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∴ξ∵ξ∴steam...part2302∵ξ∴ξ∵【本スレ】

1 :Anonymous :2018/11/14(水) 19:03:47.09 .net
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∴ξ∵ξ∴steam...part2301∵ξ∴ξ∵【本スレ】
https://krsw.5ch.net/test/read.cgi/steam/1542090579/
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766 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:10:26.17 .net
いくら食ってもコレステロール阻害薬飲んでるから病気にはならない、いい時代ですなw

767 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:10:41.73 .net
「変な話になりましたね。でもあなたね、お金はお金、碁は碁じゃないか」
「碁は碁てぇ訳に行くものか、自分だけ勝てばいいってものじゃないんだよ。
 こういうものは勝ったり負けたりするから面白いんじゃないか。だからね、待ちなさい」
「いや、その話を持ち出す前なら待てましたが、こうなっては決して待てません」
「あなたも随分強…」
「ええ強情ですよ。子供の時分から強情で通ってますから」

768 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:10:59.99 .net
そう美濃屋に突っぱねられて、大旦那も後に引けなくなる。
「あぁ、そう。あぁ分かった、分かりましたよ。ここは私のウチでこの碁盤は私のだ。
 ここで囲碁なんぞするからケンカになるんだから、やめましょう」と、碁盤の上の石をグチャグチャにかき混ぜてしまった。
「あぁっ! 何も壊しちまうことはないでしょう。あなたも随分ワガマ…」
「ええ、ワガママですよ。子供の時分からワガママで通ってるんだ」
と返します。

769 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:11:17.81 .net
「そうですか、そういう方とお付き合いは出来ない。じゃぁ、私は帰ろう」
「帰る? 帰れとも言わないのに帰るのかい。あぁ、そうかい。
 帰れ帰れ、ヘボ」
「ヘボ!? ヘボはあなたじゃないか! 三度に一度は負けてやらなきゃ、
 張り合いもつくまいと思うから、こっちはわざと負けてんだ。それも知らないで勝ったつもりになって……。なんだこのザル!」
「ザルぅ!?」
「あぁ、あんたのは隙間だらけのザル碁じゃないか!」
「何言ってやがんだ大ヘボ!」
「うるさい大ザル!」
「金輪際、あなたとは碁は打たない!」
「あぁ、私も助かる! 忙しい中出てこなくて済む。二度と小僧さんを迎えに寄こすな!」
「誰が迎えになぞやるものか、帰れ!」
「おぉ、帰ぇる!」

770 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:11:21.28 .net
>>761
サミングがわからずググっちまったじゃねーかクソバカが

771 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:11:36.97 .net
 孫の二、三人もあろうかという大店のご隠居二人が、たった一目の事で大喧嘩。
 一日二日は孫を連れて、上野に行こう浅草に行こうなんてしてれば気も紛れますが、
 折り悪く三、四日雨でも降り続こうもんなら、だんだんと退屈をしてしまいます。

「碁敵は憎さも憎し懐かしし」
 なんてのは、実に上手いことを言うもので。

772 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:11:51.87 .net
「まったく、よく降る雨だな。こんなに降る事ぁないだろうに。おばあさん、お茶入れとくれ」と美濃屋。
「あなた、朝からお茶ばかり飲んでるじゃありませんか」
「いいじゃないか、お茶くらい好きなだけ飲んだって。グズグズ言う事ぁないよ。大体その猫を膝から下ろしたらどうだい! 猫ばかり抱いて。
この猫ババア!」
 などと、ご内儀に憎まれ口を叩いて、ため息を吐きます。

773 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:12:11.48 .net
「あー、こんな時に碁でも打ってられりゃなぁ……。 
 あいつとケンカなんぞするんじゃなかった。だけど、あんな古い話を持ち出されたんじゃ、意地でも待てるものか。
 まぁ、待ったって負けやしないけれど、あんな言い草されて……。
 あいつ、何してやがるのかなぁ。向こうだって退屈してるだろうに。
 小僧を迎えに寄こすがいいじゃないかなぁ……。」
 と、ここで小僧さんを迎えに寄こすなと言ったのを思い出し、
「あんなタンカ切るんじゃなかったなぁ」と後悔します。

「何してるだろうあいつ。
 こう雨が降り続くと冷え込むし、あいつは持病持ちだから寝込んじゃいないかな。もし、寝込んだりしてると可哀想だ……。
 見舞いにでも言ってやろうかしら。
 でもなぁ、あんなケンカして、こっちから行くのも悔しいしなぁ」

774 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:12:27.83 .net
 そこで、ふっと妙案が浮かびます。
「そうだ、店の前通ってみようかな。大概あいつは店に座ってんだ。こっちの姿見りゃ黙っちゃいられないだろう。
 『どこ行くんだい?』位のことぁ言うだろう。『うん、ちょいとそこまで』
と答えたら『じゃぁ、帰りに寄んなよ』なんて言うに違いない」
 思い立ったが吉日、よし、行ってみようと、おばあさんに向かって出かけるよと言って立ち上がります。

775 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:12:47.10 .net
「下駄出てるかい? あ、それとお前さんの傘貸しとくれよ」
「ダメですよ」
「 何で?」
「アタシも買い物に出ますから」
「じゃぁ、もう一本コウモリあったろ」
「あれは、倅が店に持って行ってそれっきりですよ」
「なんだい、傘くらい何本か用意しとけばいいじゃないか」
 文句を言いながら外を除いて、
「大した雨じゃないが、傘がないと濡れちまうしなぁ」
と独りぐちる。

