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【ss書いた】ようせいさんの、いぶんかこうりゅう

1 :名前はない……と松本は言っている (ブーイモ MMfb-Gif8):2017/04/30(日) 23:31:20.71 567 ID:oZLBf4xFM.net
人類がゆるやかな衰退を迎えてはや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。
そして、わたしはそんな妖精さんと人との間を取り持つ調停官という仕事をしています。
そんなわけで、いつも妖精さんとゆかいな事件に巻き込まれ、大変な苦労をしているのです…

2 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:32:45.51 475 ID:fNa5VxBf0.net
ある朝、いつも通りゆったりとした時間に調停官事務所に出所します。すると事務所で私の上司でもあるおじいさんがなにやら大きな荷物をまとめていました。助手さんもそれを手伝っています。

3 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:33:10.47 569 ID:fNa5VxBf0.net
「おおやっと来たか。いつももっと早く来たらどうだ。体がなまってはいかんぞ若いのに」
余計なお世話です。それに人類が衰退し、貨幣経済が消滅した今、するべき仕事というものもないのです。
「そんなことより、その荷物どうするんですか?冒険にでも行くんですか年寄りなのに」
「まったく余計なお世話だ。学術調査に行くことになった。東国の島国に1か月間滞在する予定だ。かなり貴重な遺跡が残っているんだが、大規模な調査が行われることになってな。世界中から様々な学者が集まる予定だ。」

4 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:33:40.75 390 ID:fNa5VxBf0.net
遺跡というのは過去の人類が残した都市のことです。わたしたち人類は過去に何度か情報の大断絶を経験しており、昔人類が使っていた科学技術などが失われてしまったので、おじいさんのような物好きな人がその解明に日々勤しんでいるというわけです。

5 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:34:13.04 011 ID:fNa5VxBf0.net
「その遺跡では当時かなり科学技術が進んでいたそうだ。もしかしたら超科学の解明につながるかもしれん。」
「いつ出発するんですか?」
「明後日の朝にはもう出発する予定だ。」
明後日?唐突すぎる気がするのは私だけでしょうか?

6 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:35:13.69 249 ID:fNa5VxBf0.net
「あのう…わたしのご飯はだれが作ってくれるのでしょうか…」
「そんなもん自分で作ったらどうだ。お菓子の一つや二つ作れるんだから料理くらい簡単だろう。」
確かに私はお菓子作りは得意ではありますが、だからといって料理が得意というわけではないのです。

7 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:35:30.31 179 ID:fNa5VxBf0.net
「あと、お前に頼みたいことがある。隣の部屋からこのメモに関する記載がある本を見つけてほしい。」
渡されたメモにはわけのわからない単語がずらっと並べられていました。
「最低でも50冊は欲しい。出発するまでに頼むぞ。」
「はぁ…そうですか…」

8 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:36:11.64 641 ID:fNa5VxBf0.net
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9 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:37:17.48 088 ID:fNa5VxBf0.net
おじいさんは学者でもあるのでおじいさんが所有している本の数は半端なものではありません。どの時代のものかわからないような本も多く、そしてその大半は事務所の隣の部屋に大量に放置されているのです。
自分の背より高い本の柱が乱立し、床にまで本が散乱している様子はまるでジャングルのようでした。目的の本を探し出すまでにどれほど時間がかかるのでしょう。

10 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:37:53.41 217 ID:fNa5VxBf0.net
「はぁ…絶対やりたくない…千冊以上はありますよこれ」
嫌でも愚痴がこぼれます。
助手さんも手伝ってくれるとはいえ、この量を調べるのはかなりしんどいです。
「え?うだうだしていても仕方ないって?まぁそうですが…」
助手さんは妙にタフなところがあるようです。

11 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:38:30.87 169 ID:fNa5VxBf0.net
適当な本の柱から適当な本を取り、調べてみます。本を開くとわけの分からないような文字の羅列が目に飛び込んできます。しかし、ある程度目を通さないと目的の本か判別できません。
だんだん気が遠くなっていくのがわかります。
やっと柱の一つを選別して見つけられた本は数冊だけ。まだ見つけなければならない本はあと何十冊ほど残っています。

12 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:38:49.65 256 ID:fNa5VxBf0.net
「何回この作業を繰り返したんだろう…」
気が付いたらもう昼はとうに過ぎていました。また一つ本を取り開きます。目的の本であってほしいという淡い期待と、また違う本なのだろうという諦めが心の中に浮かんできます。
しかし、その結果は少し違うものでした。

13 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:39:23.17 668 ID:fNa5VxBf0.net
隣の部屋からその本を持って事務所に戻り、お茶を入れてお菓子を食べながら本を眺めます。その本は難しい科学関連の本ではなく、お菓子の歴史について述べられた本でした。
挿絵がたくさん掲載されており、見たこともないほど美しく、おいしそうなお菓子やケーキばかりが載っていました。

14 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:39:54.86 188 ID:fNa5VxBf0.net
「一度食べてみたいなぁ」
お菓子作りが趣味の私にとって、なかなか目を見張るものがあります。昔はお菓子作りを生業としていたプロがいたとかいないとか。今じゃわたしくらいしか作る人はいません。

15 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:40:10.81 056 ID:fNa5VxBf0.net
するとどこからかやってきた一人の妖精さんが本を覗き込んできました。
妖精さん。平均身長10cmで3頭身というかわいらしい外観とは裏腹に物理法則などをも超越する高い科学技術(科学技術というより魔法の類に近い)を持つ、衰退中のわれわれ旧人類に代わる現人類です。そして、彼らはお菓子が大好き。

16 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:40:46.37 558 ID:fNa5VxBf0.net
「クッキーいります?」
「ありー」
このようにわたしははたびたび彼らにお菓子をふるまうので、妖精さんに結構懐かれています。よく妖精さんが引き起こす事件に巻き込まれるのはこのせいなのですが。

17 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:41:19.17 046 ID:fNa5VxBf0.net
「みたことのないおかしです?」
「たべてみたいなー」
妖精さんの口からよだれがしたたります。
「そうですねぇ。食べてみたいですねぇ」
「どうにかしてたべたい」「わがものにしたいですな」
妖精さんは楽しいといつの間にか増えます。今二人ですね。
あ、三人に増えました。

18 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:41:34.50 030 ID:fNa5VxBf0.net
「おとなのあじ?」「きょしょうのあじかな」「ふらんすのかぜをかんじるです?」
「でも食べられませんねぇ。レシピがないから作れないんですよ。」
「えー」「そんなー」
がっかりする妖精さんたち。その気持ちは私も同じです。

19 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:42:40.01 760 ID:fNa5VxBf0.net
午前中に結構な量をさばいたとはいえ、まだまだ本は沢山ありました。
一つ一つ中身を確かめ、選別していきます。難解な本ばかりでわたしと助手さんの集中力は持たなくなり、一日目は終了。結局見つけられた本は14冊だけでした。明日だけであと4倍近くの本を見つけなければいけません。

20 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:43:03.40 154 ID:fNa5VxBf0.net
「なんだ。たったこれだけしか見つけられなかったのか」
せっかくの夕食時なのにおじいさんから文句が飛んできます。しんどいです。これでも結構見つけたほうだと思うのですが。
「そもそもあの数の本から目的の本を見つけるなんて無理があります。」
「まぁそう言わんでくれ。ないと調査に困るような本ばかりなのだ。ないと私だけでなくほかの学者も困る。」
「そうですか…」

21 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:43:45.84 296 ID:fNa5VxBf0.net
一回わたしのせいで調査が打ち切られたことがあったので、また他の学者さんたちに迷惑をかけてしまうのは流石に負い目を感じます。安易に妖精さんの力を借りるとまた厄介なことになりそうなので、どうやらやる自分たちの力でやるしかしかないようです…

22 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:44:09.27 779 ID:fNa5VxBf0.net
二日目、援軍にかつての悪友の友人Yを迎え、本の発掘を再開します。
3人に増えたおかげでペースはかなり上がり、午前中だけでも17冊発見することができました。何とかなるかもしれないという希望がだんだん見えてきます。ずっと友人Yがグダグダぼやいていましたが気にしたら負けです。

23 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:44:43.29 216 ID:fNa5VxBf0.net
昼食をとってまた再開します。ここまで来るともう何も考えなくても作業を行うことができるようになっていました。慣れって怖いですね。

24 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:45:13.53 682 ID:fNa5VxBf0.net
部屋の隅でなにやら妖精さんが動き回っていましたが、別に作業を邪魔されるわけではありませんでしたので放置していました。
今となっては後悔しています。
妖精さんが何かをしているとき、高確率でわたしが巻き込まれることになるのです。

25 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:46:04.59 092 ID:fNa5VxBf0.net
気が付いたら見知らぬ場所に突っ立っていました。
あたりを見渡すと目がくらむほど高いビルがそびえ、足元はコンクリートで完全に舗装され、そして何よりも人がたくさんいました。
わたしのいた牧歌的で、のほほんとした空気が流れる場所とは大違いです。場所が変わったというより、どちらかというと異世界に飛ばされた感覚に近いものがありました。

