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【NIA】ポケモンGO Lv.1340【ポケゴ 】

1 :ピカチュウ :2019/10/11(金) 20:04:46.47 ID:cK8yqyoOM.net
!extend:checked:vvvvvv:1000:512
!extend:checked:vvvvvv:1000:512
スレ立て時↑が3行になるようコピペして下さい

★NGIP必須(以前から粘着しているコピペ荒らしのかまってちゃん。中身のない発言しかしないのでNGしても支障なし)
60.151.78.61

※sage推奨

■日本ポケモンGO 公式サイト
http://www.pokemongo.jp/
■日本ポケモンGO 公式
イベント&アップデート&サポート
http://pokemongolive.com/events
■Niantic ブログ
http://nianticlabs.com/blog-ja
■Pokemon GO 公式ツイッター
http://twitter.com/PokemonGOAppJP?lang=ja

次スレは>>950が宣言してから建ててください
建てられない場合は建てられない旨を宣言するか、または立てられる人が宣言して立ててください
荒らしはNGするかスルー
政治の話題、宣伝、基地外コテ、無関係なツイッター等を貼る荒らし、60.151.78.61に構う行為は全て禁止です


Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nianticlabs.pokemongo
iOS
https://itunes.apple.com/jp/app/pok%C3%A9mon-go/id1094591345?mt=8

前スレ
【NIA】ポケモンGO Lv.1339【ポケゴ 】
http://krsw.5ch.net/test/read.cgi/pokego/1570668927/
VIPQ2_EXTDAT: checked:vvvvvv:1000:512:: EXT was configured
(deleted an unsolicited ad)

520 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:23:34.60 ID:Ly5LvHRGM.net
>>513
グループで知った座標にテレポートで見せられる産地のだけ捕獲ってことだってできるし
実際偽装じゃない証拠ってだせんよな

521 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:24:45.07 ID:FgYPRSYy0.net
>>440
うちのサザンドラ
https://i.imgur.com/lmUwuIX.jpg

522 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:25:35.98 ID:yA7oTggb0.net
>>521
ごめん、ソ連の犬の生体実験フィルム思い出した

523 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:28:20.69 ID:gYTQgkwY0.net
この雨の中ジム攻撃してる馬鹿がいるわ

524 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:30:17.64 ID:0FbG68vE0.net
>>521
気持ち悪いから殺処分だわこいつ

525 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:31:03.35 ID:fYSKa2uW0.net
>>385
さっき、田んぼと用水路見に行った
異常なし!

526 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:33:08.01 ID:gUciGPji0.net
>>525
今からだぞ
ちゃんと見張っておかないとw

527 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:33:37.51 ID:krnlCJf80.net
>>523
落とさせて名前控えて粘着確定やろ

528 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:35:22.31 ID:7Gi56vpg0.net
>>527
何も悪いことしてないのに粘着するのか
たまげたなぁ

529 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:40:02.95 ID:5CCKQ+eh0.net
家から徒歩3分のとこにコリンクが出た
雨ブーストだし行きてえな…

530 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:41:18.97 ID:M+kdVFqm0.net
>>513
ガバイトは?

531 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:49:13.62 ID:LbbZjKkGd.net
ブーストでPL高いのが出るのはわかったんだけど、個体値も通常より高くなる傾向ある?

532 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:51:26.44 ID:x+LBfqF+0.net
>>531
4以上とかじゃなかったっけ

533 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:53:27.44 ID:LfN5Y7PQa.net
何やねん4てw

534 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:53:49.80 ID:krnlCJf80.net
>>528
不快にさせたんだから悪い事やろ

535 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:55:23.14 ID:M+kdVFqm0.net
>>531
最低保証4
レイドはもともとA以上だし個体値には関係ない

536 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:59:17.14 ID:lQDHoT9V0.net
やばい奴おおいな今日

537 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 12:59:23.02 ID:5CCKQ+eh0.net
台風の中ずぶ濡れになりながらコリンク捕まえに行った結果wwwwww
https://i.imgur.com/PwemkZC.jpg

538 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:02:14.70 ID:8miWIIpv0.net
夏クーラー出てないな

539 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:06:45.38 ID:M+kdVFqm0.net
>>536
コミュデイ用に予定空けてたやつも多いだろうし
偽装勢以外は雨ですることねぇんだよ

540 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:08:10.87 ID:FsUBUqWjr.net
ああ今本来ならコミュニティデイの時間か

541 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:08:58.99 ID:5CCKQ+eh0.net
それでジム行く道すがらナックラーがよく出たのか

542 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:10:12.27 ID:/LZw8Ot+a.net
すごい雨風のなか行ってよかった

https://i.imgur.com/vjorpre.jpg

543 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:10:38.63 ID:aHy0K4RE0.net
台風19号の名前がハピナスに見えるのはオレだけか?

544 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:11:06.77 ID:pSm8aCsea.net
オートキャッチャー午前配達なんだがまだ来ない
こういう時電話入れた方がええんか?

545 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:12:29.21 ID:FveyPxnd0.net
EX決まったらまじでレイド起こらないのな
主要ジム2つがEXだから15日までマックでしかギラティナ倒せんわ

546 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:13:42.43 ID:bmj27jfp0.net
>>537
雨ブースト乗ってるだけマシや

547 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:14:34.37 ID:Up7EySPn0.net
ほんと、うちの近所の粘着某色は元気だな、
偽装がつぶしたジムもうバチバチやってる。

548 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:14:47.83 ID:pvgxYnQY0.net
>>543
おれも

549 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:15:03.16 ID:x00qbxKT0.net
>>544
台風の影響でてる地域なら今日、明日は配送しないと思うよ。
何かあったら、大変だしな。

550 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:18:05.27 ID:Qigf9iAm0.net
>>544
配送業者の状況も察してやれよ

551 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:22:11.92 ID:N/o1RXCG0.net
暇だからボックス整理でもしようとしても交換したら光るかもと思って捨てられん

552 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:23:01.58 ID:FveyPxnd0.net
じょん@@mmohsumi 19h
ついに今夜、龍は目覚めるのか。

東京地下神殿、または世界最強の眠れる人工水脈。彩龍の川の二つ名をもつ首都圏外郭放水路が、今夜台風19号を迎え撃つことになる。
特撮の撮影ではなく本来の仕事をすることになるかもしれない、、、
http://pbs.twimg.com/media/EGlbOOBU8AAoYLF.jpg

553 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:23:30.62 ID:fYSKa2uW0.net
ちばらぎも停電広がってきたな
いつ停電になるかわからん

554 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:25:24.86 ID:u4A7Sokt0.net
>>551
もしかしたら「あるある」だよね
自分もそうだよw

555 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:29:08.00 ID:FveyPxnd0.net
フライゴンの通った後
https://i.imgur.com/0ot2N8v.jpg

556 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:29:49.20 ID:yA7oTggb0.net
え、ハピナスだろ

557 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:30:21.22 ID:UCA+Ntqua.net
>>554
主に何を残せばいいのか分からん教えて

558 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:30:53.37 ID:Qigf9iAm0.net
>>552
おお、埼玉の誇る名所だな

559 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:31:04.05 ID:UCA+Ntqua.net
>>554
主に何を残せばいいのか分からん教えて

560 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:31:36.06 ID:UCA+Ntqua.net
あら同じ事すまん

561 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:32:53.97 ID:FveyPxnd0.net
荒木健太郎@arakencloud 7m
関東や東海では台風19号接近に伴ってすでに大雨になっています.
神奈川や静岡,東京などで10月の観測史上1位の降水量を次々と更新,通年での観測史上1位の降水量になっている地域もあります.
これからまだ大雨は続き,風も強まります.
外出不可能になる前に,躊躇することなく避難判断・行動を!!

562 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:32:57.54 ID:PRUoSTR9a.net
>>426
先ずお前がなんかやったんだろ
いきなり粘着する奴なんか居ねーわバカ

563 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:34:45.76 ID:FveyPxnd0.net
43万人は無理w
https://i.imgur.com/Yob5ejm.jpg

564 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:35:16.10 ID:cf43by5v0.net
>>551
それな
一年以上前のポケモン送れない
3年以上たつと確率50%だったかな?

565 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:36:01.16 ID:SASTOEg90.net
>>558
テンプレ見よう
荒らしに触れちゃダメ

566 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:38:25.01 ID:rtdga9LD0.net
今の台風19号の名前もピンクデブに似た名前なんだよな
ハピギスでっけ?