776 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:13:03.49 .net
「なぁ、傘貸してくれよ、すぐ帰ってくるから」
「私もすぐに出るんですよ」
「それじゃぁ何かい? お前、私に濡れてけって言うのかい」
「濡れていけとは言ってませんよ、傘を持って行ってはいけないって言ってるんです」
「同じことじゃないか、いいよ、借りないよ」
 そう言って、玄関を見回すと、富士山に行った時の頭傘(かぶりがさ)を見つけます。
「いいのがあった。これをこうして……」
 頭傘を頭に乗っけて、顎紐を結わえると着物の袖を握って体に巻きつけるようにする。

「おばあさん、ちょいと出かけてくるよ」
「お止しなさいよ、そんな妙ちくりんな格好をして。どちらへ?」
「なに、ちょいとあいつの店の前まで」
「およしなさい、またケンカになるから」
「大丈夫だよ。あいつの店に行くんじゃない、前を通るだけだ」
 そう言って、ご内儀が止めるのも聞かないで家を出ると、案山子みたいな格好のまま通りへ向かいます。

777 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:13:21.33 .net
「けどなぁ、あいつが店に居りゃいいが、居なかったら無駄足だしな。と言って店ん中を覗き込むのは嫌だしな。
 前を通りながらちょいと見て、すぐ戻しゃバレないかしら。ちょいと見て、こう。ちょいと見て、こう」
 頭傘を頭に乗っけて、顔だけ横を向いたり前を向いたり。怪しい事この上ない美濃屋です。

778 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:13:56.44 .net
「定吉、火がないよ火が。
 お客さんがおいでになって、一服すると言ったって火種がないと困るだろう。早く火を持ってきな!
 それに誰だ、今日掃除したのは。長松お前か? 見ろ汚いったら。
 雑巾は何度も濯いで床を拭かないと、汚れを伸ばすばかりで床が斑になってるじゃないか。不精するんじゃないよ」
 ことらも、長雨ですっかり退屈している大旦那。
丁稚小僧に小言を言っていると、今度は店の中で孫がケンカを始める。
「これ! ケンカをするんじゃない。ほら兄ちゃんが妹のを盗っちゃいけないよ、これ泣くんじゃないよ、うるさいねまったく……。
 おい、お母ちゃん! お母ちゃんはいないのかい? ダメだよ子供を店で遊ばせてちゃ。奥に連れてきな!」
 と言ってるうちに、定吉が火種を持ってくる。

「お前、随分と火を持ってきたな。こんなにはいらないんだよ。
 たばこの火種なんだから、高いところが二つか三つありゃぁいいの。
 灰をかけろ、そんなに掛けるな頭を出せ、頭を出しなさい…お前の頭じゃないよバカ!」

779 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:14:14.98 .net
そんな大旦那を後ろから見て、三人目の孫にお乳をやりながら笑っている、倅の嫁を睨みつける大旦那。
「何だいこの人は、後ろでゲラゲラ笑ってるんじゃないよ。
 早く奥に子供を連れて行きなさい。それに何だいみっともない、おっぱいを放り出して店先に出るんじゃありませんよ」

 ハイハイと子供達を連れて、奥に引っ込む嫁の背中を見上がら、
「大きなおっぱいだよ全く。それに気が利かない。俺の女房ならとっくの昔に離縁をしてるが、倅のだから我慢をしてるんだ」
などと、一人でブツブツ。

780 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:14:31.31 .net
「それにしてもよく降る雨だなぁ。こんなに降らなくったっていいだろうに」
 そんな大旦那の様子に番頭さん、
「お退屈でございましょう。碁会所へお遊びに行かれてはいかがです」
と言う。すると大旦那、
「はっ、ダメさあんなトコ。相手がいないよ」と言う。
「相手が弱すぎてですか?」
「ふん、御冗談を……、強すぎるんだよ。こっちは何十目と負けちまうんだ。
 ああいうのは、一目半目を争うから面白いんだからね。何十目も負けちゃつまらない。
 大体この頃の若い奴は、本なぞ読んで勉強していやがるんだ、勝てるものかい」そう言いながらタバコの煙をぷかーっと吐き出す。

 そこで、番頭が気をきかせて、
「美濃屋さんへ、小僧を迎えにやらせましょうか」
と言うと、大旦那ニヤリと顔を緩ませるが、ハッと気づいて不機嫌になる。
「知ってるだろ、大喧嘩したの。
 そういやケンカの最中にお前さんが顔を出して、これは有難い、仲裁してもらおうと、私が目配せしたらお前さん『ん?』なんて気づきもしかったね」
 とんだ藪蛇。番頭さん話を誤魔化そうと、
「美濃屋さんはお強いんですか」などと聞いてしまう。

781 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:14:47.14 .net
「負けないよ、あんなやつになんぞに。あの石が死んじまうのがもったいないから、待ってもらえたらというやつだ。それをあいつぁ……。
 だけどいいんだよあんな事は。こっちは何とも思っちゃいないんだから。
 だから黙って来ればいいのに、強情なんだあの男は。子供の時分からずっとそうだ。変わらないんだよ」
 と、煙管をふかして、
「こんなに雨が降ってるってのに、何をしてんだか……」
なんて言いながら、表に目をやります。