26 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:46:27.09 021 ID:fNa5VxBf0.net
一旦情報を整理してなんとか状況を把握しようとします。わたしは確か今さっきまで本のジャングルで発掘作業をしていたはずです。そしてある本を発見して…。ん〜うまく思い出せません。

27 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:46:45.37 466 ID:fNa5VxBf0.net
「にんげんさーん にんげんさーん」
足元を見てみると三人の妖精さんが立っていました。
「ほんばのあじたしかめにきたです?」
「どういうことですか?」
「たべられないおかし、たべれるです?」

28 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:47:06.83 226 ID:fNa5VxBf0.net
そういうことか…
おそらく昔のお菓子が食べたいがゆえに、妖精さんはわたしとともに過去にタイムスリップしてきたのでしょう。妖精さんだけでなくわたしも一緒に来てしまったのは、私が「食べたいなぁ」と言ったため妖精さんの好意で連れてこられたのか。
こうなると帰る方法は妖精さんにお菓子を食べてもらって満足してもらうほかなさそうです。

29 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:47:45.82 408 ID:fNa5VxBf0.net
お菓子をゲットするためには何をすべきか考えます。
周りの様子を見るに、詳しい年代などは分りませんが貨幣経済が残っている時代だというのは確実そうです。
そうなると、無一文の私にはかなりのハードモードだということになります。

30 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:48:05.05 230 ID:fNa5VxBf0.net
「どうしよう…」
さっそく行き詰りました。
もちろん周りには知らない人だらけ、それにわたしと周りの人とは服装はもちろん人種も異なるようで、言葉が通じないかもしれません。ただでさえ人と接するのが苦手な私にとってこの状況はかなり大変なものです。結構頭が真っ白になってきました。

31 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:48:28.15 580 ID:fNa5VxBf0.net
「あのー」
「わっ」
後ろから唐突に声をかけられちょっとびっくりしました。振り返ってみると、ツンツン頭の少年が立っていました。

32 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:48:48.97 730 ID:fNa5VxBf0.net
「◎△$♪×¥●&%#?!」
自分の知らない言語で話されているため、何を言われているのかわかりません。
「妖精さん、知らない言葉を翻訳する道具ってないですか?」
「それならこれをおさしあげ」
大きな丸メガネを渡されました。
「これであいてのはなすことわかるです。ほんやくきのうつき」
すぐに装着してみます。

33 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:49:12.66 195 ID:fNa5VxBf0.net
「どうかしました?なんか顔色わるいですよ。」
使用感は結構いいです。もし某密林などで売られていたらレビューで★4あげちゃいます。
「あぁ、あのちょっといろいろありまして…すみませんここ、どこですか?」
「ここって言われても、学園都市ですけど?」
学園都市とはなんでしょう?謎が謎を呼びます。

34 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:49:49.98 720 ID:fNa5VxBf0.net
「あの、すみませんもう一つ伺いたいことg」
「やべ、見つかった!すみません急いでるのでそれじゃさようなら!」
少年は行ってしまいました。急いでるというより、何かに恐れて逃げたような感じでしたが…。しかし、その疑問や様々な混乱は、あることを目前にしてかき消されてしまったのです。

35 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:50:26.79 588 ID:fNa5VxBf0.net
目の前に電撃が走ったのです。比喩とかではなく物理的に。びっくりして丸まってしまった妖精さんを妖精さん携帯ケース(自作)にすぐさま収納します。
電撃の発生源の方を確認すると少女が立っていました。13歳くらいの年ごろでしょうか、シャンパンゴールドの髪で、外見は普通の女の子です。ただ一つ大きく違うのは、体から電撃を発していたことでした。

36 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:50:53.80 557 ID:fNa5VxBf0.net
「待ちなさいよ!今日こそ決着をつけてやるんだから!」
彼女の体から発していた電撃は槍のようになり、逃げているツンツン頭の少年に襲い掛かります。しかし、少年が右手を電撃に向かって差し出すと、電撃はたちまち消えてしまいました。

37 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:51:12.01 435 ID:fNa5VxBf0.net
目の前で起こるすさまじい出来事に、わたしはただ茫然としてそこに突っ立っていることしかできませんでした。

38 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:52:14.39 759 ID:fNa5VxBf0.net
「悪りぃビリビリ!タイムセールに遅れるからまた今度な!」
「待ちなさいよ!」
少女の電撃をうまくかわし、少年はどこかへ逃げてしまいました。
「はぁ、また逃げられたわ」

39 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:52:59.97 466 ID:fNa5VxBf0.net
少年に逃げられがっかりしている少女は、どことなく寂しそうにも見えました。
ふと少女と目が合います。
さっきの光景からは信じられないほど普通の少女の目をしています。すると、こっちに近づいてきました。

40 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:53:32.29 506 ID:fNa5VxBf0.net
体に緊張が走り、足が軽く震えます。わたしにも何かされられるんでしょうか?あの電撃を食らわされたらひとたまりもありません。リラックスした少女の表情がかえって不気味に感じます。

41 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:54:25.80 601 ID:fNa5VxBf0.net
「すみません、大丈夫でしたか?」
かけられた言葉は意外と普通でした、体から力が抜けます。
「はい、とりあえずは何ともないです…」
「そうですか。それじゃ失礼します。」
「あっあの、少しお話を伺いたいのですが…」
「それなら、よろしければ近くでお茶でもしながらゆっくり話ししませんか?」
「でもすみません、私今無一文でして…」

42 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:54:39.85 815 ID:fNa5VxBf0.net
「お代の心配は結構ですよ。」
なんと!ここは素直に応じておきましょう。お菓子ゲットのチャンスです。自分よりだいぶ年下の人に奢ってもらうのは情けない話ですが、いたしかたないでしょう。

43 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:55:13.43 912 ID:fNa5VxBf0.net
彼女と会話しながらカフェへ向かいます。
「さっきの電撃すごかったですね。どうやって出したんですか?アレ」
「それは私の能力で電撃を出せるんですけど、能力なんて珍しい話じゃないし、能力について知らないんですか?」
「いや、まぁはい田舎から出てきた者なので…」
どうやらこの時代には超能力のようなものが当たり前に使えるようです。

44 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:55:39.87 948 ID:fNa5VxBf0.net
「あと、あの少年との勝負とは一体?」
「えっああそれはええっと、そ、それはちょっといろいろあって…」
顔が真っ赤になって湯気が立ってますよ。大丈夫ですか?
「そ、そんなことよりお店が見えてきましたよ!」
いわゆる「つんでれ」ってやつでしょうか。前に友人Yからそんな話を聞かされたような。

45 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:56:43.23 370 ID:fNa5VxBf0.net
ヴィンテージ調のおしゃれなお店に入っていきます。
店内にはすでに彼女の友人が3人ほどいました。
一人はピンク色のツインテールで一人は黒髪ロングヘアー、もう一人は頭に花飾りをつけていました。

46 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 9f25-Ahd3):2017/04/30(日) 23:57:00.56 804 ID:T3wc2kYc0.net
1行空けた方が見やすいし

47 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:57:19.87 987 ID:fNa5VxBf0.net
席に座り、注文を取ります。
「お姉さま、なかなかいらしませんのでまたあの類人猿と何かあったのかと心配しましたの。」
「なななないわよそんなの!なんでアイツとなんか…」
全然隠しきれてないですね…。しかし類人猿とはおそらくあのツンツン頭の少年でしょうか。ひどい言われようです。

48 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:57:56.41 511 ID:fNa5VxBf0.net
「ところで、こちらの方はどちら様ですの?」
「さっき会った人なんだけど迷惑かけちゃってさ、いろいろ話聞きたいらしいしお茶でもどうですかって誘って来たのよ。」
「はぁ、そうなんですの。」。
「それにしてもえらく牧歌的な服装ですね…。私こういうのに憧れます。」
「でも学園都市でそういう格好してる人珍しいですよね。なんか異世界の人みたい。」
確かに近未来的な都市にこの格好は似あいません。まぁ過去なんですが。

49 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:58:55.51 340 ID:fNa5VxBf0.net
次にロングヘアーの子が話を切り出します。
「そういえば先週の能力テストどうでした?」
「私は相変わらずレベル1です…」
「初春はまだいいよ!私なんて万年レベル0なんだから。ま、私は楽しければなんでもいいんだけどねー。」

50 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:59:16.57 872 ID:fNa5VxBf0.net
「あの…レベルというのはなんでしょうか?」
「能力の基準値のことですの。優れた能力ほどレベルが上がり、最も高いランクがレベル5。この学園都市230万人に7人しかおらず、その第3位が、御坂美琴お姉さまというわけですわ。」
230万人の第3位。スケールが大きくてすごい話です。

51 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/04/30(日) 23:59:55.22 464 ID:fNa5VxBf0.net
それからいろんな話を聞きました。どうやら学園都市とは国中の学生を集めて能力の開発を行うことを目的にしているらしいです。
そんなことをしてるうちに、注文していたお茶とケーキが来ました。
「おいしそう…」
思わずつぶやいてしまいます。ケースのの中にいた妖精さんもお菓子のにおいをかぎつけ復活。テーブルの上に飛び出してきました。

