まぁ、ところでどこなの?」
「まぁ、まぁって」
愛萌は呆れたように女主人をみてから、
「じゃあ、私が火加減見てますからね」
そう言いすたすたとフライパンの元へ行った。店内は仄かにバターが香っている。
「お願い」女主人は愛萌に菜箸を渡して愛想笑いをした。もとよりそのつもりだったのだろう。
「どこにあるんですか」
興味津々といった風に女主人は僕へ再度訊ねた。塗ったばかりのファンデーションが鼻先に漂った。
「幕張の駅前を少し歩いたとこ ジョルノって店。」
そうして会話が切れた頃、愛萌が白い皿に油にまみれたほうれん草とベーコンの炒め物を載せてやってきた。

278 :いらっしゃい (2):2018/09/22(土) 04:07:07.22 ID:mx9nAc1F0.net
水割りを二杯開けた時、扉がカラカラと開く音がした。
「いらっしゃーい」
女主人はわたしを出迎えたときと同じ声で扉へ向かって声を上げた。
わたしはなんとなく扉の方を見た。
そこにはフランネルチェックのワンピースを着た小柄な女性が居た。
「七瀬?」
僕は信じられないものを見たような気がした。
「やっぱここにおった。」
七瀬の眼は細くなっているが、恐ろしくは感じない。ただ可愛らしいと思う。
しかし眼にやどるものがいつもと違う。
怒りの奥にどこか悲しさが滲む。
「この人が奥さん?」
女主人と愛萌は驚いて声を上げた。
「今日、仕事で遅くなる言うたやん」
七瀬は声をはりあげて言う。
「早めに終わってさ」
「もう知らん!」
七瀬は踵を返し乱暴に店を出ていった。
わたしはそれを見届けてまたグラスを傾けため息ついた。
「ほら、ねぇ、追いかけなきゃ」
女主人はカウンターを叩いて言うた。
「支払いはまた今度でいいから。早く。」
着物の袖を揺らして更にいう。
「早く追いかけてください」
愛萌はいつになく真剣な表情でわたしに言った。
わたしは黙って席を立つと店を出た。
雨上がりのアスファルトにはいくつも水たまりが出来ていて、最初は踏み抜かないように避けて歩いたが、だんだんめんどくさくなりわたしはわざと水たまりを踏んで歩いた。角をいくつか曲がり直進した先。小柄なその背中が家の近くの公園に有った。
「七瀬...」
声を掛けても七瀬はいかり肩でずんずん先を歩く。
「七瀬」
わたしは七瀬の肩を掴んだ。

279 :いらっしゃい (3):2018/09/22(土) 04:07:50.73 ID:mx9nAc1F0.net
振り向いたのは七瀬とは似ても似つかぬ女の人だった。そしてその人は七瀬とは全く違う雰囲気でとても綺麗だった。
さらにわたしはその人を何処かで見た気がした。
「あれ・・・もしかして」
その女の人はわたしの名前を呼んで指を指した。
「桜井さん?」
わたしもその女の人を指さした。

夜光虫は蛍光灯にしつこくまとわりつく。
わたしはそれを見て目眩にもにた感覚を身に知った。
わたしと桜井さんは先程の公園から数メートル歩きながら話し込んでいた。
桜井さんからはいつも同じ香水の匂いがした。
「へぇーなぁちゃんと喧嘩」
桜井さんはニヤニヤしながら僕を窺った。
「それで追いかけたらわたしだった」
さらに続けて桜井さんはいった。
「あーあ。なぁちゃん聞いたら怒るなこれは」
クリーム色のコートのポケットへ手を入れて桜井さんは寒そうに身を縮めた。
僕はその仕草をみて喉の奥で何かが引っかかっていた。
「ところで七瀬知りません?」
「しらないよ。」
半笑いで桜井さんは答えた。
僕は辺りを見渡した。
「桜井さんと会うのいつぶりでしたっけ」
「んー。たしか大学のサークルの飲み会じゃなかった。だいぶ前の」
僕と桜井さんは同じサークルの先輩後輩だった。

280 :いらっしゃい (4):2018/09/22(土) 04:08:35.47 ID:mx9nAc1F0.net
「でも何処かで事故にあったって聞いてそれっきりだったんで心配してましたよ」
数年前、同じサークルの男から桜井さんが都心で交通事故にあったと聞いた。
「あー、あれね。」
桜井さんは触れて欲しく無さそうに言った。わたしは慌てて話を逸らした。
「家ここらへんなんですか?」
「いや、全然」
「ふーん。」
これ以上会話が続かず僕と桜井さんは黙って飛び石伝いに続く蛍光灯の下を歩いた。
「あれ、なぁちゃんじゃない?」
桜井さんが指さす先には小さな児童公園があり、その公園のベンチにはたしかに七瀬らしい女の人が居た。
「ほら、行ってこい」
桜井さんが背中をおもいっきり叩いた。
わたしは噎せながら七瀬の元へ走った。

281 :いらっしゃい (5):2018/09/22(土) 04:10:06.69 ID:mx9nAc1F0.net
「・・・七瀬?」
ベンチにすわって居たのは七瀬だった。
「ごめん・・・」
わたしは隣に座った。
「もう・・・知らん。」
月の光に照らされた七瀬の頬には幾重にも白い絹糸のような涙の跡があった。
わたしは七瀬を抱きしめた。
七瀬は「暑い・・・」と言いながら
わたしの背中に手を回した。
七瀬は俯いて体を預けた。
蝉がまた一斉に鳴き出した。
そう、季節はまだ真夏なのである。
ハンカチで涙を拭った七瀬がわたしの手を強く握った。

暫くしてわたしは思い出したように言った。
「さっき桜井さんに会ってさ。七瀬が此処に居るの桜井さんが教えてくれたんだよ」
わたしは七瀬の手を握り返した。
「えっ・・・」
七瀬は途端にわたしの手を離した。
「どうしたの?」
「変な冗談はやめてや。」
「何が?」
「だって玲香ちゃん事故にあってなくなったやん。」
喉の奥に引っかかっていたものが取れた気がした。
「いや・・・さっきそこで白いコートで身を震わせて」
「ねぇ、落ち着いて。なんでこんな真夏にコートなんかきて寒そうにするん?」
今度はわたしの方が寒くなってきた。
「しかも玲香ちゃんなくなったんは2月やで、しっかりして!一緒にお通夜行ったやん?」
七瀬はわたしの背中を叩いて、肩を揺すぶって諭すように言い、突然凝固した。
「玲香ちゃんの匂いがする・・・」
わたしは噎せぶほど叩かれた背中を思い出して思わず七瀬に抱きついた。
その瞬間、鼻もとで風にのせられ漂ってきた桜井さんの香水の匂いがした。
わたしと七瀬はあのスナックへ一目散へ駆け出した。
見えぬ誰かからの視線も気づかずに。

282 :名無しって、書けない?:2018/09/22(土) 04:10:52.00 ID:mx9nAc1F0.net
おわりです。

283 :名無しって、書けない?:2018/09/22(土) 09:59:50.61 ID:oEqET9r3K.net
>>282
すごい時間に乙であります

まさかこんなミステリアスな落ちになるとは思いませんでしたが(笑)
ななせまるのセリフがとにかく可愛い過ぎて悶絶(笑)
同じ関西弁でも米さんとはこんなに響き方が違うなんて…勉強になりました

とは言うものの実は自分は昔からななせまるには不思議なくらいハマらなくて
今回の卒業もビックリはしましたがショックとかは無くて
どうもすいませんっていう感じです

284 :名無しって、書けない?:2018/09/22(土) 23:40:11.71 ID:G2gA4dV4a.net
>>281
めっちゃ面白かった

>>283
マジですか・・・
俺はなぁちゃん好きは好きだったけどショック受けるほどではないと思ってたんですけど
めっちゃショック受けてるから凄く好きだったみたいですw

285 :名無しって、書けない?:2018/09/22(土) 23:44:06.11 ID:G2gA4dV4a.net
なんて言ってるそばから米さん卒業・・・

286 :名無しって、書けない?:2018/09/22(土) 23:57:44.01 ID:oEqET9r3K.net
>>285
小説スレではおそらく自分がいちばん米さんにはお世話になりましたかね〜
でも正直、寂しくもないかな(笑)
元気にやっててくれればそれでいいっす

でも米さんも漢字欅の中では数少ない歌唱メンだったような気がしますが(気のせい?)
ずみこも居なくなるし今後大丈夫なんでしょうか

287 :名無しって、書けない?:2018/09/23(日) 00:27:50.32 ID:YuNR6LxPa.net
>>286
正直欅坂は沈んでいく気がしますね
メンバーがどうこうより運営がちょっと拙いかな
あまりにもゴタゴタを見せ過ぎてると言うか・・・
本当のところは中の人にしか分からないし実際はゴタゴタしてないのかもしれないけど
多くのファンから見てゴタゴタして見えたらダメですよねw

俺は基本的に理佐ちゃんさえ幸せならそれでいいんですけど理佐ちゃん欅愛半端ないから沈まないで欲しいんですけどね

288 :名無しって、書けない?:2018/09/23(日) 00:47:40.63 ID:lfE3oI2o0.net
米さん運転士シリーズ完結させなきゃ

289 :重力と呼吸(101):2018/09/23(日) 01:16:48.52 ID:lfE3oI2o0.net
第二部

緑樹が僕らの座るベンチへ陰を作る。
僕はもう1時間くらいずっと黙って本のページを捲る飛鳥を読み終わった自分の本を膝に置いてしばらく見ていた。
飛鳥は僕に構うことなく黙々と本の世界へ入り込む。こうなると飛鳥は長い。
僕は腕時計とにらめっこをしながら飛鳥へこう切り出す。
「ほら、飛鳥ちゃん行くよ」
飛鳥は本から目を話すことなくさっきと同じ台詞を口にする。
「待っていま犯人分かるから」
そろそろこのベンチへ来て1時間経つ。
「さっきからずっと同じこと繰り返してるけどね」
そう言うと飛鳥はため息をして本を畳む。
「はいはいわかった、わかった」
肩までのつやめいた黒髪が小さく揺れ飛鳥はYohji Yamamotoの黒いリュックを背負い直した。
「またあのカフェで続き読むから付き合え」
やがて信号を小走りに渡って飛鳥はぶっきらぼうにそう言った。
僕は大学二年生になっていた。

290 :名無しって、書けない?:2018/09/23(日) 01:17:28.41 ID:lfE3oI2o0.net
Hidamari仕切り直しの101話です。

291 :名無しって、書けない?:2018/09/23(日) 01:23:46.27 ID:YuNR6LxPa.net
>>290
おっ、第二部スタートですね

292 :花火:2018/09/23(日) 04:26:55.32 ID:lfE3oI2o0.net
ふと思いついて書いたので起承転結も落ちもなんもありませんが

花火


ぱたぱたと米さんが首元を団扇で扇ぐたび嗅ぎなれない柑橘系の香水が匂って緊張した。
「花火遅いなー」
米さんは下駄履きの足を退屈そうに揺らす。
「もうそろそろだけどね」
僕は腕時計とちらっと顔を合わせると直ぐにまた水色の浴衣を着た米さんをみる。
黒からダークブラウンに染め、束ねた髪をハーフアップにした米さんはもはや、僕の知っている米さんではなかった。
夏、というのはこうも人を変えるのか。
「ちらちら何見てるん」
米さんは扇ぐ手を止めて僕を真っ直ぐ見た。
「いや・・・」
僕は何も言えなかった。
「ちらちらじゃなくてちゃんと見て」
米さんはそう言って黙り込んだ。
その瞬間、夜の静寂を破って十号玉が花を咲かせた。
「綺麗ー」
米さんの頬には藤色の残光が写っている。
誰も居ない、小高い丘にある公園のこのベンチからは花火がよく見える。
知り合いにそう吹き込まれた僕は思い切って幼なじみの米さんを此処へ誘ったのだった。
来年四月に隣の市との合併を控える小さな町の花火は恐ろしく貧相で。ものの十分ばかり閃光を上げるとそれっきり沈黙してしまった。
「呆気ないなぁ」
ドラマみたいに声を揃えてそう言った。
僕と米さんは顔を見合わせ、笑った。
あの日打ち上がった花火の色は忘れたが、あの日の米さんの笑顔は永遠に忘れることは無いだろう。
何年かぶりに花火大会がある時期にあわせて3人で帰省したその日に思い直した。

293 :名無しって、書けない?:2018/09/24(月) 02:09:15.28 ID:rOQ1KRUAa.net
乙です

規制をかいくぐっての揚げ

294 :名無しって、書けない?:2018/09/24(月) 16:34:24.23 ID:TUg4i3T4a.net
時間無いので保守だけw

295 :みつけた(1):2018/09/24(月) 20:30:33.15 ID:rmoQBqHa0.net
「で結局奥さんとはどうなったの?」
ニコニコしながら女主人は僕の顔を窺った。
「どうにか・・・無事」
仲直りしました。とはどうも子供っぽくて頂けないからそうこたえた。
「よかった〜はいこれ」
マドラーで液面を掻き乱して、水割りを置いた女主人は返す刀で電波時計を見た。
「どうしたの?」
わたしはしきりに首を傾げる藤色の着物へ身を包んだ女主人へ訊いた。
「いや愛萌ちゃんが来ないのよ」
「あ、今日来るの?」
「うん。もう開店して20分も経っててしかも遅刻するなんていままでないのに」
その時件の彼女と七瀬がドアを押して入ってきた。
オフショルニットとダークブルーのスカート姿の愛萌は目を赤く腫らして。七瀬に肩を抱かれている。
「どうしたの?」
わたしと女主人は声を揃えて尋ねる。
「・・・そこで死体を見つけて」
七瀬は潜むような声で答えた。
「死体?」
わたしと女主人はまた声を揃えた。
愛萌は持たれるようにわたしの右隣へと
座った。

296 :みつけた(2):2018/09/24(月) 20:31:26.34 ID:rmoQBqHa0.net
「うち、ついさっきカフェ閉めて帰り駅歩いててん。したら、交差点のとこで愛萌ちゃんに会うて一緒に此処まで来ようとして、ほんで四角を越して、横断歩道に死体があってん。」
「・・・朝、会ったばかりなんです」
わたしのお絞りを引っ掴んで涙を拭う。
「・・・でその死体は・・・」
女主人は愛萌を一瞥してから七瀬へ訊いた。
「未來ちゃん・・・って言うんです」
七瀬は悲しいような可笑しい様な顔で答えた。
「我が家の愛猫の!」
愛萌は喉の奥から血を流しながら絞るような叫び声で言った。
「猫?」
僕と女主人は顔を合わせた。

「横断歩道の丁度、真ん中で車にひかれて倒れてたみたい。」
七瀬はわたしの左隣を陣取る。
顔は幾らか不満足そうなのは先程からわたしがしきりに愛萌の表情を窺っているからだろう。
「ふーん。でその猫ちゃんどうしたの?」
「アパートの庭に埋めました。」
「それで遅くなったのね」
棒読みのような調子っ外れで女主人は言った。愛萌は黙ってうなづいた。
「でも連絡してくれなきゃ」
「すいません」
愛萌はぐったりと頭を垂れた。

297 :みつけた(3):2018/09/24(月) 20:32:53.51 ID:1Zu1ETj0d.net
「未來は、アパートの前で鳴いてたの保護したんです。一昨年の夏。もうずっと前からアパートの前にいて、気になっては居たんですけど、お金とかそう言う問題でなかなか飼えなくて。それで一昨年に。」
「そうなんだ」
女主人は空いたグラスを下げて七瀬に注文を訊いた。その遣り取りのあとでまた
愛萌は続けた。
「活発で・・・可愛くてほんとに癒しだったんです。」
「そうなのね・・・」
女主人は目を瞬かせる。
次第に愛萌のかわいた眼は透明にうるみ始めた。
わたしは愛萌の背中を撫ぜた。
途端に七瀬から鋭い眼差しが飛んできた。
「なぁ、なんで愛萌ちゃんがそんなに心配なん?」
七瀬は低く怒りを殺すように言った。
「いや・・・」
「そりゃ、若くて可愛らしいもんなぁ」
七瀬の眼はどんどん細くなる。
「また・・・」
女主人はその様子を呆れたように見る。
「また始まった」
女主人はぼそっとそう呟いた。
「うちのことすきやなくなったんやろ」
腕を組む七瀬の眼差しは鋭い。
「好きだよ」
旱魃入れずに答えたおかげで七瀬は僅かに頬を緩めた。
「ほんま・・・」
「ほんま」
わたしはそう繰り返してテーブルの下密かに七瀬の手を握った。
「恥ずかしい」
七瀬は手を握り返して小さくそう呟いた。

「あら愛萌ちゃん寝ちゃったわ」
女主人は母親のような嫋やかな笑みを浮かべた。
愛萌は寝息を立て体を小刻みに震わす。
「ななも眠くなってきたわ」
それをみていた七瀬も欠伸をして言う。
「そろそろ帰ろうか。」
わたしは七瀬の頭を軽く撫でて椅子から
離れた。
七瀬は嬉しそうにわたしのスーツの裾を引っ張ってあとをついてきた。
「ありがとうございました」
女主人はわたしたちへ軽やかにそう言った。


298 :あしたのゆいぽん 第13話 前編:2018/09/25(火) 13:02:36.62 ID:osbaaYqma.net
「おっさんから見てゆいぽんはずーみんに勝てるの?」

ゆいぽんのシャドーを見ながら俺に質問してくるオダナナ

「ゆいぽんは紛れもなく天才だよ、この短期間でジャブとストレートは一流と言っていいほどに進歩してる・・・」

「じゃあ?」

俺の言葉に希望を抱くオダナナ

「それでもまず勝てねえだろうな、それが分かってるからゆいぽんも狂ったように練習してんだろ」
早くも愛弟子ゆいぽんの負けを悟る俺

「それによ、昨日、今日と鑑別所に泊まったせいでW理佐ちゃんが恋しくなっちゃったからよ、しばらく練習見てやれねえから」
嫁理佐ちゃんと娘理佐ちゃんと一晩離れてたら寂しくなってゆいぽんどうでもよくなってしまった薄情な俺

「ちょっと!それじゃゆいぽんどうなっちゃうの?」
なんて慌てる俺と違いゆいぽんファーストなオダナナ

299 :あしたのゆいぽん 第13話 後編:2018/09/25(火) 13:03:00.57 ID:osbaaYqma.net
「それで帰って来ちゃったの!?」
俺が帰宅した理由を聞いて呆れる愛娘の理佐ちゃん

「うん、1日1回は理佐ちゃんの顔見ないとダメなんだよね・・・」
俺を咎める娘理佐ちゃんの視線に居たたまれない俺

「何それ、ゆいぽん可哀想じゃん」
なんてゆいぽんに同情する優しい娘理佐ちゃん

「俺君は昔から理佐ちゃんファーストだったからね、いつも勉強や仕事より私を優先させちゃうんだから、理佐も諦めてあげて」
ご飯よそいながら助け舟出してくれる優しい嫁理佐ちゃん

「うわっ、筋金入りのダメ男じゃん」ってますます呆れる娘理佐ちゃん

嫁と娘を理佐ちゃんの一人二役にしたことを早くも後悔し始める俺



明日はどっちだ?

300 :名無しって、書けない?:2018/09/25(火) 13:04:05.05 ID:osbaaYqma.net
小説スレも理佐ちゃんの名前がNGワードに引っかかる・・・

301 :あしたのゆいぽん 第14話:2018/09/26(水) 06:57:11.58 ID:de71CDhua.net
「Aクラスの理佐ちゃん達の放射線〜♪」

娘と嫁を一人二役でこなす理佐ちゃんならではの替歌でオシッコに赴く丑三つ時の俺

「それにつけてもサザンは良いな〜」
なんてオシッコして弛緩した心と体で嫁の理佐ちゃんが待つベッドに戻ろうと廊下を歩く俺

そんな俺を

「オッサン、オッサン」っ呼ぶ声

「なんだこんな時間に?」
一瞬警戒したものの女の声に引き寄せられらたように窓を開ける俺

「脱走してきたよ」

なんて笑うゆいぽんとオダナナ

「なっ、何やってんだ〜!?」 
思わず悲鳴あげる俺



「私もう1回寝るから俺君片づけだけしといてね」

俺の悲鳴で目をさましちゃった愛しの嫁理佐ちゃん

不機嫌になりながらも腹を空かしたゆいぽんとオダナナに夜食を作ってくれた優しい嫁理佐ちゃん

「理佐ちゃんありがとうね、食器はピカピカに磨き上げとくから安心して寝てて」って嫁理佐ちゃんに媚を売る俺

「そこまで期待してないよ」
なんて笑いながら寝室に消えてく嫁理佐ちゃん


「それ食べたら鑑別所に戻れよ」
嫁理佐ちゃんが作ってくれた夜食をがっつくゆいぽんとオダナナを諭す俺

脱走してきた二人を庇って命より大事なW理佐ちゃんまで巻き込みたくないと非情になる俺

「このままじゃ・・・」
俺に向かって何か言うもうちの理佐ちゃん同様小声過ぎて何言ってるか分からないゆいぽん

「うん?どうした?」って聞き返す俺に

「このままじゃずーみんに勝てないから頼みがあって脱走してきた!」って叫ぶゆいぽん

「おめえ・・・そこまでしてずーみんに勝ちてえのか・・・」
気づいたら俺よりボクシングに燃えてるゆいぽんに絶句する俺

と、そこに

「ちょっと〜何騒いでんの?」
なんて眠い目を擦りながら愛娘の理佐ちゃん登場・・・


明日はどっちだ?