782 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:15:02.11 .net
 すると、店を挟んで反対側の道を歩く、美濃屋の姿が目に入る。
 途端に大旦那、今までの仏頂面がパッと晴れます。
「来た来た、とうとう出て来ましたよ。私が我慢できないくらいなんだから、あいつに我慢出来るわけがないんだ」
 嬉しそうに番頭さんにそう言うと、奥に向かって、
「おーい! 盤を出しなさいよ、いつもの部屋。それとね、羊羹も切っておきなさい。あいつは甘い物が好きなんだから」と声をかけます。
「へへ、来てくれりゃぁいいんだよ。……あら?」
 そこで大旦那、美濃屋の格好に気づき、
「変な格好してきたよ、頭傘被ってやがる。んん? 何をしてやがるんだ。
 へへ、決まりが悪いもんだから向こうっかわ歩いてやがら。
 いつもの様にスっと入ぇって来りゃいいのに何してんだ、バカだねぇ」

 独り言を言いながら、大旦那が店の中から見ていると、美濃屋が店の向かいに差し掛かる。
「なんだい、首を振りながら歩いてるよ。何をしてやがんだスっと入ぇりゃいいじゃねえか……」
 大旦那が待ち構えている店の前を通り過ぎて、美濃屋、首を振りながら行ってしまいます。

783 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:15:19.58 .net
「……言っちゃったよ向こうに。ウチに来たんじゃないのかな」
「碁会所へ向かってるんじぁありませんか」と番頭さん。
「碁会所? 碁会所なんか行って打てる碁じゃないよ、あいつは。
 私としか打てない碁だ、遊びに行くトコなんぞあるものか」
とムキになって返す大旦那。

 すると、一度は通り過ぎた店の前を美濃屋、今度は向こうから引き返してくる。
「あ、戻ってきた。へへ、今度は『こんちわ』位の事は言うよ、私がここにいるの分かってんだから」
「大旦那さまが居るのに気が付いていないんじゃありませんかね」
「気が付いてない事ぁないよ。あんなに首振りながら歩いてんだから……。
 また向こう歩いていやがる。忙しいフリをしたってダメだよ。お互い隠居で暇なのは分かってんだから……」
 なんてブツブツ言いながら眺めていると、美濃屋またもお店の前を通り過ぎていく。

784 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:15:40.61 .net
「おい、帰っちゃったよ……。嫌な奴だな!
 ここまで来て帰る事ぁないじゃないか、私がここにいるのを分かってるんだから。
 あいつが、そういう男だってんなら私だって付き合いを考えるよ!」と、大旦那が身を乗り出すと、道の向こうに頭傘の男が立っている。

「へへへ、いたよ番頭さん。帰ったんじゃないよ、向こうのポストの脇に立ってやがる。あれじゃ、どっちがポストだか分かりゃしないね。
 どうせ入りづらくて悩んでるんだろうから…、よし! こっちから入りやすくしてやろう」と大旦那、奥に向かって、
「おーい! 盤をこっちに持ってきとくれ」
と言って、小僧が盤と石を持ってくると自分の前に置かせる。
 そして石を手に取ると、盤にパチンといい音をさせて打ち始めます。

「この音を聞けばあいつは店に入ってくるよ」
「入ってきますか?」と番頭さん。
「あぁ、入ってきますよ、まぁ見ていなさい」
 そう言って大旦那、盤の上に石をパチン、パチン。

785 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:15:55.04 .net
「驚いたね、巳年の奴は執念深ぇってのは本当だ。まだ、あの事を根に持っていやがる。
 最初に通ったら睨みつけやがって、二度目に通ったら下唇突き出して見やがってバカにしてやがら。
 売るケンカなら買ってやろうかな。あいつなんぞに負けるもんか」
 美濃屋が独りごちていると、店の中から聴き慣れた、パチンパチンと碁を打つ音。
「いいねぇ、あの音を聞くと胸がスっとするね。盤が良いんだね。石の方も膨らみがあってね。盤石が良いと二目三目腕が上がるてぇが、本当だね」
と、そこで美濃屋はたと気づく。

「あれ? 誰と打っていやがるんだ? 相手がいるのかな、相手がいるとなると穏やかじゃねえな」
 焦った美濃屋、今度は店の真ん前を首をふりふり通りすぎ、中の様子を伺おうとする。そんな様子が大旦那からも見えている。

786 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:16:31.49 .net
「ほら、出て来た出てきた、この盤を見て素通りをする事はないでしょう……あれ、行っちまうのか?
 バカだな、行ったり来たり店の前ウロウロしやがって……やい、ヘボ!」

 大旦那の声に美濃屋が、
「お、今ヘボと言ったな!」と返す。
「ヘボだろ。待ってくれが待てない位だ。ヘボだろうヘボ」
「待ってくれをいう方が余程ヘボだ。なんだこのザル」
「大ヘボ」「大ザル」
 すると大旦那、盤の上の石を片付ける。

「ここに盤が出てるんだ。ヘボだかザルだか一番やるか!」
「よし、受けた!」
と、途端に二人とも盤を挟んで笑顔になる。

787 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:16:51.93 .net
「へっへへ、ヘボでもザルでも構わない、この町内にあなたと私、子供の時分から残ってる友達はもう、二人っきりだ」と大旦那。
「だからさ、仲良くやりましょうよ。……あれ? 盤の上に雫が落ちてくるな」
 雨漏りかなと屋根を見上げるが、雨の持ってる様子がない。
 おかしいなと、盤の上の水を拭いて、始めようとするとまた雫が垂れてくる。
 と、ここで大旦那、やっと雫の正体に気がつきます。

「おい、まだ頭傘取らねえじゃないか」

おわり

788 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:19:28.12 .net
https://store.steampowered.com/app/617670/Zup_S/
早めの発売きたな

789 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:20:29.84 .net
減るゲートまだかよ

790 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:20:56.43 .net
江戸時代の本庄だるま横丁に左官の長平衛という、大変腕のいい職人さんがおりました。

791 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:21:13.35 .net
 しかし、千里走る馬には何かクセがあるもので。
「飲む、買う、打つ」の三道楽。
 中でも一番いけないのが、博打でございます。

792 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:21:41.07 .net
>>790
まだやんのかよてめえ!

