あんじゅ「六月十七日は」絵里「砂漠化および旱魃と闘う国際デー!」
- 1 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:17:08.38558 ID:J+QXdPyJK.net
- 【四月】
『砂漠化…ですか?』
祖母「そう。砂漠よ」
『…音ノ木坂が?』
祖母「ええ。水や緑が少しずつ失われていく…廃校も免れない状況になっているの」
『でも…たとえば秋葉原のUTXに比べて、音ノ木坂は緑豊かで特に水不足の兆候も無いようですが…』
祖母「すぐにわかるわ。近いうちに理事長から何らかの発表があるはずよ」
『本当に…音ノ木坂が、そんなことに…?』
祖母「エリーチカ。あなたは音ノ木坂の生徒会長だったわね?」
『はい』
祖母「あなたはどうする?…運命を受け入れる?」
『いいえ。音ノ木坂の廃校を防ぐため、砂漠化を止めます』
祖母「いい返事ね。でも一人では無理よ。仲間が必要だわ」
『仲間…』
祖母「エリーチカ。音ノ木坂を守ってちょうだい。あなたにできなければ、できる人を探しなさい」
『はい。おばあ様』
【東京・秋葉原】
英玲奈「ツバサが…」
あんじゅ「料理ですって!?」
ツバサ「何よ、そのリアクション…私だって料理くらいできるわ」
英玲奈「ツバサ。無理はしないほうがいい」
あんじゅ「そうよ。アイドルがむやみに火傷や切り傷をつくるのは良くないし」
ツバサ「なんで失敗する前提なのよ!ちゃんと得意料理だってあるんだからね!」プンプン
あんじゅ「大丈夫かしら…」ハラハラ
英玲奈「フッ…娘を見守る親のような心境かな」
ツバサ(二人とも私をバカにして…絶対、おいしいって言わせてやるんだから!)
ベリッ ザバー
ツバサ「はい、できたわ!」
英玲奈「これは…」
- 2 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:19:24.07036 ID:J+QXdPyJK.net
- あんじゅ「…とうふ?」
ツバサ「冷奴よ!」ドヤァ
英玲奈「とうふを切っていないように見えるが…」
ツバサ「ええ。とうふ一丁で一人分でしょ?」
あんじゅ「薬味は?」
ツバサ「市販の“冷奴のタレ”をかければ完成よ!」
あんじゅ「小ねぎでも切ってくるわ…」
英玲奈「生姜も頼む」
ツバサ「しょうが?ならチューブのがあるわよ」
えれあんツバ「いただきます」
ツバサ「ひんやりして美味しい♪」
あんじゅ「まあ、とうふは普通のとうふだし…失敗しようがないわね」
英玲奈「…」
あんじゅ「英玲奈?…どうかした?」
ツバサ「難しい顔して…英玲奈、とうふ嫌いなの?」
英玲奈「香りが…とんでいるな」
ツバサ「飛ぶ?」
英玲奈「生姜だ。このチューブの生姜…劣化している」
あんじゅ「そういえば…なんだか色も変わってる気がするわね」
ツバサ「そうなの?賞味期限は切れてないけど…」
英玲奈「品質保持期限の表示は未開封時のものだ。おそらく開封して時間が経っているんだろう」
あんじゅ「冷蔵庫に入れ忘れて放置したりすると、あっという間に劣化するわよね」
ツバサ「でも、とうふは美味しいでしょ?」
あんじゅ「薬味も小ねぎがあれば充分じゃない?」
英玲奈「うむ…」
英玲奈(だが、小ねぎには辛味はほとんどない。やはり生姜があったほうが味にメリハリが出て好ましい)
英玲奈(やはりチューブの商品より、生の根生姜を買ってきて食べる直前にすりおろして使うのが理想だ)
【音ノ木坂】
理事長「廃校」
絵里(おばあ様の言ったとおりね…仲間、か。…まずは)
絵里「希!…あ、あら?…希ー?」
絵里「もう!こんな時にいったいどこへ行ったのよ?(希なら味方になってくれそうなのに…)」
- 3 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:21:56.65748 ID:J+QXdPyJK.net
- 【三年教室】
絵里「矢澤さん!」
にこ「絢瀬…なによ?」
絵里「希を見なかった?」
にこ「知らないわよ。部活か何かじゃないの?」
絵里「希の部活って…何だったかしら?」
にこ「私は知らないっての。じゃあね」
絵里「待って、矢澤さん!」ギュ
にこ「ちょっ…な、何なの?」
絵里「この際あなたでいいわ。協力して!」
にこ「なにそれ。希に言いなさいよ…何をしろっていうの?」
絵里「砂漠化を止めるのよ。このままでは廃校になってしまうわ」
にこ「砂漠?…何の話よ?」
絵里「音ノ木坂一帯は砂漠化が進行しているの。廃校の決定もそれが原因よ」
にこ「はぁ?…あんた、頭でも打ったんじゃない?」
絵里「そんなことないわよ。…私の言う事が信じられない?」
にこ「当たり前よ。アフリカじゃあるまいし…東京の真ん中にしては音ノ木坂って緑が多いほうでしょ」
絵里「私もそう思ってたわ。でも事実よ。こうしている間にも、砂漠化が進行して…」
にこ「バカバカしい…付き合ってらんないわ」スタスタ
絵里「待ちなさい。矢澤さん!」タタッ
にこ「ついて来ないでよ!」
ミズガー♪ナクチャターイヘン
えりにこ「!?」
にこ「…聞こえた?」
絵里「ええ。…誰の歌声かしら?」
【音楽室】
真姫「みんなのーゆめーの木ーよ育てーーー♪」タタタン
絵里「音楽室から、あんなところまで人の声が…これも砂漠化の影響に違いないわ」
にこ「…いや、関係ないでしょ?」
絵里「でも水がなくて大変って歌ってたじゃない。きっと砂漠化の歌よ!」
にこ「ちょっと違うような…」
- 4 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:24:32.17807 ID:J+QXdPyJK.net
- 真姫「…誰?」
ガララ
絵里「ご、ごめんなさい。邪魔するつもりはなかったんだけど…」
真姫「(三年生が二人?)別に…音楽室、使うなら私は帰ります」
絵里「待って。あなた、砂漠化についてどれくらい知ってるの?」
真姫「は?…砂漠?」キョトン
にこ「ま、それが普通の反応ね。…音ノ木坂一帯は砂漠化が進行してるって絢瀬が言うのよ」
絵里「そうよ。だから廃校になりそうなの。あなたも何か知ってるんじゃない?」
真姫「冗談でしょ?そんな話、聞いたことないし…」
にこ「ほら。やっぱりあんたの勘違いでしょ」
絵里「そんなことないってば。…ねえ、あなたも協力してくれない?廃校を防ぐためには、砂漠化を止めるしかないわ」
真姫「イミワカンナイ…悪いけど、私はもう帰ります」ガタ
にこ「私も帰ろーっと」パタパタ
絵里「ま、待って。二人とも!」
ドタバタ
【校庭】
絵里「…」ゼーハー
絵里(二兎を追う者は何とやら…結局二人とも逃げられてしまったわ)ガクッ
ポーン
絵里(あれは…サッカー部の練習かしら?…この広いグラウンドも、いずれ砂漠に呑み込まれて…)
凛「いっくにゃあー!」ドカッ
ザッ
絵里「!」
凛「ふー。いい汗かいたにゃ」
絵里「あなた…」
凛「にゃ?」
凛(わあ、金髪!?…この人、外国人?)