302 :名無しって、書けない?:2018/09/26(水) 09:54:24.00 ID:DS4lMhkEK.net
規制と戦いながらの投稿乙です

ふと気が付くと…漫才スレ落ちましたかね…

303 :名無しって、書けない?:2018/09/26(水) 11:38:48.33 ID:GXwx2Xpva.net
>>302
漫才作るの苦労してたから落ちてほっとしてますw
 

304 :名無しって、書けない?:2018/09/26(水) 12:20:31.62 ID:DS4lMhkEK.net
てち「私たちが復活する前に漫才スレ落ちましたね」
もん「皆さん上手に作られてましたけどね。どうしてですかね」
てち「たぶん今年の夏が暑すぎたからだと思うんですよ」
もん「は?関係あるんすか?」
てち「漫才スレも今年の夏も、『ウチワ(内輪ネタ)や扇子(センス)だけでは乗り切れなかった』ってことですよ」
もん「…あんたもダジャレに頼りすぎなの改めたほうがええよ」

―了―

305 :名無しって、書けない?:2018/09/26(水) 13:16:24.18 ID:GXwx2Xpva.net
>>304
なんて漫才スレの終わりに相応しい漫才なんだw

306 :続・RAILWAY大船運輸区の米さん(1):2018/09/26(水) 15:02:51.40 ID:UB/GWxb50.net
プラットフォームはいつまでも変わらないがそこヘ滑り込む列車は長い歴史のなかで変わらずに変わり続ける。
「E235が総武横須賀線導入だとさ」
大船駅のホームで腕組をしながら俺は言う。これから乗る列車はたんなる補助の上、途中の東京で交代だから気楽なもんだ。
「113系を半世紀も使い倒した国鉄型車両の宝庫とよばれたのにほんと良く決まったね」
「口悪ぃな」
「ほんでも初めの編成でも23年やろ?もっと使えるんじゃない」
「まぁ走ルンですの耐用年数としては大幅に超過してるから新型導入すんの遅いくらいだ」
「いつからだっけ?」
「オリンピックくらいじゃないか?たしか。」
「ふーん。そっか。」
米谷奈々未はそう言って眩い閃光の先を翳る眼でみとめた。折り返しの列車が来たのである。

揺れも人も少ない車内は空調の唸る声だけが聞こえる。これを空気輸送というのかもしれない。
「そういえば平手ちゃんどうなった?」
米さんは鎌倉駅を25秒遅れで発車させてから俺に訊く。
「あぁ、いま長野運輸区に居るよ」
「左遷?」
「いや、そうでもない。中央線のいまスーパーあずさとか乗ってるから」
「ふーん。あんた通り越して大出世やな」
「うるせえ」
レバーを握りながら米さんはニヤニヤする。
普段、鎌倉駅辺りからは銀色に煌めく海ねりが見えるが、生憎今日はどんよりとした霧と綿埃の塊のような汚れた雨雲に隠され見えない。

307 :続・RAILWAYS大船運輸区の米さん(2):2018/09/26(水) 15:03:46.88 ID:UB/GWxb50.net
車内が混み出すのは品川あたりからである。振り向いて客車を見るとブルーのシートには大体埋まっていた。
「そういえば最近、ゆいぽんとはどうなの」
米さんは後ろに流れる景色を見たままいった。
「ん?」
「だからゆいぽんとは」
「ああ。相変わらず。付き合って2ヶ月なのに淡白なもんだ」
「ふーん。それはそれは」
「それがどうした?」
「いや、良かったなって」
「良かった?」
列車は新橋駅へすべりこむ。
俺達はしばし無言になる。

「良かったって?」
トンネルの中では点々と灯る蛍光灯だけが頼りだ。軽く息をした米さんははめ込んでおいた懐中時計をポケットへ入れた。
「前に話してくれた菅井さんとのあれもあったし、てちは長野だし、一匹狼ならぬ一匹羊のあんたの周りにだれも居なくなったらどうしようかと思って」
「米さんがいるでしょ」
「うちは3月で辞めるからさ」
レバーを握り直して俺を一瞥した。
どうやらこの事実を告げるタイミングずっとを測っていたらしい。
「あと1ヶ月じゃん」
俺はすっきりとした顔の米さんに呆然とした。
「なかなか言い出せなくて・・・」
トンネルは酷く長い。
闇の中の轟音は背中を突き抜け、
一重にも二重にも絡まり合い。
やがて光が溢れてくる。

東京駅で交代してふたり、地下ホームを歩く。米さんと隣り合わせで、俺の足取りは重い。何故だろうか。おそらくきっと太っただけなのだろう・・・か。
「じゃ、ゆいぽんと幸せにな」
地上へと続くエスカレーターの前でわかれる。
「ああ。」
米さんはカバンについた螺旋のストラップを揺らし飄々とエスカレーターを登る。
俺はその姿を見ながらきっと米さんを見かけるのはこれが最後なのだろうとおもった。

308 :名無しって、書けない?:2018/09/27(木) 02:32:27.52 ID:zkqx7Dloa.net
>>307
米さん、、、涙

309 :大迷惑 1:2018/09/27(木) 19:46:15.32 ID:27JdJgnjd.net
「転勤になったんだよね」
オネダリワイフでもエプロン姿でもないなーこにそう告げた。
「ふーん、そうなんだ。」
「うん。」
結婚一年目にしては驚くほど薄い反応である。
「で、どこなの?」
「静岡」
「なんだ地元じゃん良かったね」
与えられたセリフを機械的に読んでいるかのような口調である。
「実は転勤が嬉しかったり?」
そう訊ねるとなーこの手に握られたお玉が光った。
「全然、そんなことないよ」
チョコレート色のボブヘアが揺れる。
「ごはん、出来てるから」
こころをもった機械的な口調で、なーこはリビングへと向かった。

310 :大迷惑 2:2018/09/27(木) 19:47:43.55 ID:27JdJgnjd.net
湯気が立ち上って眼鏡の前は白煙が上る。
「いただきます」
重なり合う声に今日は寂しさを感じる。
「これ、美愉ちゃんがくれた栗なの」
白米の上には黄金色が混ざって、箸を動かすと口内は著しく水分を欲する。
「へぇ」
朱塗りの箸の先は僅かに黒く剥げており。
それが続けて来た営みを想わせる。
「引っ越しいつなの?」
「来月」
「まだ一ヶ月あるじゃん」
リビングにつけられたエアコンは夕餉の匂いを慌しく掻き混ぜる。
食べ物を咀嚼する音、食器が触れる音とが会話のない夜十時の空間に脳内へ呼応して来る。ユニゾンが出来上がって自然に生まれてくるオチもなにもない会話も
あと数えるほどしかないのだ。
味噌汁は赤味噌でつくられている。
かき混ぜると茶煙が底から渦を巻き
啜ると塩気が舌に痺れた。
向かい側から温い風がおこり、指が頬に触れる。
「大丈夫・・・?」
泣いていたのだ。知らぬ間に。
きっと、それは誰だってあるのだろうが。
孤独を知って、温かさを知ってその時に
本当の孤独を知る。

311 :大迷惑 3:2018/09/27(木) 19:48:28.05 ID:27JdJgnjd.net
独りで日を過ごす事には慣れていた。
父は死んだし高校生の頃、母は離婚し出ていった。
大学でなーこと出会ったのも低体温で孤独な暮らしの中の些細な情景にしか過ぎず、それは孤独の暮らしの中へやがて溶けて消えてゆくと思っていた。
しかしそれは3年前初めてなーこの手料理を口にした時変化した。
「大丈夫?」
あの時とまったく同じだと感じたのだ。
お袋の味は?と問われたら(訊かれる相手も居ないけれど)、セブンイレブンの味と問われるだろう。
寒天が溶け込んで、味の濃い。
セブンイレブンがお袋の味だった。
誰かの体温が加わった手料理を口にした時、いままで感じたことのない不思議な
包容感に襲われたのだ。
お袋の味はあの日からなーこの味噌汁の味になった。
食事が終わってその夜、なーこに来週から一緒に住もうと言った・・・

「また一人になっちゃうけど」
シングルベッドに二人は狭すぎる。
しかし不愉快ではなく背中に当たる平坦な感触と、体温やシャンプーと柔軟剤の匂いはむしろ、その逆で心地好い。
なーこが自分から背中にくっついてくるのは今日が初めてだった。
たまらず向き直った。背中だけの温もりでは足らなかった。
不思議に首を傾げたなーこの唇はコーヒーの味に潤んでいる。
背中に回された手とパジャマの胸元は驚くほど冷たい。
「寒い・・・暖めて」
なーこは言った。
夜明けはまだ長い。

312 :名無しって、書けない?:2018/09/28(金) 16:57:05.58 ID:7YwakwxfK.net
>>311
>背中に当たる平坦な感触と

…(笑)

まあそれは置いといて
なーこちゃんのいじらしさにキュンときますね

大迷惑は名曲ですよね
自分がユニコーンの曲で何かやるとしたらスプリングマンのテーマあたりを選んでドロドロになりそう
書けないけど(笑)

313 :名無しって、書けない?:2018/09/28(金) 19:30:03.09 ID:4RIFDkrHd.net
>>312
ありがとうございます
平坦の部分は余計だったかなと思ったりしています。ちなみになーこさんをモデルにしたのはペアロケでのねるとの会話からです。
ちなみに文中にもその時の会話を入れてあります。
ユニコーンの大迷惑はストリングスが好みです。

314 :名無しって、書けない?:2018/09/29(土) 02:16:06.75 ID:sHrybwxIa.net
今日の握手会が理佐ちゃんにとって優しくて楽しい握手会になることを祈りながらの上げ

315 :名無しって、書けない?:2018/09/29(土) 23:57:30.17 ID:bivLis9xKNIKU.net
しばらくお見かけしない大阪府先生の健康と無事を願いながらage

316 :赤道を超えたら 1:2018/09/30(日) 21:51:15.77 ID:+BsAH9mqd.net
「ほかに好きな人が出来たんでしょ」
電話口でなーこは声を低くして言った。
またか。と一瞬思った。
なーこは驚くほど疑り深い。
「そんな、好きな人なんて居ないよ」
午後十時過ぎ。不在着信は30分の間に6件ほど。 その主はすべてなーこである。
「わたし……好きじゃないんだ?」
訝しげに台本を読むように言った。
「いや好きだよ」
いい加減眠りにつきたいのになかなかそう上手くことが運ばない。
「なんでいま面倒くさそうに言ったの?」
「いや、今日疲れてるからさ」
「いつも同じこと言うじゃん」
「そりゃ毎日疲れるからね」
そりゃなーこが同じことを話すからである。
「もしかして浮気・・・してないよね」
血も凍るようななーこの声である。
「まさかこんな忙しいのにするわけないじゃん」
浮気するほどモテないのだ。
己の旦那を買いかぶりすぎである。
「忙しくなかったらするんだ」
「そんなわけないじゃん」
熱を持つ10%を切ったXperia。
啜り泣きのような声が聞こえる。
「なんか……ごめん」
リトマス試験紙のようになーこの様子を伺う。
「いや・・・こっちも・・・仕事頑張ってね」
なーこの電話はいつも突然切れる。

317 :赤道を超えたら 2:2018/09/30(日) 22:08:53.98 ID:OFddkRJW0.net
「旦那さんが浮気?」
織田奈那はそう言ってヘラヘラ笑った。
「最近なんか・・・怪しい。電話も出ないし」
「また何回も掛けて嫌がられてるだけじゃないの?ちょっと見せて」
わたしからiphoneをひったくって織田奈那は着信履歴をスクロールした。
「ほら、やっぱ30分に6回もかけてんじゃん。そりゃそうなるよ」
芋煮の残ったのを箸で掬ってわたしに言う。
「そうかな・・・」
「それで不機嫌になって挙句そのやりとりじゃ可哀想だよ」
呆れた顔でわたしの掌へiphoneを返した。
「ほんとやめた方がいいよその疑り深いの」
「なんか心配になって」
「それがきっかけになって浮気されたりするかもよ」
「何それ?」
「だからたまたま奥さんがしつこくって〜みたいな愚痴を他の子にしてそれから仲良くなってやがては・・・みたいな?」
「電話する」
わたしはiphoneを握りしめる。
しかし充電を忘れたiphoneはロックを解除してすぐ暗転してしまった。
「いやほんとやめときなって。ちょっとは自分の好きな人のこと信じたら?」
味付けを間違えて濃くなりすぎたはずの芋煮を平らげた織田奈那は皿を重ねて流しへ運んだ。その姿を見て織田奈那が男だったら良いのにと思った。

318 :赤道を超えたら 3:2018/09/30(日) 22:10:14.87 ID:OFddkRJW0.net
「30分に6回よ?」
ジョッキを叩きつけるように置いた。
「しかも出ないと毎回浮気だ浮気だって」
カラカラになった漬物を一口食らう。
塩辛い。
「大変そう・・・」
ハーフアップの髪に青のジャケットと白のシャツに黒のスカートを着た今泉佑唯はぽつりと言った。
「疲れてる時にそんなこと言われるとこっちもイラッとしてぶっきらぼうにするとまた浮気だなんだってほんとに人のことをなんだと思ってんだか」
「ふふふ」
向かいに座る今泉はスミノフオレンジをストローで吸ってから笑った。
夏の日差しのような眩しい笑顔が素敵だった。
「どうかしたの?」
「いや、楽しそうだなって」
「どこが?」
「電話何回もされるの嬉しそうに話してるし・・・」
「まぁそれは」
「でも奥さんに愛されてて良いですね」
「そうか?」
「だって毎日電話するなんて普通しないから」
言葉を選ぶように今泉はゆっくりと話す。
そして目線の先には空になったぼんじりの皿がある。
「もっと頼む?」
そう訊ねると今泉はうなづいた。
小声で「やった」と言ったあとで。

「でも他の奴らどうしたの?」
約束の9:00を過ぎても同僚はまったく来る気配がない。
「実は・・・」
今泉はそう言ってから辺りを見回した。
「今日誰も来ないんです」
耳元の喧騒が嘘のように止んだ。
妖しげに笑う今泉のシャツはいつの間にか襟元が開かれそこからは微かに谷間がみえる。
「2人で話したくて・・・」
今泉はニコニコと笑って言った。

319 :赤道を超えたら 4:2018/09/30(日) 22:11:16.68 ID:OFddkRJW0.net
即座にその場をあとにしようとした時に掴まれた腕に触れた柔らかな感触が帰宅してもまだ忘れられなかった。しかしなにより今泉の笑顔が何故か恐ろしく思えて小糠雨のなかを
小走りで帰ってきた。
その時だ。Xperiaが振動した。
心臓が慌しく脈を打つ。


「もしもし・・・」
電話にでた彼はいつになく動揺した声だった。
「どうしたの?」
「いやね……」
彼はボソボソと話し出した。
わたしは絶句した。
「それって・・・」
「まさかそんなことになるとは思わなかったんだよ」
「ほんとに?」
「本当だよ。なーこだって知ってるだろ。吹奏楽部の頃に女子に虐められてからそういうのアレルギー体質なの」
「それは知ってるけど」
わたしは彼と初めてあった時のあの怯えようを思い出した。
「あわてて札だけ置いて逃げた・・・」
話を区切って彼は大きく溜息をした。
「大丈夫・・・」
小さな機械越しでしか心配できないことが歯がゆかった。

320 :赤道を超えたら 5:2018/09/30(日) 22:14:40.81 ID:OFddkRJW0.net
何事もなく翌日一日の仕事を終えられたことが奇跡に思えた。
もちろん、同じ職場に居るのだから当然今泉とは顔を合わせる機会があったが、今泉はただ伏し目がちに自分の横を通り過ぎるだけだった。いつものあの笑顔は無く。もともと短期の派遣社員だった彼女は何日か経って突然辞めてしまった。
そんな一日を振り返ってからXperiaのスケジュールを確認して翌日が休みだと今更気づいてほっとした。その後でたまには此方からなーこに電話をしようかと思い立った。


「珍しいじゃん」
なーこは珍しくなさそうにそう言った。
「明日休みだからね」
「そうなんだ、やっぱり」
「やっぱり?」
なーこの電話口の向こうは騒がしい。
盲人誘導音もする。
「いまどこにいる?」
「えっ、どこにも居ないよ」
心がまた複雑にうずを描きはじめた。

321 :名無しって、書けない?:2018/10/01(月) 00:21:40.78 ID:sOoG8m8ka.net
>>315
大阪府さんどうしちゃったんですかね?

ついに欅坂から卒業してしまったんでしょうか・・・

322 :名無しって、書けない?:2018/10/01(月) 00:26:37.94 ID:sOoG8m8ka.net
>>320
台風に負けじと投稿乙でありますm(__)m

323 :名無しって、書けない?:2018/10/01(月) 07:42:14.20 ID:wqrcSodJK.net
>>320
なーこちゃんと彼の心理の描写が心憎いですね(絶賛)

324 :名無しって、書けない?:2018/10/01(月) 08:08:50.29 ID:1kPIBk6r0.net
>>323
ありがとうございます。

325 :名無しって、書けない?:2018/10/01(月) 08:21:02.75 ID:1kPIBk6r0.net
それはそうと皆様台風は大丈夫でしたか

326 :名無しって、書けない?:2018/10/01(月) 08:54:38.25
AKBの小説
http://story2.ichaos.me
体験談
http://lazoo.ichaos.me

327 :名無しって、書けない?:2018/10/01(月) 17:53:49.98 ID:c4K4Rrsja.net
>>325
台風より規制が厳しくて辛かったです・・・

328 :赤道を越えたら 6:2018/10/01(月) 21:28:25.44 ID:1kPIBk6r0.net
チャイムの音が聞こえた。
腑に落ちないまま寝落ちしたようだ。
「はい・・・」
頭をかきながら玄関へ向かう。
髪はきっと跳ねているのだろう。
しかしそんなことに構う暇はない。
そう考えてドアスコープを覗くでもなくドアノブを開けた。
「やっほー」
そこには男物のスーツケースを手に
ぎこちなく笑うなーこがいた。
「なんか心配だからさ」
さらになーこはそう言いそえた。
風が2人の間を肩を竦めて通り過ぎ
外気の独特な香りを纏ったなーこに
近づく。
「どうしたの?」
そう訊かれて我に返る。
驚くほど力強くなーこを抱きしめていたのだった。
いままで感じえなかった体温が腕と
背中にぴったりとくっついて離れない。
「とりあえず中入っていい?」
なーこは腕の中でぼそっとそう言った。
「ごめん・・・」
今度は大手を振って秋風が二人の間を通った。カレンダーはもどかしく捲られんとしている。

「それで今日の朝一番の新幹線できたのね」
「昨日の夜電話した時もう東京駅にいたんだけど新幹線が無くて帰ってきたの一旦」
「だから騒がしかったんだ」
「そう。しかも慌てて出てきたから織田奈那ウチに置いてけぼりにしちゃってたし」
「あ、おかわり」
「はいはい」
「・・・ありがとう。でそっちは大丈夫なの?」
「大丈夫って?」
「スピリッツの月イチのやつ」
「あー、あれね新幹線のなかでやってきちゃった」
「はやっ・・・」
「だけどまだペン入れ終わってないの」
なーこはそう言ってじっと見つめてきた。
「わかったよ」
「ありがと」

329 :あしたのゆいぽん 第15話 前編:2018/10/02(火) 22:49:41.80 ID:gDsVjzV2a.net
「わっ!?誰?」

丑三つ時だというのに夜食にがっつくゆいぽんとオダナナに驚く娘理佐ちゃん

「理佐ちゃんごめんな、起こしちゃったか?」
なんて目の中に入れても痛くないほど可愛い愛娘の理佐ちゃんに謝る俺



「脱走〜!?」
ゆいぽんとオダナナの事情を聞いて悲鳴あげる理佐ちゃん

条件反射で理佐ちゃんに腹パン入れるゆいぽん

「う〜ん」
なんて気を失なう姿も可愛い娘理佐ちゃん

330 :あしたのゆいぽん 第15話 後編:2018/10/02(火) 22:50:05.79 ID:gDsVjzV2a.net
「てめえ!何しやがる!」
愛しの娘理佐ちゃんに手を出されて激高する俺 

「ちょっとオッサン、落ち着いてよ」
なんて仲裁に入るオダナナ

そのオダナナを突き飛ばしてゆいぽんに殴りかかる俺

そんな俺に向かってくるゆいぽん

そして炸裂する俺のクロスカウンター

「ゆいぽ〜ん」って悲鳴あげるオダナナ

崩れ落ちながらニヤリと笑うゆいぽん

「こいつだよ、こいつを教えてもらいに来たんだよ・・・」

呟き意識を失なうゆいぽん

「ゆいぽん・・・おめえ・・・たった1度だけ俺に喰らったクロスカウンターを覚えてやがったのか・・・」

ずーみんを倒すためにはクロスカウンターしかないと見極めたゆいぽんの野性の勘に立ち尽くす俺




明日はどっちだ?

331 :名無しって、書けない?:2018/10/02(火) 22:50:53.94 ID:gDsVjzV2a.net
だんだんあしたのジョーの雰囲気に近づいてきたw

332 :名無しって、書けない?:2018/10/03(水) 12:28:09.08 ID:G1W5R+u/d.net
文庫本は未知なる世界への切符だ。と思う。
自分の掌にある一冊の、薄いか厚いか分からない読み飛ばすことすらできない本
だけじゃ詰まらない。
だから二冊目の世界を求めて扉を開く。
どんな世界か分からない。飽きたら扉を閉めて、また忘れた頃に開けばいい。
その世界では登場人物は年をとらないし、笑顔もそのまま。しかし、それも詰まらないから掌の本に戻る。
扉を開いたきっかけはもう何年も前のことー恐らくはわたしの本のなかでもっとも面白い処に当たるページーだった。
憶えている人がどれくらいいるか分からないが嘗て、欅坂46と言うグループが居てわたしはそこに所属していた。
因みに「けやきざかふぉーてぃーしっくす」と読む。
ミュージックビデオの撮影や種々の仕事現場で鮮やかな色を纏った見かけだけはまともな大人との関わりを絶つため
ーもっと有り体に言うと話しかけられたくなくてーの小道具として手にした。
頭もそこまで良くないわたしにとっては文字を追うだけでもはじめは苦痛だった。
しかし次第にそれがおもしろくなって。今はその小道具がかかせない。

「おばさん何の本読んでるの?」
駅で電車を待っていたら小さな女の子に話しかけられた。
その女の子はショートヘアに白のワンピースに夏のサンダル。
ひどく懐かしくて胸が締め付けられたーしかしそれはもしかしたらおばさんと呼ばれたせいかもしれないー。

切ったばかりの髪の毛が突然訪れた
夏の風に揺れた。
書店のカバーがかかった文庫本を、
女の子の前に掲げる。
女の子は黙ってうなづいた。
「座る?」
わたしはリュックを置いておいた処
を開けて作った空席を指さした。
女の子は笑って跳ねるように座った。ベンチが苦しそうに鳴いた。
「これはねー」
扉を開いて女の子の顔を見た。
辺りは不思議に沈黙し、木々のざわめきだけが聞こえる。電車はまだ暫く来ない。
わたしはひゅっ、と小さく息をした。

333 :あしたのゆいぽん 第16話 前編:2018/10/04(木) 05:47:02.12 ID:cFqtNxwSa.net
「グローブはめたらリングに上がれ」

ずーみんと闘うためにはクロスカウンターが必要だと鑑別所を脱走してきたゆいぽんの熱意に負けた俺

泪橋の下にある我が丹下拳闘倶楽部に場所を移してゆいぽんにクロスカウンター伝授ってわけだ


「いいか、カウンターはタイミングが全てだ、こればっかりは実戦重ねて掴むしかないからな、ガンガン打ってこい」
なんてスパーリングの振りして最愛の娘にさて神の最高傑作理佐ちゃんの仇を討つ気満々な俺



「オッサン!もうやめないとゆいぽんが死んじゃうよ」
リングサイドから俺に止めるように頼むオダナナ

「止めろったっておめえ・・・ゆいぽんに言ってくれや」
力無くオダナナに言い返す俺

もう何発俺のクロスカウンターを喰らったのか分からないが、いっこうにスパーリングを止めようとしないゆいぽん

理佐ちゃんの仇は充分取ったから止めたい俺ではあるが・・・
ゆいぽんの気迫にスパーリングの終わりを告げられず弱ってる俺

「余計なこと言わないで・・・」
苦しい息の下からオダナナに文句言う普段は大人しいくせに気は強いゆいぽん

334 :あしたのゆいぽん 第16話 後編:2018/10/04(木) 05:47:28.39 ID:cFqtNxwSa.net
それからいったい何発のカウンターをゆいぽんにぶちこんだのか?

さすがにバテる俺


と、そこに

「お父さんやり過ぎだよ!」
いつの間にかやって来たのか愛しの愛娘理佐ちゃん

「理佐ちゃん!?腹大丈夫か?」
ゆいぽんに殴られた娘理佐ちゃんの腹を心配する俺

「全然平気、それより早く鑑別所に戻らないとバレちゃうよ」
なんてゆいぽんとオダナナを心配して学校行く前にジムに寄ってくれた優しい理佐ちゃん

「言われてみたらやべえな・・・」
腕組んで考え込む俺

しかし、良いアイデアが浮かばずに悩む俺

「ねぇ、ゆっかーに頼んでみる」
なんて助け舟の理佐ちゃん

「それがいいや」って理佐ちゃんのアイデアに全乗りする俺


「それよりよ、お父さんって呼んでくれて嬉しかったぜ」
なんて理佐ちゃんに何年ぶりかにお父さんって呼ばれて嬉しい俺に

「うるさいな、そんなの改まってお礼言わないでよ」
なんてそそくさと学校に向かい走ってく愛しの愛娘理佐ちゃん



明日はどっちだ?

335 :あしたのゆいぽん 第17話 前編:2018/10/04(木) 22:52:57.15 ID:cFqtNxwSa.net
「おっ、スマホ鳴ってやがる」

なんてゆいぽんとのスパーリングを中断する俺

俺がリングから降りると同時に崩れ落ちるゆいぽん

優しい俺が手加減してるとはいえダメージが溜まったのだろう


「あっ、こいつはお嬢様?俺なんぞに電話をいただき畏れ入ります」
なんてペコペコしながら電話に出る金持ちには異常に腰が低い俺

どうやは優しい理佐ちゃんが学校に着くなり菅井のお嬢様に事情を話してくれたらしい

「はい、はい、はい、ありがとうございます」
電話の向こうのお嬢様に深々とお辞儀しながら電話切る俺

「菅井のお嬢様何だって?」
心配そうに俺の顔を覗き込むオダナナ

「夕方車で迎えに来てくれるとよ、鑑別所の所長さんにも電話してくれて菅井財閥の関連施設で院外学習してるよう取り計るように頼んでくれたらしい」

「よかった〜」
胸を撫で下ろすゆいぽんとオダナナ

「お前ら理佐ちゃんに感謝しろよ」って恩に着せる俺

336 :あしたのゆいぽん 第17話 後編:2018/10/04(木) 22:53:35.70 ID:cFqtNxwSa.net
「お嬢様には色々迷惑かけてすいやせん」

夕方ジムに現れた菅井友香に頭を下げる俺

「全然大丈夫ですよ、気にしないでください」
なんて慌てて手をふるお嬢ゆっかー


「育ちが良い娘さんて癒されるな」
なんて思わず呟く俺


「どうせ育ち悪いですよ」
なんてゆっかーの後ろから顔を出す愛娘理佐ちゃん

「わっ!?居たのかよ」って驚く俺

「驚いてんじゃねーよ」って苦笑いする理佐ちゃん

「どうせ用意してないと思ってさ」
なんてカバンから湿布薬出してゆいぽんに張ってあげる我が娘ながら優しい理佐ちゃん

「ありがとう・・・」
照れながら理佐ちゃんにお礼を言うゆいぽん

「どういたしまして」
なんてぶっきらぼうに返事するこれまた照れてる理佐ちゃん



明日はどっちだ?