52 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:00:14.17 820 ID:4o2gBEfu0.net
「おいしそうだー」「うつくしー」「たべていいです?」
「ええ、いいですよ。」
「わー」「いえー」「やたー」「このためにいきてきたー」
喜びのあまり3人から4人に増えました。しかしあまり爆発的に増えませんね。周りには電子機器がたくさんあるので、電磁波の影響でしょうか。

53 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:01:15.19 777 ID:4o2gBEfu0.net
「え!?なんですかこの子達?」
「一体何のことですの?」
「ほら!ここにお人形さんのような生き物がいるじゃないのよ!」
「妖精さんですよ。」
「か、かわいい…」
この時代には妖精さんはいないはずなので、彼女らにとっては未知との遭遇です。

54 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:01:37.38 571 ID:4o2gBEfu0.net
どうやら電撃少女とロングヘアーの子には見えるようですが、その他の二人は見えないようです。
妖精さんは子供のころは結構見えたりするのですが、大人になるにつれて見えなくなっていきます。彼女たちの年齢はちょうどその間くらいの微妙な年齢なのでしょう。

55 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:02:16.20 530 ID:4o2gBEfu0.net
「そういえば妖精さんは電磁波に弱いんですよね?そこらへんに飛びまくってそうですけど大丈夫なんですか?」
「たのしさすいとられるけど」「たのしいからだいじょうぶ」「にんげんさんいっぱいいるし」
妖精さんは電磁波を受けると消えてしまい、楽しいと増えます。今は楽しさと吸い取られる分が釣り合っているのでしょう。

56 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:03:06.06 024 ID:4o2gBEfu0.net
「あと、おなかまもけっこういるです?」
「お仲間?お仲間は何処にいるんですか?」
「すぐそこにいますぞ」
と、妖精さんが指さした先は、
「え?私?」
電撃少女―御坂さんでした。しかし、御坂さんは妖精さんと違い人間のカテゴリーに属すはずです。

57 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:03:29.66 818 ID:4o2gBEfu0.net
「となりのにんげんさんもけっこうおなかまです」「ろんぐへあーとはなかざりのにんげんさんは」「そこまでおなかまではなく」「どちらかというとにんげんさんですな」
不思議なことに妖精さん度は能力のレベル順に並んでいるようです。もしかしたら妖精さんの魔法と彼女らの能力は通ずるものがあるのかもしれません。

58 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:03:48.64 005 ID:4o2gBEfu0.net
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59 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:04:13.85 538 ID:4o2gBEfu0.net
「今日はどうもありがとうございました。」
「いえいえこちらこそありがとうございました。楽しかったですよ。」
「また会うときはよろしくお願いしますね。」
「さようならですの」
「さようならー」
彼女らと別れます。結局かなりの時間話し込んでしまいもう夕方です。

60 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:04:35.30 113 ID:4o2gBEfu0.net
「妖精さん、お菓子も食べられたわけだし、元の時代に帰りましょう。」
「ありー」
そういうとどこからか見覚えのある大きい本を取り出してきました。
そういえばここに来てしまったのはこの本を開いたからでしたっけ。

61 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:04:49.25 573 ID:4o2gBEfu0.net
「さ、帰りましょう」
その本を開きます。すると意識が遠のいていきます。

62 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:05:18.28 191 ID:4o2gBEfu0.net
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63 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:05:52.40 843 ID:4o2gBEfu0.net
気が付いたら里に戻ってきていました。時間を確認すると、過去に飛ばされた時間の2〜3時間後くらいの時に戻ってきたそうです。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おわったああああああ」
友人Yの叫び声が聞こえます。近くで助手さんも倒れています。どうやらわたしがいない間に本探しを終わらせてくれたようです。ありがとう友人Y。ありがとう助手さん。わたしはいまさっきまでお茶飲んでおしゃべりしてたけど。

64 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:06:28.03 090 ID:4o2gBEfu0.net
「てめぇえさっきまでどこ行ってたんだよ〜急にいなくなりやがってええええ」
ぼやく友人Y。助手さんも騒ぎ立てたりしませんが目で訴えてきます。
「すみません、ちょっと妖精さん関連のトラブルに巻き込まれていまして。」
「うううううう…」

65 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:06:44.32 394 ID:4o2gBEfu0.net
もう反論してくる元気もないようです。申し訳ないですけど妖精さんのせいだから仕方がないですね。あと、手にはタイムスリップに使われた本が手に握られていました。どうやら繰り替えし使えるようです。また行こうかな。

66 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:07:19.58 936 ID:4o2gBEfu0.net
さすがにこの二人に何もしないのもかわいそうなので、お茶を入れて作り置きのお菓子を出します。
お菓子を出すとわらわらと妖精さんが集まってくるので多めに出しておきましょう。すると早速集まってきました。
いつもの光景です。しかし、その中で浮いている妖精さんが一人いました。

67 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:07:42.11 022 ID:4o2gBEfu0.net
シャンパンゴールドの髪、服装は見覚えのある学生の制服、そして、なんかビリビリしています。
嫌な予感しかしません。すぐにタイムスリップにかかわった妖精さんを招集します。

68 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:08:01.61 146 ID:4o2gBEfu0.net
「こっ、これはどういうことですか!?」
「ようせいさんぽかったから」「まちがえて」「つれてきちゃった?」
「連れてきちゃっただけならまだ分かりますけど、なんで妖精化してるんですか!」
「なんか」「いしきのもんだい?」「しゃかいてきたちば?」
「つまりどういうことです?」
「おもいこみはげしかったらしいです」

69 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:08:17.65 654 ID:4o2gBEfu0.net
ということは、御坂さんがあまりにも妖精さんぽかった故に、妖精さんが御坂さんのことを妖精さんだと認識してしまった。そしたらほんとに妖精さんになってしまったと。
少なくともマズイことが起こったことには変わりありません。

70 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:08:52.07 682 ID:4o2gBEfu0.net
「御坂さん、あなた、自分のことどれだけ覚えてますか?」
「みさかさんとはだれゆえ?」
だめだこりゃ、事態は思いのほか深刻です。妖精さんは記憶力はあまりよろしくないのですが、ここまでのものだったとは。
「いっしょにびりびりするです?」
「しません。」

71 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:09:20.22 079 ID:4o2gBEfu0.net
これはすぐさま先ほどの時代に戻らなくてはならないようです。
御坂さん(妖精)とタイムスリップに関わった妖精さんをケースにしまい、また本を開きます。

72 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:10:16.11 058 ID:4o2gBEfu0.net
(とりあえず今日はここまで。続きはまた明日にでも)

73 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイW b7f7-xKwp):2017/05/01(松本りせ) 00:15:19.46 009 ID:PYEwqwmG0.net
新スレ発見だし

74 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 00:17:40.14 548 ID:4o2gBEfu0.net
>>46
(すまん気づかなかった。次から気をつける)

75 :名前はない……と松本は言っている (スフッ Sdbf-l/De):2017/05/01(松本りせ) 04:01:59.74 605 ID:z1y2PE7ed.net
続き楽しみにしてるし

76 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイWW d7ad-Q4pL):2017/05/01(松本りせ) 08:13:23.22 991 ID:p/bDBWat0.net
人退パロだし

77 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:21:19.69 455 ID:4o2gBEfu0.net
投下再開します

78 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:21:38.82 877 ID:4o2gBEfu0.net
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79 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:23:26.13 740 ID:4o2gBEfu0.net
 
さっきの時代に戻ってきました。場所は学園都市内の公園と思われる場所。
空を泳ぐ飛行船の電光掲示板に表示されている日時を確認すると彼女らと別れて数時間後だとわかりました。
もう日が落ちて薄暗くなってきています。こうなると夜を過ごす方法も考えなくてはいけません。

80 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:24:02.44 447 ID:4o2gBEfu0.net
 
「とりあえず来てみたものの、何をすべきなのか全くわかりませんねぇ。御坂さん、これからどうするべきかわかりませんか?」
「う〜ん。なんかあっちのほうにいったらいい かも?」
やっぱり曖昧ですね…。しかし他にできることもないのであっちのほうに進んでみます。

81 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:25:27.89 630 ID:4o2gBEfu0.net
 
公園の内部は緑が多く、夕暮れの涼しい風が頬をかすめ、心が浄化されるような感覚を覚えます。絶好の散歩日和です。
いくらか歩いた時、向こうのほうから子供が走ってくるのが見えました。親の元へ早く帰りたいのでしょうか。のどかな光景です。

82 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:25:55.18 702 ID:4o2gBEfu0.net
 
後ろから銃をぶっ放す人がいなければの話ですが…

83 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:26:18.87 781 ID:4o2gBEfu0.net
 
即座にその場に伏せて何とかやり過ごそうとします。
あの子は後ろの人から逃げているようでしたが怖がっているようではなく、むしろ鬼ごっこを楽しんでいるようでした。大丈夫でしょうかあの子。

84 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:26:46.82 117 ID:4o2gBEfu0.net
 