793 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:21:54.53 .net
 悪い仲間に誘われて、ちょいと遊びのつもりで手を出したつもりがすっかりクセになってしまい長兵衛、三年この方仕事をしていない。
 それでも勝てばいいけれど、負けが込むと仕事の道具箱を質に入れ、それでも勝てないと箪笥をひっくり返して女房や娘の着物を質に入れる。
 挙句、それでも足りずに自分の来ている着物まで賭ける始末。
 そのうちに、いよいよ二進も三進も行かなくなった暮れの28日の晩。

794 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:21:58.37 .net
ブリーチのがよっぽどオタクアニメだとおもうけど
誰がみてるのかわからないし…

795 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:22:17.90 .net
長平衛が家(ウチ)に帰ると、明かりも付けない部屋の中で、女房が一人しくしくと泣いている。
 どうしたんだと聞いてみると、今年十八になる「お久」という一人娘が昨夜から帰ってこない。
 方々探してみたけれど何処にも見当たらないので、こんな暮らしが嫌になって何処かで身投げでもしてるんじゃないかしらと、
 途方にくれて泣いているという。

796 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:22:43.74 .net
「こんばんは」
 玄関のむこうから声がするので覗いてみると、仕事で世話になっている吉原の大店(おたな)佐野槌の番頭、藤助さんが立っている。
何でしょうと話を聞くと、
「女将さんが長平衛さんに話があるから来て欲しい」と言っているので、すぐに支度をして一緒に来て欲しいと言う。

797 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:23:07.92 .net
「いやぁ…伺いてえのは山々なんですが、少し取り込み事があるんですよ」「その取り込み事ってのは、もしかして娘さんの事じゃ御座いませんか?」
 驚いた長平衛が、実はそう通りでと答えると藤助さん
「娘さんでしたら、昨晩から手前どもに参っております」
と言う。これに驚いた長平衛は、
「そうですか…。ええ、それじゃぁ支度して後から伺いますんで、藤助さんは先に行ってておくんなさい。へい、支度したらすぐ伺いますんで」
そう言って藤助を帰したあと、女房の方に振り返ります。

798 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:23:26.12 .net
22:22:22:22キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

799 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:23:32.86 .net
「おい、お久、佐野槌にいるってよ」
「あんた行ってきたらいいじゃないか」
「『行ってきたら』ったって、尻切れ半纏一つじゃ行けねえじゃねえか」
「仕方ないじゃない。あんたが着物全部質に入れちゃうんだもの」
 そう言われるとぐうの音も出ない長平衛、ふと女房の着物を見ます。

800 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:23:43.25 .net
>>798
しゅごいwwwww

801 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:23:57.07 .net
「おう、お前ぇの着物貸してくんねぇ」
「着物貸せって、あたしゃ何着てればいいのさ」
「お前ぇは腰巻の上に尻切れ半纏着て座ってりゃぁいいじゃねえか。どうせ家に居るんだから」
「座ってりゃぁいいたって、腰巻は洗っちゃってありゃしないわよ」
「お前ぇ、何でこんな時に洗うんだよぉ」
「なんでたって、こんな事になるとは思わないもの」
「…じゃぁ、そこの風呂敷を腰に巻いてろい」
「嫌だよぉ、これお紋が付いてるじゃない」
「いいじゃねえか『紋付風呂敷』だ。立派なもんじゃねえか」
「なに言ってんだいバカバカしい!」
 嫌がる女房から無理に着物を剥ぎ取ると、長平衛は佐野槌に向かいます。

802 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:24:10.17 .net
>>792
手動だし0時付近でピタっと消えるよw

803 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:24:18.30 .net
「御免下さい」
 佐野槌についた長平衛が中に声を掛けると、
「こっちお入りよ長平衛さん」
と、奥から女将の声がする。
 言われた通り入ってみると、そこには女将が座って、お上がりよと言う。
「どうも、すっかりご無沙汰いたしまして。いえね、伺わなくちゃと思ってはいたんですが、どうにも忙しくって」
 本当はただ博打に明け暮れていただけだが、きまりが悪いので適当な事を言う長平衛、ふと目をやった部屋の角に、娘のお久を見つけます。
「あ! お久、 お前ぇ何だって黙って家を出ちゃうんだよ。おっかさん気違ぇのようになって騒いでたぞ。
それに何だよ大店に来るのにそのナリは。もっといい着物着てくりゃぁいいじゃねえか」

804 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:24:38.85 .net
「子供に小言を言うのはおよしよ長平衛さん。あんただって人のこと言えるナリじゃないね」
「へ、へい…すいません」
「長平衛さん、最近あんた随分と稼いでるんだってね」
と女将。
「商売替えしたって言うじゃないか」
「いえ、あっしは左官屋ですよ?」
 嘘をお言いよと笑う女将。

805 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:24:39.97 .net
バトルものはオタクじゃないみたいな思想やばくないです??