337 :名無しって、書けない?:2018/10/05(金) 23:40:31.68 ID:WKa7rFMtK.net
ageときます
http://o.8ch.net/1a8x2.png

338 :名無しって、書けない?:2018/10/06(土) 21:26:57.58 ID:Gzhz/kgz0.net
総武快速線で人身事故が多発してゲンナリな保守

339 :名無しって、書けない?:2018/10/07(日) 11:55:53.80 ID:cjcNAQtrK.net
知らない間にあっぷっプリが終わって食いしん坊ばんざいになってる(唖然)

という保守

340 :行くぜ、東北?(1):2018/10/07(日) 15:55:47.45 ID:1PVAMSiC0.net
川面に濡れた濃紺のスカートを絞ると幾重にも水滴が連なって陽光に白く輝る太腿を伝った。
「おーい帰るぞ」僕はその様をみて手をメガホンのようにして声を上げる。
「来て、ここ凄い冷たい」彼女は川の粼に濡れた足を花魁の様に動かして僕に言った。
「知ってるよそんなこと」
「はやくこっち来て」彼女は僕の真似をして声を上げた。此処に来て1年、関西言葉が未だに抜けきらない様だ。蜩が一斉に過ぎ去った夏を取り戻すように鳴き始めた。
砂利が足の裏に鈍い痛みを投げかける。
そして思ったより水温が低いことに驚いて声が出る。
隣でそれを見た彼女はブラウンの髪を揺らして笑った。
「思ったより冷たいやろ」
大人びた声が無邪気に跳ね回るのが意外だった。そう笑ってから彼女は白い歯を零してポニーテールを結う。
「ところでゆいぽんは未だに関西弁が抜けないんだね」僕は手首にかかったゴムが髪にとまってから訊いた。
「まぁね。」彼女は答えにくそうに言った。
「ところでさ」彼女は僕がその理由を訊こうとするのを遮って喋った。
「わたしの渾名何個あるの?」
「何個?」
眼差しの奥の真剣さとは裏腹な。どうでもよさそうな問いに拍子抜けした。
「ゆいぽんって呼んだり由依ちゃんってよんだり、ぽんって呼んだり、わたしへの君の呼び方が定まらないからさ」
「いや何となくその時の気分で。ちゃん付けで呼ぶのもなんか馴れ馴れしいかなって思ってゆいぽんって呼んだり、ぽんって呼んだり。」
水面にじっと眠る小石を指先で掘り返して澄んだ水面を曇らせる。
「馴れ馴れしいってそんなこと気にしてないし」
彼女はぼそっと呟いた。しかしこれは
聞かないことにした。
「あと、それとさいい加減はっきりしてほしいんやけど。」
はしゃいでいた先程とは打って変わって咎めるような口調に変わった。これが本題の様だ。
「はっきり?」
「そう。」
「もう焦れったいな」
彼女が焦れったがる意味が僕にはよく分からなかった。
「・・・いい。やっぱなんでもない。」
僕が首をかしげていると彼女は急に何も言わず川面を離れた。
すると木々たちが一斉に噂話をするみたいにざわざわと喚き始めた。
僕はさっさと家路への道を行く彼女を見失わないように追いかけた。

341 :名無しって、書けない?:2018/10/07(日) 15:57:28.77 ID:1PVAMSiC0.net
久々に行くぜ、東北のCMを見て思いついた、
そして関西弁のゆいぽんを見てみたかったりして。

342 :お久しぶりでーす(笑):2018/10/08(月) 22:46:19.68 ID:QXEogMkk0.net
『The Phantom of Baker』T

低身長だがスタイルはいい。それが出会ったときの印象だった。
雪の舞い降りる石畳の街道を、彼女は他の人より遅く歩いていた。初めて雪を見てはしゃぐ、少女のような足取りで、朝の雑踏を跳ねていた。
「朝だけはね、いつも調子がいいんだ」佑唯ちゃんはそう言っていた。

今でも何故あんな寒い冬の朝に散歩したくなったのか分からない。ただ無性に遠くへ行きたいような気がした。
そして辿り着いたのが、ロンドンの旧市街のような街道だった。無論、雪が積もっていたから、ロンドンらしさはどこにもない。

僕はベンチに座った。それから缶コーヒーを開けた。白い湯気の向こうには、パン屋が見える。
そこから出てきたのが佑唯ちゃんだった。あまりにも真っ直ぐとこちらへ歩いてきたので、親友かと思った。
佑唯ちゃんは横に座った。袋から長いバケットを取り出し、食べ始めた。

343 :名無しって、書けない?:2018/10/08(月) 22:47:29.93 ID:QXEogMkk0.net
『The Phantom of Baker』U

一目惚れしてしまった男のように、佑唯ちゃんに釘付けになっていた。だが、本当に惚れてしまったわけではない。変わった女の子もいるものだと思った。
厳しい冬のなか、彼女はカーディガンを着ているだけだった。しかし、別段寒そうな様子もない。嬉しそうに、長いバケットを食べている。
「これ、要りますか?」
あまりにも突然のことで、返答に困った。あいにく、コーヒーは全て飲み干したあとだった。「いいえ」と僕が答えると、佑唯ちゃんは亡霊のように紛れていった。

翌日の朝も同じことが起きた。今度は少しコーヒーを残しておいた。
「これ、要りますか?」同じ口調だった。佑唯ちゃんは昨日のことなんか無かったかのような振る舞いだ。僕はバケットを受け取ったお返しに聞いた。
「いつも此処に来るの?」
「うん、朝はいつもここに座る」
「じゃあ、昨日は僕が邪魔しちゃったかな」
「そんなことないよ」
「よかった。それより寒くないの?」
「朝だけはね、調子がいいんだ」
佑唯ちゃんは立ち上がった。そして消えてった。

344 :名無しって、書けない?:2018/10/08(月) 22:48:11.91 ID:QXEogMkk0.net
『The Phantom of Baker』V

僕はコーヒーを飲み干すと、目の前のパン屋に向かった。外から見ると、何の変哲もないパン屋に見えた。
ドアを開けると、すぐにバケットへ目が行った。おしゃれな街並みに店を構えるだけあって、少々値が張る。

「あの、15分ほど前に女の子が来たと思うんですけど、その人がとても長いバケットを持っていたんです。同じのはありませんか?」
「ああ、佑唯ちゃんのことだね。あの子には特別作ってあげてるんだ。何しろバケット以外は食べたくないらしくてね」
「なぜですか?」
「理由は知らないけど、ダイエットでもしてるんじゃないかな」

僕はバケット3本分のお金を払った。1本は自分の朝食用。あとの2本は明日の佑唯ちゃんの分だ。

345 :名無しって、書けない?:2018/10/08(月) 22:49:10.24 ID:QXEogMkk0.net
『The Phantom of Baker』W

「たぶん、今日で最後になるよ」佑唯ちゃんが言った。僕が支払ったバケットを右手に持っている。
「わたしね、誰かと友達になることなんて出来ないの。だから、まだ誰とも出会う前の夜明け前が好きなんだ」
そう言いながらバケットを食べている。やっぱり笑っている。言葉の真意はつかめないが、朝は調子がいいというのは本当みたいだ。

「そうだ、僕にいい考えがある。ずっと出会わないけどお友達ってのはどう?」
「出会わない?」
「そう、ずっと出会わないんだ。そうすれば気を遣わなくていいからね」
「でも…」
「頼むから、心の中だけでも忘れないでほしいんだ」

僕は握手を求めた。彼女は応えた。ゆで卵でも握っているかのような握力の弱さだった。
「佑唯ちゃんって呼んでほしいな」彼女はそう言い添えた。
「よし、これで友達だね。よろしく、佑唯ちゃん」

今にも壊れそうなその右手を、僕はゆっくりと離した。彼女はパンを半分ちぎって僕に渡した。
「じゃ、またどこかで」
「そうですね」

346 :名無しって、書けない?:2018/10/08(月) 22:50:14.45 ID:QXEogMkk0.net
『The Phantom of Baker』X

そんな事があって、パン屋の前のベンチはもちろん、その付近にさえ何年も近づかなかった。
元々は彼女の場所だ。せっかくの大切な友達だから、邪魔はしたくなかった。
しかし、ある日のこと、雪が積もった。おそらく佑唯ちゃんと友達になったとき以来のことだ。
久しぶりにどうしても出向いてみたくなった。銀貨を何枚かポケットに入れて、パン屋さんに向かった。

ベンチには誰もいなかった。パン屋はまだやっていた。僕はドアを開けた。当時の店主は健在だった。
「すみません。以前、ここで長いバケットを買っている女の子が居たと思うんですけど…」
「ああ、佑唯ちゃんだね。ちょっと前までよく来てたんだけどね」
「どうかしたんですか?」
「療養のために引っ越したそうだよ」
「そうですか…ぼく、彼女の友達だったんですよ」
「あ、じゃあ君のことだったのかな。佑唯ちゃん、いつの日かバケット2本分のお金を置いてね、『もし、わたしの友達が来たら長いバケットを渡してください』って言っていたよ」
「いつ頃ですか?」
「お金をもらったのは何年も前だな。でも、引っ越す日まで毎朝、『私の友達は来ましたか』って聞いてきたよ。じゃあこのバケットは君のものだな」

店主は紙袋にバケットを入れてくれた。僕はお金を払おうとした。
「もう、もらってるんで」店主は僕の手を差し止めた。
「ああ、そうでしたね…でも、そうだ。もし佑唯ちゃんが来たら、またバケット焼いてあげてください」
僕は店主の手の平にお金を置いた。

347 :名無しって、書けない?:2018/10/08(月) 22:52:50.77 ID:QXEogMkk0.net
『The Phantom of Baker』Y

店を出た。雪が降っている。僕は傘を差した。
ちょうど目の前でタクシーが停まった。中からやせ細った女の子が出てきた。僕は傘を差し出した。
「ありがとう」女の子は言った。下を向いている。女の子はパン屋に入った。僕は見届けると、その場から少し離れた。
女の子は急いでパン屋の扉を開けると、周りを見回した。やがて、僕の姿を見つけた。
僕は笑いかけた。彼女も笑った。それから何食わぬ顔をしてすれ違った。
まるで初めて出会ったような、それでいて懐かしい親友を見つけたときのような、そんな出会いだった。

(おわり)

348 :名無しって、書けない?:2018/10/08(月) 22:58:52.36 ID:QXEogMkk0.net
>>332
冒頭が素敵です
文学愛を感じます

>>336
知らない間に新シリーズ始まってましたねw
『明日はどっちだ?』
これは主題歌の引用ですかね?
庭さんにしては新しいタイプの文末表現ですけど、いいですね
「どっち」なんて言葉は普通の感覚では使えませんからね
今日を一生懸命生きて、明日は神のみぞ知る、かっこいい生き方です

349 :名無しって、書けない?:2018/10/08(月) 23:32:00.98 ID:QXEogMkk0.net
>>249
時系列辿ってみると、卒業発表前にチワンさんは書かれてますね
卒業踏まえてから読むと何とも言えないお話です(T_T)
最後のセリフに関しては、実際のところ、かのシーザーも「ブルータス、お前もか」(Et tu,Bruteなら早口で言えそうですけど)なんて言ってる暇無かったと思いますから、文学上全然オッケーでしょうw

350 :名無しって、書けない?:2018/10/08(月) 23:51:48.51 ID:OQDBNzER0.net
>>347
なぜか、ベイカー街の亡霊を思い出しました
>>348
文庫の100冊フェアの宣伝文句って毎回各社ともに凝ってるし素敵なんですよね。冒頭はまさにそんな感じをイメージして

351 :名無しって、書けない?:2018/10/09(火) 00:00:42.75 ID:geQ0v06Ma.net
>>347
お帰りなさいませw

相変わらず起承転結があって素晴らしい
こういう物語性のある作品こそ大阪府さんの真骨頂ですね

>>348
過疎ってる時に保守代わりに適当に書いてるだけですw
自分のスレじゃないんでゆいちゃんずを主役にして書いてるんですけど気づいたら理佐ちゃんも出演していてストーリーが原案から外れて迷走中です・・・

352 :秋の香りと 冬の魔法 & :2018/10/09(火) 00:22:29.94 ID:edRxA3OX0.net
秋めく東京の街はビルの明かりや車列のため息で俄に色めき経つ。
「菅井さん、どこに行く?」
指先だけをわずかに繋いで香水とガソリンの匂いが立ち込める駅前を縫うように歩く。
吉祥寺駅前は授業終わりの学生や仕事帰りのサラリーマンが交差してプラットフォームや住宅地へ吸い込まれる。
季節が更けゆくにつれカップルが増えるのは冬の魔法なのだろうか?
枯葉が舞いたつ紺色の空が首を傾げる。
「ねぇ・・・」
白いコートの襟を立てて身を竦めたあと、菅井さんはじっと、こっちを見つめた。
「さん付け・・・止めて。」
すぐ近くを満員の関東バス三鷹行きが通り過ぎる。排気ガスと静電気に似た緊張を残して。
「どうして?」
先輩なのだからごく当たり前のようにさん付けをしていた。
「もう付き合って1年も経つのになんか距離感感じる。」
ショートブーツが寂しげにアスファルトを叩く。
「なんか・・・でも先輩・・・だし」
指先が白く、冷たくなって行く。
「先輩とか関係ない・・・から。」
菅井さんの頬が紅く、伏し目がちになる。
歩調を緩めて、僕は訊ねる。
「じゃあなんて呼べばいい?」
「・・・ゆっかー。」
ぽつりと語尾が消えかかるようにそう呟いた。
「ゆっかー?」
試しに呟いてみる。なれない。
「こんな感じでいいの?ゆっかー」
「うん」
瞳が潤んで輝く。そしてうなづいた時に仄かに香水が漂った。
駅ビルを抜けて高架線のしたを通る。
中央特快が大慌てで都心部へと疾走してゆく。
「なんか食べたいな。」
手のひらまでぎゅっと握ってゆっかーは言った。
「そう・・・だね」
僕も手を握り返して相槌を打つ。
「・・・これからさん付けで呼んだら罰ゲームだからね?」
僕の顔を覗き込んでゆっかーが言った。

353 :秋の香りと 冬の魔法 & :2018/10/09(火) 00:23:09.94 ID:edRxA3OX0.net
「わかった菅井さん」
「あ、さっそくさん付した」
「慣れないからさ」
「今日の夕飯は奢りかなー」
ゆっかーは楽しそうに辺りを見回した。
「ちょっと」
ゆっかーの頭の中で幾つも浮かんでは消える夕食のプランを想像しながらポケットの財布を確かめた。
「嘘、嘘冗談。」
「いいよ、今日くらい。いつも半分ずつだし」
「ほんとに?いいの?」
心配そうな表情を浮かべるゆっかーはやっぱり素敵な人だ。
僕らは掌を人混みではぐれないように強く繋いで暖色のライトが人々を包み込むように光るOIOIへと入っていった。

354 :名無しって、書けない?:2018/10/09(火) 00:24:18.63 ID:edRxA3OX0.net
元ネタは本日放送のレコメン

355 :名無しって、書けない?:2018/10/09(火) 18:55:04.12 ID:VeL03w/la.net
>>353
乙でありますm(__)m

356 :名無しって、書けない?:2018/10/09(火) 23:03:06.53 ID:1Nv8e+A50.net
>>350
天国、ベイカー、十字路らへんの雰囲気が好きです

>>351
物語性あるんですかね?
自分では支離滅裂の殴り書きをしてる感覚ですw

357 :名無しって、書けない?:2018/10/09(火) 23:14:33.89 ID:1Nv8e+A50.net
>>353
ゆっかーなら毎回払えるだけの財力があるんだろうけど、それさせてしまうと関係って崩れますからね

蘭ちゃんが金欠になってスキーに行けなかった時、「金持ちの園子に出してもららえばいいじゃねえか」って新一に言われて、「ダメ、園子とは一生親友でいたいもん」って言うシーンがあるんですけどね
あぁだから彼女は魅力的なんだと改めて実感しました

358 :あしたのゆいぽん 第18話 前編:2018/10/10(水) 00:29:50.60 ID:dyvH5LCWa.net
「しかし、馬の世話ってのも大変だな・・・」

今日も今日とて菅井様のボランティア隊の一員として鑑別所の中庭でゆっかーの愛馬ヴォルフラムの世話を焼く俺


「オッサン大変だよ〜」
慌てて俺を呼びにくるオダナナ

「大変なのはお前の顔のほうだろ・・・」

なんてゆいぽんのクロスカウンター練習に付き合わされてボコボコなオダナナの顔にビビる俺

「まったく、練習に熱心なのはいいけど回りが見えなくなっちまうのがゆいぽんの欠点だな・・・」
なんて言いながらヴォルフラムにブラシをかけてあげる厩務員な俺

「なに呑気に馬の相手してんだよ、ゆいぽんが鑑別所の連中に片っ端からケンカ売り始めて大変なんだよ」

「なに?ついにぼっちから脱却する気になったのかよ、あのぼっちのぽんがか?」
なんてぼっちの殻を破ろうとするゆいぽんに何かを感じる俺

「しかし、ケンカふっかけてダチを作るなんてどこまでも不器用な奴だな」
なんて満足な微笑み浮かべるそんなゆいぽんが嫌いじゃない俺に

「そんなわけないだろ!カウンターの総仕上げするつもりなんだよ!」
察しの悪い俺に叫び声あげるオダナナ

359 :あしたのゆいぽん 第18話 中編:2018/10/10(水) 00:31:44.23 ID:dyvH5LCWa.net
オダナナに追いたてられてゆいぽんの元へ駆けつける俺


「これは!?」
そこかしこに倒れてる女囚の群れに戦慄を覚える俺

「うぅ・・・ゆいぽんの奴狂ってる」
なんて苦しそうに絞り出す女囚

360 :あしたのゆいぽん 第18話 後編:2018/10/10(水) 00:32:03.67 ID:dyvH5LCWa.net
「いまいちタイミング掴めなかったんだけど、やっとモノにしたよ」
なんて笑うゆいぽん

満足したのか大人しく看守に懲罰房にぶちこまれるゆいぽん

それを見送る俺とオダナナ

「オダナナよ・・・今の今までずーみん相手に万に一つもゆいぽんに勝ち目無いと思っていたがよ・・・
ゆいぽんの才能ならずーみんに勝てるかもしれねえぞ」
なんて予想以上のゆいぽんの才能に初めてずーみん戦への可能性を感じる俺




明日はどっちだ?

361 :名無しって、書けない?:2018/10/10(水) 00:33:54.86 ID:dyvH5LCWa.net
NGワード出過ぎて書く気が失せてしまう・・・

362 :名無しって、書けない?:2018/10/10(水) 00:47:53.00 ID:dyvH5LCWa.net
>>356
大阪府さんはいつ頃かは分からないけど場面を描写するのを脱却して物語を書く作家さんに進化してますよ

なんか心を動かす何かがあるんですよ最近の作品は・・・

などと褒めてみる・・・

363 :名無しって、書けない?:2018/10/10(水) 23:41:14.64 ID:zg1O/zwb0.net
>>362
そうすっかw
庭さんも最近はすっかり丸くなられたというか、整然さが増してるような気がしますよ
それが単に技量の成す技であれば良いんですが、情熱が削られたぶん客観的な捉え方をされているのであればちょっと怖いですね
僕やチワンさんなんかと違って(千葉県さんはどうかな?)、推しメンへのモチベーションも執筆意欲の要因の一つでしょうから、ある日突然もぬけの殻状態なんてこと無きにしもあらず
なんて心配は無用ですかねw
なーこちゃんも「恋は短く、愛は長い」とおしゃってますからね

364 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP1:2018/10/11(木) 00:37:24.98 ID:tr88naTf0.net
黄色い列車がトンネルを抜けると同時に光の向こうへ哭き上げた。闇の中に包まれていた窓辺はそれを合図に煌めく秋日に変化した。
「特急しおさい5号 銚子行 千葉の到着は14時9分です。」
LEDの時計は13時52分を指す。
僕がうろこ雲が浮かぶ窓辺に持たれると、
またあのミュージックホーンが鳴った。
255系は左右に細かく振動しながら、
中川に架かる鉄橋を東へ駆ける。
曇り窓から見下ろす先に草べりの土手があり。そこでは野球をしている少年たちがいる。
「あの頃も今も同じような風景がずっと広がっていただろうか。」
ミュージックホーンが追憶を促すかのように哭いている・・・

首元の温もりが離れると途端にすきま風がそこへ入り込んだ。
「今日はありがとね。」
水色のパジャマを着た小林由依が静かに笑う。その時、浮かんだ笑窪は体内に巣食う病巣に冒され少しずつ痩せ細りつつあった。
「また来るから」
その”また”は一体、何時になるだろうと思いながら白く細い手を握った。
「うん」
僕らの周りには常に機械的な音のリズムが存在する。
例えば、心臓の鼓動。尤もこれは機械ではないが。彼女の命脈を繋ぐ、モニター。これもまた不規則なリズムを刻んでいた。
(続)

365 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP2:2018/10/11(木) 00:38:27.39 ID:tr88naTf0.net
晩秋に差し掛かる千葉の大学病院を出たのはそう、夕餉の香りが何処かから漂ってくる頃だったろうか。
彼女は18年来の隣人で。
明けても暮れても彼女が何時も傍にいた。
往々にして薄弱な僕を引っ張って
公園や学校に連れ回すのはいつも彼女だった。
顔立ちのせいか。それともその潤んだ冬のくらい海のような瞳のせいか。
いつもかなしそうでひ弱な印象が彼女をついてまわった。それは今となっては合致
のかもしれないが、当時の僕にとって実際はまったくの正反対に感じていたのを具に想起する。
公園で見知らぬ同年代の小供にブランコから
蹴落とされた時も、鞄を奪われた時も。
反逆に打ってでたのは常に彼女で、
僕は、常に彼女の裾に隠れていた。
母は、その哀しい日常を見て、なんと情けない!と毎回嘆いていたのだった。
それがだいたい小学校の高学年辺りまで
続いただろうか。
水戸黄門にも似たマンネリ化した日常が、
にわかに変容したのは中学に入ってからのことだ。
(続)

366 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP3:2018/10/11(木) 00:39:44.82 ID:tr88naTf0.net
急に彼女が僕の元を離れたのである。
いや。離れた、といったら語弊があるだろうか。なぜなら。元々離れる程の心的距離はなかったから。
「今日理佐と帰るから。」
「今日織田奈那と帰るから。」
「用がないなら話しかけてこないで。」
「・・・ウザイ。」
枳の木の棘のように。
あらゆるものに尖り始めた。
それは男が女と共に何かをするということを
極端に躊躇う疾病にも似た厄介な期間に
突入したことを知らせた。
尤も僕にしたって例外ではない。
その時期から親との間に不穏な空気を感じるようになり。
一挙手一投足全てに形のない怒りを感じさせた。
ひとたび変転したこの日々も、全くもって
不愉快極まりない哀切の日々だったか。
といったら必ずしもそうではない。
同じクラスに関西弁をのべつまくなし捲し立てる男がいた。彼は、不思議と読書と、趣味が同じで、さらにはその傾向も同じだった。
彼と僕は吉行淳之介、横溝正史、山川方夫・・・といった
日毎に存在が退色しつつある(と思われている)
作家の本を読むのが好きだった。
そんな彼と入り浸っていた古本屋の老店主と
の放課後の日々が、いまの己を形成している。しかしながらいまはその話をしている余地はない。

彼女との関係が変化したのは高校1年になってからのことだ。
第一部完/第二部(続)

367 :名無しって、書けない?:2018/10/11(木) 00:45:46.30 ID:tr88naTf0.net
>>363
モチベーションは常に65位で元々高くも低くもなくて。どちらかといえば欅坂への熱よりも文章を書くことへの熱が高いです。

368 :名無しって、書けない?:2018/10/11(木) 00:47:53.13 ID:tr88naTf0.net
あ、このウィンドチャイムって
詞良いな〜と思って描き始め。
誰をキャスティング笑するかを決めました。
あとは連想ゲームみたいに
だいたいこんな感じだよなーと
思いつつ行き当たりばったりで
やっぱり起承転結とかを
決めて書くよりこの方が性に合うようです

369 :名無しって、書けない?:2018/10/11(木) 01:48:29.21 ID:tVobpiZZa.net
>>363
最近はブログに移植するのが前提になってるので抑制が効いてるかもw

しかしなにより規制で丸一日書き込み出来なかったり投稿のたびにNGワードが出てモチが下がったせいか妄想書くのが最優先では無くなりましたねw
今は時間空いたら書こうかなぐらいになりました・・・


>>367
俺と真逆だw

小説スレに来る前に理佐ちゃんの個スレで妄想書いてた頃から文章書くの全然興味なしだわw

欅板の小説スレなのに推しメン愛が書く動機なのが俺だけとは興味深いなw


>>368
それがいい!

自由に好き勝手に書いたほうが創造性豊かな作品が書けるかもですw

所詮訪れる人の居ない過疎スレですけん自己満足が最優先です

370 :名無しって、書けない?:2018/10/12(金) 10:49:01.82 ID:SeUB5My30.net
すいませんエロい人が多そうなこのスレで宣伝させてください
このスレでは東村芽依ちゃんなども大人気でよく名前が挙がるのでぜひ覗いて見てください!