567 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:40:15.75 ID:RvU1aia60.net
コミニティーボックスはふつうに売ってんのな

568 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:44:34.94 ID:FveyPxnd0.net
まじやん
https://pbs.twimg.com/media/EGoWaxvUcAAg-xi.jpg

569 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:45:10.47 ID:XJer5j4tp.net
台風ネタも出かけてる煽りも
ゴキブリアフィリエイト
ホイミソ堂ポケりんって無職の屑野郎が今までしとるんやぞwwwww
実際ポケGOで死者でたらコイツの責任ゾwwwww

570 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:45:14.42 ID:u4A7Sokt0.net
>>557
伝説はどんなに低個体でもとっておいてるよ
キラフレンドと交換したいから。
いつリアル友とキラフレンドになれるかわからんけどw
1人神奈川県のキラフレンド半年以上前から居るけど一生無理w
カイリキーも低個体はとってある
攻撃15でも防御HPが低いのは捨ててる
攻撃が良いのは必ずそれより悪くなる(体験の感想

571 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:46:07.34 ID:SASTOEg90.net
本当だ

572 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:46:12.74 ID:HASFmDr/0.net
やっとシャドウナゾノクサ取れて進化できた
ちょっとオラついたシャドウキレイハナが可愛いすぎるな

573 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:46:31.38 ID:u4A7Sokt0.net
>>559
伝説はキラフレンドと交換
そうじゃないのは、好みで普通のフレンドと交換

574 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:47:25.06 ID:OXTtkuhDd.net
支那シナの上海シャンハイの或ある町です。昼でも薄暗い或家の二
階に、人相の悪い印度インド人の婆さんが一人、商人らしい一人の
亜米利加アメリカ人と何か頻しきりに話し合っていました。
「実は今度もお婆さんに、占いを頼みに来たのだがね、――」
 亜米利加人はそう言いながら、新しい巻煙草まきたばこへ火をつ
けました。
「占いですか? 占いは当分見ないことにしましたよ」
 婆さんは嘲あざけるように、じろりと相手の顔を見ました。
「この頃は折角見て上げても、御礼さえ碌ろくにしない人が、多く
なって来ましたからね」
「そりゃ勿論もちろん御礼をするよ」
 亜米利加人は惜しげもなく、三百弗ドルの小切手を一枚、婆さん
の前へ投げてやりました。
「差当りこれだけ取って置くさ。もしお婆さんの占いが当れば、そ
の時は別に御礼をするから、――」
 婆さんは三百弗の小切手を見ると、急に愛想あいそがよくなりま
した。
「こんなに沢山頂いては、反かえって御気の毒ですね。――そうし
て一体又あなたは、何を占ってくれろとおっしゃるんです?」
「私わたしが見て貰もらいたいのは、――」
 亜米利加人は煙草を啣くわえたなり、狡猾こうかつそうな微笑を
浮べました。
「一体日米戦争はいつあるかということなんだ。それさえちゃんと
わかっていれば、我々商人は忽たちまちの内に、大金儲おおがねも
うけが出来るからね」
「じゃ明日あしたいらっしゃい。それまでに占って置いて上げます
から」

575 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:47:26.31 ID:0WQ3a8TNd.net
https://i.imgur.com/tmR32cM.jpg

576 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:47:58.54 ID:HQn9b5PNd.net
海外ではやってるわけだから当然ボックスうるんだろうが
日本の開催日に販売されるんだろうか

577 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:48:12.84 ID:OXTtkuhDd.net
「そうか。じゃ間違いのないように、――」
 印度人の婆さんは、得意そうに胸を反そらせました。
「私の占いは五十年来、一度も外はずれたことはないのですよ。何
しろ私のはアグニの神が、御自身御告げをなさるのですからね」
 亜米利加人が帰ってしまうと、婆さんは次の間まの戸口へ行って

「恵蓮えれん。恵蓮」と呼び立てました。
 その声に応じて出て来たのは、美しい支那人の女の子です。が、
何か苦労でもあるのか、この女の子の下しもぶくれの頬ほおは、ま
るで蝋ろうのような色をしていました。
「何を愚図々々ぐずぐずしているんだえ? ほんとうにお前位、ず
うずうしい女はありゃしないよ。きっと又台所で居睡いねむりか何
かしていたんだろう?」
 恵蓮はいくら叱しかられても、じっと俯向うつむいたまま黙って
いました。
「よくお聞きよ。今夜は久しぶりにアグニの神へ、御伺いを立てる
んだからね、そのつもりでいるんだよ」
 女の子はまっ黒な婆さんの顔へ、悲しそうな眼を挙あげました。
「今夜ですか?」
「今夜の十二時。好いいかえ? 忘れちゃいけないよ」
 印度人の婆さんは、脅おどすように指を挙げました。
「又お前がこの間のように、私に世話ばかり焼かせると、今度こそ
お前の命はないよ。お前なんぞは殺そうと思えば、雛ひよっ仔この
頸くびを絞めるより――」
 こう言いかけた婆さんは、急に顔をしかめました。ふと相手に気
がついて見ると、恵蓮はいつか窓際まどぎわに行って、丁度明いて
いた硝子ガラス窓から、寂しい往来を眺ながめているのです。
「何を見ているんだえ?」
 恵蓮は愈いよいよ色を失って、もう一度婆さんの顔を見上げまし
た。

578 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:51:17.40 ID:1hX9n78f0.net
>>520
産地出せって、出された後もでも○○は〜みたいなこと言って、嫉妬し過ぎて見苦しいwww

579 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:51:22.97 ID:G2g0v9+Hd.net
「よし、よし、そう私を莫迦ばかにするんなら、まだお前は痛い目
に会い足りないんだろう」
 婆さんは眼を怒いからせながら、そこにあった箒ほうきをふり上
げました。
 丁度その途端です。誰か外へ来たと見えて、戸を叩たたく音が、
突然荒々しく聞え始めました。
     二
 その日のかれこれ同じ時刻に、この家の外を通りかかった、年の
若い一人の日本人があります。それがどう思ったのか、二階の窓か
ら顔を出した支那人の女の子を一目見ると、しばらくは呆気あっけ
にとられたように、ぼんやり立ちすくんでしまいました。
 そこへ又通りかかったのは、年をとった支那人の人力車夫です。
「おい。おい。あの二階に誰が住んでいるか、お前は知っていない
かね?」
 日本人はその人力車夫へ、いきなりこう問いかけました。支那人
は楫棒かじぼうを握ったまま、高い二階を見上げましたが、「あす
こですか? あすこには、何とかいう印度人の婆さんが住んでいま
す」と、気味悪そうに返事をすると、匆々そうそう行きそうにする
のです。
「まあ、待ってくれ。そうしてその婆さんは、何を商売にしている
んだ?」
「占い者しゃです。が、この近所の噂うわさじゃ、何でも魔法さえ
使うそうです。まあ、命が大事だったら、あの婆さんの所なぞへは
行かない方が好よいようですよ」
 支那人の車夫が行ってしまってから、日本人は腕を組んで、何か
考えているようでしたが、やがて決心でもついたのか、さっさとそ
の家の中へはいって行きました。すると突然聞えて来たのは、婆さ
んの罵ののしる声に交った、支那人の女の子の泣き声です。日本人
はその声を聞くが早いか、一股ひとまたに二三段ずつ、薄暗い梯子
はしごを駈かけ上りました。そうして婆さんの部屋の戸を力一ぱい
叩き出しました。

580 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:55:51.28 ID:4BjIzYPZ0.net
今、ナックラー進化で特別な技覚えるの?

581 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 13:56:01.03 ID:G2g0v9+Hd.net
戸は直ぐに開きました。が、日本人が中へはいって見ると、そこ
には印度人の婆さんがたった一人立っているばかり、もう支那人の
女の子は、次の間へでも隠れたのか、影も形も見当りません。
「何か御用ですか?」
 婆さんはさも疑わしそうに、じろじろ相手の顔を見ました。
「お前さんは占い者だろう?」
 日本人は腕を組んだまま、婆さんの顔を睨にらみ返しました。
「そうです」
「じゃ私の用なぞは、聞かなくてもわかっているじゃないか? 私
も一つお前さんの占いを見て貰いにやって来たんだ」
「何を見て上げるんですえ?」
 婆さんは益ますます疑わしそうに、日本人の容子ようすを窺うか
がっていました。
「私の主人の御嬢さんが、去年の春行方ゆくえ知れずになった。そ
れを一つ見て貰いたいんだが、――」
 日本人は一句一句、力を入れて言うのです。
「私の主人は香港ホンコンの日本領事だ。御嬢さんの名は妙子たえ
こさんとおっしゃる。私は遠藤という書生だが――どうだね? そ
の御嬢さんはどこにいらっしゃる」
 遠藤はこう言いながら、上衣うわぎの隠しに手を入れると、一挺
ちょうのピストルを引き出しました。
「この近所にいらっしゃりはしないか? 香港の警察署の調べた所
じゃ、御嬢さんを攫さらったのは、印度人らしいということだった
が、――隠し立てをすると為ためにならんぞ」
 しかし印度人の婆さんは、少しも怖こわがる気色けしきが見えま
せん。見えないどころか唇くちびるには、反って人を莫迦にしたよ
うな微笑さえ浮べているのです。
「お前さんは何を言うんだえ? 私はそんな御嬢さんなんぞは、顔
を見たこともありゃしないよ」
「嘘うそをつけ。今その窓から外を見ていたのは、確たしかに御嬢
さんの妙子さんだ」
 遠藤は片手にピストルを握ったまま、片手に次の間の戸口を指さ
しました。
「それでもまだ剛情を張るんなら、あすこにいる支那人をつれて来
い」
「あれは私の貰い子だよ」
 婆さんはやはり嘲るように、にやにや独ひとり笑っているのです