806 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:24:42.79 .net
11月16日 Warhammer 40,000: Mechanicus
11月16日 Underworld Ascendant
11月17日 Montaro RE
11月17日 ソード オブ レイピア
11月17日 鋼鉄のヴァンパイア
11月20日 Zup! S
11月20日 バトルフィールドV
11月21日 Farming Simulator 19
11月21日 Zup! Arena
11月22日 Woodpunk
11月24日 エイリアンフィールド3671特別版
11月24日 覇県を握れ 〜47都道府県大戦〜
11月28日 Darksiders III
11月28日 R-Type Dimensions EX
11月30日 FIGHTING EX LAYER
12月01日 Glass Masquerade 2: Illusions
12月01日 RIDE3
12月01日 URO
12月01日 X4: Foundations
12月01日 ウィッチアクション
12月04日 Mutant Year Zero: Road to Eden
12月04日 ロロナのアトリエ 〜アーランドの錬金術士 〜 DX
12月04日 トトリのアトリエ 〜アーランドの錬金術士2〜 DX
12月04日 メルルのアトリエ 〜アーランドの錬金術士3〜 DX
12月05日 Just Cause4
12月06日 Edge Of Eternity
12月07日 塊魂アンコール
12月11日 Kingdom Two Crowns
12月23日 GRIS
12月13日 Insurgency: Sandstorm
12月13日 ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ
12月20日 くにおくん ザ・ワールド 〜クラシックスコレクション
01月11日 テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER
01月16日 鬼武者
01月17日 ソードアート・オンライン フェイタル・バレット COMPLETE EDITION
01月25日 BIOHAZARD RE:2
01月25日 Tropico 6
02月01日 エースコンバット7
02月08日 GOD EATER 3
02月14日 信長の野望・大志:パワーアップキット
02月15日 DEAD OR ALIVE 6
02月22日 ANTHEM
02月23日 Metro Exodus
02月26日 DiRT Rally 2.0
02月27日 Anno 1800
03月06日 LEFT ALIVE
03月08日 デビル メイ クライ 5
03月15日 THE DIVISION2
03月23日 Sekiro: Shadows Die Twice

807 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:24:59.45 .net
「お前さん『屋根屋』になったっていうじゃないか。『めくってばかりいる』ってね」
博打三昧なのを見抜かれていた長平衛、決まりの悪さを笑ってごまかします。すると、女将は真剣な調子になり、
「実はね、お前さんを呼び出したのは他でもないんだけれども」
と、切り出します。

808 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:25:20.26 .net
もうすくぐモンタロじゃん早くパンティー拾い集めたい

809 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:25:26.77 .net
「昨夜の中引け頃だったね。入ってきたのがこの子だったよ。
おばさまご無沙汰しておりますって言うから、お前さんは? って聞いたら左官屋の長平衛の娘 お久ですと言う。
ああ、小さい時分によく、お父つぁんにお弁当を持って来てたね、今日はこんな遅くにどうしたんだいって聞いたら、この子がね、
『親の恥を晒すようではございますが、ウチのお父つぁんて人は三年この方仕事をしないで悪いことばかりしています。
 ウチん中も次第に左前になっておっ母さんとケンカばかり。
 この暮れにはどうにも遣り繰りがつかないから、お父つぁんとおっ母さんは夫婦別れをして、
 おっ母さんは何処か奉公に出て、お父つぁんは職人として、遠くに働きに出るという。
 あたしはそれを聞いて、子としてうっちゃってはおけませんから、お宅に駆け込んで参りました。
あたしの体を売ってこのお店でご奉公をさせて頂いて、そのお金をどうぞ、お父つぁんに渡して下さい』と、そう言うんだよ」
 女将は長平衛をじぃっと見ながら話を続けます。

810 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:25:35.56 .net
パンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティーパンティー

811 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:25:48.11 .net
「このぐらいの年頃はアレが欲しいのコレが欲しいのって、まだまだ親に甘えるものなのに、
この子は形振りを構わないで、親のために自分の体を売ると、そう言うんだよ? 
え? どうすんだい、長平衛さん。しっかりおしよ!」
 女将に叱られ長平衛は、すっかりシュンとしてしまいます。

812 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:26:07.05 .net
たっあん世代違うから話合わないねかわいそ

813 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:26:08.58 .net
「……スイヤセン。そんなつもりはなかったんですが、チョイとやった博打がすっかり病みつきになって、
 取り返ぇそう取り返ぇそうとやってるうち、こんなんなっちゃいまして……」
 そんな長平衛を見て、女将は
「じゃぁお前さん、この暮れ幾らあったら遣り繰りがつくんだい」
と訊きます。

814 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:26:33.94 .net
「そうですね……、方々借りのあるやつを返ぇして、道具箱を質から出して、どうにかこうにか格好がつくには、
 どうしても三十両なくちゃしょうがねぇんです」
「そうかい。じゃぁ、あたしがお前さんに五十両貸そうじゃないか」
 思わぬ女将の申し出に、長平衛大いに喜びます。
「五十両! へい、ありがとうございます!」
「いつ返す?」
 女将が訊くと長平衛
「そうですね、七草までには…」
などと言う。
「ちょいと。 そんな出来もしない事をお言いでないよ」
と、呆れた女将は少し考え、
「それじゃぁね、あんたが返せそうな期限をあたしが決めようじゃないか」
と言う。

815 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:26:56.63 .net
パーマン歌ったのにリアクションなしとか

816 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:26:57.22 .net
「半年待つよ」と女将。
「来年のお盆までに五十両お返し。一度に返そうと思っても中々出来るものじゃないから、
 お金ができたら幾らづつでもいいから持っておいで。あたしの方で預かるから。
 それまでこの子はあたしの方で預かって、色々嫁入りに必要な事を仕込んでおくから心配をしないで、しっかりと仕事をして。
ね、お前さんはコテを持たせたら江戸じゃぁ右に出る者のないって言われるくらい良い仕事をするんだから。
 一所懸命働けば、五十両のお金なんてすぐに返せるんだから。どうだい? それでいいかい?」
「…へえ、ありがとうございます」
「そうかい」
頷くと女将は、表に向かって五十両持ってくるように言いつけ、店の者が持ってきた五十両を長平衛の前に置きます。