【復活】相楽伊織ちゃんのドスケベのボディwwwwwwww【永遠】10
ドスケベボディ!
ドスケベボディ!
相楽伊織ちゃんのドスケベのボディwwwwwwwww
相楽伊織ちゃんのドスケベのボディは卒業しても永遠です!
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/nogizaka/1539307654/l50

371 :名無しって、書けない?:2018/10/12(金) 12:39:18.26 ID:IMFSVBbMK.net
>>340
『はっきりさせる』のダブルミーニングが上手い(拍手)
このままCMに勿論できそうですが
ゆいぽんの東北弁も聞いてみたいなあ(チラッ

>>347
ベーカー街とパン屋(ベーカー)を掛けたタイトルがいつもながら秀逸
キャスティングもバッチリです
吉田拓郎氏による含蓄深い歌詞も思い出されます
『あの人のための自分などと言わず
あの人のために去りゆくことだ』

ずいぶん昔に千葉県先生からずみこ主役の病気もののリクエストをさりげなく頂いてそのまんまになっているのを思い出しました(笑)

>>349
ご推察のとおり、卒業発表するとは知らずに書きました
あと蛇足ですが、現実には米さんとねるの間にわだかまりが残ってるとは思ってません
あくまでも設定です

>>353
庭先生の世界を、相手を替えて、文体と構成を変えると、こんな感じになりそう
って思いました
もちろん誉め言葉です

>>361
NGワード設定の理由のひとつは悪徳商法・勧誘の排除らしいので
特定の固有名詞の連呼もそれに含まれてしまうんじゃないかという気がしています
それだけ庭先生が理佐ちゃん連呼してきたってことです(笑…いごとではないか)

>>363
自分は結末まである程度メドが立たないと書き始められないようになってきてしまったんで
病人ずみこを含めていくつか素案はあるものの全く進みません(笑)
あと漫才のモチベーションはダダ下がり中で
使えそうなネタが浮かんだ場合でも、他板でたまに描いてる4コマ漫画に回したりしてます

>>366
今回は序章でしょうか
いつもながら続きを楽しみにさせる書き方が絶妙ですね

ちなみに千葉大学付属病院には何回かかかったことあるので懐かしいです(笑)

東京歯大とか慈恵とか順天堂とか日本医大とか東邦とか女子医大とかの設定だったらどうしよう(笑)

372 :弾丸ライナー その1:2018/10/12(金) 14:29:11.42 ID:JWfguKeJ0.net
新青森が開業する頃だからもう10年前のことだ。
僕は曇天模様の空の下、粉雪が斜めに舞い散るあの冬を思い出す。

「新青森開業すんのいつだっけ?」
僕は乾燥する瞳を瞬かせながら彼女に訊いた。
「確か12月って聞いたっきゃ」
「ありがとう」
「・・・なんも。」
今にも泣きそうな彼女はこれから訪れる春をどんな風に過ごすのだろうか。
何も言わず掴むように、握られた彼女の
冷たい手を感じながら思う。
「・・・東京って遠いんだべ? 」
ぽつりと呟いて彼女は立ち止まる。
「うん・・・」
意外と近いよ、なんて言えなかった。
言うべきだったのに。
「なんでみんな東京さ行くの?」
「それは・・・」
クラスの中で青森に残り、大学に行くという
人は彼女を含めて数人と少ない。
パウダースノーにふたりの足跡が
フラフラと不確かに着いている。
広めの歩道で僕らは立ち止まって、
言葉にできない靄がかった思いを処理しようとしていた。
「別れよう・・・もう。」
彼女はそう言ってため息をついた。
足元にはぽつりぽつりとシミが落ちていた。
「由依ちゃん?」
僕が顔を覗き込もうとした途端、
強い風に遮られた。
「由依ちゃん?」
再び彼女の顔を覗き込むと彼女はそっぽを向き
「今日は1人で帰るから。」
そう言ってとぼとぼ歩き始めた。
どうせ同じ方向の僕はまるでストーカーでも
するように徐行しながら黒い丸の後を
追いながら歩いた。

373 :弾丸ライナー その2:2018/10/12(金) 14:30:01.09 ID:JWfguKeJ0.net
「そんでそれっきり?」
ソファーに座りながら姉は指を払った。
ポテチを食べていたから。
「駄目だなぁほんとに」
目の前の液晶画面には訳の分からないアニメが映し出されている。
「ほんで姉ちゃんさいつ帰ってきたの?」
「ん?今日。」
「今日?」
こくり、とうなづいてリモコンを手に取る。
「母ちゃんにまた怒られるべ。里奈さ、また、なんも言わねぇで帰ってきたって」
「んー。気にしない。気にしない。」
どてらみたいなのを羽織って寒そうに肩を竦める。
「ほんでも、その由依ちゃんはそのままにしない方が良いかもね」
姉の方言が薄れてきている。と思った。
いづれから僕もそうなるのだろうか。
「そう?でもどうせ離れちゃうし」
「東京行ってもあんな可愛い子普通居ないよ?」
子供っぽく笑って姉は言った。
「嘘ぉ?」
「ほんと」


「由依ちゃん」
「何?」
我が家のリビングで彼女は酷く低い声で
聞き返した。
「だから昨日のこと。」
「何?」
「別れるってさ言ってたべ。 」
「うん 」
「別れたくない」
彼女の相槌が止まる。彼女はじっと僕を
見ているようだ。
「お姉さんになんか言われた?」
「いや」
「あっ、そう」
「あと東京行くの来週になった。」
「来週?」
彼女は驚いたように僕の方を向いた。
「再来週って言ってたべ」
「姉ちゃんが早めに行って慣れとけって」
「そう・・・」
「だからさ。一緒に東京行かない?」
僕は遠慮がちに言った。
「はっ?」
荒い声で彼女は言った。
「いや・・・だから東京」
「1週間くらい。」
1週間、といいそえて彼女に言った。
暫く彼女は黙り込んだ。

「何着ていこうかな」
やがてそう言うと鼻歌を歌いながら僕の太ももへ横たわった。
ブラウンの綺麗な髪と項が近くにある。
僕はそれを撫でながら遠い、東京を思った。

374 :名無しって、書けない?:2018/10/12(金) 14:34:23.55 ID:JWfguKeJ0.net
三浦春馬と吉幾三の新青森駅開業のCMは最高ですよね。
という訳でさっそくチワンさんのリクエスト?にあった東北弁のゆいぽんです。
といっても東北の津軽弁ですけどね。
続きはまたいつか。
テーマソングは槇原敬之の林檎の花です。

375 :名無しって、書けない?:2018/10/12(金) 14:36:18.25 ID:JWfguKeJ0.net
>>371
ありがとうございます。ダブルミーニングになってたことに今更気づきました。完全に無意識です。病院の設定はあまり詳しいところまでは決めておらず第2部の企画倒れが心配です。

376 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP4:2018/10/12(金) 21:17:49.77 ID:JWfguKeJ0.net
変化したのは彼女じゃなくて僕の方。
と言った方が正しいだろうか。
いや変化、というより、悪化か。
「ねぇ・・・」
昼休み。いつもの様に自分の机で
寝ていると彼女がやって来て話しかけてきた。
「なに。」
近づいた彼女の顔は幼さが抜け、完全に大人の女性の風格が漂っている。
それ故に目を伏せてしまう。
もう、幼なじみとは到底思えない。
「りっちゃんを泣かせたってほんと?」
彼女は真っ直ぐな目でそう聞いた。
いちばん聞かれたくない相手に
聞かれた。と思った。

時間の流れが激しいが素人故に致し方ない。
御諒如願って、一旦この光景から
一週間ほど遡る。
昼休み。僕はやっぱりその日も寝ていた。
べつに眠くはないが。
寝ていれば安全だったから苦肉の策で
こんな様態になったのだ。
「ねぇ、起きてるでしょ?」
低い声が僕の耳元に落ちてきた。
起き上がって霞んだ眼が声の主を捉える。
「ああ・・・」
喉元で声が絡まる。
このクラスの人気者、いや。
生臭い言い方をすればこのクラスのカーストトップの渡邉理佐だ。
不快な汗が掌にベタついた。
「ちょっといい?」
また我が身に不愉快な災難が降りかかるの
かと理解した。
が、彼女の誘いを断れるほど意志が強固でないし、そもそもそのような強い意志が
あればこんな扱いはされないはずだった。
僕は無言で彼女について、廊下の端にある図書室まで向かった。
(続)

377 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP5:2018/10/12(金) 21:19:42.08 ID:JWfguKeJ0.net
「由依ちゃんと付き合ってる?」
図書室のカウンターからはいちばん見えにくい席。彼女はそう切り出した。
「いや、まったく。そもそも、最近、話さないし。」
「そうなんだ・・・」
「それが?」
「あのね・・・」
向かい合った彼女が机の一点を見つめ
黙り込む。
「・・・付き合って、ください。」
眼前が暗くなり全身の血が逆流するのを覚えた。
「また罰ゲーム?」
自分の声が驚くほど低い。
「違う。」
彼女は必死に首を振って否定した。
「お疲れ様です」
僕はそういって立ち上がり図書室のドアを
乱暴に閉めた。
閉める時、振り返りざまに見た彼女が
突っ伏していたのが気になったが
これは恐らく笑いを堪えているのだろう
と思った。
この数ヶ月で僕は立て続けに5人に
告白された。これが本当なら僕は色々な人に触れて回って喜んだろう。
しかしそれはどれも女子のじゃんけんで
負けたやつがクラスの下のやつに
告白するという唾棄すべきゲームの一環だったのだ。
女子はこのモテないやつの反応を楽しみ
さらにはこれが嘘であると告白した時の
反応も楽しみにしているのだった。
無視や・・・・・・といった記すことすら
躊躇う不愉快で呪うべき陰なる日常のなかで
さらに心は複雑に陰って行った。
だからこの一件もたんなる罰ゲーム
だと思ったのだ。

「あの罰ゲームがなんなんだ。」
僕は彼女に言った。
青天の霹靂だ。
「あれ罰ゲームじゃないし。本当にりっちゃん、あんたのこと好きだったんだよ?」
彼女はご丁寧に最低とまで付け足した。
「あっそう。」
もはや後の祭りである。
恐らくどちらにせよいまの状況が
さらに悪化するのだろう。
(続)

378 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP6:2018/10/12(金) 21:32:00.73 ID:JWfguKeJ0.net
「りっちゃんに謝りなよ」
「そんなことを言いに来たの?」
「いいから。今のあんたにはりっちゃんが必要不可欠なの」
「由依ちゃんに関係ある?」
彼女は一瞬、黙り込んだがまた
「りっちゃんと仲良いから」
そう答えた。
友だちと口ごもって言えないあたり彼女はやはり変わらないのだろうか。
僕は仕方なく彼女の言うまま、またあの図書室へ向かった。
あの机にはやはり彼女がいた。
この一瞬、さえも嘘だと思ったのだ。
「どうも・・・」
僕はなんといったらいいかわからず
そう切り出した。
彼女はぺこりとだけ頭をさげて
またあの時と同じく黙り込んだ。
「この前はごめん」
じゃじゃ馬、いや、お転婆、いや、
ともかく明るい彼女の普段との
変わりように驚いた。
「由依ちゃんに教えられてようやく気づいたの。あのことに。」
「うん。」
「でも本当にこの前のは違うの」
「いや、こっちもなんか、うん、」
最早こうなってくるとなにも言えない。
「だからね、付き合って。」
頬は赤らんで西日がテーブルに零れる。
それが眩しくて出入口に目をやると
影から誰かが覗いているのに気づいた。
由依ちゃんだった。
「うん。」
僕はそう言って理佐の方を見た。
「明日から昼休みに寝たふりするの禁止だあらね」
理佐はそう言い放って笑った。

379 :名無しって、書けない?:2018/10/12(金) 21:32:29.46 ID:JWfguKeJ0.net
続きます。

380 :名無しって、書けない?:2018/10/12(金) 21:45:02.00 ID:P0X1Hwfca.net
>>379
頑張って!

381 :名無しって、書けない?:2018/10/12(金) 21:50:37.89 ID:P0X1Hwfca.net
千葉県さんへの応援は応援として

些か私事なのですがブログへの移植がもう少しでスレに追いつくんですけど・・・

2017年2月22日に初めて小説スレにやってきてから1年8ヶ月にちょい欠けで1400話越えってなかなか変態な記録ですよね・・・

誰か褒めてくれ!

それにつけても飽きっぽい俺が2年以上推し変しないとは・・・

理佐ちゃん恐るべし・・・

382 :庭先生へのプレゼント(酔いながらの執筆w):2018/10/13(土) 00:40:33.67 ID:lnNnPsnO0.net
『MajiでWakaれる5秒前』

やりきれない思いに駆られることがある。
ファンにおだてられながらも、その裏で一般人には鼻で笑われている。
それがアイドルという職業だ。

どうしてもアイドルになりたくて、今こんなことをしているわけじゃない。
でもだからといって、全てを棒に振るなんて真似もできやしない。

脆い、そう、とっても脆いよね。
よく卒業なんて出来るよね。次の仕事が保障されているわけでもないのに。

でもね、たまに思うんだ。
人生は一度きりなんだから、燃え尽きてみようじゃねえか、ってね。

なんてったってアイドル、握手会やライブが終わった後は、普通に生きているだけでは味わえない感覚がある。
私はそんな夜に散歩をする。いちばん幸せな時間かもしれない。
一歩一歩踏みしめるたびに現実へ戻り、あまりに夢想的な空間から距離を置く。

ブレーキが聞こえる…ブレーキが聞こえる…ブレーキ…



私は自転車に轢かれていた。ラヴホテルの垂幕からチャリが出てきやがった。
「ちきしょう!なんて日だ!」と言いながら中年の男が自転車を起こしている。

なんか怒っているみたいだけど、ぶつかってきたのはそっちだ。
そもそもラヴホテルからチャリで出てくるって何だよ。ダセえよ。

男は手を差し伸べて、「ほら、何ともないだろ」と言う。私は顔を上げた。男が悲壮な顔をした。
私のマスクは真っ赤に染まっていた。

383 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 00:42:33.13 ID:lnNnPsnO0.net
ホテルの部屋は暗い。男は熟睡している。

なぜにアイドルの私が、こんな男をラヴホテルに連れ込まなければならないのか。
それはこの男が酩酊状態で自転車に乗った挙げ句、私にぶつかって、前カゴのワインを割り、液体のかかった私を血まみれの女だと勘違いして、気絶したからだ。
つまるところ私の出来る精一杯の対応だった。決してこの男に対する対応ではない。芸能人と事故を引き離すための対応だ。
男を部屋へ押し込んでおけば、事を荒らさずに済むかもしれない。

幸いにも男は自分の足で歩けるほどには余力があるらしく、私の言いなりになって部屋へ入ってくれた。

私は布団をかぶせて帰ろうとした。
その時、「理佐ちゃん…やっぱり理佐ちゃんだよね」と振り絞った声が聞こえた。
一瞬止まってしまったのがまずかった。男は嬉しそうな顔をしている。

384 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 00:43:33.37 ID:lnNnPsnO0.net
「俺はなんという夢を見ているんだ」男は笑っている。
この男には私が現実には映っていないようだった。そうだと分かれば仕掛けやすい。
「私のこと知ってるの?」
「あぁ、知ってるも何も理佐ちゃんは俺の嫁だからさ、こんな所に居ちゃ駄目なんだよ」
全く意味がわからない。でも悪い人でもないみたい。

「ねえ、もし私がアイドル辞めるって言ったらどうする?」
「理佐ちゃん辞めるの!?うーん…そしたらやっぱり俺の嫁になるだけだな」
私は部屋を出た。

ところが刺激的な秋風が私を見張っているような気がした。
そう思うと何もかも終わってしまいそうな気がする。

私は部屋へ引き戻し、男にまくし立てた。
「今日だけは、今日だけはお嫁さんになってあげるから、誰にも言わないでね」

男はキョトンとしている。やがて意味を理解したらしく、笑い始めた。
「あぁ夢じゃなかったのか…大丈夫だよ。今日だけお嫁さんになってくれるんだ、週刊誌に言いふらしたりしないよ」
「ありがとう」

私は時計に目をやった。薄暗い中、秒針に目を凝らした。
十二時の五秒前、私は男の頬にキスをした。

「おやすみなさい」
それはこの偶発的な事故に、あるいは束の間の旦那さんに、そして何よりアイドルという幻想的な活動に対する明日までのお別れの言葉だった。

おわり

385 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 00:45:29.98 ID:lnNnPsnO0.net
なんかプレゼントになってない気がするけど、まあいっか

386 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 07:30:41.15 ID:k1ngxV2Ja.net
>>385
なんだかシュールなプレゼントありがとうございます((o( ̄ー ̄)o))

387 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 15:15:21.09 ID:lVIR0BiUd.net
>>381
凄い・・・

388 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 18:42:57.58 ID:RsyBFIjAa.net
>>387
1400話って言うと凄く聞こえるんですけど
冷静に分析すると20ヶ月で1400話だから1ヶ月で70話
1日約2.3話〜2.4話だから案外大したことないのがバレるw

389 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 18:49:35.95 ID:7x+NxVWmd.net
ちなみに僕がここにきたのは2018年2月23日。
気がつけばもう8ヶ月。

390 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 18:50:14.95 ID:7x+NxVWmd.net
>>388
こんど自分のも数えてみようかな・・・っと

391 :名無しって、書けない?:2018/10/13(土) 19:40:37.13 ID:lnNnPsnO0.net
みんな2月に来たんですね
調べると、僕は2017年2月27日でした
庭さんがレスしてくれてて、励みになったのを覚えていますm(_ _)m

https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1487327352/73

392 :重力と呼吸(102):2018/10/14(日) 00:50:42.50 ID:CsPRXyW70.net
時は様々なものを変えてしまう。
立場や環境や、やがていつかは心までも。
おそらく時に変えられないものは無いのだろう。
一年前。大阪に行った姉と遠い世界に行ったいくちゃんとそれぞれ別れて独りになった。僕はその日から驚くほど退屈で単調な日々を過ごした。
飛鳥はそんな日々のなかで出会った。

「あの、そこ私の席なんですけど、」
はじめて彼女とあった時。
なんて傲慢な人だ。と思った。
それは向こうも同じだった。
つまりは僕ら、互いに「傲慢」だと
誤解していたのだ。

僕は大学の構内の隅、銀杏並木の中に
あるベンチで本を読むのが好きだった。
秋になると地獄絵図になるが
春先は緑の葉を揺らしてなんとも落ち着く。
そしてそのベンチは2人がけで、なぜか木立の真ん中にたったひとつしかなかった。
その理由は未だに分からない。
僕は当初、こんなとこに座るのは
自分だけだと思っていた。
しかし違ったのだ。
やっぱりあの日も空きコマの時間を潰すためにベンチへ座っていた。
すると彼女が突然やってきた。

393 :重力と呼吸(103):2018/10/14(日) 00:51:41.88 ID:CsPRXyW70.net
「ここだって僕の席だ。」
小柄で黒艶な髪の彼女を見上げて
僕はそう答えた。
「何年?」
低く静かな声で彼女は訊いた。
「一年。」
僕は負けた。と思いながら答えた。
「わたし二年。」
勝ち誇ったように彼女は答えた。
僕は黙ってリュックをどかし、隣へずれた。
しかし、彼女は追い打ちをかけるように
「どっか別のとこへ行って」
と言った。
「如何して?」
「集中できない。」
彼女のため息はどこまでも深い。
「第1ここの席は年功序列でもなんでもない。」
「いいから。」
あっさりと白旗を上げて退散するのが
悔しかった。
「一人で読みたいの。」
「隣に誰かいてはだめと?」
「そう、気が散る。」
「そんなことで気が散る君の集中力を疑うね」
「うるさい。さっさとどけ。」
「嫌だね」
彼女は不快そうに深いため息をつく。
「仕方ないな。もう。」
彼女は黒いリュックをどさっと置いて
文庫本を取り出した。
「邪魔するなよ」
彼女はそう言ってページをめくった。

394 :重力と呼吸(104):2018/10/14(日) 00:53:24.75 ID:CsPRXyW70.net
翌日もやっぱり彼女はそこにいた。
僕は一瞬座るのを躊躇った。
だけど、彼女が僕の姿を認めて
スペースを作ってくれたから座ることに
した。
理由は訊かなかった。
多分、気分屋なんだろう。とか
そんなことを考えていた。

「その本、私も読んだことある。」
僕が駅前の古本屋で買ったばかりの本
を取り出して開いたら彼女が途端に
話しかけてきた。
青時雨が陽光に照らされ、宝石のように輝いた。
”星への旅 吉村昭”
死をテーマにした短編が掲載された
文庫だった。
「わたしと同じ本、読んでる人みたの初めてだったから。」
僅かに彼女は微笑んだ。
「そう、なんだ。」
どう反応しようか困った。
「それだけ。」
彼女はそう言ってシャッターを閉じた
ように黙り込んだ。

それから彼女と僕は隣同士、
あのベンチで本を読むようになる。
時折の日常会話を挟んで。
そしてその会話から彼女の名前を知った。
齋藤飛鳥というのだった。
成績は低空飛行を続けている。
彼女はそう零したこともあった。

あれから数ヶ月。

395 :重力と呼吸(105):2018/10/14(日) 00:55:10.98 ID:CsPRXyW70.net
秋の差し迫ったある日。
彼女は本を畳んで僕を小突いた。
「そろそろこのベンチも使えなくなる。」
「どうして?」
「ここは銀杏の木があるでしょ?だから。」
「銀杏が大量に落っこちて異臭を放つってこと?」
「そういうこと。」
彼女は立ち上がってリュックを背負って
僕を見た。
「いい所教えてあげる。」
彼女はまたシャッターを開いて笑った。
大学の裏門から出てまっすぐ道を歩く。
5分くらい。
彼女は淡々と説明をしている。
「あんまり人が来なくて、秋になると必ずここに来るの。わたしにとって避難場所。」
ーほらついた。彼女はそう言って
その建物を指さした。
琥珀色のこじんまりとした建物。
扉は色硝子がはめ込まれていて、
銅の看板には喫茶 doughnut hole と書かれている。
彼女は遠慮なしに扉を押して中へ
入っていった。

396 :名無しって、書けない?:2018/10/14(日) 20:51:25.83 ID:BsdfBEYQ0.net
>>395
いいですね
今朝早く散歩してたら並木道に微かにではありますが銀杏の香りがしました
決していい匂いではないんですが、秋が来たって感じで少し好きだったりもします

それはそうとやっぱ乃木坂ちゃんにはオーラがありますね
僕もたまにストーリーを考えるんですけど、一人ひとりのキャラがしっかりしています
で、書いたものを乃木坂板唯一のまともなスレ(形式を選びますが、長文書いても風当たりは強くありません)に書き込んでます
エロ漫才形式を得意とするあのお方なら…と言いたいところなんですが、下ネタと官能はまた違いますかねw

内容はヤバいです↓
http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/nogizaka/1538827647/

397 :名無しって、書けない?:2018/10/15(月) 01:25:47.21 ID:vYEIvn3rK.net
>>373
お礼が遅くなりました
リクエストに答えていただきありがとうございました
都会に染まっていく生駒ちゃんがまたいい味出してますね〜

>>375
無意識の業だったとは更に恐れ入りましたm(_ _)m

>>378
続き頑張って(懇願)
>>381
偉業としか言いようがありませんm(_ _)m
その作品群中に少し名前まで出して頂いて光栄の極みです

>>384
いつもと一味違う軽妙な文体がまたイイですね
主人公に合わせたんでしょうか(笑)

それにしても俺君と理佐ちゃんって歴史に残る名コンビですよね

>>391
自分はその翌日の2月28日でした(笑)
大阪府先生と庭先生に早速コメントいただいたのを覚えています
漫才でも下ネタでもないものを書くのは初めてだったのでだいぶ戸惑ってましたね

398 :名無しって、書けない?:2018/10/15(月) 01:26:09.46 ID:vYEIvn3rK.net
>>395
乃木坂で読書キャラって言ったらまず彼女なんですかね
役柄がバッチリはまっていて引き込まれますね

>>396
内容ヤバかったですがまだ少し照れがあるような(笑)

おっしゃるようにエロと下ネタは違うものなので
私の出番は無いですね(笑)

399 :重力と呼吸(106):2018/10/15(月) 02:48:15.91 ID:ZfYpfqE+0.net
店内は薄暗く、コーヒーメーカーや
珈琲豆の入った袋や皿が置かれた棚を
向かい併せにカウンターが6席。
赤革のソファーが鎮座する
ボックス席が2席。
個人経営のようだ。
彼女は何も言わずボックス席に座った。
「あ、飛鳥」
カウンターの奥から女の人がでてきた。
彼女の知り合いなのだろうか。
「この人、ここの店の人で名前はずー」
女の人はくしゃっと笑って彼女の
言葉を引き取った。
「高山一実で、ずー。よろしく。」
黒みがかった髪を束ねて白いシャツに
ブルーのスカートを履いている。
「ちなみにわたしたちの先輩。」
「もうだいぶ前に卒業したけどね」
「昭和の・・・?」
「ちょっと飛鳥そんな前じゃない」
高山さんは頬を膨らませて笑った。
その仕草になぜか懐かしさを覚えた。
「あれ?今日よねは」
暫くそんなくだらない会話をしてのち
彼女は高山さんへこんなふうに訊ねた。
「あー、あの子ね最近忙しいみたい。」
「ふーん」
彼女はつまらなそうにメニューを睨んだ。
「アイスコーヒー2つ。」
彼女は僕の方をちらっと見てオーダーを勝手にしてしまった。
僕はもちろん抗議の眼差しで彼女を見つめた。
すると彼女は「ごめん、ごめん」
そう言いケラケラ笑った。
曇りがちな空の中で
一筋の光が差し込んだように
彼女の笑顔が眩しかった。