「やっぱりあなたみたいなドジはこの私には追いつけないんだよ!ってミサカはミサカはケンカを吹っかけて…」
ズザアアァァッ
すごい速さで、すっころびましたね。ドジとは誰のことでしょうか。
「はぁやれやれ、とミサカはあきれた気持ちをあからさまに口にします。」
そう言いながら近づいてきたのは―御坂さんでした。一体どういうことでしょう。よく見るとずっこけた子も御坂さんを幼くしたように見えます。

85 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:27:12.68 924 ID:4o2gBEfu0.net
「上位個体が迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。とミサカは形だけの謝罪をします。」
幼い御坂さんを抱えながら彼女は言いました。
まぁ一番迷惑だったのは銃をぶっ放してたあなたなんですけどね…。あと心の声ダダ漏れですよ。

86 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:27:48.87 783 ID:4o2gBEfu0.net
「あの、あなたは御坂さんの双子の妹さんでよろしいですか?」
 
「正確には違います。私はお姉さまの遺伝子情報から作られた体細胞クローンである。と、御坂は返答します。」
「人間のクローンの製造は国際法で禁止されているはずですが?」
「学園都市上層部の判断により実験のため極秘で製造されました。なお、実験は今現在、完全に中止されています。と、ミサカは補足します。」
極秘の情報を見ず知らずのわたしにベラベラ喋っていいんですかね…。とわたしは素朴な疑問を浮かばせます。

87 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:28:13.46 541 ID:4o2gBEfu0.net
 
「実験とはどのような内容だったのですか?」
「御坂美琴のクローン、通称シスターズを2万人殺害することによりレベル6の能力者を開発するものです。と、ミサカは簡潔に伝えます。」
とんでもない内容です。どうやらこの学園都市の闇は深いようです。

88 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:28:51.01 746 ID:4o2gBEfu0.net
 
「中止された理由は?」
「お姉さまとお姉さまの友人である上条当麻が実験に介入し、実験が破たんしたためです。と、御坂は返答します。」

89 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:30:00.01 504 ID:4o2gBEfu0.net
 
きっと御坂さんは自分のクローンが実験に使われるのが辛くてたまらなかったのでしょう。
こんな危険な実験をするような相手に抵抗するとは、もしかしたら命の危険もあったはずです。それでも助けようとしたのは、彼女の優しさがそれを突き動かしたのでしょう。
それにしても、一緒に助けようとした友人の上条さんとやらも凄いです。

90 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:31:35.24 542 ID:4o2gBEfu0.net
 
「あと、わたし今私困っていまして、どこか行くあてって知ってますか?」
「それならこの道を直進し、312メートル進んだ後左折し、150メートル進んだ所にジャッジメントの支部があります。と、ミカサは正確に経路を伝えます。」
「ありがとうございます。」

91 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:31:52.61 626 ID:4o2gBEfu0.net
 
「それでは失礼します。とミサカは別れの挨拶をします。」
御坂妹さんは幼い御坂さんを抱えて行ってしまいました。
「さようならーって、ミサカはミサカはさよならを言ってみるー!」
「さようなら〜」
気が付くともうあたりは暗くなり、街灯の明かりは先ほどよりずっと濃くなっていました。
すぐジャッジメントの支部とやらに向かいます。

92 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:32:30.94 610 ID:4o2gBEfu0.net
 
「失礼します…」
ジャッジメント支部の扉を開くと、そこには花飾りの初春さんとツインテールの白井さんがいました。

93 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:32:54.09 244 ID:4o2gBEfu0.net
 
「あら昼の…っておおおおお姉さま!?どうしてこんなお姿に…」
白井さんは昼には妖精さんが見えていなかったはずですが。もしかしたら御坂さんだけに限定して見えるのかもしれません。不思議なものです。

94 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:33:29.09 172 ID:4o2gBEfu0.net
 
「えっ、白井さん御坂さん見つけたんですか?私には見えませんが…」
「いや!初春!この方の手のひらの上にのってましてよ!」
「う〜ん私にはさっぱりですねぇ。」
「どれどれ〜?」
「あっ、固法先輩。先輩も見えませんよねぇ」
「そうねぇ私にもさっぱりだわ。白井さん御坂さんに会いたすぎて幻覚でも見てるんじゃないかしら?なんてね。」

95 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:33:49.42 407 ID:4o2gBEfu0.net
 
「大丈夫ですよ。御坂さんは確かにここにいます。ただ、こんな姿になってしまっているだけです。」
「そんな…し、しかしこれはお姉さまのあんなものやこんなものをあんなことするチャンスですわ!グヘヘ」
もしかして、白井さんって巻き毛と同類なんでしょうか?

96 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:34:37.68 716 ID:4o2gBEfu0.net
 
「でもとにかく、詳しくお話を伺う必要がありそうですね。」
入ってすぐの所にある椅子に案内されます。すると初春さんがコーヒーを淹れてきてくれました。
あと、どうやらジャッジメントとは学生による風紀委員で、学園都市内の治安維持に努めているらしいです。

97 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:35:06.70 471 ID:4o2gBEfu0.net
 
「それで、まずはあなたについてお話を伺ってもよろしいですか?」
「はい。」
やましいことは何もしていないのになにやら尋問されているような感じがします。

98 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:35:30.21 438 ID:4o2gBEfu0.net
 
「あなたについてバンクで検索をかけたのですがヒットしないようなので、学園都市の学生や住人ではないそうですね。具体的にどこから来たのか教えていただけないですか?」
まさか未来からやってきましたとは言えません。

99 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:36:33.13 516 ID:4o2gBEfu0.net
 
「すみません実は記憶を無くしていて…、今日の昼ごろからの記憶しかないんです。」
「そうなんですか!?私たちとお茶したときは何ともなさそうでしたけど…」
「すみません記憶をなくした恐怖のあまりなかなか切り出せなくて…」

100 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:37:08.76 319 ID:4o2gBEfu0.net
 
「やはり保護の必要が出てきますわね。これだと外にいても行くあても無いでしょうし、今晩はここに泊まっていただくのが思いますわ。あと、万が一の事態に備えて今晩私はこの方と泊まることにしますわ。初春は必要手続をとってくださいまし。」
「了解です。」
昼間お茶したときとは別人みたいにしっかりしています。これが学園都市による教育の賜物なのでしょう。

101 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:37:43.57 071 ID:4o2gBEfu0.net
 
「手続き取れました。それでは私は失礼しますね。」
「それじゃ私も失礼するわ。白井さん、あとはよろしく頼むわね。」
「二人ともさようなら。また明日ですの。」

102 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:38:01.28 429 ID:4o2gBEfu0.net
 
二人を見送った後、倉庫から非常用の食糧を出してくれました。麺をお湯で戻すタイプのもので、わたしの時代ではめったに食べられないものでした。
出来上がったヌードルをすすります。

103 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:39:06.84 530 ID:4o2gBEfu0.net
 
「お姉さまもいかが?」
「おかしいがいはたべぬゆえ」
「どうしてですの?」
「どうもこうも、こういうものだから?」
「何かしゃべり方もおかしくなってますわね。」
「妖精さん化していますから。元の御坂さんとは別物と考えたほうがよさそうですよ。もしかしたらあなたのことも忘れてるかも…。」

104 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:39:40.89 752 ID:4o2gBEfu0.net
 
「そんな…。そんなことはありませんわ!実は私をちょっと驚かすために演技してるだけですわ!そうですわよね?」
「う〜ん」
「あなたは愛しの御坂美琴お姉さまで、私はお姉さまの露払い。そうですわよね?」
「う〜ん。あなたのことよくおもいだせないです?」
「えっ…」
彼女の中で、何かが崩れるような音が聞こえました。

105 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:41:04.01 289 ID:4o2gBEfu0.net
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106 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:42:22.02 517 ID:4o2gBEfu0.net
白井さんと私は寝袋にくるまっていました。何かとサバイバルな経験をしている私にとって、寝袋も結構慣れたものです。
妖精さんはというと、わたしたちの頭上あたりに小さな妖精さんサイズの布団に川の字のように入っていました。

107 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:43:32.49 399 ID:4o2gBEfu0.net
 
「お姉さま…。どうしてこんなことに…。」
お茶してる時や夕食を食べているときに聞いた話から考えると、変態な部分はありつつも白井さんは御坂さんのことを相当慕っているのでしょう。ほかの妖精さんは見えないのに御坂さんだけ見えるのはこのためかもしれません。
当然、妖精さん化してる御坂さんは友人のことを覚えてるはずもなく、それを知った時のショックは相当大きいものだったに違いありません。考えるだけで胸が痛くなります。

108 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:47:20.34 453 ID:4o2gBEfu0.net
 
「私は、一体お姉さまの何だったのでしょうか…」
かなり追い詰められているようです。しかしこういう時、他人が彼女にできることなどありません。そっとしてあげるのが一番なのです。
さて、明日はどうしましょう。肝心の御坂さんをもとに戻す方法はまだ手がかりすらつかめていません。白井さんのためにも御坂さんを元にもどしてあげなければ。
いろいろなことを思いふけっているうちに、わたしはいつの間にか寝ていました。