凛「め、めーあいへるぷゆー?><」
絵里「ええ。是非!あなたの力を貸してくれる?」ギュ
凛「えーと…?(日本語にゃ)何をすればいいんですかー?」
絵里「音ノ木坂の砂漠化を食い止めるのよ。一緒に頑張りましょう!」
凛「砂漠…?どういうことー?><」
- 5 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:27:33.55481 ID:J+QXdPyJK.net
- 絵里「理事長から発表があった廃校の件は聞いたでしょう?」
凛「はあ」
絵里「その原因が砂漠化の進行…今は一見わからないけど、水や緑が少しずつ失われていくの」
凛「そ、それは大変にゃ」
絵里「ええ」
凛(水がなくなったら…麺もスープもできないにゃ。砂漠じゃ、もやしやコーンもネギやメンマも育たないし…)
凛「わかったにゃ。一緒にラーメンを守りましょう!」
絵里「え?…ラーメン?」キョトン
凛「凛は星空凛っていいます」
絵里「星空さん?…私は絢瀬絵里。生徒会長よ」
凛「音ノ木坂を守る生徒会長さんですね!?かっこいいにゃ♪」
絵里「そ、そう?…まだ何もできてないけどね」
凛「二人ならきっと何とかなるにゃ。凛もお手伝いします♪」
絵里「星空さん…ありがとう」ナデナデ
凛「えへへ」
絵里(星空さんはいい子ね…頼もしい味方だわ)
絵里「…UTX?」
凛「はい。かよちんが明日の朝、見に行ってみようって…」
絵里「カヨチン?…緑黄色野菜に含まれる…」
凛「それはカロチン(カロテン)」
絵里「唐辛子の辛味の主成分。アルカロイド系化合物で、摂取しすぎると粘膜が傷つき胃や口の中が荒れる原因に」
凛「それはカプサイシン」
絵里「ルドラ、もしくはシヴァ?」
凛「それは破壊神」
絵里「音ノ木坂の砂漠化は破壊神の仕業ってこと!?」
凛「生徒会長さんが勝手にボケただけにゃ」
【秋葉原・UTX屋上】
英玲奈(ここなら日照は申し分ない…しかし少々涼しすぎるか?)
ツバサ「あっ、いたいた。英玲奈ー!」
あんじゅ「こんなところにいたのね。…何してるの?」
- 6 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:36:03.84987 ID:J+QXdPyJK.net
- 英玲奈「園芸だ」
ツバサ「演芸?」
英玲奈「ああ。ここで──」
ツバサ「英玲奈…ホントに私でいいの…?」
あんじゅ「お料理とか全然できないのに」
ツバサ「ええ、全然…ってそんなことないわよ!」
英玲奈「何の話だ?」
ツバサ「指輪なんてなくてもいいの…だから、三ヶ月分のお給料をそのまま私にちょうだい?」
あんじゅ「ムードも浪漫もへったくれもないわね」
英玲奈「エンゲージと言いたいのか?…だが、engageに婚約の意味はないぞ」
ツバサ「そうなの?」
あんじゅ「婚約なら正しくはengagementね。engagement ringをエンゲージリングって略すのはいわゆる和製英語」
ツバサ「そうなんだ…結婚のことなんて考えたことないから知らなかったわ」テヘペロ
あんじゅ(考えてたらドヤ顔で「得意料理は冷奴!」なんて言わないわよね…)
英玲奈「エンゲージではなく園芸だ。ここは陽当たりがいいからな」
あんじゅ「何を植えるの?」
英玲奈「生姜だ。自分で栽培すれば鮮度は申し分ないだろう?」
ツバサ「あ、そっちの園芸ね。…まさか、ここに畑を作るつもり?」
英玲奈「地植えだけが園芸ではないぞ。プランターがあれば充分だ」
あんじゅ「ま、それが現実的よね。今時東京で畑を作るなんて簡単じゃないし」
ツバサ「学校の屋上を私物化は無理でも、プランターを置かせてもらうくらいなら何とかなりそうね」
英玲奈「だが、生姜といっても品種は様々だ。どれを植えるべきか…」
あんじゅ「そんなにいろいろあるものなの?」
ツバサ「生姜の違いなんて全然わからないけど…」
英玲奈「まず、根茎の育つ大きさ(重量)で大生姜、中生姜、小生姜と分類される。色も白っぽい物、黄色い物、赤みを帯びた物と見た目も違うぞ」
あんツバ「へー」
英玲奈「もちろん香りや辛味の強さも違ってくる。個人的に栽培するならやはり自分好みの物、人にすすめたい物を選んだほうがいい」
【翌朝】
絵里(星空さん、もう来てるかしら…?)