「貰い子か貰い子でないか、一目見りゃわかることだ。貴様がつれ
て来なければ、おれがあすこへ行って見る」
 遠藤が次の間へ踏みこもうとすると、咄嗟とっさに印度人の婆さ
んは、その戸口に立ち塞ふさがりました。
「ここは私の家うちだよ。見ず知らずのお前さんなんぞに、奥へは
いられてたまるものか」

582 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:01:52.50 ID:9gPTALcRd.net
「退どけ。退かないと射殺うちころすぞ」
 遠藤はピストルを挙げました。いや、挙げようとしたのです。が
、その拍子に婆さんが、鴉からすの啼なくような声を立てたかと思
うと、まるで電気に打たれたように、ピストルは手から落ちてしま
いました。これには勇み立った遠藤も、さすがに胆きもをひしがれ
たのでしょう、ちょいとの間は不思議そうに、あたりを見廻してい
ましたが、忽ち又勇気をとり直すと、
「魔法使め」と罵ののしりながら、虎とらのように婆さんへ飛びか
かりました。
 が、婆さんもさるものです。ひらりと身を躱かわすが早いか、そ
こにあった箒ほうきをとって、又掴つかみかかろうとする遠藤の顔
へ、床ゆかの上の五味ごみを掃きかけました。すると、その五味が
皆火花になって、眼といわず、口といわず、ばらばらと遠藤の顔へ
焼きつくのです。
 遠藤はとうとうたまり兼ねて、火花の旋風つむじかぜに追われな
がら、転ころげるように外へ逃げ出しました。
     三
 その夜よの十二時に近い時分、遠藤は独り婆さんの家の前にたた
ずみながら、二階の硝子窓に映る火影ほかげを口惜くやしそうに見
つめていました。
「折角御嬢さんの在ありかをつきとめながら、とり戻すことが出来
ないのは残念だな。一そ警察へ訴えようか? いや、いや、支那の
警察が手ぬるいことは、香港でもう懲り懲りしている。万一今度も
逃げられたら、又探すのが一苦労だ。といってあの魔法使には、ピ
ストルさえ役に立たないし、――」
 遠藤がそんなことを考えていると、突然高い二階の窓から、ひら
ひら落ちて来た紙切れがあります。
「おや、紙切れが落ちて来たが、――もしや御嬢さんの手紙じゃな
いか?」
 こう呟つぶやいた遠藤は、その紙切れを、拾い上げながらそっと
隠した懐中電燈を出して、まん円まるな光に照らして見ました。す
ると果して紙切れの上には、妙子が書いたのに違いない、消えそう
な鉛筆の跡があります。
「遠藤サン。コノ家うちノオ婆サンハ、恐シイ魔法使デス。時々真
夜中ニ私わたくしノ体ヘ、『アグニ』トイウ印度ノ神ヲ乗リ移ラセ
マス。私ハソノ神ガ乗リ移ッテイル間中、死ンダヨウニナッテイル
ノデス。デスカラドンナ事ガ起ルカ知リマセンガ、何デモオ婆サン
ノ話デハ、『アグニ』ノ神ガ私ノ口ヲ借リテ、イロイロ予言ヲスル
ノダソウデス。今夜モ十二時ニハオ婆サンガ又『アグニ』ノ神ヲ乗

583 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:02:06.43 ID:9gPTALcRd.net
リ移ラセマス。イツモダト私ハ知ラズ知ラズ、気ガ遠クナッテシマ
ウノデスガ、今夜ハソウナラナイ内ニ、ワザト魔法ニカカッタ真似
まねヲシマス。ソウシテ私ヲオ父様ノ所ヘ返サナイト『アグニ』ノ
神ガオ婆サンノ命ヲトルト言ッテヤリマス。オ婆サンハ何ヨリモ『
アグニ』ノ神ガ怖こわイノデスカラ、ソレヲ聞ケバキット私ヲ返ス
ダロウト思イマス。ドウカ明日あしたノ朝モウ一度、オ婆サンノ所
ヘ来テ下サイ。コノ計略ノ外ほかニハオ婆サンノ手カラ、逃ゲ出ス
ミチハアリマセン。サヨウナラ」
 遠藤は手紙を読み終ると、懐中時計を出して見ました。時計は十
二時五分前です。
「もうそろそろ時刻になるな、相手はあんな魔法使だし、御嬢さん
はまだ子供だから、余程運が好くないと、――」
 遠藤の言葉が終らない内に、もう魔法が始まるのでしょう。今ま
で明るかった二階の窓は、急にまっ暗になってしまいました。と同
時に不思議な香こうの匂においが、町の敷石にも滲しみる程、どこ
からか静しずかに漂って来ました。
     四
 その時あの印度人の婆さんは、ランプを消した二階の部屋の机に
、魔法の書物を拡ひろげながら、頻しきりに呪文じゅもんを唱えて
いました。書物は香炉の火の光に、暗い中でも文字だけは、ぼんや
り浮き上らせているのです。
 婆さんの前には心配そうな恵蓮が、――いや、支那服を着せられ
た妙子が、じっと椅子に坐っていました。さっき窓から落した手紙
は、無事に遠藤さんの手へはいったであろうか? あの時往来にい
た人影は、確に遠藤さんだと思ったが、もしや人違いではなかった
であろうか?――そう思うと妙子は、いても立ってもいられないよ
うな気がして来ます。しかし今うっかりそんな気けぶりが、婆さん
の眼にでも止まったが最後、この恐しい魔法使いの家から、逃げ出
そうという計略は、すぐに見破られてしまうでしょう。ですから妙
子は一生懸命に、震える両手を組み合せながら、かねてたくんで置
いた通り、アグニの神が乗り移ったように、見せかける時の近づく
のを今か今かと待っていました。
 婆さんは呪文を唱えてしまうと、今度は妙子をめぐりながら、い

584 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:02:10.97 ID:rtdga9LD0.net
マジかよ運営最低だな

585 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:02:26.54 ID:dLeXDIXr0.net
大阪だけどちょっと天気悪い程度で開催してもらっても全然影響ないわ
やっぱ東京中心で開催も中止も決められるんやね

586 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:02:34.17 ID:9gPTALcRd.net
ろいろな手ぶりをし始めました。或時は前へ立ったまま、両手を左
右に挙げて見せたり、又或時は後へ来て、まるで眼かくしでもする
ように、そっと妙子の額の上へ手をかざしたりするのです。もしこ
の時部屋の外から、誰か婆さんの容子を見ていたとすれば、それは
きっと大きな蝙蝠こうもりか何かが、蒼白あおじろい香炉の火の光
の中に、飛びまわってでもいるように見えたでしょう。
 その内に妙子はいつものように、だんだん睡気ねむけがきざして
来ました。が、ここで睡ってしまっては、折角の計略にかけること
も、出来なくなってしまう道理です。そうしてこれが出来なければ
、勿論二度とお父さんの所へも、帰れなくなるのに違いありません

「日本の神々様、どうか私わたしが睡らないように、御守りなすっ
て下さいまし。その代り私はもう一度、たとい一目でもお父さんの
御顔を見ることが出来たなら、すぐに死んでもよろしゅうございま
す。日本の神々様、どうかお婆さんを欺だませるように、御力を御
貸し下さいまし」
 妙子は何度も心の中に、熱心に祈りを続けました。しかし睡気は
おいおいと、強くなって来るばかりです。と同時に妙子の耳には、
丁度銅鑼どらでも鳴らすような、得体の知れない音楽の声が、かす
かに伝わり始めました。これはいつでもアグニの神が、空から降り
て来る時に、きっと聞える声なのです。
 もうこうなってはいくら我慢しても、睡らずにいることは出来ま
せん。現に目の前の香炉の火や、印度人の婆さんの姿でさえ、気味
の悪い夢が薄れるように、見る見る消え失うせてしまうのです。
「アグニの神、アグニの神、どうか私わたしの申すことを御聞き入
れ下さいまし」
 やがてあの魔法使いが、床の上にひれ伏したまま、嗄しわがれた