109 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:47:41.95 029 ID:4o2gBEfu0.net
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110 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:50:09.19 859 ID:4o2gBEfu0.net
 
どうやら朝になったみたい。
私は昨日から不思議な夢を見ているようだった。気が付いたら異世界にいたと思ったら私の体は縮んでいて、10cmほどになっていた。
そして、昨日カフェでお茶をした不思議な女性が連れてきていた不思議な生き物、“妖精さん”が目の前にいた。体長10pの世界からみた妖精さんは昼に見た時よりもずっと知的に見えた。

111 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:50:35.09 826 ID:4o2gBEfu0.net
 
「妖精さーん。みんな起きましたか〜。」
あの不思議な女性が呼びかけてきた。
「はーい」「あたますっきり」「しゃちくにはめずらしくしっかりねれたです?」
周りの妖精さんたちが彼女の呼び掛けに答えていく。
「きもちよかったです」
どうやっても口に出す言葉は幼稚になってしまう。これも昨日と同じ。考えてることや少し前の記憶を口に出そうとすると意識とは全く関係ない言葉が出てしまう。

112 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:51:20.99 412 ID:4o2gBEfu0.net
「はあ、もう朝ですの?」
 
そうだ、昨日の夜に黒子に話しかけられたけどうまく喋れなくて誤解させちゃったんだっけ。ごめんね黒子。今度こそは忘れてないってちゃんと伝えるんだから。
「あ、やっぱり悪い夢ではなかったんですのね。寝て起きてれば覚めると思ったのですが。」
「わるいゆめとは?」
「何でもないですの…何でも…」

113 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:51:46.07 089 ID:4o2gBEfu0.net
 
ああ、また黒子を悲しませてしまった…。私の方だって、悪い夢を見ているほうがずっとよかったのに。


(私、一生このままなのかな…)

114 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:52:25.49 119 ID:4o2gBEfu0.net
 
 
(そんな悲観的になっちゃだめよ。)
すぐそばの妖精さんが返事をしてくれた。どうやら妖精さん同士なら声を発しなくても会話できるようだ。でも気分によって声を出して会話することもあるらしい。
(そうだよ!まだもとに戻れないって決まったわけじゃないし!)
(ポジティブにいきましょうよ。そうすれば道は切り開けるかもしれないわ!)
でも元凶はあなたたちじゃなかったっけ…。まあ、いいや。もう過去のことをグダグダ考えるのはやめよう。そうポジティブ!ポジティブにいくのよ!

115 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:52:59.95 397 ID:4o2gBEfu0.net
 
「そういえば、御坂さんが妖精化してしまったのって思い込みが原因なんですよね?」
またあの女性が話しかけてきた。
「さよう」「そうですな」
「う〜ん。思い込みを解く方法か…」

116 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:53:53.67 892 ID:4o2gBEfu0.net
 
思い込み。そう、私は妖精さんのまぼろしのようなものでこうなってしまった訳だけれども、何かの言葉が喉の奥に引っかかっているような…
まぼろし…?幻想?

117 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:54:22.98 154 ID:4o2gBEfu0.net
 
そうだ幻想殺しだ!あいつの右手になら何とかできるかも。一刻も早く伝えないと。
「にんげんさん、にんげんさん?」
「なんですか?」
「いまじん、ぶれーくして」
「何やら意味ありげな言葉ですね。覚えておきますよ。」
やった!伝えられた情報は必要最低限だったけど、これなら何とかあいつにたどり着けるかも。

118 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:54:54.42 349 ID:4o2gBEfu0.net
 
(やったね!)
(事件解決に一歩前進したね!)
(すごいすごい!)


ほんのちょっと、立ち直れてきた気がした。

119 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:55:51.50 428 ID:4o2gBEfu0.net
 
いまじんをぶれーくする。なにやら意味ありげですが、さっぱりわかりません。いまじん、幻想か何かの類をブレークすればいいということなのででしょうが、それができたら苦労しません。
「白井さん。イマジンをブレークって聞いて、何か思い当たるようなことありますか?」
「すみませんが、私にはさっぱりですの。」

120 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:56:07.99 176 ID:4o2gBEfu0.net
 
やはりそうですか。この単語を聞いてすぐ事件解決の手がかりを掴めるのは、見た目は子供のあいつくらいしかいないでしょう。
重要な手がかりには違いないですが、この手がかりを解くための手がかりが必要みたいですね。あぁ、なんかもう早速こんがらがってきました。

121 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:56:43.41 801 ID:4o2gBEfu0.net
 
「とりあえず聞き込み調査から始めますかねぇ…。」
すると突然、風を切る音とともに両手首に冷たい感触が伝わってきます。彼女の能力“テレポート”によって私の華奢な手首に手錠がかけられたのです。

122 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:57:33.23 145 ID:4o2gBEfu0.net
 
「白井さん!こっ、これどういうことですか!?」
「ただいまアンチスキル緊急の連絡が来ましたの。昨夜からお姉さまが行方不明だという件であなたが重要参考人に指定され、見つけ次第拘束しろとのことですの。」
「私なんて拘束しても意味ないと思います。」
「そりゃ、お姉さまが行方不明になった日と同日に正体不明の人物が発見され、しかも行方不明になる直前にあなたはお姉さまと接触していたのですから、意味は大有りですわ。」
「そっ、そんな…」

123 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:59:30.08 832 ID:4o2gBEfu0.net
 
「アンチスキルはこの事態を結構重く見てるそうですの。学園都市の検問はネズミ一匹入れないほど厳重ですから、もし学園都市外部からの侵入者なら相当危険な人物だという見立てですわ。」
「はぁ」
「まぁあなたのことを見てる限り危険な人物とは思えませんけど、念のためですの。拘置所に護送しろという指示が出次第移動しますので、それまでちょっと辛抱してくださいまし。」
こうしてわたしは見知らぬ街、見知らぬ時代で、犯罪者の一歩手前まできてしまったのです。冤罪ですけど。

124 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 21:59:52.11 803 ID:4o2gBEfu0.net
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125 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:00:24.04 971 ID:4o2gBEfu0.net
アンチスキルの拘置所までは彼女がテレポートを使って護送したのですぐでした。ただテレポート酔いしました。気持ち悪いです。なんともない彼女が不思議に思えてきます。
拘置所の中には武装し、デカい銃を抱えた人が何人もいました。白井さんの話の通り、相手はこの事態をかなり重く見ているようで、それは私にとっても同じでした。

126 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:00:45.37 471 ID:4o2gBEfu0.net
 
「ジャッジメント177支部の白井黒子ですの。ただいま昨日の事件の重要参考人を護送しました。」
「おう、ご苦労さんじゃん。そこんとこの部屋に入れといてくれ。そしたら支部に戻って次の連絡を待つように。」
「了解ですの。」
すると目の前の牢屋にテレポートされました。

127 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:01:08.54 770 ID:4o2gBEfu0.net
 
牢屋には監視カメラとブラインドのないトイレしかなく、部屋の隅にはいかにも厳重そうなドアが設置されていました。とても狭っ苦しくて精神的に追い込まれそうです。

128 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:01:27.91 266 ID:4o2gBEfu0.net
 
「トイレくらい隠してもらってもいいじゃないですか…デリカシーないなぁ」
「あ、言っとくけどアンタの会話と様子はすべてモニター&録音済みじゃん。あんまり恥ずかしいこと言ったりぼやいたりするもんじゃないじゃん。」
どこに設置されているのかよく分からないスピーカーから音声が流れてきました。
うう、憂鬱になってきます。

129 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:01:57.72 975 ID:4o2gBEfu0.net
 
「んじゃ、早速尋問を始めるじゃん。あんたの出身地は?」
「記憶を無くしているのでわかりません。」
「なるほど。白井の話通りだな。」
「それなので私から話せることはなにもありませんよー」
「そうかそうか。まぁ学園都市の技術をもってすれば人の記憶なんて覗き放題だから、後でいい機械を手配してやろうじゃん。」
げ、ハッタリかもしれませんが本当だったら困ります。

130 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:02:32.05 394 ID:4o2gBEfu0.net
 
「んじゃ、続きは午後からじゃん。それまでせいぜい化けの皮を剥がされないための作戦でも立てているといいじゃん。」
ブツッという音とともに、この部屋に静寂が訪れます。私の息遣いと心臓の音が体の中で響きます。

131 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:03:13.37 069 ID:4o2gBEfu0.net
 
さて、作戦を立てないとマズいようですね。しかし、化けの皮を剥がされないためでなく、この部屋から脱出するための方です。
幸い私には妖精さんという最終兵器があります。ここに護送される前にケースに移動させていたのです。彼らはほかの人には見えないので今回に関してはとてもべんり。
「妖精さん、ここから脱出するための便利グッズありませんか?」

132 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:05:15.48 775 ID:4o2gBEfu0.net
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133 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:05:56.34 111 ID:4o2gBEfu0.net
 