凛「ねえ、かよちん。遅刻しちゃうよー?」
花陽「ちょっとだけ待って!」
絵里(いた。隣のメガネの子が小泉さんかしら?)
- 7 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:39:13.00572 ID:J+QXdPyJK.net
- 『UTX高校へようこそ!』
絵里「おはよう。星空さん」
凛「あ。生徒会長さん…おはようございます」
絵里「小泉さんは?」
凛「いるけど、今は話しかけてもダメだと思います…」
絵里「そうなの?」
凛「かよちん、アイドルヲタクなんです。アイドルに夢中になってるときは近づかないほうがいいかも…」
絵里「アイドルって…あの三人?」
\キャナイドゥーアイテーキベービ♪/
凛「アライズっていう、かよちんが今いちばんハマってるスクールアイドルです」
絵里(あれがUTXのスクールアイドル…)
凛(?…なんか怪しい人がいるにゃ)
にこ「げ…絢瀬」
絵里「え?…あっ、矢澤さん!?」
にこ(なんであいつがいるのよ!?)ダッ
絵里「待って、矢澤さん!」タタッ
凛「どこ行くんですかー?><」
【UTX一階】
絵里(どこへ行ったのかしら…?)タタタ
ドン
「きゃ><」
絵里「Ой!?」
絵里「ご、ごめんなさい。…大丈夫?」
「もう。気をつけ…て」
?(きれいな手…それに、金髪…?)
絵里「ごめんね。ケガはない?」ギュ
「…」ポー
絵里「あ、あの…?もしかして、どこか痛い?」
「えっ。…あ、ううん。大丈夫…」
『そう行っちゃうのー?』
絵里「あら?…あなた、もしかして…スクールアイドルの」
「しーっ。内緒よ」
絵里「えっ。…ええ」
- 8 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:43:03.11491 ID:J+QXdPyJK.net
- (・8・)
- 9 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:43:45.56719 ID:J+QXdPyJK.net
- 「私は、優木あんじゅ。あなたは…?」
絵里「絢瀬絵里。音ノ木坂の生徒会長よ」
あんじゅ「ふーん。あなたが生徒会長さん…」ジーッ
絵里「な、なに?」
あんじゅ「素敵ね♪」
絵里「あ、ありがとう…?」
あんじゅ「っと、遅刻しちゃうわね。…これ、持ってって。なくさないでね?」
絵里「え?…あ、ちょっと」
タタタ…
絵里「行っちゃった…(これ、電話番号?)」
凛「生徒会長さーん?」
絵里「星空さん」
凛「さっきの人、もう帰ったみたいにゃ」
絵里「矢澤さんも学校へ行ったんだと思うわ」
凛「やざわ?」
絵里「私たちも行きましょ」ギュ
凛「はい♪」
『しーっ。内緒よ』
絵里(優木さん…なんだかフワフワした感じの、不思議な子ね)
【音ノ木坂】
絵里(UTXのスクールアイドルか…音ノ木坂にとってUTXは商売敵みたいなものだけど)
絵里(でも音ノ木坂の砂漠化とUTXは関係ないでしょうし…あの子なら味方になってくれるかしら?)
希「んー?知らない女の子の匂いがするなぁ」
絵里「え!?いきなり何言ってるのよ。希…」
希「アハハ。冗談や。シャンプーでも変えたん?」
絵里(あの子の匂いがうつった?…まさかね)
絵里「そうだわ。希!占ってくれない!?」
希「いいけど…珍しいね?エリちが占いをアテにするなんて…恋でもしてるん?」
絵里「そんなんじゃないわよ。ただ、味方になってくれるかどうか…」
希「味方?」パラララ
絵里「UTXのスクールアイドルよ。アラジン?とかいう…」
希「アライズやなかったっけ?…まあいいけど」シュタタタ
- 10 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:45:54.61386 ID:J+QXdPyJK.net
- 絵里「黄道十二宮のスプレッドね」
希「そ。ホロスコープや。星空を思い浮かべて。エリちの願いをカードに…」
絵里(…星空?)
『星空にゃ!』
絵里(いやいや、今は優木さんのことをね…)フルフル
希「最初のカードは…」スッ
希(大アルカナの6番“恋人”のカード。正位置…まさか、エリちがA-RISEの誰かと…?)
絵里「希?…そのカードって恋」
希「今のは無しや。次のカード!」パタ
希(大アルカナの14番“節制”のカード。正位置…恋愛の進展、理想的なカップル)
絵里「何のカードが出たの?」
希「待って。これも無し!次のカードや」パタ
希(大アルカナの19番、太陽のカード。正位置…魅力、恋愛、結婚!?)
