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【アグノム来い】カイロス無視すんのやめろ飴41【ユクシーでもいい】

301 :ピカチュウ :2019/01/29(火) 19:00:12.41 ID:neoSSgRqxNIKU.net
最悪だ…、土砂降りなんて…。
私は、雨宿り出来そうな場所を探してケンタロスを走らせたが、 こんな山道じゃ期待できそうになかった。
あきらめかけた頃、道路わきに小さな屋根の建物が見えた。屋根付のバス停の様だ、あそこで雨宿りをしよう。
バス停の中には虫ポケモンが1匹、先客だろうか。
私は、ケンタロスをボールに戻して屋根の下に入った。

「こんにちは、雨宿りですか?」
先客の男性が声をかけてきた。 大学生ぐらいだろうか、まだあどけなさが残った顔つきだ。
「えぇ、さすがにこの雨じゃ危ないですから…」
私は、濡れたウェアの水を払いながら答えた。
今日はあまり人と話す気分ではないんだが。
「ポケモン帰りですか?僕はこの先の渓谷まで行って来ました。 今日は虫ポケモンがいっぱいで〜」
男性は、ポケモン取りでの出来事を話し出した。
私は軽く相槌を打ちながら、話半分で聞いていた。
「で、あなたはどちらへ?」
どちらへ…、私はどこからの帰りなんだろう。
先週までは私の住んでいたところ。今では、ただの他人の部屋。
同棲していた彼氏にフラれて、今日は合鍵を返しに行った帰り道だった。
何も、そんな最悪の帰り道に土砂降りの雨に遭わなくても。

「大丈夫ですか?」 声をかけられて気がついた、自分が泣いていることに。
あれだけ泣いたのに、まだ涙が流せたんだ。
「何かあったのなら話を聞きますよ。雨、まだ止みそうにないですし。」
人と話す気分ではなかったが、誰かに聞いて欲しかったんだろう。
堰を切ったかのように、私は一気に話した。
彼との出会い、初めて乗ったケンタロスの後ろ、彼と初めて行ったジム。
先週の出来事、自分の未来が消えたこと…。

「雨、止みましたね。」
どのくらい時間が経ったのだろうか、雨はいつの間にか止んでいた。男性は空を見上げながら言った。
「ポケモンっていいですよね。僕も昔は、ジムで最高速撃破にチャレンジしたり、ポケモン仲間でジムを潰しに行ったりしました。
ポケモンがいたから、楽しい思い出が沢山作れたと思います。 彼氏さんとの別れは辛かったでしょうが、彼のおかげでケンタロスに出会えた。
だから、僕達もここで会うことが出来た。 出会いがあるから別れがあって、別れがあるから出会いがあるんだと思います。 あなたには、きっといい出会いが待ってるんですよ。」
男性は、グローブの水気を払いながら言った。

「また、あなたと会えますか?」
私の口から、自然とその言葉が出ていた。 恥ずかしくて、思わず下を向いてしまった。
「あなたがトレーナーを続けていれば、また会えますよ。」 男性はそう言うと、ヘルメットをかぶってアゴ紐を締めた。
虫ポケモンに向かって歩き出す彼。 何か言わなきゃ…、でも何を言えば…。
私は夢中で声をかけた。
「あ…、あの…、その虫ポケモン、何て言うポケモンなんですか?」
男性はとびっきりの笑顔で答えてくれた。
「カイロスです」
〜カイロスキッド 旅情編〜

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