(ここから脱出するための道具かぁ…)
(壁に輪っかをつけるとそこを通り抜けられる、っていうのはどうかしら?)
(いっそのことテレポートしちゃう?)
(それだと11次元に変換しないといけないからな面倒くさいなー)
あの不思議な人からの頼みを受け、妖精さんたちはこの部屋から脱出する方法を考えていた。妖精さん同士のディスカッションはどんどんスピードアップし、どんどん難解なものになっていく。
もう何のこと話してるのかわけわからないわね…

134 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:06:33.06 056 ID:4o2gBEfu0.net
 
(そういえば)
妖精さんの一人が話しかけてきた。唐突だったのでちょっとびっくり。
(ん?どうしたの?)
(電気生み出せたよね?)
(うん。できるけど。)
(今ちょっと行き詰っててさ、2億ボルトほど供給できれば脱出するための道具使えるんだけど…)

135 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:07:15.97 607 ID:4o2gBEfu0.net
 
(金属の球をレールにセットして、電流を流してローレンツ力を使って射出する道具を作ったんだ。壁もろとも吹っ飛ばそうってわけ。派手な方が楽しいしね!)
(あの、それなら私できるけど…)
(え?そうなの?)(せっかくならお願いしちゃおう)(みたいみたい!)
(せっかく考えてもらったのに水差しちゃってごめんね。)
(いいのいいの!)
妖精さんはとてもやさしい。

136 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:07:45.10 591 ID:4o2gBEfu0.net
 
結果的に妖精さんが作り出した道具はこの虫眼鏡のような代物。どうやら物の透視ができるらしく、これでレールガンを撃つ時、壁の向こうに人がいないかを確認できるらしい。

137 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:08:14.66 365 ID:4o2gBEfu0.net
「にんげんさんこれをおさしあげ」
 
「一体なんですか?これ。」
「これでかべのむこうみれるです」
「なるほど。どれどれ見てみましょう。どうやら壁の向こうやその周りには誰もいないようですね。」
「そっかーそりゃよかったー」

138 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:08:35.87 087 ID:4o2gBEfu0.net
 
「でも見るだけだとここから脱出できませんよ?」
「これはあんぜんかくにんー」
「何やら危険なにおいがしますけど大丈夫ですか?」
「たぶんだいじょーぶー」
「あとこれもおさしあげー」
「帽子ですか?とりあえずかぶっておきましょう。」

139 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:10:37.65 968 ID:4o2gBEfu0.net
(よし、はじめて!)
(オッケー!)
久々に腕が鳴るわ。飛び切りの一撃を打ってやる。
渡された妖精さんお手製のコインを蹴り上げる。宙を舞うコインはいつもよりゆったりと動いていたように感じた。

140 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:11:07.01 200 ID:4o2gBEfu0.net
 
今だっ!
コインを思いっきり殴り、最大出力の電撃をコインに浴びせると、コインは瞬く間に射出された。今日は調子が良いようで、今までで一番の威力だったかも。
あの女性はぽかんとした顔でそこに突っ立っていた。面白い顔。

141 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:11:23.57 916 ID:4o2gBEfu0.net
 
「確かに脱出できますけど…。かえって事態悪化してません?」
「ちょっとがんばりすぎちゃった?」
「ちょっとどころじゃないですよこれ…」

142 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:12:45.22 450 ID:4o2gBEfu0.net
 
一刻も早く逃げる必要がありました。
美坂さんの力のおかげで部屋のドアどころか壁が丸ごと吹っ飛び、部屋にはぽっかり大きな穴ができてしまいました。
普通の人はおろか、開発を受けた能力者でもなかなかこんなことできる人はいないようで、わたしは見事にヤバイ奴認定を受け、あの銃を抱えた怖い人たちに追い掛け回されているのです。

143 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:13:07.44 218 ID:4o2gBEfu0.net
 
「銃は発砲許可が出るまで発砲するんじゃないぞ!」
「相手はレベル4はくだらない能力者だ!注意しろ!」
こんなか弱い女子を相手に追い掛け回すなんてなんてはしたないんでしょう(すっとぼけ)

144 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:13:30.38 894 ID:4o2gBEfu0.net
 
「妖精さん!何とかしてくださいよ!」
「なんとかなってますが?」
「はいいい!?全然何とかなってないでしょ!」
「なってますぞー」

145 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:14:00.56 126 ID:4o2gBEfu0.net
 
妖精さんはのんきなものです。流石、喜怒哀楽から怒と哀を抜いた性格だけあります。
後ろからだんだん足音や怒声が迫ってきます。しかし、あてずっぽに走るしかありません。ひたすら走り、十字路を直感を頼りに曲がります。
もう何も考えていず、ただ必死でした。そこ先に待っている未来が残念なものだというのには気づいていましたが、恐怖という感情に支配されていた私にとって、ただ走り、逃げることしかできませんでした。

146 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:14:31.11 836 ID:4o2gBEfu0.net
 
丁字路を右に曲がると、向こうから敵が迫ってくるの光景が目に飛び込んできました。ついに残念な未来にたどり着いてしまったようです。万事休す。
私はあきらめ、その場に座り込みます。もう私のことは煮るなり焼くなり好きにすればいいのです。

147 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:14:58.38 868 ID:4o2gBEfu0.net
何をぼーっとしてるんです?さっさと目の前にいる私を捕まえればいいのに。
「おい、対象を見なかったか?」
「あれ、たしか追いかけていたはずなのだが…」
「おい、対象を追いかけていたのはこっちの隊だぞ。お前らまさか見間違えたのか?」
「それはこっちのセリフだぞ。お前はいっつも変なミスするからな。どうせお前が見間違えたんだろ!」

148 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:16:03.88 525 ID:4o2gBEfu0.net
 
「何だと!お前だってこの間くだらないミスして隊長に怒られていたじゃないか。お前の、その人のことばかり棚に上げて話すような奴には腹が立つね。」
「なにを!」
「やんのかコラァ!」

149 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:16:25.88 152 ID:4o2gBEfu0.net
 
『お前ら喧嘩してる場合じゃないじゃん。いっつも無線でお前らのしょーもない喧嘩聞かされてるこっちの身にもなってみろじゃん。』
「はっ。隊長殿、これは申し訳ありませんでした。」
「今後は反省し、肝に銘じます。」
『まったくお前らはいっつもそうじゃん…。まあそんなことはいいからさっさと別の場所を捜索してくれじゃん。』
「「了解しました。」」

150 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:17:00.57 977 ID:4o2gBEfu0.net
 
仲悪い割にはやけに息がぴったりでしたねぇ…。
と、そんなことはともかく行ってしまいました。どういうことでしょうか。あ、そういえばわたし帽子をかぶってたのでした。

151 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:17:25.39 986 ID:4o2gBEfu0.net
 
「妖精さん、もしかしてこれのことですか?」
「そーそー」
「存在があやふやにみえるです?」
「なるほどそういうことだったんですか。それじゃ早くここから脱出しましょう。」

152 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:18:04.86 145 ID:4o2gBEfu0.net
 
拘置所を出ました。そこには今までと同じ平和な日常が広がっていました。今さっきまで銃を持った人たちに追いかけられていたとは思えません。
もうかなりの達成感があります。しかし、実際のところはふりだしに戻っただけで、具体的にどうすればいいのかは全く見当がついていません。

153 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:18:51.59 507 ID:4o2gBEfu0.net
 
わかっているヒントはイマジンをブレークすることのみ。しかも拘置所から脱走したとなればわたしは指名手配でもされてるでしょう。そうなるとできることは限られてきます。
とりあえず町をうろついてみることにします。っていうかこれくらいしかできることもないのですが。

154 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:19:53.99 239 ID:4o2gBEfu0.net
 
町は活気にあふれていました。町は騒がしく、様々な人が歩いていました。
黒服の人が誰かと電話をしながら歩いています。
学生さんと思しき人が友人たちとおしゃべりしています。
音楽を聴きながら、自分の世界に浸っている人もいます。
とにかくいろんな人がいました。
そして、その人の数の人生があり、その人たちによって命は受け継がれ、わたしたちの世代へと引き継がれていくのでしょう。

155 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:20:28.00 782 ID:4o2gBEfu0.net
 
おもむろに公園に入ってみます。
わたしの時代ではあまり見かけない子供たちが広場でたくさん遊んでいました。とても和やかな空気の場所です。しかし、そんな空気の中で浮いている人がいました。

156 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:20:49.70 860 ID:4o2gBEfu0.net
 
全身を白い服で包んだシスターのような人が倒れています。大丈夫でしょうか?
おそらく指名手配される身ですから人に話しかけるのもリスクが伴います。しかし、思い切って声をかけることにしました。
「大丈夫ですか?」
「とうまのまずい。」
「へ?」
「とうまの作ったお菓子がまずいんだよ!」

157 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:21:15.58 306 ID:4o2gBEfu0.net
 
どうやらこのシスターさんは同居人の人の作ったお菓子がまずいことに腹を立て、その勢いのあまり家を飛び出してしまった。で、おなかが減りすぎて行き倒れてしまったと。

158 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:21:51.14 888 ID:4o2gBEfu0.net
 