817 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:27:19.95 .net
「さ、これを持ってお行き。でも、落っことすといけないね。あぁ、そうだ」
 そう言って女将、机の引き出しから財布を取り出します。
「この財布はね、死んだ亭主の着物をあたしが縫って拵えた財布だ。この財布にお金を入れて渡すからね。
この財布を見るたびにお前さん、佐野槌の女将にこう言われたって忘れないでおくれ」
 そう言って、ちょいと身を乗り出します。
「いいかい? お盆までに返せばいいんだよ。けれど、お前さんがまた悪い心を起こして博打でもして、
 貸した金を返せないとなったら、あたしだって騙されたのが悔しいから、この子を店に出すよ。
店に出して、悪い客でも取らせて、この子の体に間違いでもあったら……。
そりゃあ誰の所為でもない。お前さんの所為だ。
いいかい。そのつもりで一所懸命に働くんだよ」
「へい、ありがとうございます」
 長平衛さんは、畳に額を擦りつけるように礼を言うと、お久にしばしの別れを告げて店を出たのが、吉原で言う『大引け』過ぎ。
 さすが不夜の里もシーンと静まり返っておりました。

818 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:27:41.19 .net
 大門を出て吾妻橋まで歩きながら、反省しきりの長平衛。
「ああ、俺も随分と悪いことをした。どんな事をしてもお久を迎えに行かなくちゃならねぇんだ」
 そんな事を思いながら、吾妻橋の中程まで歩いてきます。

 すると、少しむこうに年頃21、2の若い男が見えます。
 縞の着物に前掛け、矢立を腰に差しているところを見ると、お店の若い衆らしい。
 その男が、橋の欄干へ捕まって、今まさに飛び込もうとしている。

819 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:28:02.87 .net
「おい! 待て!」
 その着物の端をしっかと掴んで引き戻そうとする長平衛。
「離して下さい! 離して下さい」
「おい、待て!いいから待てって!」
 長平衛を振り払って川へ飛び込もうとする若者と、必死に引き戻そうとする長平衛。
「おい、待て、待てったら、待たねえかこの野郎!」
 あまりに聞き分けのない若者に怒った長平衛、空いてる方の手で若者の頭を殴り飛ばします。

820 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:28:21.92 .net
「あ痛っ!」
 殴られた勢いで欄干から手を離して転がる若者は、殴られたところを押さえながら、
「何だって打つ(ぶつ)んです! 怪我でもしたらどうするんです!」
「…怪我でもしたらって、お前ぇ今、橋から飛び込もうとしてたじゃねえか」
 呆れながら長平衛が若者に尋ねます。

821 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:28:39.20 .net
「まだ歳は若ぇようだが、お前ぇ、何だって死のうとしてるんだ」
「生きちゃいられないんです!」
「へぇ、生きちゃいられない? だったらその訳を言ってみねぇ。
訳を聞いて俺が、なるほどそれは死ななきゃならねぇと思ったら、手伝って川に放り込んでやろう。だから訳を話してみねぇな」

822 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:28:56.95 .net
長平衛の言い草に、少し落ち着きを取り戻した若者は、ぽつりぽつり訳を話し始めます。
「わたくしは、日本橋の鼈甲問屋の若い者で文七と申します。
水戸様というお武家様のお屋敷へ、お支払いを受け取りに参りまして。
そのお金を懐に入れて帰る途中、枕橋のところで風体の怪しい男に突き当たられ、気がついたときには、もうそのお金がありません。
泥棒! と追いかけたけれども時すでに遅しで何処にも男の姿は見えません。
それで…、わたくしはもう、主人に顔向けが出来ませんので、ここで死ぬんで御座います」

823 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:29:26.17 .net
ハーマン・リー、な

824 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:29:31.98 .net
「おいおい、今夜幾日だと思ってるんだ。暮れの28日じゃねえか。
はっ倒したって金を持っていこうって晩だ。ボヤボヤすんなよぉ」
と長平衛、自分の事は棚に上げてそう言います。

「だけどよ、お前ぇが橋から飛び込んで死んだところで、金は返っちゃこねえや。一度戻って、主人に訳を話したらいいじゃねえか。
お前ぇの親でも兄弟でもいるだろう? 一緒に行ってもらってよ、謝んなよ」
「…わたくしには、親も兄弟もないんでございます。小さい時分から主人にお世話になっているのでございます」
 文七が下を向いたままそう言うのを聞いて、長平衛も困り果てます。

825 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:29:54.83 .net
「しょうがねえなぁ。じゃぁその金があればお前ぇ、ウチに帰ぇれるのかい?」
「左様でございます」
「取られた金ってのは幾らだ」
「五十両でございます」
「五十両!?」
 その金額の大きさに驚く長兵衛。

826 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:30:18.15 .net
「五十両ってなぁ随分重たいぜ? そんな銭取られて気づかなねぇかなぁ…。ともかく、お前ぇが飛び込んだところで何にもならねぇや。な?」
「いいえ、生きちゃいられません」
「生きちゃいられませんったって、ここに俺が通りがかってお前ぇが飛び込むのを黙って見ちゃいられねぇじゃねえか。
 お前ぇがどうしても飛び込むってんなら、俺ぁここを動かねえよ」
 文七の着物を掴んだまま、その場にどっかりと腰を下ろす長兵衛。