絵里「太陽…でいいのよね?」
希「このカードの意味は“可能性”や。恋愛とかは関係ないからね!」
絵里「は、はあ。…えーと、じゃあ味方になってくれる可能性がある…ってことでいいの?」
希「知らない」ツーン
絵里「えぇ…」
絵里(なんだか今日の希は機嫌が悪そうね。希を仲間に誘うのはまた今度にしよう…)
ザァァァ…
絵里(…雨?…でも、晴れてるし天気予報でも雨は降らないって…)
凛「せーいっぱい♪ちかーらのーかーぎりー」ドバー
絵里「ちょっ…星空さん!?」
凛「あ。生徒会長さん♪」バシャ
絵里「…」ポタポタ
凛「ご、ごめんなさいにゃ…」
絵里「どうして校庭に水まきなんてしてたの?暑くもないのに…」フキフキ
凛「えっと…砂漠化を止めるためには水まいたほうがいいのかなって…」
絵里「砂漠化ってことは水不足になるのよ。むしろ、水は節約するべきだと思うわ」
凛「そっか。ごめんなさい…」
絵里「まあ、気持ちはわからなくもないし…音ノ木坂のためにしてくれたのよね?」ナデナデ
凛「えへへ…でも、これからは凛だけで何かする前に生徒会長さんに相談するにゃ」
絵里(さて…あと一人くらいは仲間が欲しいところね)
- 11 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:49:01.34410 ID:J+QXdPyJK.net
- 【三年教室】
にこ「なによ。また砂漠の話?」
絵里「廃校を防ぐために力を貸して欲しいだけよ」
にこ「そう言われてもね…もう廃校は決定でしょ?」
絵里「そんなことないわ。私たちでも今できることはあるはずよ」
にこ「何をしろっていうのよ?」
絵里「水の確保と、あとは植物を植えたり…とにかく砂漠化を食い止めるのよ」
にこ「ペットボトルの水でも買い占めろっての?」
絵里「そこまでは…でも、ある程度の備蓄は必要ね。…ところで」
にこ「?」
絵里「矢澤さんは何してたの?…今朝、UTXにいたわよね?」
にこ「うぐっ…し、知らないわよ。人違いじゃない?」
絵里「いいえ。確かに矢澤さんの声だったわ。髪形や背格好も、どう見ても矢澤さんだったし」
にこ「ふーん…意外とよく見てんのね。あんたって他人には興味ないと思ってたわ」
絵里「興味のない人なら、仲間になってほしいなんて言わないわよ」
にこ「…あっそ///」
絵里「ね。矢澤さん」ギュ
にこ「わ、わかったわよ…少しくらいなら手伝ってあげる」
【音楽室】
絵里「あら?…誰かいるみたいね」
にこ「誰かいるから来たんでしょうよ」
絵里「そうじゃなくて。今日は二人いるってこと」
凛「一人は西木野さんですね」
ガラ
真姫「ヴェぇ…またあなたたち」
穂乃果「あ。生徒会長さん…?」
絵里「ちょうどよかった。二人とも協力してくれないかしら?」
真姫「砂漠がどうこうって話ならお断りします」
穂乃果「砂漠?…何の話?」
凛「このままだと音ノ木坂が砂漠になっちゃうんです」
真姫「まだそんなこと…あなたが言い出したの?」
にこ「割とマジな話らしいわよ。…ま、疑うのも当然だけど」
- 12 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:57:00.43913 ID:J+QXdPyJK.net
- (・8・)
- 13 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:57:44.09535 ID:J+QXdPyJK.net
- 穂乃果「ど、どういうことですか!?」
真姫「音ノ木坂一帯が砂漠化してるとか何とか…たちの悪い冗談よ」
穂乃果「なーんだ。冗談…」
絵里「音ノ木坂の卒業生である祖母から聞いた話よ。理事長の発表の前に廃校の件も知っていたし、信憑性は高いと思うわ」
穂乃果「冗談じゃなさそうだよ!?」
真姫「…」ハァ
絵里「あなたたちの意見も聞きたいんだけど…」
真姫「じゃあ砂漠化が本当に起こるとして。どうやって食い止めるっていうんですか?」
絵里「水源の確保は最低限必要ね。あとは植物を植えたり…」
穂乃果「でも砂漠化したら植物も枯れちゃうんじゃ…?」
凛「水を使わないと育てられないにゃ」
真姫「大量の乾いた砂を運び出して、質のいい土に入れ換えるくらいしないとダメなんじゃない?」
絵里「そ、そこまで考えてなかったけど…必要かしら?」
にこ「あんまり大掛かりなことは少ない人数じゃ無理でしょ。できることからやっていけば?」
ほのえりにこりんまき「うーん…」
絵里「五人いることだし、役割分担しましょう!」
真姫「なんで私まで…」
にこ「水源の確保と、植物の栽培?」
穂乃果「仲間も必要でしょ!?私、ことりちゃんや海未ちゃんにも話してみる!」
凛「じゃあ凛は、かよちん…かなぁ」
絵里「私も心当たりがあるから交渉してみるわ。みんな、よろしくお願いします!」
にこ「ん」
穂乃果「はい!」
凛「おーっ!」
真姫「はいはい…」
キーンコーンカーン…
『待ってたわ。絢瀬さん』
絵里「急にごめんなさいね。優木さん…今、時間ある?」
『あら、早速デートのお誘い?』
絵里「デートってわけじゃ…でも直接会えるんだったらそのほうがいいわね」
『わかったわ。どこへ行けばいい?』
【秋葉原】
あんじゅ「こっちよ。絢瀬さん♪」フリフリ
絵里「優木さん」
- 14 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 00:59:31.89268 ID:J+QXdPyJK.net
- あんじゅ「やっぱり目立つわね。あなたが来たって、すぐにわかったわ」
絵里「目立ちたくて目立ってるわけじゃ…」
あんじゅ「そう?…あなたほどの美人なら、ステージに立てば瞬く間に全国規模のファンクラブができるわよ」
絵里「ステージって、スクールアイドル?…悪いけど、私は興味ないから…」
あんじゅ「残念。…私にも興味をもってくれないのかしら?」
絵里「そんなことないわよ。アイドルの活動に関係なく、あなたには何か…」
あんじゅ「なあに?」
絵里(初めて会ったとき…不思議とひかれるものを感じた。なんて、口説いてるみたいだから言わないけど///)
絵里「えーと…少し話したいことがあって。優木さん、あなたは音ノ木坂をどう思う?」
あんじゅ「音ノ木坂?そうね…素敵なところだと思うわ。もし私がアイドル目指してなかったら、きっと音ノ木坂学院に入ったでしょうね」
絵里(アイドルを目指すなら音ノ木坂ではダメだったと…でも、好意的には見てくれてるのかしら)
絵里「音ノ木坂は今、砂漠化が進行していて…それが原因で廃校になりそうなの」
あんじゅ「え?…砂漠?…それって」
絵里「一見わからないけど、少しずつ水や緑が失われていくわ。私はそれを食い止めたくて…」
あんじゅ「…どうして、その話を私に?」
絵里「力を貸してほしいの。音ノ木坂の生徒だけじゃなく、外部にも協力者が必要だと考えてるわ」
あんじゅ「私が、絢瀬さんと一緒に…?」
絵里「ええ。もちろん私たちの問題だから、無理強いはできないけど…」
あんじゅ「ふーん…」
絵里「優木さん…?(やっぱり無理があるかしら…)」
あんじゅ「いいわ。協力させて」
絵里「本当!?」
あんじゅ「あなたの言う“私たち”に、私が含まれないのはシャクだし。アイドルじゃなくても、何か絢瀬さんと一緒にできることが欲しいから」
絵里「優木さん…ありがとう。助かるわ」ギュ