587 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:02:59.80 ID:DV0rzGpCd.net
声を挙げた時には、妙子は椅子に坐りながら、殆ほとんど生死も知
らないように、いつかもうぐっすり寝入っていました。
     五
 妙子は勿論婆さんも、この魔法を使う所は、誰の眼にも触れない
と、思っていたのに違いありません。しかし実際は部屋の外に、も
う一人戸の鍵穴かぎあなから、覗のぞいている男があったのです。
それは一体誰でしょうか?――言うまでもなく、書生の遠藤です。
 遠藤は妙子の手紙を見てから、一時は往来に立ったなり、夜明け
を待とうかとも思いました。が、お嬢さんの身の上を思うと、どう
してもじっとしてはいられません。そこでとうとう盗人ぬすびとの
ように、そっと家の中へ忍びこむと、早速この二階の戸口へ来て、
さっきから透き見をしていたのです。
 しかし透き見をすると言っても、何しろ鍵穴を覗くのですから、
蒼白い香炉の火の光を浴びた、死人のような妙子の顔が、やっと正
面に見えるだけです。その外ほかは机も、魔法の書物も、床にひれ
伏した婆さんの姿も、まるで遠藤の眼にははいりません。しかし嗄
しわがれた婆さんの声は、手にとるようにはっきり聞えました。
「アグニの神、アグニの神、どうか私の申すことを御聞き入れ下さ
いまし」
 婆さんがこう言ったと思うと、息もしないように坐っていた妙子
は、やはり眼をつぶったまま、突然口を利きき始めました。しかも
その声がどうしても、妙子のような少女とは思われない、荒々しい
男の声なのです。
「いや、おれはお前の願いなぞは聞かない。お前はおれの言いつけ
に背そむいて、いつも悪事ばかり働いて来た。おれはもう今夜限り
、お前を見捨てようと思っている。いや、その上に悪事の罰を下し
てやろうと思っている」
 婆さんは呆気あっけにとられたのでしょう。暫くは何とも答えず
に、喘あえぐような声ばかり立てていました。が、妙子は婆さんに
頓着とんじゃくせず、おごそかに話し続けるのです。
「お前は憐あわれな父親の手から、この女の子を盗んで来た。もし
命が惜しかったら、明日あすとも言わず今夜の内に、早速この女の
子を返すが好よい」
 遠藤は鍵穴に眼を当てたまま、婆さんの答を待っていました。す
ると婆さんは驚きでもするかと思いの外ほか、憎々しい笑い声を洩

588 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:03:39.65 ID:DV0rzGpCd.net
もらしながら、急に妙子の前へ突っ立ちました。
「人を莫迦ばかにするのも、好いい加減におし。お前は私を何だと
思っているのだえ。私はまだお前に欺される程、耄碌もうろくはし
ていない心算つもりだよ。早速お前を父親へ返せ――警察の御役人
じゃあるまいし、アグニの神がそんなことを御言いつけになってた
まるものか」
 婆さんはどこからとり出したか、眼をつぶった妙子の顔の先へ、
一挺のナイフを突きつけました。
「さあ、正直に白状おし。お前は勿体もったいなくもアグニの神の
、声色こわいろを使っているのだろう」
 さっきから容子を窺っていても、妙子が実際睡っていることは、
勿論遠藤にはわかりません。ですから遠藤はこれを見ると、さては
計略が露顕したかと思わず胸を躍おどらせました。が、妙子は相変
らず目蓋まぶた一つ動かさず、嘲笑あざわらうように答えるのです

「お前も死に時が近づいたな。おれの声がお前には人間の声に聞え
るのか。おれの声は低くとも、天上に燃える炎の声だ。それがお前
にはわからないのか。わからなければ、勝手にするが好いい。おれ
は唯ただお前に尋ねるのだ。すぐにこの女の子を送り返すか、それ
ともおれの言いつけに背くか――」
 婆さんはちょいとためらったようです。が、忽ち勇気をとり直す
と、片手にナイフを握りながら、片手に妙子の襟髪えりがみを掴つ
かんで、ずるずる手もとへ引き寄せました。
「この阿魔あまめ。まだ剛情を張る気だな。よし、よし、それなら
約束通り、一思いに命をとってやるぞ」
 婆さんはナイフを振り上げました。もう一分間遅れても、妙子の
命はなくなります。遠藤は咄嗟とっさに身を起すと、錠のかかった
入口の戸を無理無体に明けようとしました。が、戸は容易に破れま
せん。いくら押しても、叩いても、手の皮が摺すり剥むけるばかり
です。
     六
 その内に部屋の中からは、誰かのわっと叫ぶ声が、突然暗やみに
響きました。それから人が床の上へ、倒れる音も聞えたようです。

589 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:04:36.98 ID:DV0rzGpCd.net
遠藤は殆ど気違いのように、妙子の名前を呼びかけながら、全身の
力を肩に集めて、何度も入口の戸へぶつかりました。
 板の裂ける音、錠のはね飛ぶ音、――戸はとうとう破れました。
しかし肝腎かんじんの部屋の中は、まだ香炉に蒼白い火がめらめら
燃えているばかり、人気ひとけのないようにしんとしています。
 遠藤はその光を便りに、怯おず怯ずあたりを見廻しました。
 するとすぐに眼にはいったのは、やはりじっと椅子にかけた、死
人のような妙子です。それが何故なぜか遠藤には、頭かしらに毫光
ごこうでもかかっているように、厳おごそかな感じを起させました

「御嬢さん、御嬢さん」
 遠藤は椅子へ行くと、妙子の耳もとへ口をつけて、一生懸命に叫
び立てました。が、妙子は眼をつぶったなり、何とも口を開きませ
ん。
「御嬢さん。しっかりおしなさい。遠藤です」
 妙子はやっと夢がさめたように、かすかな眼を開きました。
「遠藤さん?」
「そうです。遠藤です。もう大丈夫ですから、御安心なさい。さあ
、早く逃げましょう」
 妙子はまだ夢現ゆめうつつのように、弱々しい声を出しました。
「計略は駄目だったわ。つい私が眠ってしまったものだから、――
堪忍かんにんして頂戴よ」
「計略が露顕したのは、あなたのせいじゃありませんよ。あなたは
私と約束した通り、アグニの神の憑かかった真似まねをやり了おお
せたじゃありませんか?――そんなことはどうでも好いいことです
。さあ、早く御逃げなさい」
 遠藤はもどかしそうに、椅子から妙子を抱き起しました。
「あら、嘘うそ。私は眠ってしまったのですもの。どんなことを言
ったか、知りはしないわ」
 妙子は遠藤の胸に凭もたれながら、呟つぶやくようにこう言いま
した。
「計略は駄目だったわ。とても私は逃げられなくってよ」
「そんなことがあるものですか。私と一しょにいらっしゃい。今度
しくじったら大変です」
「だってお婆さんがいるでしょう?」
「お婆さん?」
 遠藤はもう一度、部屋の中を見廻しました。机の上にはさっきの
通り、魔法の書物が開いてある、――その下へ仰向あおむきに倒れ

590 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:04:57.38 ID:dGeQ61kf0.net
これって49.104のNGで大丈夫なの?

591 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:05:04.49 ID:5CCKQ+eh0.net
いやこんな天気で開催されたら困るわw
傘は壊れる

592 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:05:45.94 ID:FsSVm0NCd.net
>>590
問題ないよ

593 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:06:04.63 ID:n3Ryoig5d.net
ているのは、あの印度人の婆さんです。婆さんは意外にも自分の胸
へ、自分のナイフを突き立てたまま、血だまりの中に死んでいまし
た。
「お婆さんはどうして?」
「死んでいます」
 妙子は遠藤を見上げながら、美しい眉をひそめました。
「私、ちっとも知らなかったわ。お婆さんは遠藤さんが――あなた
が殺してしまったの?」
 遠藤は婆さんの屍骸しがいから、妙子の顔へ眼をやりました。今
夜の計略が失敗したことが、――しかしその為に婆さんも死ねば、
妙子も無事に取り返せたことが、――運命の力の不思議なことが、
やっと遠藤にもわかったのは、この瞬間だったのです。
「私が殺したのじゃありません。あの婆さんを殺したのは今夜ここ
へ来たアグニの神です」
 遠藤は妙子を抱かかえたまま、おごそかにこう囁ささやきました


594 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:06:12.37 ID:AkMDnqCJ0.net
>>585
そりゃ都会以外快適に出来たダンバルが再開催したくらいだからな
地方田舎がだったら無関係よ

595 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:06:43.06 ID:LfN5Y7PQa.net
>>590
自分で考えて黙ってやろうや
そういう俺今からNGするからな!て必死なアピールすると荒らしはかまってもらえて喜ぶからさ