400 :名無しって、書けない?:2018/10/15(月) 02:49:42.06 ID:ZfYpfqE+0.net
>>397
続き・・・なんとか頑張ります

>>398
乃木坂の読書キャラ飛鳥ちゃんと欅坂の読書キャラ織田奈那と迷いました。

401 :名無しって、書けない?:2018/10/15(月) 08:43:24.61 ID:vYEIvn3rK.net
>>399
コーヒーの香りが漂ってくるような文章ですね
喫茶店の人が一瞬ずみこなのかとオモタ(笑)

オダナナだったら話の展開や雰囲気が違ってくるでしょうから
自分的にはこちらの配役で大正解っす


そういえば近況書き忘れてた
実は最近またこっそり欅板で絵の練習を始めてます
欅板のお絵描きスレは落ちているので某スレに寄生中
本来はお絵描きを投稿するスレではないんですが、怒られなさそうなとこです(笑)

402 :名無しって、書けない?:2018/10/15(月) 12:48:45.14 ID:+VEocpDMa.net
俺が規制に巻き込まれてる間にスレがめっちゃ進んでるw

チワンさん見習って俺もスレチしたくなってきたけど怖くて出来ないっす

403 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP7:2018/10/15(月) 16:29:50.11 ID:ZfYpfqE+0.net
「ふーんそうなんだ」
唇を少しだけ突き出して後ろ手を組む。
満足そうなのか。不満そうなのか。
それは分からなかった。
戻って早速彼女に事の次第を告げた。
「よかった。」
あっさりそう言い残し彼女は踵を返して自分の席へ戻った。
その時の心の内を僕は知る由もない。

「あー疲れたー」
中川の土手を歩きながら理佐は叫んだ。
その声は裏返り、川面に飲まれて消えた。
「どこかによります?」
僕は遠慮がちに訊いた。
「ぎこちないよ。」
理佐は僕をじっと見詰めた。
整った顔立ちが近づいて僕は
火が出るほど恥ずかしくなった。
心のうちもまた叫び回りのたうち回りたい
ほどだった。
それを恋と呼ぶのだろう。
僕は少しずつ人間になって行った。
ようだった。
「付き合ってるんだからね」
今度は理佐が照れた。
「まぁ・・・・・」
夢じゃないかと思った。
「夢じゃないよ。」
理佐はそう言って僕の頬を抓った。
「痛っ」
川べりを走る電車が夕焼けを連れてくる。
ブレザーの袖を捲った理佐が真顔で言う。
「わたし、心の声が聞こえるの。」
「ほんとに?」
「ただし好きな人だけ、ね。」
理佐は小石を蹴飛ばして僕の方を振り向いた。理佐は四、五歩先を歩いていた。
まさかそういうキャラだとはおもわなかった。
「ほんとなの。」
理佐の声は裏返る。僕はどきっとした。
「そして、」
理佐はそう言いながら僕の手をとる。
繋がれた手は柔らかくしかし冷たかった。
「手を繋ぐと互いの心の声が聞こえるの」
理佐は髪を耳に掛けて僕の方へもたれる。
「ほんとだ・・・」
僕はよく分からなかったけど理佐の手を
握り直した。
「でしょ?」
耳を赤くして小声になって理佐は
言った。

404 :名無しって、書けない?:2018/10/15(月) 23:13:01.31 ID:Ao0j6bS00.net
>>398
やっぱ照れてるのバレましたかw
純粋に表現するのは難しいですね

>>403
あーこれは素晴らしいですね
俺くんの影が1ミリも見えず、あくまで千葉県さんオリジナル理佐ちゃんであるところがすごいです
庭さんが「ツン」多めのキャラであるのに対して、たぶん「デレ」の割合が多いんでしょうね

405 :名無しって、書けない?:2018/10/15(月) 23:37:40.31 ID:Ao0j6bS00.net
>>397
チワンさんが現れたのは、僕の翌日だっけ?と思って調べてみたら、>>391に書いた日付が間違ってただけでしたw

「すごい角度から物事を〜」みたいにコメントしてるんですが、実はあの時は皮肉を言ったつもりだったのを思い出しました
語り手=一人称というのがみなさんの形式のなか、チワンさんは明らかに異質なナレーションベースで、この人は書いてて楽しいんだろうかなんて思ってました
今ではよくわかるんですけどね、その凄さが

406 :名無しって、書けない?:2018/10/16(火) 00:04:41.62 ID:MznoRb45K.net
>>405
単に誉められたのかと思ってました(笑)

異質といえば、私は小説をほぼ読まない上に、欅坂ファンでもないのにここに来て書いてたわけですから
そういった意味での違和感もずっと放ってたと思いますね

でも、凄さに関しては心当たりありません(笑)

407 :名無しって、書けない?:2018/10/16(火) 00:06:03.28 ID:0d3dg+Hha.net
>>404
小説スレの記念すべき最初の投稿が俺君と理佐ちゃんでしたからね
最初に書きに来たのが俺じゃなかったらもう少しちゃんとした小説書く人が集まって違う形のスレになってたかもw

>>405
大阪府さんの翌日がチワンさんでぽん民さんが俺と同じ日ですね
今のところ千葉県さんのあとは作家さん現れてないのかな?

いったい何人の作家さんが小説スレを通り過ぎて行ったんだろうか・・・

408 :名無しって、書けない?:2018/10/16(火) 00:09:14.49 ID:0d3dg+Hha.net
>>406
俺はチワンさんが登場した時から凄さを見抜いてましたね
テンポの効いた語り口調が異彩を放ってましたから

409 :名無しって、書けない?:2018/10/16(火) 00:31:05.91 ID:T869Wm7g0.net
>>404
ありがとうございます。
甘めな理由は
どうしたってツンが書けなくて・・・
あと理佐ちゃんを書くと漏れなく明智小五郎と小林少年並の名コンビ、俺くんが脳裏をよぎるのでなかなか大変でした。
あと気がつけば理佐ちゃん推しになってる自分がいたりw

410 :名無しって、書けない?:2018/10/16(火) 00:32:18.25 ID:T869Wm7g0.net
>>407
永遠の新人として頑張りたいと思います()w

411 :重力と呼吸(107):2018/10/16(火) 00:34:21.88 ID:T869Wm7g0.net
季節が深まるにつれ僕らの仲も
深まるようだった。
というのはいくらか大袈裟だろうか。
もともと趣味も思考も似た2人は
少なくとも世間が言う
友だちよりもずっと仲が深まって行った。
僕は彼女に。彼女は僕に。
それぞれ本を貸すこともあった。
時には近くの本屋にふたりして
立ち寄ることもあった。
その時から逆に僕らはぎこちなくなった。
肌寒くなるにつれ恋人が増え出す。
街を歩くたびにその恋人たちと
互いを見比べて目を合わせたそのせいだ。

「何?」
彼女は白のコートを羽織り直して
僕を見た。
「なんでもない。」
「ふーん。あっそ。」
彼女は何か言いたそうな顔をしてから
またシャッターを閉じた。

412 :重力と呼吸(108):2018/10/16(火) 00:35:21.96 ID:T869Wm7g0.net
そんな微妙な時間が過ぎ
1年も終わりにさしかかった12月のある日。
僕は突如発作を起こした。
手術をしてからはもう音沙汰なかったが
急激な温度変化のせいか、ぶり返し、
喫茶店に入って早々に僕は倒れ込んだ。
先にさっさと席に着いていた
飛鳥は(この頃になると僕は彼女のことを飛鳥と呼んでいた)、僕が蹲ったのを
見て聊かの驚きを隠せないようだった。
「ちょっと、大丈夫?」
飛鳥は本を投げ出して僕に駆け寄った。
「何?何?」
カウンターの向こうで高山さんは
声を上げた。
「ちょっとずー。来て、早く。」
「へっ?」
僕は飛鳥の細い腕に抱かれていた。
これは飛鳥が僕を抱き起こしたからだ。
「飛鳥も大胆だね。」
高山さんはことの重要性を分からずに
そう言った。
「そんな呑気なこと言ってないで」
「なに?」
高山さんは僕の顔を覗き込んで
顔を白黒させた。
「救急車」
高山さんは慌ててカウンターへ引っ込んだ。

413 :名無しって、書けない?:2018/10/16(火) 00:56:15.75 ID:KGAeKw1Ba.net
>>409
理佐ちゃん推しになったらオタとしてはもう免許皆伝です

>>410
8ヶ月書いてたらもうベテランですよw

414 :名無しって、書けない?:2018/10/16(火) 15:11:22.38 ID:MznoRb45K.net
大阪府先生推薦のスレに流れに乗って1レスしてみたら以後の流れが変わってしまったようですわ

という保守

415 :トロイメライ Ep1:2018/10/16(火) 21:34:19.43 ID:T869Wm7g0.net
北風が吹きすさぶ相模大野駅でギターをかき鳴らす詩人たちはこのロータリーだけでも
五、六人は居るようである。
努努、ハッピーエンドを夢見て、歌っている。素敵な言葉を相棒に。
10年前の彼女もそうだった。
僕はネクタイを緩めて曇った夜空を睨む。
彼女は今頃家で夕食の支度をしている頃か?
ため息が白く凍てついて夜の透明の中に
吸い込まれてゆく。
僕は10年前を思った。

416 :トロイメライ Ep2:2018/10/16(火) 21:35:01.64 ID:T869Wm7g0.net
シャッターの閉まった雑居ビルの前で
空っぽのギターケースを広げている。
「恋する女は 夢見たがりのいつもヒロイン」
フレットを握る彼女の手は悴んでいた。
歳末の慌ただしい人通りは彼女の歌声を無情にも素通りするようだった。
人を待つふりをして白い壁に寄りかかり
耳をすましている僕はその事に意外さを
覚えた。
甘い声から奏でられる歌は見事なまでに世界観が真逆で、子供が無理に背伸びをして
大人の世界を覗いているようだった。
虚しいかな。僕はその感覚に囚われると
迚も聞くに耐えられなくなった。
立ち去ろうとすると不意に鈍い音がした。
振り向いた先には冷たいアスファルトへ
軀のように横たわるGibsonのアコースティックギターと彼女があった。
人々はそれでもなお無視し続ける。
彼女の姿に噂話をしながら。
僕は慌てて彼女に駆け寄った。
彼女は驚くほど冷たかった。
しかし息はしているようだった。
仕方なし。僕は彼女とギターを連れて
自らの家に帰ることにした。

417 :トロイメライ Ep3:2018/10/16(火) 21:35:39.49 ID:T869Wm7g0.net
「すいません。」
彼女がそう言って目覚めたのは明けた
午前九時のことであった。
肩までかかる茶色の髪はウェーブが
かかり、ペンギンが書かれた白いTシャツに
踝までのロングスカートを履いていた。
そして抱き上げた時彼女は驚くほど
軽かった。
「わたし・・・貧血気味なんです」
戸棚の奥に仕舞った紅茶を淹れて出すと
彼女はぺこりと頭を下げ、そんなふうに
言った。
「だから時々ああして倒れるんです。だけど目が覚めると大抵あの場所の儘で。こうして誰かの家で目が覚めることなんて初めてで。」
僕も女の子が部屋に来るのは初めてで。
と言おうかと思ったがやめた。
虚しくなるだけだ。
「シンガーソングライターとか目指してたり・・・?」
僕は恐る恐る訊ねた。
「うーん。昔はそうだったんやけど、いまは・・・。」
彼女は腕を組んで空を睨んだ。
「分からなくなっちゃいました。」
やがて彼女はそう言うと俯いた。
白磁器の液面にはいくつもの
波紋が浮かんだ。

418 :トロイメライ Ep4:2018/10/16(火) 21:36:13.93 ID:T869Wm7g0.net
「しばらくここに居ていいですか?」
彼女は赤くなった瞳を指でこすって後
そう切り出した。
「いや、まぁいいけどでも君は・・・」
「わたし家無いんです」
「はっ?」
「実家、飛び出してきちゃって昨日。」
「つまり・・・」
「洋服も何もかも無いんです。」
顔に青い線が走った。
「洋服も・・・」
僕は彼女のTシャツを指さす。
「これしかないです」
「お金・・・は」
「野口英世が3人くらい・・・」
「3人・・・」
「でも、バイトとかしてるんでお金はちゃんと」
「いまいくつ?」
「24です。」
「歳上じゃん。」
「あなたは・・・?」
「19」
「へっ、嘘?」
「老け顔なんだよね」
「大人っぽいわ〜」
「能天気か」
こうして彼女との奇妙な共同生活が
始まった。
十年前の今日。

419 :トロイメライ Ep5:2018/10/16(火) 21:37:07.55 ID:T869Wm7g0.net
グラスと唇を重ね長い月が2人を
窓の外から照らしている。
「10年やって」
彼女が頬をほんのり赤くして言う。
「長かったなぁ」
「嘘短かったよぉ」
「そう?」
「一緒に住んで、働き始めて、付き合って、結婚して。意外と短かったぁ」
「まぁそう考えると短かったかもな」
「あと土生ちゃんに浮気したりな」
彼女が目を細めて僕を見る。
「またそれを言う」
「意外と根に持つタイプやからうちは」
「あれは風邪を引いてたのをたまたま」
「分かってるよ」
彼女はとろんとした眼で僕を見た。
「お酒弱いなぁみいちゃん 」
僕がそう言う頃にはもう彼女は
寝息を立てていた。
僕はため息をついて彼女を抱き上げる。
あの時から今まで、そしてこれからも。
一体何回彼女を抱き上げ続けるのだろう
と考えつつ。そして腕の感覚があの時より少し重いのに気づいた。慌てて抱え直した。
「重いって思ったやろ。」
いつの間にか目を覚ましていた彼女が
ニヤッとする。
「起きてんなら自分で歩けよ」
「いやぁだ。」
「なんだよ」
「そういえば明日休みやろ」
「うん」
僕が返事をすると、彼女はわざとらしくまた目をつぶった。
僕の腕を掴む彼女の手の力が
強くなっていた。
足でドアを開けて僕は自分のベットに
彼女をゆっくりと置いた。
その瞬間、目を醒ました彼女は
微かに笑ってそのあと僕を見た。

420 :名無しって、書けない?:2018/10/17(水) 11:32:02.74 ID:mNqal66LK.net
>>419
ネタを書くために欅ちゃん達について勉強し始めた自分なんですが
実は最後までキャラが掴めなかった、ていうか今でも掴めてないのがみぃちゃんなんですよね
よく言えば自分にとって最もミステリアスな存在と言いますか

千葉県先生はそういった意識無く書かれてると思うんですが
自分にとってはそういったミステリアスみぃちゃんが実に上手く描写されてる気がして
好きです

421 :名無しって、書けない?:2018/10/17(水) 13:44:22.33 ID:N/gQ3hUWd.net
>>420
ありがとうございます。
キャラを掴めているというよりは口癖を真似て書いているだけでどういうキャラでどういう性格なのかは本人のみぞ知るなので諦めていたりします。
ところで僕にとってはむーがなかなかミステリアスな存在になっています。
口癖とか行動も含めてなかなか掴むのが大変で、だから今までの作品にも登場していないんですよね。

422 :名無しって、書けない?:2018/10/17(水) 15:26:58.59 ID:mNqal66LK.net
>>421
自分はみぃちゃんが掴めないと言いながらも名前が「みなみ」だという理由だけでタッチ篇に登場してもらいましたけどね(笑)

以前大阪府先生の作品の感想でも書きましたけど、多分うえむーは自分の考えや内面を言葉や表情で表現することが苦手なタイプなんだと思うんです
だから当然何を考えてるかわかりにくい

でも実際にはいろんなことを見てるし、多分すごく頑固なタイプなんだと思います
極論で言うと、頑固なぺーちゃんって感じ(笑)

短い期間でしたが、自分が欅ちゃんを見ていたときに抱いた印象です

423 :名無しって、書けない?:2018/10/17(水) 17:24:29.94 ID:AR/zGfS3a.net
俺も基本的には理佐ちゃんしか興味無いので脇役に困るんですよね

よく知らないメンを脇役に使って性格とかキャラが違うそのメンやメンを推してる人に失礼な気がしてしまう気の弱い私なのです・・・

424 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP8:2018/10/17(水) 22:41:28.72 ID:rbpWnVR00.net
数学は算数の頃から苦手だった。
割り算辺りから躓き始め、微分あたりで完全に暗渠と化した。
そして今は30点で喜んでいる始末である。
その代わり、古文が常時90点だったので
トータルはあまり気にしてもいなかった。
「えっ、そうなの?」
そんな現状を帰り際に話して驚かれた。
「めっちゃ頭いいのかと思った」
「見かけは頭いいと言われるけど実際はね」
笑いながら自虐したせいか悲しくなった。
「すぐに自虐ネタへ走らないでね」
握られた手をフラフラ揺らす。
「ああ うん」
「あと明日から一緒に勉強するからね」
「嘘?」
「嘘じゃないし」
少し頬を膨らませた理佐の横顔は
夕日が差し込みまるで水彩画みたいだった。
「数学は苦手だなぁ」
僕は目に眩しい赤い日に目を逸らした。
「わたしは得意だよ」
「羨ましい」
「教えて欲しい?」
「そのための勉強でしょ?」
「まぁ、でもその代わり」
「古文まったくわかんないの」
「もう昔の文とか訳わかんない」
理佐はそう続けた。
「そう?意外と面白いけど」
「あんなの面白がるひと訳わかんない」
濃紺のハイソックスを上げて理佐は
口をとがらせた。
「訳わかんないって」
僕はいつの間にかたどり着いた横断歩道を
見た。
「僕は左だけど」
横断歩道の先はふた手に別れている。
「わたしは右。」
「じゃあこの辺で。」
「待って。」
離そうとした手を再び掴んで理佐は続けた。
「家まで送って。」
「遠回りだよ」
「いいから。」
有無を言わさず理佐は僕の手を引っ張って
点滅した信号の下を渡った。

425 :あまりに流麗な日本語に魅せられて、無理やり投稿。:2018/10/17(水) 23:27:37.28 ID:w2vpnN110.net
『日傘』

空模様の縫い目を辿って
石畳を駆け抜けると
夏は通り雨と一緒に
連れ立って行ってしまうのです
--『夏なんです』 はっぴいえんど--


こどもが地べたにしゃがみ込み、茜ちゃんは日傘をくるくる、僕は退屈。
田舎の白いあぜ道に、埃っぽい風が立ち止まる。雲ゆきは非常にあやしい。

「最近の日傘は雨傘にもなるから」
「いつも言ってるけど、俺は一緒に入るの嫌だから」

そのうち、入道雲がモコモコと現れた。
茜ちゃんは、日傘を片付けようとしない。
くもり空の時も、紫外線は強いらしい。

「あ、降ってきた」
通り雨に気づいたのは茜ちゃん。雨宿りの場所はない。
「入れてくださいは?」
「はいはい、入れてください」

夏の通り雨はすぐ過ぎる。
茜ちゃんは日傘をくるくる、僕は退屈。

426 :名無しって、書けない?:2018/10/17(水) 23:39:33.57 ID:w2vpnN110.net
>>420
みいちゃんはキャラが掴めないと言うか、どこまで計算でやってるのかわからないところが怖いですよね
あの喋り方はみいちゃんだから許されてますけど、関西で可愛くない子があれやると十中八九嫌われます
あと、「みぃちゃん」じゃなくて「みいちゃん」だそうですよw↓
https://www.keyakizaka46.com/s/k46o/diary/detail/9248?ima=0000&cd=member

>>421
僕もむーちゃんは永遠の謎です
何を書いても核心に触れられていない気がするんですよね

427 :名無しって、書けない?:2018/10/18(木) 09:18:52.96 ID:Kwmz/6zuH.net
>>425
素敵ですね

428 :名無しって、書けない?:2018/10/18(木) 10:12:20.91 ID:APUStu2iK.net
>>424
いい感じで進んでますね〜
このいい意味でじれったくなってくる感じが上手いと思います

>>425
久しぶりの茜ちゃん登場で歓喜♪
やはり日傘といえば茜ちゃんですよね!←

ところで
私が洋楽を聴くようになった理由のひとつは『歌詞が聞き取れないから』なんです(笑)
日本語だと歌詞が聞こえてガッカリしちゃう曲が多くって(笑)
そんな中、松本隆さんの歌詞はまさに出色な気がします
はっぴいえんどが目指した『日本語のロック』とは『歌詞が聞こえても恥ずかしくならないロック』でもあるのかなって思ったり(笑)

>>426
そうでしたかm(_ _)m
そう言われれば、みぃちゃんっていうと別人になっちゃいますね(←てんとうむChu!にとっては恩人のひとりなので私はそこまで大嫌いではない)

最後にスレチですが
今月末からムンク展があると昨日知ってややテンション持ち直しつつあります
行けるといいなあ
http://o.8ch.net/135wl.png

429 :名無しって、書けない?:2018/10/18(木) 12:25:45.08 ID:n8wtDKtBa.net
>>424
理佐ちゃんの続き来た〜


>>425
軍曹シリーズ再開ですね!

>>428
モンタの叫びw

430 :名無しって、書けない?:2018/10/18(木) 22:35:15.99 ID:6IxA62zh0.net
>>427
どうも

>>428
チワンさんが、秋元先生の歌詞を評価していない理由はそういうところにあるんですかね
確かに日本語はラップ、ロックは不得手で、字余りが増えるほどその傾向が顕著に現れます
一音に一文字は無理だとしても、もう少しメロディーに溶け込ませる工夫をお願いしたいですね

それと今はじめて知ったんですが、「ムンクの叫び」っていう題名じゃないんですね
チワンさんがモンタの叫び描かなければ一生気づくことなかったかもです
ていうほどの知識量なので、背景がカラフルだなあ、くらいの感想しかありませんw

>>429
これは軍曹シリーズなんすかねw

431 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP9:2018/10/18(木) 22:38:40.62 ID:7EVHy0+e0.net
「ここの式が間違ってるって」
理佐は水色の軸にドナルドが印刷されている可愛らしいシャープペンシルの先で僕の
殴り書きの方程式をとんとんと叩いた。
「どこが。」
数学が苦手なものにとってどこが間違っているのかどこが分からないのか。
それすら分からない。
数学は出口のない永久機関に思えてきた。
「だからー」
理佐は水滴のついたプラスチックカップを
端にずらしてテーブルから身を乗り出す。
顔が近づく。皺のない綺麗な白い肌と
チョコレート色の髪から香るシャンプー
に胸が鳴動する。
「あぁ・・・」
わかった振りをしてノートに目を落とした。
落とした視界の先には仄かに汗の浮かぶ
首もとがあった。
「ん?どうしたの?」
心配そうな理佐の顔が俯いた僕に近づく。
「いや・・・」
「まさか緊張・・・してる?」
理佐の眉が微かに動き、瞳は僕を捉える。
「まぁ・・・」
「わたしもなんか緊張うつるじゃん」
理佐は内緒話をするように言った。
「まぁ気を取り直して。この式は符号のとり方から間違ってるからね。」
そう続けて理佐はシャーペンをノートへ
乱暴に叩いた。
芯はそれに耐えきれないようで、
小さな悲鳴を上げて折れた。

432 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP10:2018/10/18(木) 22:40:23.08 ID:7EVHy0+e0.net
形勢逆転。今度は僕が理佐に古典を
教える番である。しかし、その古典の
テスト範囲のひとつ、漢文に入ってから
理佐がうとうとし始めた。
「漢文見ると眠たくなるの」
理佐はそんな風に言っていた。
やがて漢文をはじめて10分もしないうち、
とうとう理佐は眠ってしまった。
なぜか僕の手をつかみながら。
夕方のTully'sは学生やサラリーマン、さらには主婦で満席になっており。喧騒がどこにいても存在するはずなのだが
なぜか2人で勉強をはじめてから
その喧騒が聞こえなくなったのだ。
驚いた。
尤もこれはたんに集中力が上がっただけ
だったのだろうが、こんな騒がしささえ
感じなくなるほど集中する自分にもまた驚いた。
僕は起こすのも悪いと思ってずっと
理佐の睡る姿を見ていた。
灯に近づく艶めいた髪が反射している。
僕はそっと掌でそれを撫でる。
睡れる獅子の鬣を撫でるが如く。
指先にふれたのは柔らかな髪の毛、
ひとつひとつの感触だった。
細く、グラデーションがかかる。
僕がその髪を撫でていると
理佐が不意に唸り声を上げて目を覚ました。
僕は髪にいや正確には頭を撫でたまま
凝固した。
「なにしてるの?」
理佐は固まったままの僕を未だ眠っている眼で問い詰めた。
「いや、綺麗だなって」
「くすぐったいよ」
僕は慌てて手を引っ込めた。
理佐は頭を軽く左右にふった。
「寝てる時に触るなよ」
理佐は手の跡がついたガラス窓を
一瞥しながら呟く。
「もっとちゃんと」
後は聞き取れなかった。

433 :名無しって、書けない?:2018/10/18(木) 22:59:12.29 ID:7EVHy0+e0.net
>>430
軍曹シリーズまた見てみたいですねぇ

434 :あしたのゆいぽん 第19話 前編:2018/10/19(金) 07:26:16.47 ID:Ak5ZFEuaa.net
「ほうらたんと喰え」

今日も今日とて鑑別所で菅井様の愛馬ヴォルフラムの世話を焼く俺

俺が鑑別所に住み込めるようにヴォルフラムのために鑑別所の中に馬厩を建ててくれた菅井のゆっかー

ほんまええ娘や・・・



「なあヴォルよ、菊花賞はエポカドーロからいこうと思うんだけどよ、あいつ距離もつかな?」
気心も知れてきたヴォルフラムにニンジン差し出しながら相談する俺

「やっぱり怪しいか?」
なんてなんとなくヴォルフラムと会話出来るようになってる俺


「のどかで良い陽気だな〜」
ヴォルフラムの横でお昼寝する俺

生来の飽きっぽさからボクシング熱が冷めてしまいすっかり馬厩のオヤジと化してしまったってわけだ

435 :あしたのゆいぽん 第19話 後編:2018/10/19(金) 07:26:42.84 ID:Ak5ZFEuaa.net
「呑気に昼寝してんじゃねーよ」
なんて俺のお腹を踏んずける愛娘な理佐ちゃん

「いきなりお腹踏むのは止めてくれ・・・」
おきゃんな娘理佐ちゃんに驚く俺

「お父さんこそちゃんと由依の練習見てあげなよ」
そっぽ向きながらお父さんと呼んでくれる娘理佐ちゃん

ねぇとしか呼んでくれなかったのにゆいぽんのお陰でお父さんと呼んでくれるようになった理佐ちゃんに感動な俺

「なんだか飽きちゃってよ、調教師になってダービーと凱旋門勝つ馬を育てたいんだよな、ヴォルも俺にはボクシングより調教師の方が向いてるって言ってくれてるし」
ヴォルフラムにブラシかけながら新たな夢を語る俺

「ヴォルフラムが喋れないからって自分に都合のいいこと言わないでよ」
なんてむくれる姿も可愛い愛娘の理佐ちゃん

「だいたいお父さんが寂しくて住み込み嫌がるから毎日友香に連れて来られて迷惑してんだからね」

ゆいぽんを鍛えるために鑑別所に住み込むかわりに毎日娘理佐ちゃんを学校帰りに連れてくる約束した俺

「そこが引っかかってんだよ、なんで菅井のお嬢様がずーみんの敵であるゆいぽんに肩入れすんのかがよ・・・」
なんて腕組んで悩む俺に

「悩まなくていいから由依の練習に付き合ってあげなよ」
なんて毎日会ってるうちに年下のゆいぽんを見守るお姉さんみたいになってる愛娘の理佐ちゃん



明日はどっちだ?