あんじゅ(こんなチャンス、逃す手はないわよね。必ず絢瀬さんを…フフフ)
【再び音ノ木坂】
穂乃果「ことりちゃん!」ガラ
ミカ「穂乃果?」
フミコ「穂乃果ちゃん。いらっしゃい♪食べていく?」
穂乃果「いい匂い…何作ったの?」クンクン
フミコ「今日はアップルパイだよ♪」
穂乃果「すっごく美味しそう…!」
- 15 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:02:35.48196 ID:J+QXdPyJK.net
- シュシュシュ ピーッ
フミコ「はい、どうぞ。紅茶はヌワラエリヤにしたよ」コト
穂乃果「ぬ、沼津エリア?」
フミコ「ヌワラエリヤ。セイロンのハイグロウンの中でも最も標高が高い涼しいところで栽培してる茶葉なの。鮮烈な香りと程よい渋みが特徴だよ」
ほのミカ「へー」
ほのフミミカ「いただきます♪」
ほのミカ「…」モグモグ
穂乃果「おいしい!甘さもちょうどいいし…」
ミカ「生地がサクサク♪」
穂乃果「シナモンの香りに負けない紅茶がぴったりだね♪」
フミコ「ん。今日は私も納得の出来かな♪」
ほのフミミカ「ふー」ホッコリ
穂乃果「って、くつろいでる場合じゃなかった。ことりちゃんは!?」
フミコ「ことりちゃん?…こっちには今日は来てないよ」
ミカ「先に帰ったんじゃない?」
穂乃果「そっかぁ…」ガクッ
ミカ「南さんに何か用事だったの?」
穂乃果「砂漠化の件でね…」
フミミカ「さばく?」
穂乃果「フミコ!」ギュ
フミコ「わ。…な、なに?///」
穂乃果「ミカも、私たちに力を貸してくれないかな!?」
ミカ「えっと…廃校の件?」
フミコ「私たちにできることなら…」
【再び秋葉原】
絵里「さて…まずは水源の確保を考えないとね」
あんじゅ「水が余ってるところから音ノ木坂へ水を引けばいいんじゃない?」
絵里「何でもいいってわけじゃないわよ。たとえば海水だったら、今ある植物も枯れちゃうでしょう?」
あんじゅ「そっか。じゃあ海以外で考えたほうがいいのね…」
絵里「あるいは海水そのままじゃなくて真水に変える設備が必要ね」
あんじゅ「植物のほうは?水不足でも育つものもあるんじゃない?」
絵里「そうね。砂漠化を食い止める手助けにはなるかしら…」
- 16 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:05:32.11979 ID:J+QXdPyJK.net
- あんじゅ「ハーブの栽培とか良くない?ミントは繁殖力がスゴいっていうし」
絵里「ミント?」
あんじゅ「ええ。ミントを植えれば初心者でも簡単に増やせるんですって♪」
絵里「へえ。ミントね…やってみましょうか?」
あんじゅ「スペアミントにペパーミント、アップルミント…いろいろあるみたい」
絵里「どれが一番増えやすいの?」
あんじゅ「そこまではわからないけど…いろいろ植えてみたらいいんじゃないかしら?」
絵里「そうね…種を買ってきて蒔けばいいの?」
あんじゅ「ええ。ちょうど今頃が種まきの時期みたいだし」
【神田明神】
希「砂漠化、なあ?」
にこ「どうなの?…あんたは何か知ってる?」
希「いや、ウチは初めて聞いたよ。日本でそんなんあり得ないやん?」
にこ「でも緑が減ったり水不足なんかはよくあることでしょ。砂漠化の兆候くらいはあるんじゃない?」
希「んー。音ノ木坂の廃校の原因は少子化やUTXとの競争に敗れたことやと思ってたけど…」
にこ「お得意の占いで何かわからないの?」
希「砂漠化なんてイメージしづらいからなぁ…まあ、にこっちがそこまで言うなら占ってみるよ」
パラララ シュタタタ
にこ「それは…?」
希「死の砂漠とは対極にあるもの。生命の樹のスプレッドや」
にこ「へー。変わった配置ね…左右対称で上下非対称…」
希「セフィロトの樹とも呼ばれてるん。いわゆる“エデン”やな」
にこ「おつゆのしみた大根、がんもどき…寒い日には食べたくなるわね」
希「それは“おでん”」
希(星座を表すホロスコープが“天”のスプレッドなら、セフィロトは言わば“地”…音ノ木坂に何が起こるのか、カードが教えてくれるはず)
【音ノ木坂】
絵里「このへんでいいかしら…」
あんじゅ「そのままで大丈夫?盛り土とか必要じゃない?」
絵里「そうね…土も買ってきたほうがよかったかも」
海未「おや?あなた方は…何をしているんです?」
あんじゅ「ミントを植えようと思ってるの」
絵里「ミントは繁殖力が強くて、初心者でも簡単に育てられるって聞いたから」
- 17 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:07:05.56103 ID:J+QXdPyJK.net
- 海未「まさか、学校の敷地にミントを?それはやめたほうが…」
えりあん「えっ」
あんじゅ「どうして?ミントを植えれば収穫して楽しめるし、虫除けにもなるのよ」
海未「家の庭で母がミントを栽培したことがあるんです。確かに繁殖力が強く、栽培自体は簡単かもしれません。でも強すぎるのが問題なのです」
絵里「強すぎるって、どういうこと?」
海未「繁殖力が極端に強いミントは、増えすぎるとやがて他の植物を淘汰してしまうんです。鉢植えやプランターなら問題ありませんが、地植えなら学校側の許可を取って計画的にやらないと大変なことになりますよ」
あんじゅ「知らなかったわ…砂漠化を防ぐのはいいけど、辺り全部ミントの茂みになっちゃうのはちょっと困るわね」
絵里「そうね…いきなり地植えはやめて、とりあえずプランターに種をまきましょうか…」
海未「砂漠化を…防ぐ?」
絵里「ええ。音ノ木坂一帯の砂漠化が進行しているの。それが廃校の原因よ」
海未「はあ。…生徒会長も冗談を言ったりするのですね…」
絵里「信じ難いでしょうけど…事実よ。何なら理事長に直接確認しましょうか?」
海未「まさか…本当に?…しかし東京の真ん中で砂漠化とは…」
あんじゅ「私も正直ちょっと半信半疑なんだけどね」
海未「UTXの方が、音ノ木坂の廃校を防ぐために…?」
あんじゅ「いけない?」
海未「いえ…まあ、海外の砂漠化を止めようという日本人もいることですし…」
絵里「ええ。世界のためにというのは無理でも、私たちの音ノ木坂くらいは私たちが守らなくちゃ!」
海未「そうですね…もし本当に音ノ木坂が砂漠化の危機に瀕しているのなら…私にも何かできるでしょうか?」
絵里「協力してくれるの?」
海未「何ができるかわかりませんが…私でお役に立てることがあれば」
あんじゅ「ミント以外なら何を植えればいいと思う?」
海未「緑化と水の確保を両立するなら…水分の多い植物ですかね」
絵里「水分の多い植物…?」
海未「たとえばスイカやキュウリの果実はほとんどが水分だといいます。サバンナのキリンは野生のスイカを食べているんですよ」
あんじゅ「きりん…って、首の長いあのキリン?」
海未「ええ。より陽射しが強く水不足になりがちな夏に収穫できるスイカやキュウリは理想的な水分の源だと思います」
- 18 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:14:37.23733 ID:J+QXdPyJK.net
- 絵里「なるほどね…じゃあ、ミントのほかにスイカやキュウリも植えましょう!」
【アルパカ小屋】
凛(かよちん…先に帰っちゃったのかにゃ?)