「ほんとうにまずかったんだよ!」
「そこまで非難しなくてもいいんじゃないですか?」
「確かに普段ごはん作ってくれたりしてるし、感謝してるけど、それにしてもひどすぎたんだよ!」
結構食に対して厳しいようですこの子。

159 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:22:35.22 724 ID:4o2gBEfu0.net
 
「具台的にはどのようにひどかったんです?」
「クッキー作ってくれたんだけど、なんかぼそぼそしてるし、生っぽかったし、全然香ばしくなかったんだよ。」
「それだと、焼いた時の過程に問題がありそうですね…温度の加減がうまくいかなかったんでしょう。」
「そうなの!?もしかしてお菓子づくり詳しい人!?」
「いや、そういう訳では…」
「ねぇ、一緒に来てお菓子作り手伝ってくれないかな?」
「すみませんわたし実は時間がなくて…」
「………だめかな?」
やめて、そんな小動物みたいなまなざしで見ないで。断れないじゃないですか。

160 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:23:56.29 134 ID:4o2gBEfu0.net
 
で、シスターさんととうまさんの家に到着。学園都市の学生は親元を離れ、学生寮などに住んでいるそうです。
「遠慮しないで入っていいんだよ。」
「おじゃまします。」
「おおインデックス帰ってきたか!」
そこにいたのは昨日のツンツン頭の少年でした。そういえばシスターさんは「とうま」と呼んでいましたが、もしかしてこの人が御坂さんを助けた上条当麻さんなのでしょうか。命がけで御坂さんを救ったと思われますが、ぱっと見そういう風には見えません。

161 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:25:05.59 626 ID:4o2gBEfu0.net
 
「ああ昨日はどうも。って、インデックス何で連れてきたんだ?」
「あまりにもとうまの作るお菓子がひどいから、お菓子作りの天才を呼んできたんだよ!」
勝手にハードルを上げないでほしいですね。

162 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:26:12.32 983 ID:4o2gBEfu0.net
「作ったクッキーありますか?」
「ああ今出します。」
彼の作ったクッキーを試食してみます。確かに生焼けな感じがしました。
「焼いた時の温度に問題がありそうですね。一緒に作ってみますか?」
こうしてお菓子作り教室が始まりました。

163 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:26:46.67 802 ID:4o2gBEfu0.net
 
「まずバターは常温に戻してボウルの中に入れ、クリーム状になるまで混ぜてください。その後、砂糖と卵黄を入れ、よくなじませてください。」
「おうよ!」
彼は手際よく作業していきます。普段自炊しているだけのことはあるようです。
「次はどうすればいいんだ?」
「薄力粉200gを入れてください。キッチリ測って入れてくださいね。そしたらのってりするまでこねてください。」
「あとは型を取ってオーブンで焼くだけですね。オーブンの温度は170℃。13分から17分ほど焼いてください。」

164 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:27:59.20 355 ID:4o2gBEfu0.net
 
彼はサクサク作業しています。御坂さんやほかの妖精さんたちもそれを手伝ってるようです。
「これでどうです?」
当麻さんに話しかける御坂さん。しかし、当麻さんに妖精さんは見えないようで、反応はありません。
「とうま…」
悲しそうです。

165 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:28:15.94 598 ID:4o2gBEfu0.net
 
「これで良しっと。ありがとな!」
「いえいえ、これくらいどうってことないですよ。」

166 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:28:58.10 202 ID:4o2gBEfu0.net
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167 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:29:23.59 650 ID:4o2gBEfu0.net
 
クッキーが焼きあがるまでの間、御坂さんをもとに戻すための情報収集をしてみます。
肝心のクッキーを食べたくてしょうがなかったシスターさんは、飽きてしまったのか気持ちよさそうに寝ています。

168 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:29:51.06 588 ID:4o2gBEfu0.net
 
「あの、イマジンをブレークするって聞いて、何か知ってることありますか?」
「それなら、俺の右手にはイマジンブレーカーって力が宿ってて、もしかしてそれのことじゃねえかな。」
答えに近い回答が返ってきました。
「そ、それってどういうものなんですか!?」
「世の中の異能の力、たとえば超能力だとか魔法みたいな力を打ち消せるんだ。って言っても信じてもらえないか。」
いいえ信じます超信じます。まさかこんなあっさり回答に行き着くとは。

169 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:30:10.39 969 ID:4o2gBEfu0.net
 
「すみません、ちょっとその右手を出してもらえますか?」
「ああ別にいいけど…」
彼の右手の上に、美坂さんを載せます。すると、キィンという音を立て…

170 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:31:05.28 911 ID:4o2gBEfu0.net
 
 
「わっ!ビリビリどこから出てきたんだ!ってか重っ!」
美坂さんは元通りになっていました。そして、彼の腕にお姫様抱っこのような状態で収まっています。
「ひゃっ!いや…その、…それはまぁ い、いろいろあって…って、女子に向かって重いは失礼でしょうが!」
彼女の電撃も健在です。

171 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:31:31.37 821 ID:4o2gBEfu0.net
 
「わかった、わかったから!電撃はやめてくれ!あとすぐ降りてくれないと上条さんの腕がもげます!」
「い、いや、でも足がすくんじゃってるからもうちょっとだけ…」

172 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:32:47.99 204 ID:4o2gBEfu0.net
 
「よかった…」
思わず独り言がこぼれます。ここまでこぎつけるのに結構大変でしたよ。
二人だけの時間に水を差すのも悪いので、ここはさっさとおいとましましょう。
「それでは失礼します!」

173 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:33:59.92 574 ID:4o2gBEfu0.net
 
「あ、あの!ちょっと待って、あなたに言いたいことが…」
「痛っ!おい、ビリビリ足を踏むな!っておい、ちょっとどこ行くんだ?」
私には、あなたに…妖精さんたちに言いたいことが…

………………
………


174 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:34:21.88 584 ID:4o2gBEfu0.net
 
「いない…」
急に部屋から出て行った彼女らは、どこかに消えていた。しかし、ドアから出ていく瞬間、彼女と、妖精さんはどことなく微笑んでたような…

175 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:35:16.59 689 ID:4o2gBEfu0.net
 
「おいビリビリどうしたんだ?急に飛び出して。」
「ううん。なんでもないわ。」
「お、そうだクッキー焼けてるぞ。食べてくか?」
「う、うん…。た、食べてk」
「っておいインデックス!いつの間に起きてたんだ!っていうかその勢いで食べるな!上条さんの分なくなるだろ!」
「…はぁほんと、あんたってあんたらしいわね…」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないわ!それよりクッキー食べましょ。」

176 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:35:38.70 710 ID:4o2gBEfu0.net
 
 
「…そうだな。」
 

177 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:36:15.83 190 ID:4o2gBEfu0.net
 
結局あの不思議な女性と妖精さんたちは一体なんだったのだろう。
でも、そのことを考えることより、私にはするべきことがあるのだと、あの人たちに気づかされたような気がした。
私は今までより、もっと素直になれるような気がした。

178 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:36:32.58 309 ID:4o2gBEfu0.net
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179 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:37:32.16 265 ID:4o2gBEfu0.net
 
やっと事件解決して現代に戻って来れました。しかし、戻ってきた場所はわたしの住む里ではなく、古代遺跡と化した学園都市でした。
「おい。お前なんでここにいるんだ。」
調査中のおじいさんに発見されました。助手さんも一緒です。

180 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:38:01.94 408 ID:4o2gBEfu0.net
 
「まぁ妖精さんがらみでいろいろあったのですよ…」
「そうか。せっかくだから調査に協力しなさい。この道をずっと行った先にあるテントにリュックサックと各種装備などが入っているから準備してくるように。あと、お前に下手に動き回ってもらうとまた面倒なことになるから助手さん主導で調査をするようにな。」
「はい。」

181 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:38:27.48 012 ID:4o2gBEfu0.net
 
ここでグダグダいってもどうにもならないことは知っていました。すぐにテントに行って装備を整えます。調査先の場所は、学園都市の外を取り囲むようにして作られた住宅街です。学園都市内部ほどではないですが、こちらの方の保存状況もかなり良いようです。
「では行きましょうか。」

182 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:39:02.41 083 ID:4o2gBEfu0.net
 
助手さんもこっくり頷きます。

183 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:39:21.12 787 ID:4o2gBEfu0.net
 
適当な家を散策します。しかし、ある程度調査は済んでいるようで特に資料等は発見できませんでした。成果がない仕事ほど精神力を削るものはなく、だんだん辛くなってきます。
またどっか適当な家をあさります。

184 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:41:41.23 189 ID:4o2gBEfu0.net
 
とくにめぼしいものはないとは思いながらも、家の中を探索します。
すると、床に落ちている何かを発見します。拾ってみると写真のようです。かぶっているほこりが長い年月が経過していることを物語っています。

185 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:43:04.14 282 ID:4o2gBEfu0.net
 
どうやら家族写真のようでした。父親と、母親と、その子供が幸せそうに写っていました。二人の子供は両親にそっくりです。

186 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:43:48.58 998 ID:4o2gBEfu0.net
 