596 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:07:50.46 ID:n3Ryoig5d.net
これはある精神病院の患者、――第二十三号がだれにでもしゃべる話である。
彼はもう三十を越しているであろう。が、一見したところはいかにも若々しい
狂人である。彼の半生の経験は、――いや、そんなことはどうでもよい。彼は
ただじっと両膝りょうひざをかかえ、時々窓の外へ目をやりながら、(鉄格子
てつごうしをはめた窓の外には枯れ葉さえ見えない樫かしの木が一本、雪曇り
の空に枝を張っていた。)院長のS博士や僕を相手に長々とこの話をしゃべり
つづけた。もっとも身ぶりはしなかったわけではない。彼はたとえば「驚いた
」と言う時には急に顔をのけぞらせたりした。……
 僕はこういう彼の話をかなり正確に写したつもりである。もしまただれか僕
の筆記に飽き足りない人があるとすれば、東京市外××村のS精神病院を尋ね
てみるがよい。年よりも若い第二十三号はまず丁寧ていねいに頭を下げ、蒲団
ふとんのない椅子いすを指さすであろう。それから憂鬱ゆううつな微笑を浮か
べ、静かにこの話を繰り返すであろう。最後に、――僕はこの話を終わった時
の彼の顔色を覚えている。彼は最後に身を起こすが早いか、たちまち拳骨げん
こつをふりまわしながら、だれにでもこう怒鳴どなりつけるであろう。――「
出て行け! この悪党めが! 貴様も莫迦ばかな、嫉妬しっと深い、猥褻わい
せつな、ずうずうしい、うぬぼれきった、残酷な、虫のいい動物なんだろう。
出ていけ! この悪党めが!」

 三年前まえの夏のことです。僕は人並みにリュック・サックを背負い、あの
上高地かみこうちの温泉宿やどから穂高山ほたかやまへ登ろうとしました。穂
高山へ登るのには御承知のとおり梓川あずさがわをさかのぼるほかはありませ
ん。僕は前に穂高山はもちろん、槍やりヶ岳たけにも登っていましたから、朝
霧の下おりた梓川の谷を案内者もつれずに登ってゆきました。朝霧の下りた梓
川の谷を――しかしその霧はいつまでたっても晴れる景色けしきは見えません
。のみならずかえって深くなるのです。僕は一時間ばかり歩いた後のち、一度
は上高地の温泉宿へ引き返すことにしようかと思いました。けれども上高地へ
引き返すにしても、とにかく霧の晴れるのを待った上にしなければなりません
。といって霧は一刻ごとにずんずん深くなるばかりなのです。「ええ、いっそ
登ってしまえ。」――僕はこう考えましたから、梓川の谷を離れないように熊
笹くまざさの中を分けてゆきました。

597 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:08:25.27 ID:n3Ryoig5d.net
 しかし僕の目をさえぎるものはやはり深い霧ばかりです。もっとも時々霧の
中から太い毛生欅ぶなや樅もみの枝が青あおと葉を垂たらしたのも見えなかっ
たわけではありません。それからまた放牧の馬や牛も突然僕の前へ顔を出しま
した。けれどもそれらは見えたと思うと、たちまち濛々もうもうとした霧の中
に隠れてしまうのです。そのうちに足もくたびれてくれば、腹もだんだん減り
はじめる、――おまけに霧にぬれ透とおった登山服や毛布なども並みたいてい
の重さではありません。僕はとうとう我がを折りましたから、岩にせかれてい
る水の音をたよりに梓川の谷へ下おりることにしました。
 僕は水ぎわの岩に腰かけ、とりあえず食事にとりかかりました。コオンド・
ビイフの罐かんを切ったり、枯れ枝を集めて火をつけたり、――そんなことを
しているうちにかれこれ十分はたったでしょう。その間あいだにどこまでも意
地の悪い霧はいつかほのぼのと晴れかかりました。僕はパンをかじりながら、
ちょっと腕時計どけいをのぞいてみました。時刻はもう一時二十分過ぎです。
が、それよりも驚いたのは何か気味の悪い顔が一つ、円まるい腕時計の硝子ガ
ラスの上へちらりと影を落としたことです。僕は驚いてふり返りました。する
と、――僕が河童かっぱというものを見たのは実にこの時がはじめてだったの
です。僕の後ろにある岩の上には画えにあるとおりの河童が一匹、片手は白樺
しらかばの幹を抱かかえ、片手は目の上にかざしたなり、珍しそうに僕を見お
ろしていました。
 僕は呆あっ気けにとられたまま、しばらくは身動きもしずにいました。河童
もやはり驚いたとみえ、目の上の手さえ動かしません。そのうちに僕は飛び立
つが早いか、岩の上の河童へおどりかかりました。同時にまた河童も逃げ出し
ました。いや、おそらくは逃げ出したのでしょう。実はひらりと身をかわした
と思うと、たちまちどこかへ消えてしまったのです。僕はいよいよ驚きながら
、熊笹くまざさの中を見まわしました。すると河童は逃げ腰をしたなり、二三
メエトル隔たった向こうに僕を振り返って見ているのです。それは不思議でも
なんでもありません。しかし僕に意外だったのは河童の体からだの色のことで

598 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:09:14.00 ID:0YjYUzAtd.net
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::::::: ( \ ヽミ ヽヽ    \_―― ̄ ̄::::::::::  /    二 ___/ヽ ...::::::::::::::
::::... /ヽ ヽ ニ ヽヽ  ノ ̄     :::::::::::::: //   ニ _______/   ...:::::::::
:::.   ヽ____  ニ ヽ (     .::::::::::::::;;;;//    ニ ____ノ     .....::::::::::
      ヽ___,  ニ/ ̄――――― ̄ ̄::::::::\ ニ ___ノ +   + ....:::::::::
        ヽニ -‐(        :::::::::::::::::::::::::::::::::≡ __ノ+ ┼ *:::::::::
         ヽ---\__::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ_ +  ┼  .::::::::::
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599 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:09:14.88 ID:SASTOEg90.net
ねみー
なーーんもやるきでねー

600 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:10:23.92 ID:0YjYUzAtd.net
す。岩の上に僕を見ていた河童は一面に灰色を帯びていました。けれども今は
体中すっかり緑いろに変わっているのです。僕は「畜生!」とおお声をあげ、
もう一度河童かっぱへ飛びかかりました。河童が逃げ出したのはもちろんです
。それから僕は三十分ばかり、熊笹くまざさを突きぬけ、岩を飛び越え、遮二
無二しゃにむに河童を追いつづけました。
 河童もまた足の早いことは決して猿さるなどに劣りません。僕は夢中になっ
て追いかける間あいだに何度もその姿を見失おうとしました。のみならず足を
すべらして転ころがったこともたびたびです。が、大きい橡とちの木が一本、
太ぶとと枝を張った下へ来ると、幸いにも放牧の牛が一匹、河童の往ゆく先へ
立ちふさがりました。しかもそれは角つのの太い、目を血走らせた牡牛おうし
なのです。河童はこの牡牛を見ると、何か悲鳴をあげながら、ひときわ高い熊
笹の中へもんどりを打つように飛び込みました。僕は、――僕も「しめた」と
思いましたから、いきなりそのあとへ追いすがりました。するとそこには僕の
知らない穴でもあいていたのでしょう。僕は滑なめらかな河童の背中にやっと
指先がさわったと思うと、たちまち深い闇やみの中へまっさかさまに転げ落ち
ました。が、我々人間の心はこういう危機一髪の際にも途方とほうもないこと
を考えるものです。僕は「あっ」と思う拍子にあの上高地かみこうちの温泉宿
のそばに「河童橋かっぱばし」という橋があるのを思い出しました。それから
、――それから先のことは覚えていません。僕はただ目の前に稲妻いなずまに
似たものを感じたぎり、いつの間まにか正気しょうきを失っていました。
 そのうちにやっと気がついてみると、僕は仰向あおむけに倒れたまま、大勢
の河童にとり囲まれていました。のみならず太い嘴くちばしの上に鼻目金はな
めがねをかけた河童が一匹、僕のそばへひざまずきながら、僕の胸へ聴診器を
当てていました。その河童は僕が目をあいたのを見ると、僕に「静かに」とい
う手真似てまねをし、それからだれか後ろにいる河童へ Quax, qua
x と声をかけました。するとどこからか河童が二匹、担架たんかを持って歩
いてきました。僕はこの担架にのせられたまま、大勢の河童の群がった中を静

601 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:10:31.48 ID:ZIr4KWKu0.net
ギアルが沸いてる
往復30分の公園
外の台風ヤバいけど行くか迷うなぁ