827 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:30:46.05 .net
「…そうですか。それでは死ぬのはやめます」
「そうか! 諦めてくれるか。あぁ良かった、一時はどうなるかと思ったんだよホントに……って、おおう! この野郎!」
 ホッとして手を離した隙に、再び川に飛び込もうとする文七を、長平衛慌てて掴みます。
「手前ぇ、今飛び込みは止めるって行ったじゃねえか! なんでそんな事するんだよぉ!」

 やっとの事で引き降ろした長平衛が訊くと、文七は、
「とても生きちゃぁいられないんです……」
とうわ言のように繰り返すばかり。

 長平衛が途方に暮れて懐に手をやると、そこには女将から借りた五十両。

828 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:31:10.15 .net
「じゃぁ、お前ぇは五十両ありゃぁ死なずに済むんだな?」
 文七が頷くのを見て、逡巡する長平衛。
 懐の五十両を渡せば目の前の若者は死なずに済むけれど、その五十両は娘のお久が自分の純潔を担保に借りてくれた大事な大事な金です。

829 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:31:38.62 .net
「どうしても死ぬのか?」
「ええ、生きちゃいられません」
 文七の決意は固く、助けるには金を渡すしかありません。でも……。

「どうだい、二十両にゃぁまからねぇか? だめ? どうしても五十両なくちゃいけねぇ?」
 真っ暗な空を見上げて悩みに悩む長平衛でしたが、よし! と言うと懐から女将の財布を取り出し、

「俺がお前ぇに、この五十両をやろう!」
 そう言って、文七の手に財布を置きます。

830 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:32:01.28 .net
「え、いえ、いけません! 見ず知らずの方にそんな大金を頂く訳には参りません!」
「俺だってやりたかねえやコンチクショウ! やりたかねえが、金がねえとお前ぇが死ぬてぇから仕方なくやるんじゃねえか!
さ、黙ってコレ持って帰ぇれ!」
 そう言って財布を文七にぐいっと押し付ける長兵衛。

831 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:32:22.25 .net
「いえ、いけません!」
「いけません?
さてはお前ぇ、俺がこんなナリしてるから、何処からか盗んできたとでも思ってんだな。そんな風に思われるのは癪に障るから話をするが…」
と、長平衛は五十両に纏わる経緯を文七に話して聞かせます。

832 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:32:50.82 .net
「金を返さなくたって俺の娘は死にゃぁしねえ。けど、お前ぇは金がねえと死ぬってえからやるんだ。分かったら持ってけ」
 そう言って財布を文七の方へ押しやります。
「いえ、そんな大事なお金、頂くわけには参りません!」
 押し返す文七。受け取れ受け取れませんと、五十両の入った財布が行ったり来たり。
 そのうちに業を煮やした長平衛は、財布を掴むと文七の額に投げつけると、「いいから持ってけコンチクショウ!」と言って、そのまま走って逃げてしまいます。

833 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:33:15.83 .net
∴ξ∵ξ∴steam...part2302∵ξ∴ξ∵【本スレ】
https://krsw.5ch.net/test/read.cgi/steam/1542208067/

834 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:33:19.54 .net
「イタタ…、バカ! 間抜け!」
 頭にきた文七が、長平衛の背中に向かって文句を言いながら見送ったあと、
「あんな汚いナリをして、五十両なんて金を持っているもんか。
 どうせ引っ込みがつかなくなって、この財布だって石か何か入ってるに違いないんだ。そんな硬いものぶつけてぶつけてきやがって……」
 などとブツブツ言いながら、財布の紐を解いて中を見た瞬間、
「あっ!」
 腰を抜かさんばかりに驚きます。

835 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:33:40.73 .net
梅ゴミいる?

836 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:33:43.40 .net
 そして、長平衛の去っていった方に向かって、地べたに頭を擦りつけながら「ありがとうございます……ありがとうございます……」
と、涙を流しながらいつまでも礼を言い続けたのでございます。

837 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:34:05.93 .net
おい梅ゴミ、もうここ埋めていいぞ新スレ立てるから

838 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:34:08.59 .net
「なんだい、文七はまだ帰らないのかい? 随分と遅いじゃないか」
 近江屋の主人、卯兵衛が番頭と話していたところに、丁度、文七が戻って参ります。
「……ただ今帰りました。遅くなって申し訳ございません」

 頭を下げる文七に、
「遅くなりましたじゃないよ。旦那様がどれだけ心配したと思うんだい」
と、番頭が叱ります。
「あい、すいません」

839 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:34:22.34 .net
おい梅ゴミ返事しろよクソカス

840 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:34:32.04 .net
「一体今まで何処で何をしてたんだい」
 卯兵衛が尋ねると文七は、
「はい、浅草でちょっと知り合いと会ったもので」
と、誤魔化します。それはそうです。預かった金を盗まれて死のうとしてたなんて、言える訳もありません。

「しょうがないね。心配するじゃないか」
 卯兵衛に言われて頭を下げる文七。

841 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:34:39.03 .net
15秒以内に返事しろよ

842 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:34:59.26 .net
ほんと何をやらせても駄目だな
だから無能って言われるんだよ

843 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:35:05.68 .net
「実はその、水戸様にお金を受け取りに行ったのですが、そこのお武家様に、お前の財布が気に入ったから自分の財布と取り替えて欲しいと、
 そう言われまして」
 そう言って、長平衛から貰った財布をおずおずと差し出します。

「これかい?」
そう言って財布に目をやった卯兵衛は番頭と目を合わせたあと、じっと文七を睨んで訊きます。

「お前、この金をどこから持ってきた」
「はい、ですから水戸様から…」
「嘘をつけ」
 卯兵衛はピシャリと言います。

844 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:35:15.64 .net
早く返事しろ梅ゴミ

845 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:35:29.57 .net
「いつも言ってるだろ?
お前が碁が好きなのは仕方ないが、仕事中はいけないよと。
お前はお屋敷に行って、碁を囲んでるうち遅くなったと言って慌てて帰ったというじゃないか。
お前が帰ったあと、碁盤をどけたらその下に財布があったと、お屋敷の使いの方が慌てて届けてくれたよ」
 それを聞いた文七は、もう真っ青になってガタガタ震えだします。

846 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:35:32.43 .net
まだですか〜?