気が遠くなるほどの長い時間をかけ、命を繋ぐ終わりのないバトンリレー。また、そのバトンを渡すまでにもその人の人生があり、ドラマがあります。わたしがあの時代で見てきたそれも、きっと、この写真に写るドラマの1ページだったのでしょう。と私はしみじみ思うのでした。


おわり。

187 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 5787-zgOH):2017/05/01(松本りせ) 22:44:42.62 484 ID:4o2gBEfu0.net
とりあえず完成させたし
出来栄えがひどいことは気にするなし

188 :名前はない……と松本は言っている (ブーイモ MMbf-tY+e):2017/05/02(松本りせ) 04:40:22.25 557 ID:Og+Wxqn7M.net
乙ですだし

189 :名前はない……と松本は言っている (ブーイモ MMbf-Gif8):2017/05/02(松本りせ) 18:52:33.23 222 ID:rp8KCK0LM.net
(感想ほしい)                                            

190 :名前はない……と松本は言っている (オッペケ Srcb-SR5Y):2017/05/02(松本りせ) 20:05:02.35 490 ID:00cV/5lWr.net
ストーリー事態はいいんだが
改稿とかがなくて読みづらい部分もある

191 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイWW 5787-Gif8):2017/05/02(松本りせ) 23:46:13.22 904 ID:UfFNLPfu0.net
>>190
初めて小説書くから言葉の選び方とか言い回しはだいぶひどいと思う
これからもっと本読んで研究してみるよ
また書くかわからんけど

192 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイWW 7772-tY+e):2017/05/03(松本りせ) 04:04:51.24 327 ID:dLHgot4n0.net
結構面白かったし、でも場面切り替わりの部分で混乱するところがちょっとあったし

193 :松本りせ:2017/05/03(水) 05:45:51.67 .net


194 :松本りせ:2017/05/03(水) 08:46:16.73 .net
>>192
わかったし

195 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 9f7c-Ahd3):2017/05/03(松本りせ) 11:27:10.56 772 ID:DaKL2fnp0.net


196 :名前はない……と松本は言っている (オッペケ Srcb-Q4pL):2017/05/03(松本りせ) 18:23:36.69 342 ID:+qYePwtTr.net


197 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイW 222b-47TF):2017/05/04(松本りせ) 00:29:48.76 771 ID:K6uVaWIu0.net


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198 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイWW 1e0a-toA9):2017/05/06(土) 18:08:19.59 940 ID:K6dOth6H0.net
久しぶりに人衰SS読んだし
乙だし

199 :名前はない……と松本は言っている (ブーイモ MM5b-DRSh):2017/05/07(日) 17:42:42.62 747 ID:7nBKnmLEM.net
>>198
ありがとう

200 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:38:05.46 936 ID:10k3W5xw0.net
おまけ書いたし
投下していく

201 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:38:41.84 477 ID:10k3W5xw0.net
おまけ―おじいさんの手記

202 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:39:21.36 091 ID:10k3W5xw0.net
○月×日
この度東国の島国に残っている古代遺跡の調査に赴くことになった。この遺跡調査の目標は過去に存在していたといわれている超科学の実態の解明である。
この遺跡は特に貴重とされ、世界遺産として登録されていたこともあり、永い間詳しい調査等は行われていなかったが、今回初めて学者、研究員によるメスが入ることになった。
世界中から学者、研究員が集まるらしく、私も学者の端くれとして誇らしい限りである。
調査に必要な本を探さなければいけなかったのだが、他の準備に忙しく、そこまで手が回りそうになかった。だからそれは孫と助手さんに任せておこう。

203 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:39:56.11 751 ID:10k3W5xw0.net
○月△日
ついに明日出発になった。準備期間はとても短かったが、その割には十分すぎるほど、準備を整えることができた。
本を探してくれた二人には感謝している。遺跡までの旅路でゆっくり読み返しておこう。また、助手さんも調査についてくることになった。
そういえば、孫がまた妖精さんがらみのトラブルに巻き込まれていなくなってしまったらしい。だが妖精さんの事だからそれが原因であいつが死ぬことはないだろう。
むしろ妖精さんの力を楽しんでほしいものだ。

204 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:40:54.66 499 ID:10k3W5xw0.net
○月▽日
東国までは国連のキャラバンと同行して向かうことになっていた。長い旅路である。
まだ遺跡までの道のりは中盤であるが、様々な文化、歴史に触れることができた。今日も里には生息していない生物などを発見し、少し観察することができた。とても楽しく、充実した毎日である。
もうこの年であるが、わが探究心は尽きることがないらしい。

205 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:42:02.80 236 ID:10k3W5xw0.net
△月○日
ついに古代遺跡に到着した。おそらくこの地球上でもっとも保存状態の良い遺跡であり、地球最大規模の遺跡である。
どうやらこの国の民は特に古いものを大切にしたがる性分があるらしく、各地にもこうした遺跡が残っているらしい。学者としてありがたい限りである。
実際に目の当りにしてみると、聞いていたよりもずっと迫力があり、壮観である。
すぐさま調査のための準備を整え、打ち合わせを行い、明日に備える。

206 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:42:57.79 116 ID:10k3W5xw0.net
△月×日

調査が始まった。この遺跡には科学的に高度な文明が発達していると考えられている中心部と、標準的な古代遺跡と同水準程度の文明の遺跡が、中心部を取り囲んでいる構造になっている。
世界遺産として登録されているのは中心部で、周りの遺跡は登録されていないらしい。そのため周りの調査は現地の学者によって、ある程度済んでいるようだ。
私たちは中心部を重点的に調査することになった。詳しい調査内容等は別途、報告書において記す。

207 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:43:45.79 546 ID:10k3W5xw0.net
△月□日
 
情報解析系の調査が本格化してきた。助手さんには情報解析系の知識を仕込んでいたため、活躍していたようだ。
とても貴重な資料が大量に発掘された。これは今後の学問や研究などに大きな影響を及ぼすとともに、大きな進歩となるだろう。
また、遺跡内で気になるノートを発見したので別途回収した。どうやら当時遺跡で暮らしていた人物の日記らしい。今回の調査の目的とは少し異なるが、当時の生活背景と科学がどのようにして関わっていたのかも大切なファクターとなるため、解読していきたい。
一部解読不能の文字があったが、解読した一部の文章を記しておく。

208 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:45:11.89 754 ID:10k3W5xw0.net
8月12日

今日は佐天さんと白■さん、■坂さんと洋服を買いに行った。昼前くらいにセブンスミストの前で待ち合わせしていたら、■坂さんがある人を連れてきた。身■が高く、スラリとしていて、えらく牧歌的な服装をしていた。■◆さんと言うらしい。
本人曰く田舎から出てきたらしいく、せっかくなのでみ■なで彼女の服を選んであげることにした。■坂さんのセンスはあいかわらずだった。とても楽しかった。
その後、みんなでお茶をした。■坂さんの気になる人の話や、■◆さんの友人の話などでいつも以上に盛り上がった。そういえば、■◆さんが「よう■さん」なる生き物を連れてきていたらしいが、私には見えなかった。■坂さんと佐天さんには見えるらしい。
夜、ざつ務のためにジ̻ッジメ■トの支■に寄った。白■さんが■坂さんと連絡が取れないと困っていたとき、■◆さんがやってきた。とても困っているようで、とりあえずジャッジメントの支部に泊まることになった。
白■さんが■坂さんを見つけたと騒いでいたが、なんのことやら。

209 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:45:50.38 115 ID:10k3W5xw0.net
8月13日

朝、白井さんから連絡がきた。
■◆さんが■坂さん行方不明の事件の重要参考人になり、アンチスキルのこう置所に護送されたらしい。しかし、■◆さんは脱走してまったため、いつもよりもジ̻ッジメ■トの業務が大変だった。
今日はとても疲れた。

210 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:46:46.81 172 ID:10k3W5xw0.net
8月14日

■坂さんがしれっと帰ってきた。白■さんは泣いてわめくし、私は事件の処理や調査で昨日よりもとても大変だ̻た。
でも、■坂さんの身になんともなくて良かった。そういえば、■坂さんはいなくなる前より少し変わったような気がした。何があったんだろう。

211 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:47:51.54 387 ID:10k3W5xw0.net
◇月○日

助手さんと調査中、孫を発見した。なぜか風変わりな恰好をしていた。折角だから数日だけ孫にも調査を手伝わせることにした。
一回彼女のせいで調査が打ち切られたことがあったので、失敗しても大して影響のない中心部の周りの遺跡を調査させた。助手さんも一緒だから大丈夫であろう。
孫が調査から戻ってきたとき、何故かすっきりとした表情をしていた。調査で何を発見したのか知らないが、どうやら一つ、大切なことに気付いたようだ。

212 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイ 2787-RLAO):2017/05/07(日) 23:48:29.40 546 ID:10k3W5xw0.net
おわりです
ありがとうございました。

213 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイWW 7372-3nH6):2017/05/12(金) 22:46:28.23 265 ID:IfGkTzcT0.net
読んだし、面白かったですし

214 :名前はない……と松本は言っている (ワッチョイW cfec-jlIf):2017/05/15(松本りせ) 17:42:13.06 861 ID:PqEHq4Rf0.net
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