602 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:10:56.30 ID:0YjYUzAtd.net
かに何町か進んでゆきました。僕の両側に並んでいる町は少しも銀座通りと違
いありません。やはり毛生欅ぶなの並み木のかげにいろいろの店が日除ひよけ
を並べ、そのまた並み木にはさまれた道を自動車が何台も走っているのです。
 やがて僕を載せた担架は細い横町よこちょうを曲ったと思うと、ある家うち
の中へかつぎこまれました。それは後のちに知ったところによれば、あの鼻目
金をかけた河童の家、――チャックという医者の家だったのです。チャックは
僕を小ぎれいなベッドの上へ寝かせました。それから何か透明な水薬みずぐす
りを一杯飲ませました。僕はベッドの上に横たわったなり、チャックのするま
まになっていました。実際また僕の体からだはろくに身動きもできないほど、
節々ふしぶしが痛んでいたのですから。
 チャックは一日に二三度は必ず僕を診察にきました。また三日に一度ぐらい
は僕の最初に見かけた河童、――バッグという漁夫りょうしも尋ねてきました
。河童は我々人間が河童のことを知っているよりもはるかに人間のことを知っ
ています。それは我々人間が河童を捕獲することよりもずっと河童が人間を捕
獲することが多いためでしょう。捕獲というのは当たらないまでも、我々人間
は僕の前にもたびたび河童の国へ来ているのです。のみならず一生河童の国に
住んでいたものも多かったのです。なぜと言ってごらんなさい。僕らはただ河
童かっぱではない、人間であるという特権のために働かずに食っていられるの
です。現にバッグの話によれば、ある若い道路工夫こうふなどはやはり偶然こ
の国へ来た後のち、雌めすの河童を妻にめとり、死ぬまで住んでいたというこ
とです。もっともそのまた雌の河童はこの国第一の美人だった上、夫の道路工
夫をごまかすのにも妙をきわめていたということです。
 僕は一週間ばかりたった後、この国の法律の定めるところにより、「特別保
護住民」としてチャックの隣に住むことになりました。僕の家うちは小さい割
にいかにも瀟洒しょうしゃとできあがっていました。もちろんこの国の文明は
我々人間の国の文明――少なくとも日本の文明などとあまり大差はありません
。往来に面した客間の隅すみには小さいピアノが一台あり、それからまた壁に
は額縁がくぶちへ入れたエッティングなども懸かかっていました。ただ肝腎か

603 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:10:58.40 ID:YxbiQn8D0.net
金ズリ防衛と戦ってたけど、充電切れそうになったから撤退

604 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:12:06.23 ID:4T5mYeo0d.net
んじんの家をはじめ、テエブルや椅子いすの寸法も河童の身長に合わせてあり
ますから、子どもの部屋へやに入れられたようにそれだけは不便に思いました

 僕はいつも日暮れがたになると、この部屋にチャックやバッグを迎え、河童
の言葉を習いました。いや、彼らばかりではありません。特別保護住民だった
僕にだれも皆好奇心を持っていましたから、毎日血圧を調べてもらいに、わざ
わざチャックを呼び寄せるゲエルという硝子ガラス会社の社長などもやはりこ
の部屋へ顔を出したものです。しかし最初の半月ほどの間に一番僕と親しくし
たのはやはりあのバッグという漁夫りょうしだったのです。
 ある生暖なまあたたかい日の暮れです。僕はこの部屋のテエブルを中に漁夫
のバッグと向かい合っていました。するとバッグはどう思ったか、急に黙って
しまった上、大きい目をいっそう大きくしてじっと僕を見つめました。僕はも
ちろん妙に思いましたから、「Quax, Bag, quo quel,
quan?」と言いました。これは日本語に翻訳すれば、「おい、バッグ、ど
うしたんだ」ということです。が、バッグは返事をしません。のみならずいき
なり立ち上がると、べろりと舌を出したなり、ちょうど蛙かえるの跳はねるよ
うに飛びかかる気色けしきさえ示しました。僕はいよいよ無気味になり、そっ
と椅子いすから立ち上がると、一足いっそく飛びに戸口へ飛び出そうとしまし
た。ちょうどそこへ顔を出したのは幸いにも医者のチャックです。
「こら、バッグ、何をしているのだ?」
 チャックは鼻目金はなめがねをかけたまま、こういうバッグ[#「バッグ」
は底本では「バック」]をにらみつけました。するとバッグは恐れいったとみ
え、何度も頭へ手をやりながら、こう言ってチャックにあやまるのです。
「どうもまことに相あいすみません。実はこの旦那だんなの気味悪がるのがお
もしろかったものですから、つい調子に乗って悪戯いたずらをしたのです。ど
うか旦那も堪忍かんにんしてください。」

605 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:12:19.38 ID:4T5mYeo0d.net
            ゙'.    '.;`i  i、 ノ  .、″
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             `  .,-''ヽ"`    ヽ,,,、   !
                、,、‐'゙l‐、      .丿 : ':、
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          ,.イ:、ヽ/ー`-、-ヽヽヽ、−´    .l゙`-、
         _,,l゙-:ヽ,;、、             、、丶  ゙i、,,、
        ,<_ l_ヽ冫`'`-、;,,,、、、、.............,,,,、.-`":    │ `i、
      、、::|、、、ヽ,、、.    ```: : : ```      、.、'`  .|丶、
     .l","ヽ、,"、,"'、ぃ、、,、、、、.、、、.、、、_、.,,.ヽ´    l゙  ゙).._
    ,、':゙l:、、`:ヽ、`:、  : `"```¬――'''"`゙^`     : ..、丶  .l゙ `ヽ
   ,i´.、ヽ".、".、"'ヽヽ;,:、........、           、、...,,,、−‘`   、‐   |゙゙:‐,
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606 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:12:30.24 ID:krnlCJf80.net
>>603
モバイルバッテリー持って落としにいくんだよあくしろよ

607 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:12:44.40 ID:4T5mYeo0d.net
んじんの家をはじめ、テエブルや椅子いすの寸法も河童の身長に合わせてあり
ますから、子どもの部屋へやに入れられたようにそれだけは不便に思いました

 僕はいつも日暮れがたになると、この部屋にチャックやバッグを迎え、河童
の言葉を習いました。いや、彼らばかりではありません。特別保護住民だった
僕にだれも皆好奇心を持っていましたから、毎日血圧を調べてもらいに、わざ
わざチャックを呼び寄せるゲエルという硝子ガラス会社の社長などもやはりこ
の部屋へ顔を出したものです。しかし最初の半月ほどの間に一番僕と親しくし
たのはやはりあのバッグという漁夫りょうしだったのです。
 ある生暖なまあたたかい日の暮れです。僕はこの部屋のテエブルを中に漁夫
のバッグと向かい合っていました。するとバッグはどう思ったか、急に黙って
しまった上、大きい目をいっそう大きくしてじっと僕を見つめました。僕はも
ちろん妙に思いましたから、「Quax, Bag, quo quel,
quan?」と言いました。これは日本語に翻訳すれば、「おい、バッグ、ど
うしたんだ」ということです。が、バッグは返事をしません。のみならずいき
なり立ち上がると、べろりと舌を出したなり、ちょうど蛙かえるの跳はねるよ
うに飛びかかる気色けしきさえ示しました。僕はいよいよ無気味になり、そっ
と椅子いすから立ち上がると、一足いっそく飛びに戸口へ飛び出そうとしまし
た。ちょうどそこへ顔を出したのは幸いにも医者のチャックです。
「こら、バッグ、何をしているのだ?」
 チャックは鼻目金はなめがねをかけたまま、こういうバッグ[#「バッグ」
は底本では「バック」]をにらみつけました。するとバッグは恐れいったとみ
え、何度も頭へ手をやりながら、こう言ってチャックにあやまるのです。
「どうもまことに相あいすみません。実はこの旦那だんなの気味悪がるのがお
もしろかったものですから、つい調子に乗って悪戯いたずらをしたのです。ど
うか旦那も堪忍かんにんしてください。」

608 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:12:46.49 ID:FsSVm0NCd.net
近所の複垢マスターの五垢乗ったジムぶっ壊してきたわ

609 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:13:03.14 ID:4T5mYeo0d.net
んじんの家をはじめ、テエブルや椅子いすの寸法も河童の身長に合わせてあり
ますから、子どもの部屋へやに入れられたようにそれだけは不便に思いました

 僕はいつも日暮れがたになると、この部屋にチャックやバッグを迎え、河童
の言葉を習いました。いや、彼らばかりではありません。特別保護住民だった
僕にだれも皆好奇心を持っていましたから、毎日血圧を調べてもらいに、わざ
わざチャックを呼び寄せるゲエルという硝子ガラス会社の社長などもやはりこ
の部屋へ顔を出したものです。しかし最初の半月ほどの間に一番僕と親しくし
たのはやはりあのバッグという漁夫りょうしだったのです。
 ある生暖なまあたたかい日の暮れです。僕はこの部屋のテエブルを中に漁夫
のバッグと向かい合っていました。するとバッグはどう思ったか、急に黙って
しまった上、大きい目をいっそう大きくしてじっと僕を見つめました。僕はも
ちろん妙に思いましたから、「Quax, Bag, quo quel,
quan?」と言いました。これは日本語に翻訳すれば、「おい、バッグ、ど
うしたんだ」ということです。が、バッグは返事をしません。のみならずいき
なり立ち上がると、べろりと舌を出したなり、ちょうど蛙かえるの跳はねるよ
うに飛びかかる気色けしきさえ示しました。僕はいよいよ無気味になり、そっ
と椅子いすから立ち上がると、一足いっそく飛びに戸口へ飛び出そうとしまし
た。ちょうどそこへ顔を出したのは幸いにも医者のチャックです。
「こら、バッグ、何をしているのだ?」
 チャックは鼻目金はなめがねをかけたまま、こういうバッグ[#「バッグ」
は底本では「バック」]をにらみつけました。するとバッグは恐れいったとみ
え、何度も頭へ手をやりながら、こう言ってチャックにあやまるのです。
「どうもまことに相あいすみません。実はこの旦那だんなの気味悪がるのがお
もしろかったものですから、つい調子に乗って悪戯いたずらをしたのです。ど
うか旦那も堪忍かんにんしてください。」