【室内プール】
凛(ここには…いるわけないか)
ヒデコ「…」
凛「って、何してるんですかー?」
ヒデコ「釣り」
凛「プールに魚がいるのー?」
ヒデコ「いや、全然釣れないけど…」
凛「イミワカンナイ!」
ヒデコ「それ誰の真似?」
凛「西木野さんです」
ヒデコ「魚もいないし、もう帰ろうかな…」
凛「普通は学校のプールに魚なんていないって来る前に気づくと思うけどにゃ…」
ヒデコ「まあ…でも現実って時々、信じられないことが起こったりするじゃない?」
凛「確かに…音ノ木坂が砂漠化なんて、まだちょっと信じられないにゃ」
ヒデコ「砂漠?」
凛「音ノ木坂一帯は砂漠化が進行してて、それが廃校の原因なんだって!」
ヒデコ「ふーん…まあ、別に音ノ木坂じゃなくても魚が釣れる場所があればいいけど」
凛「でも砂漠がどんどん広がっていったら、いずれ全部なくなっちゃうにゃ」
ヒデコ「それは困るなぁ…海だけじゃブラックバスが釣れないよ」
凛「じゃあ、凛たちと一緒に砂漠化を食い止めませんか!?」
ヒデコ「いいけど、何をすればいいの?」
凛「生徒会長さんや西木野さんと一緒に考えてるんです。水と緑が必要なんだって」
ヒデコ「水ならプールにいっぱいあるけど…」
凛「でも、この水は飲めないし…」
ヒデコ「まあ、魚もいないし植物を育てるにも使えないよね。プールの水じゃ…」
凛「植物を増やすんだったら、凛はネギとコーンと、もやしとメンマがいいにゃ♪」
ヒデコ「メンマって…たけのこ?」
凛「ラーメンに合う野菜だったら何でもいいです♪」
- 19 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:16:43.09061 ID:J+QXdPyJK.net
- ヒデコ「麺を作るには小麦粉も必要なんじゃない?」
凛「あ、そっか。小麦が一番大事なんだにゃ><」
ヒデコ「スープも、味噌と醤油は大豆が必要だし」
凛「じゃあ…小麦と大豆と、もやしとコーンとネギとメンマを栽培すればいいんですね!」
ヒデコ(それで砂漠化を防ぐ緑化になるのかなぁ…)
【絢瀬家】
亜里沙「お姉ちゃん。おかえりなさい♪」
絵里「ただいま。亜里沙」
亜里沙「それ何?お花を育てるの?」
絵里「花も咲くと思うけど…ミントの種をまいたのよ」
亜里沙「そうなんだ?ミント…お料理に使ったりするの?」
絵里(亜里沙にも話しておくべきかしら?砂漠化のこと…)
亜里沙「ニッポンの砂漠、知ってるわ!トリさんがいるの♪」
絵里「それって…鳥取砂丘のこと?」
亜里沙「水や緑があると困るから、日本人が排除してるんだって!」
絵里「えぇ…」
亜里沙「オトノキもサキューになるの?」
絵里「ならないわ。私たちが食い止めるのよ。そのために植物を育てるんだから…」
亜里沙「そっか。頑張って、お姉ちゃん!」
絵里「ありがとう亜里沙」ナデナデ
亜里沙「えへへ」
【高坂家】
雪穂「はぁ?…砂漠?」
穂乃果「うん」
雪穂「何言ってんの、お姉ちゃん…寝ぼけてる?」
穂乃果「寝ぼけてないよ。生徒会長さんたちが言ってたんだから」
雪穂「からかわれてるんじゃない?」
穂乃果「そんなことないって。みんなで相談して音ノ木坂の砂漠化を食い止めようって話してたの」
雪穂「砂漠にならなくても廃校になるんだったら意味ないと思うけど」
穂乃果「音ノ木坂一帯の砂漠化が廃校の原因だから、砂漠化を止められれば廃校にならないよ」
雪穂(お姉ちゃん…本気で言ってるのかなぁ?)