436 :名無しって、書けない?:2018/10/19(金) 11:08:56.01 ID:mgsrhar/K.net
>>430
確かにそういうのありますよね
自分も最近までピーチ姫ってスターウォーズに出てくる人だと思ってましたし(笑)

>>432
>>435
同じく理佐ちゃんが登場しても雰囲気こんなに違うんですね
こうして読み比べてみるとよりわかりやすい

とくに千葉県先生のほうの最後を「寝てるときに触ってんじゃねーよ」にしてないところが象徴的ですね

437 :名無しって、書けない?:2018/10/19(金) 12:45:56.32 ID:6fAH8hTda.net
>>436
千葉県さんの作品は理佐ちゃんのに限らず文章が上手いから写実的な筆致でリアルな質感なんですよね


俺は抽象的というかデフォルメしてさらに突飛なストーリーで文章の下手さを誤魔化してるからリアル感は無いんですよね

今書いてる「あしたのゆいぽん」なんて嫁も理佐ちゃん娘も理佐ちゃんだしで訳わかんねぇ

ちなみに大阪府さんは写実的な筆致でファンタジーな感じと分析しとります

チワンさんは多様な文体を操るファンタジスタだと思ってます

438 :名無しって、書けない?:2018/10/19(金) 12:53:51.74 ID:GZ4IoqMJa.net
>>430
ねる「アンっ...ひゃっ...///」 
電太郎「...」パンパンパンパン! 
ねる「そこっ...!イイッ///」 
電太郎「」ピタッ! 
ねる「...え?...」 

電太郎「ねる...俺今月金ねンだわ」 

ねる「で、でも...これは欅坂46のお金で...」 
電太郎「フーン」ヌポポ 
ねる「ッ!...いやッ!辞めないで!」 
電太郎「...じゃあ分かるよな?」 

ねる「...」フルフルつ50000円 
電太郎「...」グワシャ 

電太郎「愛してるよ...ねる」チュッ 
ねる「❤」 

電太郎「っしゃ!スパート掛けるぞオラッ!」パンパンパンパンパンパン 
ねる「アッアッアッアッ....いやああああ!!!!!///❤」 

これが現実

439 :名無しって、書けない?:2018/10/19(金) 13:15:11.09 ID:hwnHp79P0.net
いままでの話しのトータルが524・・・。
なんとまあ

440 :名無しって、書けない?:2018/10/19(金) 17:10:25.61 ID:8wBRfE2ga.net
>>438
これはこれで夢があるな

>>439
ハイペースですねw

441 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP11:2018/10/19(金) 20:02:17.31 ID:hwnHp79P0.net
「まったく勉強出来なかった」
理佐は不満そうに言った。
紺色が暮れ渡る空。
どこかの家から焼き魚の匂いが漂う。
首元には変わりゆく季節を告げる風が
吹き、僕も理佐も身をすくめる。
「寒っ」
「ため息が白いや」
「ほんと」
ネオンを前に白い吐息だけが凍える。
「もう少し遠回りしたいな」
あの横断歩道を前に理佐はそう
言って僕の手を握り直した。
僕はうなづいてまったく知らない
駅前への道を曲がった。

「あっ・・・」
その道は僕の家のひとつ向こうの道だった。
夕闇に包まれると街は姿を変える。
だから気づかなかった。
だから向こうから彼女が歩いてくるのにも
気づかなかった。
気づいたのは理佐だった。
「由依ちゃん」
理佐はあからさまに恥ずかしがった。
「仲良さそうでよかった」
まるでまったくそんなこと思っていない
ように彼女は言った。
至って事務的な口調だった。
「うん」
理佐は恥ずかしいのか困っているのか
分からないような語調で彼女の言葉を
受け取った。
「じゃっ」
彼女は僕の隣を素早く走り抜けた。
青い闇が、鬱蒼とした金木犀が
歌い出した。

442 :名無しって、書けない?:2018/10/19(金) 20:03:24.95 ID:hwnHp79P0.net
>>437
写実的とはありがとうございます
>>440
ハイペースなんですかね

443 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP12:2018/10/19(金) 20:05:08.00 ID:hwnHp79P0.net
「どうかしたの?」
理佐と別れたあと彼女に文明の利器で
訊ねた。返信は深夜2時過ぎに有った。
「なんでもない」
彼女は至って距離のある返信をした。
その理由がよく分からない。
僕と理佐を結びつけてからというもの、
なんとなく彼女は今までよりも
ずっと距離がある行動や言動をした。
僕は何か彼女を怒らせたのだろうか?
天井の木目を見ながら夜更けまでかんがえていた。
そのうち寝てしまって気づいたら朝だった。慌てて飛び起きたけど今日は
土曜日で深いため息をしてベットサイド
の文明の利器を見た。
6:22 いまから5時間まえである。
彼女からこんなメッセージが
とどいていた。
「なんか胸焼けがして目が覚めちゃった」
そのメッセージの後で不在着信があった。
「おはよう 大丈夫?」
僕は至って能天気な返信をした。
返信はまたも深夜まで返ってこなかった。

444 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP13:2018/10/19(金) 20:06:00.17 ID:hwnHp79P0.net
「最近由依ちゃんと距離があるんだよね。
それがなんか気になって。」
それから数日後の休日にまたいつものTully'sで理佐とそんなことを話した。
「知らないよそんなこと」
理佐は何だか不機嫌そうに、頬杖をついて
出口のほうを見た。
「ごめん」
「そんなに気になるならぽんのところに行けばいいじゃん」
理佐も彼女もそうだが、突然冷たくなる
人が周りに多い。
しかし今日は僕が寝坊したことに
原因がある。
「いやそんな訳じゃ」
「ただの幼なじみと彼女どっちが大事なの」
理佐は声を上げて言った。
「そりゃ彼女だよ」
「もうその話しないでね。なんか嫌。」
淹れたてのアイスコーヒーは苦味ばかりした。
「なんか追加で食べますか?」
僕はカウンターのほうを指さした。
しばらくの間逡巡するみたいに
無言の時間が通り過ぎた。
やがて理佐は僕のほうを見た。
「いいの?」
理佐は笑えるくらい甘いものに弱い。
理佐の照れ隠しの微笑みに僕の心の翳りが
薄らいでゆくのを感じた。

445 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP13:2018/10/19(金) 20:06:00.32 ID:hwnHp79P0.net
「最近由依ちゃんと距離があるんだよね。
それがなんか気になって。」
それから数日後の休日にまたいつものTully'sで理佐とそんなことを話した。
「知らないよそんなこと」
理佐は何だか不機嫌そうに、頬杖をついて
出口のほうを見た。
「ごめん」
「そんなに気になるならぽんのところに行けばいいじゃん」
理佐も彼女もそうだが、突然冷たくなる
人が周りに多い。
しかし今日は僕が寝坊したことに
原因がある。
「いやそんな訳じゃ」
「ただの幼なじみと彼女どっちが大事なの」
理佐は声を上げて言った。
「そりゃ彼女だよ」
「もうその話しないでね。なんか嫌。」
淹れたてのアイスコーヒーは苦味ばかりした。
「なんか追加で食べますか?」
僕はカウンターのほうを指さした。
しばらくの間逡巡するみたいに
無言の時間が通り過ぎた。
やがて理佐は僕のほうを見た。
「いいの?」
理佐は笑えるくらい甘いものに弱い。
理佐の照れ隠しの微笑みに僕の心の翳りが
薄らいでゆくのを感じた。

446 :名無しって、書けない?:2018/10/19(金) 20:06:43.82 ID:hwnHp79P0.net
あれ二重になっちゃったや・・・

447 :名無しって、書けない?:2018/10/20(土) 07:29:18.72 ID:uarKjgvHa.net
>>442
今まで小説スレに訪れた作家さんのなかではトップ通過だと思いますよ

448 :名無しって、書けない?:2018/10/20(土) 07:37:01.47 ID:uarKjgvHa.net
>>445
大阪府さんみたいに千葉県さんワールドが確立してきましたよね

千葉県さんにしか書けない味わいが出てきてる

などと批評家風に褒めてみる俺

449 :重力と呼吸(109):2018/10/20(土) 12:32:19.10 ID:vLUcE+Dc0.net
冬の星空に吸い込まれてそのまま
何もない宇宙へ飛び出す。
そこにはいくちゃんも姉ちゃんも居て
なんだか無邪気に笑っている。
いま思えば、それは僕が本当に
欲しかったものなのかもしれない。
僕はいくちゃんを姉ちゃんを
掴もうとした。
すると2人はぱっと、消えてしまった。
宇宙の闇の中、僕はたった一人
取り残される。
そして闇の中から光る物体が飛来する・・・

気がつけば、病院の天井に景色が変わっていた。あれは夢だったのだ。
いや、夢でなかったらなんだと言うんだ。
飛鳥はパイプ椅子に座って
本屋のカバーがかかった文庫を開いていた。
「生きてたんだ」
開口一番、飛鳥は無感情にそう言った。
「心配させるなよ」
飛鳥はさらにぼそっとそう零した。
「なに?」
僕はわざと聞き返した。
「なんでもない。」
飛鳥はまたもうひとつの世界に没入した。

450 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP14:2018/10/20(土) 21:05:03.55 ID:Ra0qCJD3d.net
「今年は理佐と過ごすんでしょ?」
土砂降りのなか二人背中を丸めて
同じ傘に入る。
その日、僕は傘を忘れた。
彼女は雨音に消えかかる
声で訊ねる。
「まだ決まってないけど」
「クリスマスだよ?」
彼女は呆れたように言った。
「そっちはどうなのよ」
「こっちは・・・」
その当時、彼女はバイト先で知り合った
大学生と付き合っていた。
「鎌倉でデートかな」
彼女はしばらく間を置いてからつづけた。
「随分大人だね」
「あの人が横浜に住んでるから」
「そうなんだ」
その当時の彼女は大人の階段を
ふたつ飛ばしで駆け上がっていた。
「どっか一緒に行ったら?」
彼女は足元のわるいアスファルトを
ちらっと、見てから僕の方へ視線をやった。
「うーん、どこに」
「わたしに聞かないでよ」
「たとえば」
雨粒が怒り出したように強く
傘を叩く。その傘を握る彼女の手は
赤い。
「たとえば?」
グラウンドの真横、土が波紋を作り
凹凸を作る。
「そう。例えばでいいから。」
僕がなぜそこまで食い下がったのかそのわけは分からない。いや、分からないことにしておきたかった。

451 :名無しって、書けない?:2018/10/21(日) 09:36:26.31 ID:P9F+v7XIK.net
小坂「このたび私たちひらがなけやきの新曲が発表になりました〜」
美穂「いえ〜い」パチパチ
小坂「さらになんと今回はCMとのタイアップになっています」
美穂「九州のファミレスですよね」
小坂「そのジョイフルやないがな」
美穂「じゃ、ホームセンターだっけ?」
小坂「それはジョイフル本田やないかい」
美穂「1回読んだだけの小説を格安で買えました♪」
小坂「それは『ちょい古本だ』やないかい」
美穂「(笑)こういうリサイクルが気軽にできるアプリのCMですよね」
小坂「それはメルカリやないかい。メチャカリですよ、メチャカリ!」
美穂「(笑)私たちもCMに出させて頂いて」
小坂「どんな曲かちょっと歌ってみてくださいよ」
美穂「メチャカリ担いだ金太郎〜♪」
小坂「ボケまくりやないか。もうええわ〜」
2人「ありがとうございました〜」

密かに絵を描いてた「てすと」スレが落ちたっぽい

452 :名無しって、書けない?:2018/10/21(日) 09:46:55.91 ID:2OC+zOFV0.net
>>744

うるさいんやが?茨城地震が脅迫してきて
弘典がー!言い出したぞ?

ダイジョブか?そいつ

453 :名無しって、書けない?:2018/10/21(日) 09:48:17.80 ID:2OC+zOFV0.net
見聞色の覇気
https://i.imgur.com/YzucPCo.jpg

454 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP15:2018/10/21(日) 20:47:23.28 ID:LQDUBMDYd.net
「新宿とか渋谷とか色々あるじゃん」
「成東に住む田舎の高校生にはハードルが高いよ」
「わたしも同じ田舎だけどな」
「大学生には適わないさ」
信号が点滅した。
彼女は慌てて走り出す。
傘の下から雨天の下に放り出された
僕はスコールに煙るなか、あとを追う。
しかし。彼女は驚くほど足が早い。
僕は追いつくのに必死だ。
やがて彼女の背中がすぐにみえた。
「待って」
そう言おうとした刹那、彼女が崩れた。
桜色の傘が楕円に花を咲かせた。
遠雷が燻る雲と嘆く雨の中を
切り裂くように響いた。


横断歩道の白い部分に転倒したのか。
そこへぺたんと座り足を撫でている。
捻挫をしたのか。
横断歩道の真ん中で僕は慌てて
傘を閉じて対岸へ
放り投げ、彼女の手を掴んだ。
酷く冷たかった。
僕は彼女の身を起こし車道を睨む。
きいろい光が体を射竦めている。
そう気づいた。

455 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP16:2018/10/21(日) 20:50:16.87 ID:LQDUBMDYd.net
慌てて彼女の体を抱き上げて
対岸へ走った。
赤い信号機が雨に塗れる
僕らを訝しげに照らしていた。
背後を掠めるように風と轟音が
通り抜ける。
僕は点字ブロックのところへ
膝をついて咳をしていた。
彼女はそこへ倒れ込んだ。
「大丈夫?」
傘を開いて彼女のからだを隠す。
彼女は何も言わない。
しかし僕の腕を引っ張り、
僕の細い体を手繰り寄せるように
彼女は抱きしめた。
その時、横断歩道の向かい側には
理佐が居た。

「ちょっと大丈夫、由依ちゃん」
信号が変わり駆け出してきた理佐は
僕を一瞬悲しそうな目で見た。
しかしすぐさま彼女の方を見て
そう訊いた。
「うん」
雨粒が彼女の体を何度も貫く。
制服のシャツは皮膚の色に
透け、スカートは端が泥に汚れた。
「家に送るよ」
理佐は僕と彼女にそう言った。
「ありがとう」
彼女はそう言った後黙りこんだ。
「怪我したんじゃない」
足を引き摺るようにあるく彼女を
見て理佐は言う。
彼女は理佐の肩を借りて歩いている。
僕は彼女と理佐のカバンを持ち。
尚且つ傘を2人にさしている。
僕は無論無残に雨へ濡れる。
だが、2人は気にしていない。
しかし。
なんだか家への道が遠く思える。
腕に生だるい痛みを抱きながら
僕は思った。

456 :名無しって、書けない?:2018/10/22(月) 23:30:47.19 ID:sP89tbjh0.net
>>451
お、漫才久しぶりですね

>>455
文章のリズムが詩っぽいですね

457 :雨に歌えず 1:2018/10/23(火) 23:05:22.06 ID:vPoRny1Jd.net
台風26号を知らせるニュースがだだっ広いリビングに流れる。
「915hPaの台風26号は依然猛威を奮っており、今夜夕方にも関東地方に上陸する模様です。」
僕と彼女はソファーに座りながらそのニュースをぼんやりと見ている。
このソファーはなぜか今日に限って
座り心地が悪い。
「台風酷いんだ」
彼女は静かに呟いた。
画面には傘がお猪口になる様や
怒り出した港の白い漣が映し出されている。
「電車も運休してるみたい」
僕は仕入れたばかりの知識を言った。
「また同じこと言ってる」
彼女は握り拳で口元を隠しながら可笑しそうに言う。
「そうだっけ?」
運休という言葉を口にしたときに
覚えた言い慣れた感はこれが原因だった。
「由依ちゃんこそそのコートいつまで来てるの。皺になるよ」
「えっ、あっそうだ」
彼女は慌てて立ち上がってその褐色のダウンコートを脱いだ。
香水とシャンプーが混ざったなんとも
いえない良い香りが今日は
僕を堪らなく緊張させた。

458 :雨に歌えず 2:2018/10/23(火) 23:06:12.68 ID:vPoRny1Jd.net
「台風がこなきゃな・・・」
コートをテーブルの椅子にかけた
彼女を目で追いながら喋った。
「そうだね」
小さくため息をついてテレビを眺めた。
この台風で旅行の予定が狂ったのである。
「どっかの誰かが雨男だからね」
くすくすと笑って彼女は僕を見た。
「どっかの誰かが雨女だからね」
そっくりそのまま返すと彼女はむっとした表情で「なに?」と言った。
「いやなんでもない」
ぐずついた雨雲が砂塵を巻き込んだ風に嗤った。

「これ」
僕は筺を彼女に渡した。
座り心地が悪い正体はこれだった。
「なにこれ」
雑談をしたのち中座して彼女がトイレに
行った。その隙を見て棚から取り出したもの
だった。
「開けてみてよ」
彼女は固まっている。
表情は特に感激しているでも喜んでいるでもなく、ただ粛然とその事実を認めている。
それだけに見える。
「・・・・・・うん。」
紅い筺を掌のなかでじっと眺める彼女の
瞳は黒色に倦んでいるように思った。

459 :雨に歌えず 3:2018/10/23(火) 23:07:08.88 ID:vPoRny1Jd.net
僕は窓の外を一瞥した。
灰色の雲が空を覆い尽くす。
リボンを解く音が遠慮がちに聞こえている。
中はさらに筺があり、さらに
開くとそこには0.5カラットの指輪が
入っている。
彼女はそれを目にすると口を小開きにして
驚いたように息を漏らす。
「誕生日おめでとう」
彼女は僕の方を意外そうな眼差しで
見つめる。
「プレゼントを貰うなんて久しぶりだからさ」
照れ隠しのように白い歯をこぼした。
「せっかくだからはめてよ」
シルバーの指輪を僕に渡した。
それを頷いて受け取り彼女の細長く
柔らかな手をとる。
互いに少し汗ばんでいる。
震える手を抑えて彼女の根元まで
指輪をはめた。
「ふふっ」
堪えきれないと言うように彼女は笑いだした。
そして口元を抑えた握り拳には銀色が
光る。
「あ、雨。」
不思議な緊張から逃れるように彼女はベランダを指さした。
そこでは遣らずの雨がアスファルトを
叩きつけるように降り出している。
「傘持ってきてないや」
「じゃあしばらくここにいる?」
「うん」
彼女は鼻歌を歌いながら
ポニーテールに髪を結わえた。
やがて彼女が僕の肩に凭れた。
僕は掌を重ねながら安堵のため息を漏らした。
彼女はそれを見ながら、「ありがと」
と呟いた。
体に蓄積された疲れがすべて抜けるように感じた。
ベランダから見た先程からの雨は今も降り募る。

460 :名無しって、書けない?:2018/10/23(火) 23:09:13.75 ID:vPoRny1Jd.net
ゆいぽんの誕生日だそうでそれに合わせて。
あとは雨のことば辞典を読んだのも良い燃料になりました。

461 :名無しって、書けない?:2018/10/25(木) 09:22:54.72 ID:vpBCCP+/H.net
保守

462 :名無しって、書けない?:2018/10/26(金) 23:11:59.59 ID:OpWm5uvf0.net
>>459
雨に歌えず、でも雨は二人に歌ってる
って感じですかね
雨といえば僕のなかではこれです
『アスファルトの上で雨が口答えしてる』
いちばん好きな一節かもしれません

463 :あしたのゆいぽん 第20話 前編:2018/10/27(土) 09:08:33.00 ID:1zJo9K0Ka.net
「ゆいぽんの様子はどうですか?」

ヴォルフラムにニンジンやりながら俺に訊ねてくる菅井財閥のお嬢ゆっかー

「めきめき上達してますよ、ずーみん相手にもひけはとりませんや」
思ったより遥かに才能溢れるゆいぽんに手応え半端ない俺

「それは良かった」
なんて嬉しそうなゆっかー

「喜んで良いんですかい?お嬢様の大事なずーみんに傷をつける結果になるかもしれないんですぜ」
ゆっかーの態度を訝しむ俺

「お父様ちょっとこちらへいらしてください」
そんな俺を裏庭に手招きするお嬢ゆっかー

「お嬢様・・・」
まさか娘理佐ちゃんの友達と・・・なんて良からぬ期待に股間を膨らませながらゆっかーについてく俺

464 :あしたのゆいぽん 第20話 後編:2018/10/27(土) 09:08:49.39 ID:1zJo9K0Ka.net
「こっ、これは!?」

鑑別所の裏庭に作られた巨大ボクシングジムに驚愕する俺

「ずーみんのために設立した菅井ボクシングジムです」
そう言いながら窓から中を覗き見るゆっかー

鑑別所の裏庭にジムまで作ってるなんてどんだけ力が有るんだよ・・・エッチな期待させやがって

なんて腹の中で呟きゆっかーに釣られて窓からジムを覗く俺

「あれは!?数々の世界チャンピオンを育てあげたエディ・タウンゼント・・・」

ずーみんを指導する名伯楽エディに絶句する俺

「エディだけじゃありませんよ」
ずーみんにミット構える男を指差すゆっかー

「まさか・・・カス・ダマト・・・」
マイク・タイソンを育てあげた伝説のトレーナーの名を呟く俺

「驚きましたか?」
なんて笑うゆっかー

「なんだって死人がずーみんのトレーナーやってんだよ・・・」
オカルト小説と化した『あしたのゆいぽん』に恐怖しつつ失神する俺



明日はどっちだ?

465 :名無しって、書けない?:2018/10/27(土) 12:24:14.11 ID:ybogFM7Q0.net
>>462
ありがとうございます
しかし僕はなぜか昔から雨に惹かれるんですよね

466 :名無しって、書けない?:2018/10/27(土) 12:26:01.63 ID:ybogFM7Q0.net
>>456
詩っぽいのはおそらく秋元康さんか松本隆さんの影響かなと

467 :名無しって、書けない?:2018/10/27(土) 13:03:01.70 ID:1zJo9K0Ka.net
>>465
雨が好きな人は情緒豊かな人が多いと言いますが千葉県さんの作品に反映されてますね

ちなみに俺も雨が好きなんですがあまり作品には反映されてない気がする・・・

468 :あしたのゆいぽん 第21話:2018/10/27(土) 14:19:33.00 ID:1zJo9K0Ka.net
「大丈夫?」

気絶から目覚めた俺を覗き混む理佐ちゃん


これは・・・嫁理佐ちゃんか?娘理佐ちゃんか?