610 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:13:28.63 ID:4T5mYeo0d.net
 僕はこの先を話す前にちょっと河童というものを説明しておかなければなり
ません。河童はいまだに実在するかどうかも疑問になっている動物です。が、
それは僕自身が彼らの間に住んでいた以上、少しも疑う余地はないはずです。
ではまたどういう動物かと言えば、頭に短い毛のあるのはもちろん、手足に水
掻みずかきのついていることも「水虎考略すいここうりゃく」などに出ている
のと著しい違いはありません。身長もざっと一メエトルを越えるか越えぬくら
いでしょう。体重は医者のチャックによれば、二十ポンドから三十ポンドまで
、――まれには五十何ポンドぐらいの大河童おおかっぱもいると言っていまし
た。それから頭のまん中には楕円形だえんけいの皿さらがあり、そのまた皿は
年齢により、だんだん固かたさを加えるようです。現に年をとったバッグの皿
は若いチャックの皿などとは全然手ざわりも違うのです。しかし一番不思議な
のは河童の皮膚の色のことでしょう。河童は我々人間のように一定の皮膚の色
を持っていません。なんでもその周囲の色と同じ色に変わってしまう、――た
とえば草の中にいる時には草のように緑色に変わり、岩の上にいる時には岩の
ように灰色に変わるのです。これはもちろん河童に限らず、カメレオンにもあ
ることです。あるいは河童は皮膚組織の上に何かカメレオンに近いところを持
っているのかもしれません。僕はこの事実を発見した時、西国さいこくの河童
は緑色であり、東北とうほくの河童は赤いという民俗学上の記録を思い出しま
した。のみならずバッグを追いかける時、突然どこへ行ったのか、見えなくな
ったことを思い出しました。しかも河童は皮膚の下によほど厚い脂肪を持って
いるとみえ、この地下の国の温度は比較的低いのにもかかわらず、(平均華氏
かっし五十度前後です。)着物というものを知らず[#「知らず」は底本では
「知らす」]にいるのです。もちろんどの河童も目金めがねをかけたり、巻煙
草まきたばこの箱を携えたり、金入かねいれを持ったりはしているでしょう。
しかし河童はカンガルウのように腹に袋を持っていますから、それらのものを
しまう時にも格別不便はしないのです。ただ僕におかしかったのは腰のまわり

611 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:13:47.81 ID:dGeQ61kf0.net
>>595
ほら駄目じゃん
どうやれば纏めて出来るか教えて

612 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:14:34.94 ID:RY67hxS+d.net
さえおおわないことです。僕はある時この習慣をなぜかとバッグに尋ねてみま
した。すると[#「すると」は底本では「ずると」]バッグはのけぞったまま
、いつまでもげらげら笑っていました。おまけに「わたしはお前さんの隠して
いるのがおかしい」と返事をしました。

 僕はだんだん河童の使う日常の言葉を覚えてきました。従って河童の風俗や
習慣ものみこめるようになってきました。その中でも一番不思議だったのは河
童は我々人間の真面目まじめに思うことをおかしがる、同時に我々人間のおか
しがることを真面目に思う――こういうとんちんかんな習慣です。たとえば我
々人間は正義とか人道とかいうことを真面目に思う、しかし河童はそんなこと
を聞くと、腹をかかえて笑い出すのです。つまり彼らの滑稽こっけいという観
念は我々の滑稽という観念と全然標準を異ことにしているのでしょう。僕はあ
る時医者のチャックと産児制限の話をしていました。するとチャックは大口を
あいて、鼻目金はなめがねの落ちるほど笑い出しました。僕はもちろん腹が立
ちましたから、何がおかしいかと詰問しました。なんでもチャックの返答はだ
いたいこうだったように覚えています。もっとも多少細かいところは間違まち
がっているかもしれません。なにしろまだそのころは僕も河童の使う言葉をす
っかり理解していなかったのですから。
「しかし両親のつごうばかり考えているのはおかしいですからね。どうもあま
り手前勝手ですからね。」
 その代わりに我々人間から見れば、実際また河童かっぱのお産ぐらい、おか
しいものはありません。現に僕はしばらくたってから、バッグの細君のお産を
するところをバッグの小屋へ見物にゆきました。河童もお産をする時には我々
人間と同じことです。やはり医者や産婆さんばなどの助けを借りてお産をする
のです。けれどもお産をするとなると、父親は電話でもかけるように母親の生
殖器に口をつけ、「お前はこの世界へ生まれてくるかどうか、よく考えた上で
返事をしろ。」と大きな声で尋ねるのです。バッグもやはり膝ひざをつきなが
ら、何度も繰り返してこう言いました。それからテエブルの上にあった消毒用

613 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:14:59.24 ID:RY67hxS+d.net
の水薬すいやくでうがいをしました。すると細君の腹の中の子は多少気兼ねで
もしているとみえ、こう小声に返事をしました。
「僕は生まれたくはありません。第一僕のお父とうさんの遺伝は精神病だけで
もたいへんです。その上僕は河童的存在を悪いと信じていますから。」
 バッグはこの返事を聞いた時、てれたように頭をかいていました。が、そこ
にい合わせた産婆はたちまち細君の生殖器へ太い硝子ガラスの管かんを突きこ
み、何か液体を注射しました。すると細君はほっとしたように太い息をもらし
ました。同時にまた今まで大きかった腹は水素瓦斯すいそガスを抜いた風船の
ようにへたへたと縮んでしまいました。
 こういう返事をするくらいですから、河童の子どもは生まれるが早いか、も
ちろん歩いたりしゃべったりするのです。なんでもチャックの話では出産後二
十六日目に神の有無うむについて講演をした子どももあったとかいうことです
。もっともその子どもは二月目ふたつきめには死んでしまったということです
が。
 お産の話をしたついでですから、僕がこの国へ来た三月目みつきめに偶然あ
る街まちの角かどで見かけた、大きいポスタアの話をしましょう。その大きい
ポスタアの下には喇叭らっぱを吹いている河童だの剣を持っている河童だのが
十二三匹描かいてありました。それからまた上には河童の使う、ちょうど時計
とけいのゼンマイに似た螺旋らせん文字が一面に並べてありました。この螺旋
文字を翻訳すると、だいたいこういう意味になるのです。これもあるいは細か
いところは間違まちがっているかもしれません。が、とにかく僕としては僕と
いっしょに歩いていた、ラップという河童の学生が大声に読み上げてくれる言
葉をいちいちノオトにとっておいたのです。
僕はもちろんその時にもそんなことの行なわれないことをラップに話して聞
かせました。するとラップばかりではない、ポスタアの近所にいた河童はこと
ごとくげらげら笑い出しました。
「行なわれない? だってあなたの話ではあなたがたもやはり我々のように行
なっていると思いますがね。あなたは令息が女中に惚ほれたり、令嬢が運転手
に惚れたりするのはなんのためだと思っているのです? あれは皆無意識的に
悪遺伝を撲滅しているのですよ。第一この間あなたの話したあなたがた人間の

614 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:15:31.78 ID:clekjw5gd.net
義勇隊よりも、――一本の鉄道を奪うために互いに殺し合う義勇隊ですね、―
―ああいう義勇隊に比べれば、ずっと僕たちの義勇隊は高尚ではないかと思い
ますがね。」
 ラップは真面目まじめにこう言いながら、しかも太い腹だけはおかしそうに
絶えず浪立なみだたせていました。が、僕は笑うどころか、あわててある河童
かっぱをつかまえようとしました。それは僕の油断を見すまし、その河童が僕
の万年筆を盗んだことに気がついたからです。しかし皮膚の滑なめらかな河童
は容易に我々にはつかまりません。その河童もぬらりとすべり抜けるが早いか
いっさんに逃げ出してしまいました。ちょうど蚊のようにやせた体からだを倒
れるかと思うくらいのめらせながら。