- 20 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:20:04.59547 ID:J+QXdPyJK.net
- (・8・)
- 21 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:21:07.66688 ID:J+QXdPyJK.net
- 【翌朝・音ノ木坂】
絵里「こ、これは…何事!?」
凛「小麦に大豆にトウモロコシ。それから…」
海未「ねぎ、にら、キャベツ、きゅうり、スイカです」
にこ「で、これが竹ね」
絵里「た、竹?…竹って栽培できるの?」
希「できるよ。物凄い勢いで成長して、地下茎を伸ばして増えていくん」
凛「たけのこが採れたらメンマを作るんだー♪」
真姫「あなた、メンマなんて作れるの?」
凛「ううん。凛は作り方とか知らないにゃ」
フミコ「調理は私たちがやるから大丈夫」
花陽「待ってください!」
ほのうみのぞえりにこりんまきヒフミ「えっ」
凛「かよちん!」
花陽「小麦やトウモロコシがあるのに、どうしてお米は作らないんですか!?」
ミカ「いや、お米って田んぼがないと作れないじゃん…」
花陽「いいえ。畑で作れる陸稲という物もあります」
絵里「そうなの?」
凛「知らなかったにゃ」
花陽「陸稲はお米の味が水稲に劣るといわれています。…でも」
真姫「水不足や旱魃があるなら、陸稲はその対策になるわね」
希「なるほどなあ…」
絵里(日本人に欠かせない食糧であるお米を、水が少ない環境でも作れる…確かに、陸稲の栽培も必要なのかも)
ヒデコ「でも…お米や野菜とかって基本的に収穫したら無くなっちゃうけど、それで砂漠化を防げるの?」
ほのうみのぞえりにこまきりんぱな「えっ」
希「まあ…竹は順調に育てば竹林になるんやない?」
海未「ミントも全部収穫しなければ際限なく増えるでしょうし…」
真姫「緑化につながる植物か。木も植えたほうがいいのかもね」
絵里「そうね…でも木を育てた経験なんて無いし、私たちにできるかしら…?」
穂乃果「木かぁ…りんご、みかん、くるみ、梅の木なんかもいいなぁ♪」
真姫「(みかんは要らないけど)そういう方向性ならオリーブも欲しいわね」
希「梨、桃、栗、柿、びわ、いちじく、ざくろ…」
- 22 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:23:04.70024 ID:J+QXdPyJK.net
- 海未「食べ物ばかりではなく、それ以外の木も植えたほうがいいのでは?」
凛「何を植えたらいいか迷うにゃー」
穂乃果「あ。そうだ…こういうとき頼りになりそうな人がいるじゃん!」
【旧空き教室・コトリのアトリエ】
凛「くろせ…って誰?」
真姫「黒瀬じゃなくてクローズでしょ」
海未「ことりは留守のようですね…」
穂乃果「ことりちゃん、どこ行っちゃったんだろ…?」
ミカ「電話で呼び出せば?」
フミコ「でも居ないってことは用事があるんじゃないかな?」
絵里「そうね。南さんには明日あらためて相談しましょう」
【?砂漠】
ことり「あ、暑い…ここどこ!?」
ことり(えーと…理事長室へ行ったら、お母さんがいなくて…)
ことり「夢でも見てるのかなぁ?」
「夢、か。…しかし、この風景が何を示すのか気にならないか?」
ことり「えっ。…あなたは誰ですか?」
「統堂英玲奈。君は?」
ことり「南ことりです」
英玲奈「私は生姜の栽培に適した暖かい場所を探していたんだ。何かの間違いで砂漠に来てしまったが…」
ことり「生姜…ですか。それなら室内で発芽させてから暖かい日に植えればいいような…」
英玲奈「そうだな。…フッ、時には待つことも必要か」
ことり「でも私は…待ってたら音ノ木坂がなくなっちゃう」
英玲奈「この砂漠のように、か?」
ことり「もしかして…ここは未来の音ノ木坂!?」
英玲奈「さあ…それはどうかな」
ことり(暑さも感じるし、砂を踏む感触も…やっぱり、ただの夢じゃないのかも)
英玲奈「ここで生姜を育てるのは無理だ。私はもう行くぞ」
ことり「あっ、待って!私も行きます」
ことり(砂漠化してない場所が残っていれば、ここが本当に音ノ木坂かどうかわかるはず)
- 23 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:28:18.07789 ID:J+QXdPyJK.net
- 【秋葉原】
あんじゅ「絢瀬さん♪」フリフリ
絵里「今度は木を植えてみようと思ってるの」
あんじゅ「木って、育つのに何年もかかるんじゃ…?」
絵里「そうだけど…そういえば秋葉原って、森や草原を連想させる地名ね」
あんじゅ「秋葉原…本当ね。紅葉とか、どんぐりの森とか?」
絵里「どんぐり…いいかも?木の実が落ちて、そこから芽が出て…森が広がっていくようなイメージがあるわ」
あんじゅ「ってことは、どんぐりを植えれば木になるの?」
絵里「ええ。…ただ、芽が出るどんぐりが今頃手に入るかどうか…」
あんじゅ「どんぐりが落ちる季節といえば…秋?」
絵里「そうね。秋に落ちたどんぐりならとっくに虫に食われたり腐ったりしてる頃だと思う…」
あんじゅ「そっか。…やっぱり無理かなぁ」
【音ノ木坂】
にこ「あるわよ。どんぐり」
えりあん「えっ」
にこ(誰かに似てるような…?)ジーッ
あんじゅ(すっごい見られてる…一応、変装はしてきたけど…髪を三つ編みおさげにして、ダテめがねかけて)
絵里「ど、どこにあるの?…どんぐり」
ここあ「どうぞ!」
にこ「去年ここあが大量に拾ってきたの、冷蔵庫に入れといたのよ。虫食いとかは捨てちゃったから、たぶん蒔けば芽が出るんじゃない?」
絵里「もらっていいの?」
ここあ「めがでたら、ここあも見にきていい?」
絵里「もちろんよ。ありがとう♪」ナデナデ
ここあ「えへー♪」キャッキャ
【再び砂漠】
ゴォォォ…
ことり「な、なにこれ!?」
英玲奈「流砂だ。巻き込まれる前に逃げろ!」
ことり「そう言われても…どこにも逃げ場なんてないよ!?」
英玲奈「木だ。あの木につかまって耐えるしかない」