しばし悩む妄想とはいえ理佐ちゃんを嫁と娘の一人二役にしたことを悔やむ俺


「理佐の友達が送ってくれたのよ」
なんて理佐ちゃんの台詞で目の前に居るのが嫁の理佐ちゃんだと気づく俺

「いったい何が有ったの?酷くうなされてたけど」
俺に寄り添いながら聞いてくる嫁理佐ちゃん

めっちゃ美人や・・・



「ふ〜ん、じゃあずーみんが有名なトレーナーの幽霊と練習してたって言うの・・・」
俺の話に疑惑の眼差し半端ない嫁理佐ちゃん

「疑ってんの?」
幽霊を見たのより愛しの嫁理佐ちゃんに疑われる方がショックな俺に

「うん、出会ってからけっこう騙されてきたから・・・俺君には」
なんて追い討ちかけてくるドSな嫁理佐ちゃん

「信じてくれよ〜エディもカス・ダマトも何年も前に死んでるんだよ〜」
悲痛な悲鳴あげる俺に

「幽霊なんて居るわけないじゃん」
言いながら夫婦の寝室に入って来たのは娘の理佐ちゃんだ

「ええい、ややっこしい」
なんて嘆く俺に

「自分で一人二役やらせといて嘆いてんじゃねーよ」
なんてドス効かすW理佐ちゃんだから好き


どんどん原案のあしたのジョーから離れて行くけど・・・


明日はどっちだ?

469 :あしたのゆいぽん 第22話 前編:2018/10/28(日) 20:02:36.25 ID:PE9MUHD6a.net
「クローン人間だと!?」

愛娘理佐ちゃんからの情報に目の玉が飛び出すほど驚く俺

「うん、菅井財閥の総力を挙げて開発したらしいよ」
宿題やりながら素っ気なく答える娘理佐ちゃん

「なんて奴らだ・・・」
たかが鑑別所のボクシング試合に総力を挙げる菅井財閥に絶句な俺


そして翌日

「オッサンなんかあったの?」
俺とミット打ちしてるゆいぽんが聞いてくる

「うん?なんでだ?」

「なんかミットに力が無いから」
尋ね返す俺に浮かない顔で答えるゆいぽん

さすがゆいぽん鋭いな・・・


「ちょっとロードワーク行くか?」
ミット外しながらゆいぽんを誘う俺

菅井財閥御用達のパス見せてゆいぽんを鑑別所の外に連れ出す俺

470 :あしたのゆいぽん 第22話 後編:2018/10/28(日) 20:02:55.47 ID:PE9MUHD6a.net
「ちょっと休むか?」
なんて河原でチャリを停める俺

「実はよ・・・」
なんて昨日菅井ボクシングジムで見た名伯楽たちのクローンと練習するずーみんの話をゆいぽんにする俺



「それでオッサン元気が無かったの?」
俺の話を聞いたゆいぽんが聞いてくる

「うん、元気というか自信が無くなっちまった・・・」
なんて地べたにのの字書く俺

「私がずーみんに負けると思ってんの?」
そう言いながらシャドー始めるゆいぽん

「いや、おめえは負ねえ、ただトレーナーとしての俺があの二人には敵うわけがねえ」
なんて負け犬な俺

「そんな心配しなくていいよ、私がずーみんぶっ倒してオッサンの方が上だって証明してあげるよ」
なんて言いながらパンチで舞い落ちてくる枯葉を切り裂く達人ゆいぽん


明日はどっちだ?

471 :名無しって、書けない?:2018/10/28(日) 23:51:36.54 ID:a1Ai4vOz0.net
>>470
確かに原案から離れてるかもですけど、自然に世界観が広がっていく感じがいいですね

472 :名無しって、書けない?:2018/10/29(月) 20:56:35.66 ID:+JeDSSV/aNIKU.net
>>471
あしたのジョーの雰囲気とゆいぽんがハマるかと思って書き始めたんですが中々にムズいです・・・

小説スレでは封印した理佐ちゃんもちょくちょく出てくるし・・・

そもそもあしたのジョーにあまり詳しくない・・・

473 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP17:2018/10/29(月) 22:58:42.33 ID:uEmJqi0i0NIKU.net
彼女を家へ送りそのまま
帰ろうとしたら彼女の親へ
引き留められ、濡れ鼠の僕と
左腕だけが濡れた理佐は
彼女の部屋へ通された。
「雨でびっしょりじゃん」
理佐はぽつりと呟いて
カバンからタオルを取り出し
僕の背中を、頭をふき始めた。
「ごめん」
「いいから。」
強く上下に背中を拭いている。
「わたしが転んでも助けてくれる?」
ふと手を止めて理佐は訊いた。
「勿論」
「そっか。」
ぽつりと理佐は言った。
「でも彼女でもないのに・・・相合傘。」
理佐はさらに吐き出すように言った。
「ごめん」
「謝るくらいならやんないでよそんな事。」
泣きそうな声で理佐は言った。
「ほんと、ごめん」
「謝られるとさ・・・なんか・・・だからさ謝んないでよ」
「ごめん・・・」
「だから、謝らないでって言ってんじゃん」
理佐は突然声を張りあげタオルを
僕の背中へ投げつけた。
「もういい・・・帰る」
理佐は潤み目で立ち上がって部屋のドアノブへ
手をかけた。

474 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP18:2018/10/29(月) 23:00:34.17 ID:uEmJqi0i0NIKU.net
「待って」
僕は理佐の手を引っ張って
濡れたままの躯の中へ抱き寄せた。
理佐は躯の中で静かに肩を震わせ僕の胸を
握り拳で叩いていた。
そして少しだけ開かれたドアの隙間からは
タオルで髪を拭いたままの姿勢で
凝固し哀しそうな目をする
彼女が居た。
しかし僕はその間、理佐を抱きしめた。
「由依ちゃんの匂いがする」
ぼそっと聞こえた。
まだ肩が震えていた。
僕は何だか分からない侭、不愉快に
乾くシャツを気にしている・・・

475 :重力と呼吸(110):2018/10/29(月) 23:11:26.49 ID:uEmJqi0i0NIKU.net
「今度もやっぱり狭心症の発作だろうね。手術はしたけどそれも完全じゃない。油断すると危険だ。」
小池徹平によく似たメガネの医師はそう言ってぎこちない笑顔を見せた。
「あと一応お姉さんには連絡しておいた。」
「姉を知ってるんですか。」
「同じ大学の後輩だからね。僕は」
おそらくどの病院に行っても
姉の蔭からは逃れられないのだろう。
「まぁ、あんたが担当なら大丈夫やろ。と言っていた。」
医師はそう言ってキーボードのエンターキーを叩いた。
「姉はいまどうしてますか」
「連絡してないのか」
「はい。なんだかんだ半年近く」
「ああ見えてあの人は淡白だからなぁ」
「まぁそんなところがありますかね」
「しかし君の治療費を僕宛てに現金書留で突然送り付けるのはやめてほしい。」
「そんなことしたんですか」
「驚いた。しかも随分分厚いからね」
「そんなお金あったかな」
「中身は全部、千円札で三五万円。払うのに苦労したよ」
「色々すいません。」

476 :重力と呼吸(111):2018/10/29(月) 23:13:25.91 ID:uEmJqi0i0NIKU.net
「いやいや、ところで」
医師は僕の方を向いて不思議な顔をした。
「君を尋ねて女の人が夜遅く来た。生憎面会時間が過ぎていたし、それに君も意識がなかったから看護師が帰したけど、あれは君のお母さんか誰か?」
「母は離婚して居ないし、姉はお金を送り付けるくらいだから来ないはずだし。さぁ?」
「あの女の人なんて言ってた?」
医師はカーテンの向こうに居た看護師に
訊いた。
「さぁ?名前は言いませんでしたけど。ただ、事の経緯を話したら」
「話したのか?」
医師は話を遮って言った。
「まったくプライバシー意識の欠けらも無い」
「いや、違うんです。」
「何が?」
「わたしが意識がなくてお会いになっても・・・って言ったらその女の人泣き出したんです。」
「泣いた?」

477 :名無しって、書けない?:2018/10/29(月) 23:14:10.78 ID:0GJOJnlB0NIKU.net
>>472
明日はどっちだ?が庭さん自身の連載からの逃げ言葉にならぬよう祈る日々です


それはそうと、みいちゃんのイエローマジックショー2への出演が決まり、わたくし泣きそうでございます
この間、はっぴいえんど原作の軍曹シリーズ書いたばっかだったので嬉しい限りです

数あるライディーンの中でも特にお気に入りなのが、イエローマジックショー1のバージョンなんですよねぇ
シンプルな構成ですけど、音楽の何たるかを教えてくれている気がします

https://youtu.be/yFtOfwlGWOA

478 :重力と呼吸(112):2018/10/29(月) 23:14:11.21 ID:uEmJqi0i0NIKU.net
「はい。」
「で、事情を話したんです。」
「でも素性が分からない人間なのにそんな事情を話すなんて浅はかだ。」
「すいません・・・あ、あと」
看護師は思い出したように続けた。
「あんまり心配しているのでその方に、ちゃんと担当医師や彼女さんが付いてますって言ったんです。」
「彼女じゃないです」
僕は絶叫した。もう誰だか分かっていた。
「でもずっと寝ずにそばにいましたよ。彼女。」
「だから彼女じゃあれはただの友達」
「そうしたらその女の人、黙って出ていかれました。」
「そりゃそうだ。」
僕は肩を落とした。
「誰かわかった?」
医師は訊いた。
「昔の知り合いです。」
「知り合い?」
「有り体に言えば昔の彼女です」
「そりゃ、彼女がついてるなんて言っちゃダメだ」
医師は看護師を見た。
「わたしはてっきりお姉さんかと思って」
「あの人は昨日今日と学会がある。来れるわけがない。」
「すいません」
看護師は申し訳なさそうに頭を下げた。

479 :名無しって、書けない?:2018/10/29(月) 23:17:01.33 ID:0GJOJnlB0NIKU.net
千葉県さんバッティング失礼しました…

480 :迷彩:2018/10/29(月) 23:40:06.92 ID:uEmJqi0i0NIKU.net
1

フランネルチェックのワンピースが風に瞬く。彼女は身を縮めて地平線の彼方まで続く白銀の線路を見た。
昨日からの豪雪であたりは白いカーテンに覆われているようである。
「もう時間とっくに過ぎてるのに・・・」
細い手首に巻き付けられた時計はベルトが細く文字盤も小さい。中の数字はダリのシュールレアリスムが如く歪んでいる。やがて文字盤から目を離し彼女が誰もいないホームを見る。其の度ダークブラウンのポニーテールが左右に小さく揺れる。
「ごめん、遅れた」
階段の中ほどで彼女の画になる姿に見とれていた僕はそう言いつつ駆け出した。
「遅い」
低く透き通るような声で彼女はそう応える。怒ってはいないように思えた。しかし目元は険しい。

481 :迷彩:2018/10/29(月) 23:41:40.04 ID:uEmJqi0i0NIKU.net
2
僕は伏し目がちに彼女の白く細い足元には真っ黒なステンレスのスーツケースを見る。
「電車、事故が起きて当分来ないらしい。」スーツケースは所々白く擦れたような跡があり、それがいくつも巡った国々の匂いを思い起こさせる。
「ほんと?」
彼女は目を丸くして僕を見た。
街はゆっくりと眠たげな伸びをする。
「さっき見た。」
僕は彼女の瞳へ映る自分の姿の小ささに驚く。途端にスーツケースが乾いた音を立てる。彼女は硬いベンチに座った。
ショートブーツが気だるそうにしかし、楽しそうにアスファルトにふらふらと踊る。
彼女はいつの間にか微笑んでいた。
僕は彼女の隣に座った。
「いまごろ学校は2時間目か」
彼女は向かい側のホームから覗ける街並みを遠い目で追って呟く。
唇はルージュが落ちてきたのか桃色と薄橙の斑になっている。頬はほんのりと朱が挿す。
「ほんとによかったのかな」
僕はどこか寂しそうな横顔を見た。
「今更?」
彼女は呆れたように言った。
「もう新幹線の切符もホテルも取ったし後戻りできないからね」
彼女はチュニックの襟を直して言う。
中にはブルーのシャツを着ている。
制服から普段着に変わった彼女は幾らか大人に見えた。迚、高校生とは思えない。

482 :名無しって、書けない?:2018/10/30(火) 00:13:17.73 ID:OmRjRhvGa.net
おっ!千葉県さん戻ってきたから『あしたのゆいぽん』お休み出来るw

また過疎ったら書きに来ます

483 :名無しって、書けない?:2018/10/30(火) 00:26:10.87 ID:OmRjRhvGa.net
>>477
ここだけの話なんですけど実は飽きてきてますw

最近アイドルより違う趣味が優位になる周期に入ってしまってそっちの趣味が最優先になってて理佐ちゃんの動画を見ながらそっちの趣味にかまけてしまってます

元々理佐ちゃんとの妄想が勝手に浮かんでくる才能が有っただけで小説を書くことへの情熱は薄かったみたいな俺です

これからは1日1話ぐらいのペースでまったり楽しみますかね

新しい助手を捕まえるまで仕事も忙しいしw


というわけで今まで俺の妄想を読んでくれたり褒めてくれた皆さんありがとうございます


なんだか引退宣言みたいだ

理佐ちゃんスレで新しいシリーズ始めたばかりなのにw

484 :ウィンドチャイムが鳴る頃 EP19:2018/10/31(水) 08:40:25.85 ID:8q3xcgPmH.net
窓の外には夕刻の橙色が広がり、その上に雲が僕らを窺うように浮かぶ。その中を
椋鳥が帰り道を急ぐように飛び回り、
不協和音を発するスピーカーからは
子供に帰宅を促すチャイムが撓んで
きこえる。
僕はそれをぼんやり眺めながら理佐に
「僕の家に来る」かと聞いた。
彼女の部屋からは僕の家がよく見える
のだった。理佐は涙のあとを残す
掠れ声でうなづいた。
衣擦れの音が狭い部屋に響く。
僕と理佐はややお擡げに立ち上がりいつの間にかリビングに移動していた彼女に
その旨を告げて辞去した。

自分の部屋は埃臭い古本に囲まれとても他人が入れる環境になかった。
一応扉を開けて中を見せると
ただただ理佐は「ほんだらけ・・・」と驚いたのち、「部屋汚ない」と顔を顰めた。
仕方なし僕は時折起きて、うたた寝する
父の部屋に理佐を案内した。
「ここもほんだらけだ」
理佐はスチール本棚に囲まれた部屋を
見回してまた驚嘆したように言う。
ベットは無いが黒い革張りのソファーならは
あった。
僕はそこに理佐を促した。
「お父さんも本が好きなんだ・・・」
理佐はデスクにある恐竜の置物をちらっと見ながら訊いた。

485 :名無しって、書けない?:2018/11/02(金) 09:03:37.88 ID:kxQLF98D0.net
とりあえず保守

486 :名無しって、書けない?:2018/11/04(日) 00:51:01.76 ID:b0FicspGK.net
今泉卒業日age

487 :あしたのゆいぽん 第23話 前編:2018/11/04(日) 02:20:31.55 ID:Ibc+fnlRa.net
「お父さん連れてきたよ」

俺の頼みを聞いてくれた娘の理佐ちゃんが学校の友達を連れて鑑別所にやって来た

「悪いね、わざわざこんな所まで来てもらっちゃって」
理佐ちゃんの背後に立つ友達にお礼を言う俺

「別に・・・」
無愛想に答える友達

この友達こそ初代宜保なーこより数えて何代になるかは分からないけど最強の霊能一族の末裔長沢菜々香



「おい、ゆいぽん、こっちきて挨拶しないか、このお方こそ対ずーみんの最終兵器なんだからよ」

「最終兵器・・・」
俺の言ってる意味が分からずに訝しむゆいぽん

「そうだよ、こちらのなーこちゃんにお前のスパーリング相手として今は亡き名チャンプを呼び出してもらうからよ」
なんてゆいぽんに主旨を説明する俺

菅井財閥が財力に物を言わせて名トレーナーを甦らせたのに対抗すべく霊能女子高生なーこちゃんに頼んでモハメド・アリを俺に降ろしてもらう作戦ってわけだ

488 :あしたのゆいぽん 第23話 後編:2018/11/04(日) 02:23:09.69 ID:Ibc+fnlRa.net
「しかし、よくこんな頼みを聞いてくれたよな」
モハメド・アリに成り切りゆいぽんをボコり一息つく俺

改めて考えたら鑑別所まで来て俺にモハメド・アリを降ろしてくれたなーこちゃんに感謝な俺

「なんかさ、私とお父さんの何個か前の前世が菜々香のご先祖の宜保なーこと知り合いなんだって」
ゆいぽんにヤカンの水をかけながら教えてくれる我が愛娘の理佐ちゃん

「それでこんな頼みを聞いてくれたのか」
因縁深い関係とは言え、やはり物好きななーこちゃんにますます感謝する俺


「理佐がインドにお経取りに行くお坊さんでお父さんがそのお供、うちの先祖が理佐にかかった呪いを解くのに協力したの」
なんて呟く不思議少女なーこちゃん

「まっ、まるで西遊記ですな・・・」
無表情ななーこちゃんがちょっと怖くなり愛想笑いする俺


と、その時

「大変だよ!ずーみんが明日出所するって!」
なんて駆け込んでくる偵察隊長なオダナナ


囚人たるもの何時かは出所する日が来るものだが・・・

あまりに突然のずーみん出所になす術も無く立ち尽くすチームゆいぽん



明日はどっちだ?

489 : :2018/11/04(日) 02:30:12.75 ID:Ibc+fnlRa.net
あまりに突然なずーみんの卒業日決定に影響されて俺の作品でもゆいぽんとの決着つけずにずーみんが出所してしまった・・・

それにつけてもずーみん卒業に関する真実は永遠に闇の中なのだろうか?

とりあえず中のことは分からないオタとしては真実が明るみに出るまではイタズラに推理などして悪者を生まないようにご用心

己れが推しの見せてくれる部分だけをありがたく楽しむが吉ですな

490 :背中合わせの恋人たち No.1:2018/11/04(日) 02:34:20.89 ID:VU/jrQ8v0.net
「あー、そこ醤油少なめ」
低調子な彼女から声が飛ぶ。
「はいはい」
僕は醤油の瓶を浅く傾ける。
目の前では、黒に覆われた液面が
気泡を立てて煮えている。
鰹節と醤油と柚子の出汁が香しい。
すぐ隣にいる彼女は低調子な声と裏腹に
バリエーション豊富な表情を魅せ、
饂飩の入ったビニール袋を破いて
もう一つ火にかけられ沸騰した鍋に
それを投入している。
その饂飩を入れる筈の鍋は出汁鍋の右隣に有り、それを彼女がやや乱暴な造作で放り入れる時、ふと鼻辺りに甘い香りが漂うた。
しかしそれを咎めるように熱湯が
跳ね返る。
「あつっ」
「あ、ごめん。あーあとその鍋弱火ね」
おそらく僕のことなど全く眼中に無いよう
で目線は切り刻まれた葱に向かう。
僕は彼女の踊る眼差しを追いかけて
ため息をついた。

491 :背中合わせの恋人たち No.2:2018/11/04(日) 02:35:26.65 ID:VU/jrQ8v0.net
「そろそろ完成かな」
白い小皿に刻んだ葱を入れると彼女は握り拳で腰を叩いた。
「美味しそう」
僕はぼんやりともがき苦しみながら茹だる麺を見て呟く。
彼女は茶色のショートヘアーを縦に揺らして
頷いた。
僕ら以外誰も居ない家庭科室を
改めて見渡す。
中央の銀色をした作業台だけが賑やかで
あとの作業台は眠り込んでいる。
時計の針は15:57を指す。
煮え立つ音とリズミカルな包丁の音に気づかなかったが外のグラウンドでは野球部の
ボールを打つ乾いた音とサッカー部の
乾いた辺りを重たいボールが
駆ける音がし、それに遅れる事
数秒後、しおさいが聞こえる。
僕も彼女もぼんやりとそれを聞いており僕らは思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
「さあそろそろ出来たかな」
彼女はマスクを顎にさげ半笑いで言う。


黒く輝いた煮汁は柚子と最後に絞った
酢橘が良いアクセントになって美味い。
僕らはしばらく黙って箸を動かした。
其の為、室内には口の中で饂飩が滑る音だけしている。
しかし食感的にやや茹ですぎたきらいのある饂飩に彼女はぼんやりとしていた事を後悔したようで沈黙の中で同意を求めるように僕を見た。

492 :背中合わせの恋人たち No.3:2018/11/04(日) 02:36:25.38 ID:VU/jrQ8v0.net
「茹ですぎかな」
彼女は一呼吸置いて朱塗りの箸を丼の上に置き、腕組みをした。
出汁の奥に眠る饂飩が侘しげに顔を出す。
「食べないの」
僕は銜え箸で彼女の丼を見た。
大分残っていた。
「食べるわ」
小声の関西弁で彼女は勢いよく麺を啜る。
そしてそのあとで「あつっ」と呟いた。

家庭科室のカレンダーは昔から
出入りの業者から貰うそれがかけられている。
10月と黒い活字が聳え、枠の中に閉じ込められた赤い数字は窮屈そうに肩を狭める。
そのなかで21という数字だけが胸を張る。
赤い丸が二重につき「文化祭」と
書かれているからだ。
「あと3週間だ」
いつの間にか出汁まで飲み干した
彼女が手うちわで頬を扇ぐ。
「結局メニューはこれで決まり?」
「うん、まぁ」
彼女は空になった器をじっと見て
呟く。
「でも文化祭の実行委員がなんであんたなの」
じっと見られて、器の気持ちがよくわかった。責められているようだ。磔のように。
「いや押し付けられて」
「そうなんだ、」
そのあとで「ああ」と天井を仰いで
続けた。
「おだななとがよかったなぁ」
僕は黙って空いた器を重ねた。

493 :背中合わせの恋人たち No.4:2018/11/04(日) 02:38:41.91 ID:VU/jrQ8v0.net
「そんなこと言われてもね」
横倒しになった蛇口を起こして捻った。
乾いたシンクに水滴が乱暴に撥ねて、
乾燥した手首を濡らしていった。
「変わる?」
「そう、お願い」
織田奈那は必死の形相で僕を拝んでいた。
「ゆいぽんと図書委員やりたいのよ」
「もう決まったことだしさ」
「担任には言っとくしなんとか」
「いや僕だって図書委員やりたいしさ」
このあと数回同じ会話を繰り返したが、
面倒なので記述は端折る。
二人の間には沈黙が滞留した。
僕は突慳貪な織田の口調を真似て言うた。
「そもそも立候補しなかったじゃん」
「まさかゆいぽんが図書委員やるとは思わなくてさ」
織田は喉元に手を置いて一呼吸する。
吐き出す如く一思いに喋ったせいだろう。
やがてまた喋り出した。
「ゆいぽん毎年文化祭の実行委員だからさ、それを見越して立候補したのにまさか、今年に限って・・・」
「ふーん」
「確かに毎年一緒に実行委員だしね」
僕は薄い記憶を頼りに呟く。
「そう。なのになんでだろう」
顎に手を当て逡巡している。

494 :背中合わせの恋人たち No.5:2018/11/04(日) 02:39:43.42 ID:VU/jrQ8v0.net
「まぁ悪いようにはしないから・・・ね」
僕のクラス内の立ち位置を把握した
上で織田はそう言ってまた拝んだ。
これ以上抵抗しても仕方なかろう。
頼まれ事をすぐ何でもかんでも
行ってしまうような使い勝手のいい
人間だとは思わせなかっただけ
まだ抵抗の意味があったろうと思って
僕はうなづいた。
「ここ奢るよ」
学校の最寄り駅にあるファミレスに居たのだった。
織田は伝票を掴んで立ち上がった。
「いや半分でいい」
後腐れしないようにドリンクバー680円也
をきっちり割った。

495 :背中合わせの恋人たち No.6:2018/11/04(日) 02:40:35.85 ID:VU/jrQ8v0.net
そんな経緯があって文化祭実行委員に
回されたのだ。とはとても彼女には
言えなかった。しかし織田が
図書委員になったのは周知の事実だから
何も僕が言わずも勝手に彼女がその辺は察しているだろう。
「まぁ仕方ないか」
エプロンを解いて彼女は遠い目で
グラウンドを見詰めた。
「そろそろ解散で良い」
僕は遠い目の彼女に小声で訊いた。
「えっ?」
案の定訊き返された。
「いや・・・」
「ごめん声ちっちゃくて聞こえない」
「そろそろ解散で良い」
「ああ・・・うん」
制服の胸ポケットに有ったiphoneの
画面を見て彼女は言った。