 僕はこのラップという河童にバッグにも劣らぬ世話になりました。が、その
中でも忘れられないのはトックという河童に紹介されたことです。トックは河
童仲間の詩人です。詩人が髪を長くしていることは我々人間と変わりません。
僕は時々トックの家うちへ退屈しのぎに遊びにゆきました。トックはいつも狭
い部屋へやに高山植物の鉢植はちうえを並べ、詩を書いたり煙草たばこをのん
だり、いかにも気楽そうに暮らしていました。そのまた部屋の隅すみには雌め
すの河童が一匹、(トックは自由恋愛家ですから、細君というものは持たない
のです。)編み物か何かしていました。トックは僕の顔を見ると、いつも微笑
してこう言うのです。(もっとも河童の微笑するのはあまりいいものではあり
ません。少なくとも僕は最初のうちはむしろ無気味に感じたものです。)
「やあ、よく来たね。まあ、その椅子いすにかけたまえ。」
 トックはよく河童の生活だの河童の芸術だのの話をしました。トックの信ず
るところによれば、当たり前の河童の生活ぐらい、莫迦ばかげているものはあ
りません。親子夫婦兄弟などというのはことごとく互いに苦しめ合うことを唯
一の楽しみにして暮らしているのです。ことに家族制度というものは莫迦げて
いる以上にも莫迦げているのです。トックはある時窓の外を指さし、「見たま
え。あの莫迦げさ加減を!」と吐き出すように言いました。窓の外の往来には
まだ年の若い河童が一匹、両親らしい河童をはじめ、七八匹の雌雄めすおすの

615 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:15:56.08 ID:clekjw5gd.net
河童を頸くびのまわりへぶら下げながら、息も絶え絶えに歩いていました。し
かし僕は年の若い河童の犠牲的精神に感心しましたから、かえってその健気け
なげさをほめ立てました。
「ふん、君はこの国でも市民になる資格を持っている。……時に君は社会主義
者かね?」
 僕はもちろん qua(これは河童の使う言葉では「然しかり」という意味
を現わすのです。)と答えました。
「では百人の凡人のために甘んじてひとりの天才を犠牲にすることも顧みない
はずだ。」
「では君は何主義者だ? だれかトック君の信条は無政府主義だと言っていた
が、……」
「僕か? 僕は超人(直訳すれば超河童です。)だ。」
 トックは昂然こうぜんと言い放ちました。こういうトックは芸術の上にも独
特な考えを持っています。トックの信ずるところによれば、芸術は何ものの支
配をも受けない、芸術のための芸術である、従って芸術家たるものは何よりも
先に善悪を絶ぜっした超人でなければならぬというのです。もっともこれは必
ずしもトック一匹の意見ではありません。トックの仲間の詩人たちはたいてい
同意見を持っているようです。現に僕はトックといっしょにたびたび超人倶楽
部クラブへ遊びにゆきました。超人倶楽部に集まってくるのは詩人、小説家、
戯曲家、批評家、画家、音楽家、彫刻家、芸術上の素人しろうと等です。しか
しいずれも超人です。彼らは電燈の明るいサロンにいつも快活に話し合ってい
ました。のみならず時には得々とくとくと彼らの超人ぶりを示し合っていまし
た。たとえばある彫刻家などは大きい鬼羊歯おにしだの鉢植はちうえの間に年
の若い河童かっぱをつかまえながら、しきりに男色だんしょくをもてあそんで
いました。またある雌めすの小説家などはテエブルの上に立ち上がったなり、
アブサントを六十本飲んで見せました。もっともこれは六十本目にテエブルの
下へ転ころげ落ちるが早いか、たちまち往生してしまいましたが。
 僕はある月のいい晩、詩人のトックと肘ひじを組んだまま、超人倶楽部から
帰ってきました。トックはいつになく沈みこんでひとことも口をきかずにいま

616 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:16:24.62 ID:b9VpTv0j0.net
変なのが荒らし出したけどなんでよ

617 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:16:51.00 ID:clekjw5gd.net
した。そのうちに僕らは火ほかげのさした、小さい窓の前を通りかかりました
。そのまた窓の向こうには夫婦らしい雌雄めすおすの河童が二匹、三匹の子ど
もの河童といっしょに晩餐ばんさんのテエブルに向かっているのです。すると
トックはため息をしながら、突然こう僕に話しかけました。
「僕は超人的恋愛家だと思っているがね、ああいう家庭の容子ようすを見ると
、やはりうらやましさを感じるんだよ。」
「しかしそれはどう考えても、矛盾しているとは思わないかね?」
 けれどもトックは月明りの下にじっと腕を組んだまま、あの小さい窓の向こ
うを、――平和な五匹の河童たちの晩餐のテエブルを見守っていました。それ
からしばらくしてこう答えました。
「あすこにある玉子焼きはなんと言っても、恋愛などよりも衛生的だからね。


 実際また河童の恋愛は我々人間の恋愛とはよほど趣を異ことにしています。
雌の河童はこれぞという雄の河童を見つけるが早いか、雄の河童をとらえるの
にいかなる手段も顧みません、一番正直な雌の河童は遮二無二しゃにむに雄の
河童を追いかけるのです。現に僕は気違いのように雄の河童を追いかけている
雌の河童を見かけました。いや、そればかりではありません。若い雌の河童は
もちろん、その河童の両親や兄弟までいっしょになって追いかけるのです。雄
の河童こそみじめです。なにしろさんざん逃げまわったあげく、運よくつかま
らずにすんだとしても、二三か月は床とこについてしまうのですから。僕はあ
る時僕の家にトックの詩集を読んでいました。するとそこへ駆けこんできたの
はあのラップという学生です。ラップは僕の家へ転げこむと、床ゆかの上へ倒
れたなり、息も切れ切れにこう言うのです。
「大変たいへんだ! とうとう僕は抱きつかれてしまった!」
 僕はとっさに詩集を投げ出し、戸口の錠じょうをおろしてしまいました。し
かし鍵穴かぎあなからのぞいてみると、硫黄いおうの粉末を顔に塗った、背せ
いの低い雌めすの河童かっぱが一匹、まだ戸口にうろついているのです。ラッ
プはその日から何週間か僕の床とこの上に寝ていました。のみならずいつかラ

618 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:17:12.63 ID:ZROOgoAj0.net
このスレのマウントマンは千葉と滋賀に住んでいる

619 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:17:30.49 ID:i3KgBflld.net
ップの嘴くちばしはすっかり腐って落ちてしまいました。
 もっともまた時には雌の河童を一生懸命いっしょうけんめいに追いかける雄
おすの河童もないではありません。しかしそれもほんとうのところは追いかけ
ずにはいられないように雌の河童が仕向けるのです。僕はやはり気違いのよう
に雌の河童を追いかけている雄の河童も見かけました。雌の河童は逃げてゆく
うちにも、時々わざと立ち止まってみたり、四よつん這ばいになったりして見
せるのです。おまけにちょうどいい時分になると、さもがっかりしたように楽
々とつかませてしまうのです。僕の見かけた雄の河童は雌の河童を抱いたなり
、しばらくそこに転ころがっていました。が、やっと起き上がったのを見ると
、失望というか、後悔というか、とにかくなんとも形容できない、気の毒な顔
をしていました。しかしそれはまだいいのです。これも僕の見かけた中に小さ
い雄の河童が一匹、雌の河童を追いかけていました。雌の河童は例のとおり、
誘惑的遁走とんそうをしているのです。するとそこへ向こうの街まちから大き
い雄の河童が一匹、鼻息を鳴らせて歩いてきました。雌の河童はなにかの拍子
にふとこの雄の河童を見ると「大変たいへんです! 助けてください! あの
河童はわたしを殺そうとするのです!」と金切かなきり声を出して叫びました
。もちろん大きい雄の河童はたちまち小さい河童をつかまえ、往来のまん中へ
ねじ伏せました。小さい河童は水掻みずかきのある手に二三度空くうをつかん
だなり、とうとう死んでしまいました。けれどももうその時には雌の河童はに
やにやしながら、大きい河童の頸くびっ玉へしっかりしがみついてしまってい
たのです。
 僕の知っていた雄おすの河童かっぱはだれも皆言い合わせたように雌めすの
河童に追いかけられました。もちろん妻子を持っているバッグでもやはり追い
かけられたのです。のみならず二三度はつかまったのです。ただマッグという
哲学者だけは(これはあのトックという詩人の隣にいる河童です。)一度もつ
かまったことはありません。これは一つにはマッグぐらい、醜い河童も少ない
ためでしょう。しかしまた一つにはマッグだけはあまり往来へ顔を出さずに家
うちにばかりいるためです。僕はこのマッグの家へも時々話しに出かけました
。マッグはいつも薄暗うすぐらい部屋へやに七色なないろの色硝子いろガラス
のランタアンをともし、脚あしの高い机に向かいながら、厚い本ばかり読んで
いるのです。僕はある時こういうマッグと河童の恋愛を論じ合いました。
「なぜ政府は雌の河童が雄の河童を追いかけるのをもっと厳重に取り締まらな
いのです?」
「それは一つには官吏の中に雌の河童の少ないためですよ。雌の河童は雄の河
童よりもいっそう嫉妬心しっとしんは強いものですからね、雌の河童の官吏さ
え殖ふえれば、きっと今よりも雄の河童は追いかけられずに暮らせるでしょう
。しかしその効力もしれたものですね。なぜと言ってごらんなさい。官吏同志
でも雌の河童は雄の河童を追いかけますからね。」

620 :ピカチュウ :2019/10/12(土) 14:17:48.10 ID:e3q6Eo4c0.net
いつもすぐ集まるのにレイド俺しかいないんだけど

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