847 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:35:52.12 .net
「え、それなのにお前は別に五十両を持ってきた。おかしいじゃないか。
お前、この五十両をどうしたんだ」
 卯兵衛が訊くと、文七は震えながら事の顛末を話して聞かせました。

848 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:35:53.73 .net
24時間ずっと見てろよカス

849 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:36:10.45 .net
ほんと君は役に立たないね

850 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:36:11.94 .net
 それをじっと聞いていた卯兵衛は感心したように、
「へぇ、金を取って逃げたというのはよく聞くが、金をぶつけて逃げたってのは初めて聞くね。それで、その方の名前は?」
「へぇ、それが名乗らずに行ってしまいましたもので」
「じゃぁ、娘さんがいるというお店の名前は」
「確か……カナヅチとかなんとか…」
 すっかり慌てていた文七、聞いたはずの店の名前が思い出せません。

851 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:36:29.57 .net
自分の無能っぷりを自覚したほうがいいのでは?

852 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:36:30.20 .net
「うーむ、吉原にカナヅチなんて店はないだろうしね。サイ寿司とかそんな名前かね……」
ブツブツ言いながら番頭に振り向いた卯兵衛は、
「ねぇ、番頭さん、吉原にサイ寿司なんて店はあるかい?」
「それは『サイ寿司』じゃなくて『佐野槌』でしょう。吉原の角にございます。
大間口でそりゃぁ玉(綺麗な女性)の揃ったいい店で…」

853 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:36:46.64 .net
わかったら今日中に埋めとけよ、わかった?

854 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:36:46.74 .net
「お前さん、随分詳しいねぇ。吉原の場所も知らないって言ってたじゃないか」
「あ、いえ、人から聞いた話で私は……」
 卯兵衛に言われてすっかりしどろもどろになる番頭でございました。

855 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:37:03.15 .net
わかったら返事!

856 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:37:08.86 .net
 あくる日、番頭と旦那は二人で出かけて、じきに戻ってくる。
 それから支度をして、文七をお供に店を出ます。

857 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:37:20.10 .net
返事が聞こえないけど?

858 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:37:26.71 .net
 浅草を歩いて吾妻橋にかかって参ります。
「ここかい?」
「……ここです。ここに飛び込もうとしたところを、あのお方に救われたんです」
「うん、そのお方の御恩を決して忘れちゃいけないよ。いいね」
 そんな話をしながら、二人は橋を渡ってから酒屋に入ります。

859 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:37:37.15 .net
あ、もしかして日本語わからない?

860 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:37:51.30 .net
「少々伺いますが、この辺に左官の長平衛さんって人はおりますか」
 卯兵衛が訊くと酒屋は、
「へぇ、この先の材木屋と荒物屋のお蔵の先の突き当たりですよ」
「ああ、そうですか。それじゃぁ五升のお酒の切手をお願いします。それと祝儀物に使うから柄樽を一つ」
 卯兵衛はそう注文して品物を受け取ると、柄樽を文七に持せて長平衛の家に向かいます。

861 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:38:03.33 .net
それなら今までの梅ゴミが謝罪謝罪言ってた意味がわかるな

862 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:38:10.93 .net
「どうしたってんだいこの人は!
お久が拵えてくれたお金をあんた、どこへやったってのさ!」
「だから夕べっから何度も言ってるじゃねえか! 死ぬって奴がいたからくれてやったんだ!」
「なに言ってんだい嘘をつき! どっかへ隠してまた、悪いことにでも使おうってんだろ!」
「隠しちゃねえよ! 何度も言わすな、身投げを助けたんだよ!」
「あんたが身投げ助けるってガラかい! 放り込む方じゃないか」
「放り込むとはなんだ! 仕方ねえじゃねえか、助けたんだよ!」
「あんたね、人を助けるってのは、助けるだけの力がある人がする事だよ。
あたしたちは今助けられる方じゃないか」
「そんなこと言ったって、若ぇ者が川に飛び込もうってんだ、助けなきゃ仕方ねえだろう!」
「いや、あんたがそんな事するハズがない。どこへ隠したんだい!」

863 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:38:19.98 .net
日本語わからないから言ってたのか

864 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:38:36.96 .net
喧々囂々、近所中に響くような大声でケンカをする二人の家の表玄関に立ち、卯兵衛が御免下さいましと声をかけます。
「おう! 誰だい!?」
「左官屋の長兵衛さんのお宅はこちらでしょうか」
「ああ、長平衛は俺だ。あ、ちょっと待っておくんない!」
 そう声をかけて。
「ほら、客が来たよ。お前ぇそこの屏風の裏に隠れてろ。何ででって、尻丸出しじゃみっともねぇだろう」
「一体、誰の所為なのさ」
 文句をいう女房を屏風の裏に押し込んで表の客人に声をかけます。

865 :Anonymous:2018/11/15(木) 22:38:43.59 .net
謝罪って、5ch内の事じゃないのかもな

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