496 :背中合わせの恋人たち No.7:2018/11/04(日) 02:41:25.21 ID:VU/jrQ8v0.net
高校の最寄りである佐倉駅はこの駅を
境目にして成田線、総武本線に別れる。
さらには運輸区や折り返し装置がある
事情でターミナル駅になる。
しかし快速線は殆どが久里浜駅や成田空港駅からの列車で各駅停車は千葉駅や銚子駅、成東駅から来る。つまりターミナルといっても
単に乗り換えで混むだけでしかも、朝夕の混雑時以外は始発駅にも終着駅にもならない
ただの停車駅であるのでターミナルの意味をなさない。
此処から自宅のある市川駅までは40分ほど
かかる。
しかし混雑する列車とは行先が逆で
混まない分だけ有難い。
僕の乗車した久里浜行きは17:10に
定刻通り佐倉駅を発車した。
硬い濃紺のシートに持たれてLEDの粒子が
次の停車駅を知らせる。
列車は佐倉駅から物井駅の田園を走る。
それを眺めるうち眠気を覚えて来る。
西の方が紅鬱金に染まり
煙の匂いが連結部の隙間から漂う。
6連シートの端でそれを感じながら
瞼を閉じる。

497 :背中合わせの恋人たち No.8:2018/11/04(日) 02:43:28.29 ID:VU/jrQ8v0.net
足元から隙間風が吹き込む。
僕は自分の居る場所が判然としないまま
目を擦る。開かれた扉の先には「津田沼」と
書かれていた。
いつの間にか込んできたらしい。
車内に額から汗が伝った。
津田沼駅を過ぎ船橋を抜けると次は
市川駅である。
黒いスーツと溜息で覆われた車内は
言い知れぬ疲労に包まれていた。
灰色の床は何かを零した黒い跡が
残り、サラリーマンの間から見える
真向かいの窓は誰かの皮脂で曇っていた。
いつかはこの疲労を鞄に仕舞いながらつり革に掴まり冷たい家路へ向う日が来るのだろうか。あまり現実的に迫ってこない。
アイドルソングに於いて制服は脱ぎ捨てて仕舞うような、邪魔で仕方ない存在だが、僕は未だその制服に包まれて居たい。
脱ぎ捨ててしまいたくない。
制服は大人になりたくない子供に
とっての最後の砦なのだ。
制服を脱いでしまったら無条件に
大人への道を踏むことを認めてしまう
ことになる。僕はそれが恐ろしい。
車体の下部に設置されたライトが
夜に瞬いて都心部を駆ける。
モーターが血を滲ませ乍ら叫ぶ。
疲労の顔を見せたサラリーマンが
それに合わせ、振り子の如く揺れる。

498 :背中合わせの恋人たち No.9:2018/11/04(日) 02:44:42.80 ID:VU/jrQ8v0.net
「あっ、」
その時女の人の小さな悲鳴が聞こえた。

黄土色した液体が僕の太股へ
緩やかな小川を作っている。
隣を見ればダークブラウンの
外巻きショートヘアをした
円かな瞳の女性が固まっている。
「す・・・すいません」
首にかけたBluetoothの赤いイヤホンからは
高い音が漏れ聞こえている。
女性の右手にある透明のカップには
底の方に黄土色をした液体があった。
緑のストローが刺された蓋は幽かに
外れておりそこから乾いた黄土色の
線が垂れている。
女性は己の着ている紺のジャケットを
真探り、懐から石竹色のハンカチを取り出し
て僕の太股を拭いた。
明らかに動揺している様で
吹く速度がいやに速い。
女性の項が僕の目の前にある。
吹くために近づいているのだ。
きめ細かやかな肌に香水が漂い
さらに銀のネックレスを纏っている。
大人の雰囲気に触れて僕の心は酷く
揺れていた。
色は落ちたが液体の跡は消えなかった。
列車は船橋駅を出た。

499 :背中合わせの恋人たち No.10:2018/11/04(日) 02:45:43.66 ID:VU/jrQ8v0.net
「ほんとうにすいません」
「いや・・・まぁ」
こんな時どう返せば良いのか分からない。
「クリーニング代払いますから」
彼女は青い革のバックから
一葉の名刺を取り出した。
11ポイントの活字がしかつめらしく
並ぶ。
「(株) メディアフレーン 第三メディア事業部 長沢菜々香」
その下には社用のメールアドレスが
あった。
「ここに連絡して下さい」
女性はそう言って二、三度そのメールアドレスを指で示した。
「クリーニング代にかかった領収書をくれれば直ぐに支払うので」
まるで何度もこんなトラブルに見舞われているかのように熟れた対応だった。
僕は黙ってそれを受け取り、列車を
降りた。気がつけばもう、降りるべき駅に
到着していたのだ。

500 :背中合わせの恋人たち No.11:2018/11/04(日) 02:47:13.35 ID:VU/jrQ8v0.net
「そりゃー大変だ」
姉はヘラヘラしながらそう言った。
あの染みは不快なベタつきと匂いを
発していた。
そういいそえてもまだ姉は画板に
夢中である。
「まだ個展の絵描き終わらんの」
「そうなの、あとこの一枚なんだけど」
そこには不思議なデルタ模様と
深海が描かれていた。
「なんだこれ」
「わかんないかなー あのねこれが」
また長くなると思った。

「それさ洗っても落ちないの?」
歯ブラシを口に突っ込みながら姉は
語る。
夜十時の洗面台は姉の領域である。
僕は山と溜まった洗濯物を洗濯機に
投入しながら生返事をする。
「ふーん」
自分がどんな返信をしたのかよく
覚えてはいない。

501 :背中合わせの恋人たち No.12:2018/11/04(日) 02:48:14.82 ID:VU/jrQ8v0.net
「その女の人の名刺見せて」
「ああ、うん」
どんな人間でも風呂を出たばかりは
無条件に良い香りがする。
姉のあと、風呂に入り髪をタオルで
拭きながらリビングのテーブルに
置きっぱなしの名刺を渡す。
「だめだこの会社わかんない」
「そう?」
「うん、でも結構いい所じゃない、」
ほら、と言いながら名刺にある
会社の住所を指さした。
東京都渋谷区神宮前とある。
「渋谷・・・」
「まっ、わたしには縁のない場所よ」
椅子が軋む。
「明日早いから寝るわ」
「ああ僕はまだこれが読み終わってないから」
僕はテーブルの端にある書店のカバーがかかった本を見る。
「ふーん」
姉は特に関心がなさそうな声で応えて
リビングを出た。

502 :名無しって、書けない?:2018/11/04(日) 02:50:01.71 ID:VU/jrQ8v0.net
矢野顕子と小田和正の「中央線」と
小田和正の「東京の空」を聴きながら
電車に乗っていたときに思いついたもの。
配役はここ数日のSHOWROOMから。

503 :名無しって、書けない?:2018/11/04(日) 02:51:45.78 ID:VU/jrQ8v0.net
連投すみません。

504 :名無しって、書けない?:2018/11/04(日) 06:54:09.73 ID:VU/jrQ8v0.net
ずーみんラストか

505 : :2018/11/04(日) 13:30:05.21 ID:Ibc+fnlRa.net
>>504
唐突過ぎだよね・・・

506 :愛妻家の食卓:2018/11/05(月) 16:27:14.43 ID:2ZRNAUdcd.net
レールの音が風に乗って届いた。
わたしは鍋にかけた火を消して、鼻歌を歌いながらクロスを敷いたテーブルにお皿を並べた。
付けっぱなしのテレビに書いてある時間を
見ていたら胸が踊った。
卓上に置いたiPhoneが震えたからだ。
わたしは慌てて耳にあてる。
華やかな雑踏を背後にあなたの声が聞こえる。「まだ仕事が終わらない」と。
「そう・・・大変だね」。
何度繰り返すか分からない同じ会話と同じ嘘。暮らしに波風は立てたくなかったから、
なにも言えなかった。いや言わなかった。
敢えて。その時が来るまでは黙って
いようと思っていたから。そう敢えて。

「いつ頃帰って来るの?」と訊ねる。
自分の声が酷く沈んでお皿に注がれた
スープが疎ましい。

507 :愛妻家の食卓:2018/11/05(月) 16:28:01.07 ID:2ZRNAUdcd.net
「あと1時間したらかなぁ」
「待ってるね」
あなたはわたしのその声を聞くことなく
乱暴に電話を切った。
通話が終了する音に耳元が熱くなるのを
感じた。
わたしはiphoneをテーブルに滑らし椅子を引く。彩を豊かに盛り付けた料理が
台所で冷えて不味くなる。
遠目でそれを見ていたら視界が曇った。

「えっ、浮気?」
茜はマグカップを持ち上げて興味深そうに
わたしの顔を窺った。
コーヒーの香りを間に隔てて
会う度に距離が遠ざかってゆく。

「どうしたらいいかな」
わたしがスプーンを持て余し受け皿に置くと
それを黙って目で追っていた茜は
こう切り出した。

508 :愛妻家の食卓:2018/11/05(月) 16:28:51.84 ID:2ZRNAUdcd.net
「うーんでも本当に浮気なの」
「えっ」
「たんに勘違いしてるだけかも」
かつての友人は情熱を使い果たして
外見が華やかになる一層、
心が形骸化しているらしい。
「そうかな」
「そうだよ」
ミルクを入れたまま
放置していたコーヒーをスプーンで
軽く掻き混ぜる。
液面は歪な楕円を描かれ、
泥水にも似た不快な色に染まってゆく。
だからわたしはブラックが良い。
だけど茜に合わせて今日は
ミルクを入れてしまった。
雑踏に足元が凍える。
茜に無理やり納得させられた
ような気がしてため息がもれる。

509 :愛妻家の食卓:2018/11/05(月) 16:29:31.02 ID:2ZRNAUdcd.net
鼻を燻らすと嗅ぎなれた香りがした。
「あれ香水…」
「気づいた?」
ウェーブのかかった髪を手櫛で
通させて首を左右にふった。
やはり全く気づいていない。
「貰ったの」
「貰った?」
「・・・大学の友達から」
わたしは一瞬の間隙にすべてを悟った。
「へぇーそうなんだ」
茜は腕を組んで黒いシャツの二の腕を
しきりに擦っている。
肌ではなく心が寒くなっているのだろうか。
「寒い?」
茜の瞳の奥が幽かに揺れ動き見つめるべき先を探していた。
「いや別に」
「ともかくさ友香は気にしすぎ」
間髪入れず茜は言った。
「そうかな」
百均に寄らなくてはと思った。

510 :愛妻家の食卓:2018/11/05(月) 16:30:24.23 ID:2ZRNAUdcd.net
「おかえり」
そう言って彼を抱きしめた。
「ああ」
彼は無気力な造作でそれを受け止めてネクタイを解いた。
それが家庭に飼い殺されている
哀れな人間の首輪に思える。
かつては愛した彼も今は。
互いになにも感じない。
「ご飯は」
「食べてきた」
「そうなんだ」
「寝る」
二の句を継がせぬように彼は手で私を
追い払って死んだ愛の墓場のような仄暗い寝室へ入っていた。
わたしは扉の閉まる硬い音を聞いて
キッチンへ向かった。

冷蔵庫に閉じ込めておいた林檎を取り出す。
林檎はこれが最後だった。
わたしは洗うことすら面倒になって
適当にナイフを入れた。
野菜の屑や肉の汁で黄ばんだ俎で
細かな悲鳴を上げて林檎はバラバラに
なって行く。
わたしはしばらく昔のことを思い出しながら
林檎を刻み続けた。

林檎は俎の上で僅かな果肉と液体だけに
なっていた。わたしはそれをすこしだけ指先で舐めてから流した。
勿体ないとはもう思えなくなっていた。

511 :愛妻家の食卓:2018/11/05(月) 16:32:17.03 ID:2ZRNAUdcd.net
朝日が眩しい。だから白いレースのカーテンは閉じたままにしておいた。
カーテンレールの鋭い音に自分の声が
消えてゆく。
「今日休みなんだ」

エプロンのポケットに閉じ込めた重みを
確かめて洗面台へ向う彼を追いかける。
「ああ、交換させられてね」
疲れた顔で彼はわたしを振り返った。
わたしは黙って彼を抱きしめた。
「どうしたんだ」
彼は締まりのない顔つきでわたしの
唇を奪ってそれからもたれかかった。
そしてそのまま足元へ跪いた。
わたしは右手の熱い体温を握り直して
こぼれ落ちる液体を眺めた。
それは昨日見た林檎よりもずっと赤かった。



512 : :2018/11/05(月) 18:25:35.47 ID:7F6ii9/Wa.net
乙でありますm(__)m

513 :名無しって、書けない?:2018/11/07(水) 07:38:14.97 ID:0olliQJxd.net
保守

514 :あしたのゆいぽん 第24話 前編:2018/11/08(木) 01:43:33.63 ID:XSTKxkRqa.net
「おいヴォルよ、アーモンドアイはジャパンカップでスワーヴリチャードに勝てるかよ」

今日も今日とて菅井財閥のお嬢ことゆっかーの愛馬ヴォルフラムと競馬の話題で盛り上がる俺


ずーみんが突然出所して1週間が経ったものの・・・

すっかりヤル気を奪われてしまいやさぐれてしまったゆいぽん

当然練習なんてしてないけど仕事したくない俺は嫁の理佐ちゃんには練習する振りして鑑別所でヴォルフラムと戯れる日々だ

「・・・てなわけでダラダラ過ごしてる俺ってわけだ!」
なんて独り言言いながら鑑別所の中庭でダラダラ過ごす俺

「俺ってわけだ!じゃないでしょ!」
なんて文句言いながら登場の愛娘理佐ちゃん

515 :あしたのゆいぽん 第24話 中編:2018/11/08(木) 01:44:48.43 ID:XSTKxkRqa.net
「ねぇ、友香から聞いたんだけどずーみんが出所してから練習してないらしいじゃん」
なんて事情通な愛娘理佐ちゃん

「お嬢の奴余計なことを・・・」
なんて臍を噛む俺に

「余計なことじゃないでしょ、ボクシングの練習してないならお母さんの仕事手伝いなよ」
俺を詰める母親思いな娘理佐ちゃん

「だってよ、スーパーの手伝いなんてパートのおばちゃんに混ざってうろちょろさせられるだけでつまんないじゃん」
なんて生意気な俺

「経営能力無いんだから仕方ないじゃん」
苦笑いしながらも手厳しい娘理佐ちゃん

516 :あしたのゆいぽん 第24話 後編:2018/11/08(木) 01:45:04.73 ID:XSTKxkRqa.net
「それより今日はお父さんって呼んでくんないんだ・・・」
愛娘の理佐ちゃんに厳しいこと言われて拗ねる俺に

「拗ねてんじゃねーよ」ってドス効かす娘理佐ちゃん

「ねぇ、お父さんって呼んであげるから由依を立ち直らせてあげて」
なんてゆいぽんを妹のように心配する娘理佐ちゃん

「ゆいぽん頑固だから自然とヤル気出るまでは余計なことしない方がいいんじゃないかな」
やさぐれたゆいぽんの相手はしたくない俺

「じゃあ、一生お父さんって呼ばないしお母さんに鑑別所で馬相手に遊んでるって言いつけるからね」
なんて脅しかけてくるワル理佐ちゃん



明日はどっちだ?

517 :黄昏泣き:2018/11/08(木) 11:58:31.72 ID:c4PJpWYYH.net
ため息は雑踏の中に消えた。
夕日を絞って辺りに散らばるように辺りが輝く。焚き火の匂い、焼き鳥の匂い、ガソリンの匂い。混ざりあったり、別れたりしながら漂って来、それらを吸い込む。すると外気の冷たさと相俟って鼻が奥の方まで痛くなる。
もう年も暮れると思った。
車のサイレン、誰かの急ぐ声、着信音。
風と共に通り過ぎてゆく。
錆びかけたガードレールに身を預けて
腕時計を見る。6時を過ぎていた。
靴音がタイルに響き、やがて黒いショートブーツが自分の眼前に止まる。
顔を見上げる。人混みの中に居るのだ。
何となく冷静になって感じた。
チノのトレンチスカートが幾らか彼女を大人びた粧に変えていた。レザーのジャケットは夜の透明な黒に溶け込む。その間に白いブラウスが見えた。
ハーフアップのふわりとした髪が季節の変わり目を告げるように左右へ揺れた。
マスクを顎元に下げると裏地にはファンデーションとリップの擦れた痕が付いていた。
彼女はポケットにマスクをしまって言った。

518 :黄昏泣き:2018/11/08(木) 11:58:34.07 ID:c4PJpWYYH.net
ため息は雑踏の中に消えた。
夕日を絞って辺りに散らばるように辺りが輝く。焚き火の匂い、焼き鳥の匂い、ガソリンの匂い。混ざりあったり、別れたりしながら漂って来、それらを吸い込む。すると外気の冷たさと相俟って鼻が奥の方まで痛くなる。
もう年も暮れると思った。
車のサイレン、誰かの急ぐ声、着信音。
風と共に通り過ぎてゆく。
錆びかけたガードレールに身を預けて
腕時計を見る。6時を過ぎていた。
靴音がタイルに響き、やがて黒いショートブーツが自分の眼前に止まる。
顔を見上げる。人混みの中に居るのだ。
何となく冷静になって感じた。
チノのトレンチスカートが幾らか彼女を大人びた粧に変えていた。レザーのジャケットは夜の透明な黒に溶け込む。その間に白いブラウスが見えた。
ハーフアップのふわりとした髪が季節の変わり目を告げるように左右へ揺れた。
マスクを顎元に下げると裏地にはファンデーションとリップの擦れた痕が付いていた。
彼女はポケットにマスクをしまって言った。

519 :黄昏泣き:2018/11/08(木) 11:58:34.30 ID:c4PJpWYYH.net
ため息は雑踏の中に消えた。
夕日を絞って辺りに散らばるように辺りが輝く。焚き火の匂い、焼き鳥の匂い、ガソリンの匂い。混ざりあったり、別れたりしながら漂って来、それらを吸い込む。すると外気の冷たさと相俟って鼻が奥の方まで痛くなる。
もう年も暮れると思った。
車のサイレン、誰かの急ぐ声、着信音。
風と共に通り過ぎてゆく。
錆びかけたガードレールに身を預けて
腕時計を見る。6時を過ぎていた。
靴音がタイルに響き、やがて黒いショートブーツが自分の眼前に止まる。
顔を見上げる。人混みの中に居るのだ。
何となく冷静になって感じた。
チノのトレンチスカートが幾らか彼女を大人びた粧に変えていた。レザーのジャケットは夜の透明な黒に溶け込む。その間に白いブラウスが見えた。
ハーフアップのふわりとした髪が季節の変わり目を告げるように左右へ揺れた。
マスクを顎元に下げると裏地にはファンデーションとリップの擦れた痕が付いていた。
彼女はポケットにマスクをしまって言った。

520 :黄昏泣き:2018/11/08(木) 11:58:34.54 ID:c4PJpWYYH.net
ため息は雑踏の中に消えた。
夕日を絞って辺りに散らばるように辺りが輝く。焚き火の匂い、焼き鳥の匂い、ガソリンの匂い。混ざりあったり、別れたりしながら漂って来、それらを吸い込む。すると外気の冷たさと相俟って鼻が奥の方まで痛くなる。
もう年も暮れると思った。
車のサイレン、誰かの急ぐ声、着信音。
風と共に通り過ぎてゆく。
錆びかけたガードレールに身を預けて
腕時計を見る。6時を過ぎていた。
靴音がタイルに響き、やがて黒いショートブーツが自分の眼前に止まる。
顔を見上げる。人混みの中に居るのだ。
何となく冷静になって感じた。
チノのトレンチスカートが幾らか彼女を大人びた粧に変えていた。レザーのジャケットは夜の透明な黒に溶け込む。その間に白いブラウスが見えた。
ハーフアップのふわりとした髪が季節の変わり目を告げるように左右へ揺れた。
マスクを顎元に下げると裏地にはファンデーションとリップの擦れた痕が付いていた。
彼女はポケットにマスクをしまって言った。

521 :黄昏泣き:2018/11/08(木) 11:58:34.63 ID:c4PJpWYYH.net
ため息は雑踏の中に消えた。
夕日を絞って辺りに散らばるように辺りが輝く。焚き火の匂い、焼き鳥の匂い、ガソリンの匂い。混ざりあったり、別れたりしながら漂って来、それらを吸い込む。すると外気の冷たさと相俟って鼻が奥の方まで痛くなる。
もう年も暮れると思った。
車のサイレン、誰かの急ぐ声、着信音。
風と共に通り過ぎてゆく。
錆びかけたガードレールに身を預けて
腕時計を見る。6時を過ぎていた。
靴音がタイルに響き、やがて黒いショートブーツが自分の眼前に止まる。
顔を見上げる。人混みの中に居るのだ。
何となく冷静になって感じた。
チノのトレンチスカートが幾らか彼女を大人びた粧に変えていた。レザーのジャケットは夜の透明な黒に溶け込む。その間に白いブラウスが見えた。
ハーフアップのふわりとした髪が季節の変わり目を告げるように左右へ揺れた。
マスクを顎元に下げると裏地にはファンデーションとリップの擦れた痕が付いていた。
彼女はポケットにマスクをしまって言った。

522 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 11:59:34.58 ID:c4PJpWYYH.net
あれ めっちゃ投稿したことになってる?!

523 :黄昏泣き:2018/11/08(木) 12:02:11.57 ID:c4PJpWYYH.net
「迷っちゃって」
長い沈黙の名残で彼女の声は掠れていた。
背後で通り過ぎたバイクが声をかき消した。
しかし掻き消されずとも彼女の声は
低く且つ遠慮がちの為、聞こえない。
「あんまりここ来ないから」
その声は不機嫌であるかのように思わせる。
しかし名前を呼んだ時の微笑んだ
眼差しにそれが錯覚であると気づく。
「寒いからどっか入ろうよ」
隣り合わせに彼女が近づいて言った。
「今日は何処入るか決めてよ」
「どうしよっかな」
歩調を弛めて彼女はポケットの
iPhoneを取り出して反射する画面に慌ただしく指でフリックさせる。
「ここがいいかな」
その画面には派手な彩色のソースが
かかったパンケーキが写っていた。
「それ住所新宿になってるじゃん」

524 :黄昏泣き:2018/11/08(木) 12:03:11.26 ID:c4PJpWYYH.net
「えっ渋谷じゃないの」
「ほら」
パンケーキの下には英語の店名と
東京都新宿区とあった。
「ほんとだ」
画面を拡大させたり縮小させたり
したあと彼女は眼差しで訊ねた。
「そこ行こうか」
新宿まで何分かかるか。
握られた冷たく柔らかい手に
そんな計算をしていた。



525 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 13:27:58.11 ID:XSTKxkRqa.net
想像力が乏しいせいか名前が無いと感情移入が出来ないw

526 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 14:13:06.24 ID:XSTKxkRqa.net
そろそろ文字数制限が始まったみたいですね

文字数制限のスピードを速めてしまうと申し訳無いので保守代わりに書いてる「あしたのゆいぽん」は理佐ちゃんだから好きスレに引っ越しますm(__)m

527 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 19:14:08.33 ID:xF7Z1FMId.net
>>525
描写力が未熟で申し訳ないです。
彼女はゆいぽんの設定です

528 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 19:14:51.32 ID:xF7Z1FMId.net
次スレに移行しても人来るかな

529 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 21:41:47.83 ID:WDUuw09U0.net
>>528
ちょうど新しくお話を考え付いたところなので、僕で良かったら書き込みますよ

>>522
何連投してんすかw

530 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 22:19:28.92 ID:Amy8GQE7d.net
新しいスレたてたけど数字変えてないや・・・しまった

531 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 22:29:00.61 ID:Amy8GQE7d.net
携帯が思うように動かずスレが立てられず
やっと立てたかと思えば数字を間違えて
謎の再起動
なんて日だ

532 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 23:07:48.75 ID:WDUuw09U0.net
まあいいんじゃないですかねw

533 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 23:16:15.90 ID:9qQLrD0sa.net
数字なんて気にすんなw

534 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 23:25:26.49 ID:ZPM7V1ZM0.net
一応これが次のやつです
http://itest.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1541682994/

535 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 23:36:34.67 ID:nwy1+Yt9K.net
乙です

話の蒸し返しにしかならなかったら申し訳ないですが
現在の実質的スレ主である千葉県先生の判断で、スレ番訂正して立て直しも一法だとは思います
その場合、現状だと最終書き込みから3日ほど放置すれば古いスレはdat落ちしそうです

先生の判断にお任せします

536 :名無しって、書けない?:2018/11/08(木) 23:42:12.11 ID:9qQLrD0sa.net
俺も千葉県さんにお任せでオーケーです

537 :名無しって、書けない?:2018/11/09(金) 00:13:29.33 ID:24it/sBI0.net
>>535
このままこの立てちゃったスレを使ってゆこうかなと

538 :名無しって、書けない?:2018/11/09(金) 00:21:23.49 ID:pTH4xAdo0.net
了解でーす

総レス数 538
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