ことり「木っていうか、あれは…竹!?」
ことり(誰が砂漠に竹を植えたのかわからないけど…なんとか助かった)
- 24 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:37:32.32336 ID:J+QXdPyJK.net
- (・8・)
- 25 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:39:25.40654 ID:J+QXdPyJK.net
- ことり「ゲホ、ゴホッ…(ひどい目に遭った)」ペッ
英玲奈「こんな物を見つけたぞ」
ことり「…すいか?」
英玲奈「ああ。これで水分補給ができる」
ことり(植物なんて何も無さそうな砂漠に、竹が生えてたりスイカが転がってたり…不思議だなぁ)
英玲奈「しかし、このままではいずれ…この壁を掘って脱出するしかないか」
ことり「で、でも崩れてきたら私たち埋まっちゃうんじゃ…?」
英玲奈「…だが、あまり時間はないようだ」
ことり「え」
パラパラ…
英玲奈「崩れてくるぞ。逃げろ!」
ことり「だからどこにも逃げ場なんて…ああっ!?」
ズズズ…
\ダレカタスケテー!/
ほのうみ「チョットマッテテー」
ことり「うーん…助けて…ホノカチャーン…」
穂乃果「ことりちゃん…起きて、ことりちゃん!」ペチペチ
ことり「穂乃果ちゃん?…あれ、砂がない…」
穂乃果「砂?…なに言ってるの、ことりちゃん」
海未「海水浴の夢でも見ていたのですか?」
ことり「海水浴どころか、水なんて全然ないんだよ。ほら、今も砂嵐が…」
ザァァァ…
海未「砂嵐ではありませんよ」
穂乃果「台風が近づいてるんだって。外は大雨だよ!」
ことり「大…雨?」
【六月】
絵里「おばあ様…?」
『すっかり忘れてたわ。日本には梅雨というものがあるのね』
絵里「はあ。…えーと、音ノ木坂が砂漠化というのは…?」
『私の勘違いだったようね。…まあ、何事もなくてよかったわ』
亜里沙「オトノキ、廃校にならない?」
絵里「うーん。それは私たちの今後の頑張り次第かしらね…」
- 26 :名前はない……と松本は言っている :2018/06/17(日) 01:40:58.51053 ID:J+QXdPyJK.net
- 【音ノ木坂】
凛「もやしが枯れちゃうにゃ><」
真姫「それは持って帰ればいいんじゃない?」
にこ「誰よ、こんなに何でもかんでも植えたの…台風対策で一日潰れるわ!」
花陽「お米だけでも死守しなくちゃ!」
希「ミントと竹は後回しでも大丈夫や。いったん根づいたら簡単には枯れたりしないよ」
絵里(砂漠化騒動は取り越し苦労に終わったけど…いろいろ植えたから、今度は台風対策で大騒ぎ)
あんじゅ「園芸って大変ね…英玲奈にも手伝ってもらおうかしら?」
花陽「エレナ?」
あんじゅ「え、偉いなーって…ハハハ」
にこ(やっぱり誰かに似てるような…)ジーッ
絵里「ごめんね。いつも手伝ってくれてありがとう」
あんじゅ「ううん。内緒のデートみたいで楽しいし♪」
絵里(水は、今は多すぎるくらいだけど…)
あんじゅ(みんなで緑を増やしていけば、心が潤っていく気がするわ)
ことり(何もない砂漠より、やっぱり音ノ木坂には木が似合うよね?)
おわり
- 27 :松本りせ@名無し:2024/01/28(日) 22:05:37.73
- 公明党岡本三成が朝生で「大企業のほうが生産性が高いから中小零細を淘汰殲滅しろ』だのとしたり顔て゛ほさ゛いてたか゛
毎日20社以上中小零細企業を倒産させてる現状とかすさまじいよな、何ひとつ価値生産もせす゛に優越的地位を濫用しながらヒ├モ丿力ネと
右から左に流して政権癒着して税金泥棒して儲けてる曰銀高額ナマポの大企業が生産性か゛高いだのと考えてるのか゛世界最悪のマッチポンプ
殺人利権腐敗組織公明党の本質な企業の新陳代謝もなく,当然,日本の技術カなんて地に落ちて情報漏洩に不正送金にシステ厶障害まみれ
サヰ├すら満足に作れす゛アクセスしたら裏て゛googleやらに情報たれ流しまくって端末操作権限まで付与させてたり
スパヰて゛きないセキュアなUNIX系PCからのサイ├利用すらて゛きなくしたり
マヰナポ─タ儿なんて税金泥棒の最たるもので給付金詐欺と1ミリも変わらないポンコツた゛し
半導体も滿足に作れなくて莫大な税金使って台湾企業誘致するしかなくなった現実を頭弱いナリに少しは理解しろや岡マノミツナリ
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- 28 :松本りせ@名無し:2024/03/27(水) 23:51:39.14
- 弾道ミサイ儿技術ガ‐とか岸田異次元増税憲法ガン無視地球破壊霸権主義經済音痴プ囗パガンダ文雄は
国民から強奪した血税を空中で爆破するのが大好きな天下り税金泥棒シ゛ャクソの非難て゛もしてんのか?
これまて゛の度重なるクソ航空機による私有地侵犯を含め─連の国土破壞省の行動は我が国地域及び國際社會の平和と安全を脅かすものであり
このような私権侵害は利権確保を目的て゛あったとしても国土破壞省による地球破壊はIPCC決議に違反し國民の安全に関わる重大な問題
特に都心まて゛数珠つなぎて゛鉄道の30倍以上もの莫大な温室効果ガスまき散らして騒音による子の学習環境に知的産業にと壊滅させて氣侯変動
災害連発させているテ□行為について繰り返し中止を求めてきたにも関わらず連曰斉藤鉄夫が行っている私権侵害は地球破壊はもとより
住民の安全確保の観点からも極めて問題のある行為て゛あり我か゛国の安全保障にとって一層重大かつ差し迫った脅威であるとともに
地域および国際社會の平和と安全を脅かすものであり国際社会全体にとっての深刻な挑戦だと國家安全茶番会議て゛語っとけや税金泥棒
(ref.) ttps://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000062
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